こんにちは心斎橋買取センターの たつみ です。
前回のFEに引き続き今回はニコンのマニュアル専用機『FM』にまつわるお話です。
抜かりのない改善・改良
ニコンの中級機を語る上で、絶対に外せないのが『ニコマート』シリーズの存在。
1964年に大衆用として誕生したこのシリーズで様々なトライを試みました。
初代FTから露出計を内蔵させ、さらに絞り優先を搭載したELを開発しシリーズを拡大。
さらにそれぞれで出てきた課題を見逃す事なく改善を加え次モデルを登場させ撮影者の期待に応えていきます。
その数はシリーズで通算7モデルに及びます。
技術のニコンと呼ばれる所以がこの中級機分野においても発揮されていました。
廉価機種の要求とAi化を受けて
そんな取り組みをひたむきに行うニコンにおいて、世間も更なる期待を送ります。
当時ニコンの主力機種は名機『F2』
初代Fから幾多の改良を受け自信を持って投入した世界トップクラスの代物。
しかし性能も高けりゃ値段も高いとなっては庶民には手も足もでません。
そこで海外を中心として『廉価機種が必要!』との声が上がります。
また時を同じくして俗に『Ai化』と呼ばれるニコンレンズの大改良が施されます。
それまでレンズのカニ爪金具に連動ピンを引っ掛けボディに装着し、さらに本体と連動させる為に、必ず左右に1往復させるという何とも煩わしいやり方だったのが、ワンタッチではめるだけの物に改善されたのでした。
こうした2つの大きな出来事があり1977年に、F2の流れから機械式でニコマートシリーズよりもさらに軽量・小型化された『FM』が満を持して登場します。
ちなみにネーミングの由来ですが、【F】はニコンカメラの象徴である初代Fから。
そして【M】はMechanical=機械式。この2つの組み合わせだと言われています。
進化はとどまる事なく
こうして誕生したFMはその後のニコンの改良の旗印的なカメラとなっていきます。
当時のカメラのライフサイクルは各社とも比較的長く、次モデルが出ても部分改良であったりコストパフォーマンスを高めた廉価機がほとんどでした。
そんな動向を尻目にニコンはFMで大いなる改善を企てていきます。
発売開始から5年後の1982年に、当時の世界最高速となる1/4000秒シャッターを開発。これを次モデル『FM2』に搭載し発売します。
更にその2年後の1984年には露出計との連動性が課題であったシンクロスピードを1/200から1/250秒に改良した『NewFM2』を登場させます。
(今でも根強い人気のNewFM2はなんと35年前に発売されたカメラだったんです)
ところで、この新・旧FM2は見た目は殆ど同じ。
先走って買ったらFM2だったなんて笑えない話になります。
(決して旧FM2がアカン訳ではないのですが。シャッター幕も唯一、チタン製の幕を使用)
シャッターダイヤルの配列の違いと製造番号の頭に『N』の有無をしっかり確認してからお求め下さい。
(FM2は台数が少なめなんでレアと言えばレアですが。。(笑))
最後に。。
FMシリーズの進化はまだまだ続きます。
NewFM2に代替わりしてから10年後の1993年に外装にチタン素材を施したFM2/Tを加えます。
F2やF3と言った高級機で実績のあったチタン外装を惜しげもなくNewFM2にも採用した意欲作。
90年代半ばといえばAF全盛の時代にニコンの並々ならぬ意欲を感じます。
その後もNewFM2は写真を学ぶ学生の入門機として重宝され生産を続けられます。
そして旧FM2から実に20年の時を経て、2001年にシリーズ最終モデルとなるFM3Aに引き継がれる事になります。
このFM3Aも実に意欲作!
こちらの話はまたいずれ別の機会に。