タムロン 17-28mm F2.8 Di III RXD (Model A046) 使用レビュー

こんにちは。 カメラ担当の池田です。

久しぶりに新製品のレビューをお届けいたします。

今回、ご紹介するレンズはタムロン17-28mm F2.8 Di III RXD (Model A046)です。

このレンズはソニーのフルサイズミラーレス一眼用として発売されています。

ソニーフルサイズミラーレス一眼用レンズの第1弾として、2018年5月に発売された28-75mm F2.8 Di III RXD (Model A036)は大口径標準ズームとして爆発的に売れ、現在でも人気商品となっています。

そして今回、第2弾としまして17-28mm F2.8 Di III RXDの超広角ズームレンズが発売されました。

このレンズもまた2019年7月の発売当初より品薄状態が続き、人気商品となっています。


そんな人気のレンズを使用して、撮影してきましたのでご覧いただければと思います。


主なスペック

  1. 焦点距離17-28mmの超広角ズームレンズ
  2. 開放F値 F2.8の大口径レンズ
  3. ソニーフルサイズミラーレス一眼対応
  4. タムロン自慢の特殊硝材LDレンズやXLDを贅沢に使用した11群13枚のレンズ構成
  5. 最短撮影距離 0.19m(17mm側)の高い近接能力
  6. 高速かつ精密なAF駆動を実現したステッピングモーターユニット(RXD)を搭載
  7. 大口径でありながら、長さ99mm、重量420gのコンパクト設計

作例

絞り優先オート F11 0.8秒 ISO400 17mm 三脚使用

鳥取県大山にある渓流。渓流や滝を撮影する場合、超広角ズームは必須と言っても良いくらい、使用頻度が高くなります。

その理由のひとつに、渓流などでは後ろに下がれないなど、撮影場所に制限がある場合が多いので、超広角レンズはそんな時にとても便利なのです。

もちろん広がりや奥行を表現するのにも最適なレンズです。

この写真は17mmで撮影していますが、画像周辺の描写も良く、全体的な画質に関しても文句なしの仕上がりとなっています。


絞り優先オート F11 4秒 ISO100 28mm 三脚使用

この写真は28mmで撮影。標準ズームレンズでカバーしている焦点距離でもありますので、見慣れた画角かもしれません。28mmだと17mm以上に画像周辺の描写も良くなり、まったく気にすることなく撮影に挑めます。

17mm同様、画像を拡大しても苔や葉が鮮明に描写されており、贅沢なレンズ構成によるものだと実感いたしました。


絞り優先オート F11 5秒 ISO100 28mm 三脚使用

絞り優先オート F2.8 1/60秒 ISO2000 17mm 手持ち撮影

1枚目の写真は、手前の苔むした岩に落ちていたモミジをアクセントに、渓流と絡めて撮影したものです。

そして2枚目の写真が、そのモミジに近づいて17mmで撮影したものです。

このレンズの特長でもあり魅力のひとつが高い近接能力にあります。17mm側では19cm、28mm側では26cmまで近寄ることができます。

超広角レンズで近接撮影すると、マクロレンズとは違い、主役を強調しつつも周囲の状況も写し込むことができます。

上の2枚目の作例は、本当は渓流沿いに落ちているモミジを表現したかったのですが、モミジの落ちている場所が悪く、渓流を画面の中に入れることができませんでした。


絞り優先オート F2.8 1/60秒 ISO500 17mm 手持ち撮影

倒木に生えていた小さなキノコ。このキノコもまた17mm側の最短撮影距離付近で撮影しています。

背後にも倒木があり、周囲の状況も表現することができました。

ここで見て頂きたいのは背景のボケのカタチです。このレンズは円形絞りを採用していますので、背景のボケ(画面の上の明るい部分)が丸くなっています。さらに滑らかにボケていく感じも好感が持てます。

広角レンズは望遠レンズほどボケない性質がありますが、近接撮影の場合は17mmでも大きなボケを出すことができます。ボケにもこだわったレンズと言えます。


絞り優先オート F11 1秒 ISO400 17mm 三脚使用

渓流沿いで見つけたトチの大木。2本の木が写っているように見えますが、実は1本の木です。このような巨樹の撮影では、超広角レンズでないと撮れないシーンが多々あります。

この場所も後ろには下がれない状況で、この木の迫力を出すには超広角レンズでないと無理でした。

また、葉っぱの隙間から弱い光が入ってきていますが、フレアが出ることもなくキレイに描写してくれました。

逆光、フレアに強いBBARコーティングのおかげなのでしょう。


絞り優先オート F8 1/200秒 ISO400 17mm 手持ち撮影

場所がガラッと変わって、京都府南丹市美山町のかやぶきの里での1枚です。

間もなく刈り取られるであろう稲を強調して、背景に茅葺き民家を入れて撮影しています。

「強調したいものに近づいて撮る!」というのが超広角レンズの使い方としては定番です。状況にもよりますが、ただ単に広く撮るだけでは、超広角レンズのおもしろさを表現することは難しいのです。


絞り優先オート F5.6 1/400秒 ISO400 17mm 手持ち撮影

秋を代表する花「コスモス」。この日も風に揺られて気持ち良さそうでした。

しかし、コスモス撮影において一番の敵は「風」なのです。

特に花をアップで撮る場合には、ピントすら合わすことができないなんて事もあるのです。この写真も風の吹く中、風が弱くなる瞬間を待って撮影したものです。

こんな時に重要になってくるのがオートフォーカス性能です。タムロンのこのレンズにはRXDというステッピングモーターユニットが搭載されており、オートフォーカススピードも速く快適に撮影できました。

最短撮影距離付近での撮影で被写界深度が浅い状況にも関わらず、一発でこのようにピントのあった写真を撮る事ができました。


まとめ

このレンズを見た時の第一印象は「小さい!軽い!」ということでした。この大きさで本当に開放F値がF2.8あるのかと信じられないくらいの衝撃を受けました。レンズ口径も67mmと、フルサイズ対応の超広角ズームとしてはかなり小さい口径です。

しかし、コンパクトでありながらも描写力に一切の妥協はなし。写りは満足できるものでした。

描写力以上に良い点は、やはり近接能力が高いという事。超広角レンズは「寄れてなんぼ!」と思っている私にとっては、この部分を一番強調しておきたい性能です。

今回、17-28mm F2.8 Di III RXDを持って撮影に出かけたのですが、天候が良ければ今流行の星景写真を撮ってみたいと思ってました。しかし、撮影現場は曇天で星は見えず、撮影することができませんでした。

F2.8の超広角レンズなので、星の写真にも使えると思っています。また、機会があれば再度挑戦したいと思います。

風景だけでなく、星景写真、スナップにも使える1本です。


使用カメラ:ソニーα7II(ILCE-7M2)


この記事に関するお問い合わせは・・・カメラ担当 池田まで