商品レビュー:富士フイルム XF10/コンパクトな28mm単焦点カメラ

今回は富士フイルムから発売されている単焦点28mmレンズ搭載のプレミアムコンパクトカメラ、「XF10」をご紹介します。
今現在新品価格が中古のGRIIとほぼ同等になっていますので、ひょっとしたらどちらを選ぶかでお悩みの方もいらっしゃるのでは・・・?(2019年秋)

  • GRIIとちょっとだけ比較
    いずれも換算28mm相当の18.3mmレンズ、開放絞りF2.8、絞り羽根は9枚構成となっています。手振れ補正非搭載である点も共通ですね。
  • レンズの繰り出し・キャップ
    ご覧の通り、XF10はごくシンプルな着脱式キャップを採用しており、一方のGRはレンズバリア式を採用しています。見た目で云えばGRの方がかっちょいいし、そもそもキャップを紛失する事も無さそうですが、XF10のキャップは紛失防止用の紐が付いています。あまり格好良くはありませんが、これならそもそも「レンズバリアの故障」も無いわけでして。ただし、カメラを俯瞰気味にした際に吊り下がったキャップがブラリブラリと画角内に入る場合もありますので、場合によってはキャップの紐を軽~くストラップ等に巻くようにしておくのも手でしょう。

    展開時のレンズの繰り出し量は圧倒的にXFが少ないです。レンズ格納時のボディはGRの方がやや薄いのですが、繰り出した途端に逆転します。

レンズ繰り出し状態で比較。左:XF10・右:GRII

おやおや、XF10はレンズの繰り出しを忘れていたのかな・・・なんて事はなく、これでレンズ繰り出し状態なのです。

↑レンズ格納時です。

そして繰り出し時は・・・

わずかに繰り出すレンズ。ほぼ誤差の内?くらいの変化です。

  • 純正アクセサリ類

GRシリーズでは外付けファインダ、フード、コンバージョンレンズ等々のアクセサリが用意されていますが、XF10にはリモートケーブルがあるばかり。フィルターもフードも装着不可です。基本、ボディ本体のポテンシャルのみで撮影に臨むことになります。
ところで当然の事ではありますが、GRにファインダ、フード等々を装着すればそれなりに嵩張る事になります・・・ポケットに入る/ポケットに入れる、等の表現がなされるGRですが、これらのアクセサリを装着すると、もはや寸法的にはX100シリーズとの比較が適切になりそうです・・・X100シリーズの28mm版、出ないかな・・・


比較はこの辺にして、それではXF10の実写をば。

  • 周辺光量落ち

個人的には絞り開放付近での周辺光量落ちが好きなのですが、結論から云いますと、XF10の光量落ちはあまり目立ちません。

F2.8 1/5400Sec. ASTIA

絞った状態ですと・・・

F9   1/600Sec.

比べてみると開放では僅かに隅が仄暗いかな、と感じる程度。光量落ちに関しては優等生タイプのようです。ちなみに、XF10のメカニカルシャッターの上限速度は1/4000Sec.ですが、電子シャッターの利用/併用で上限を1/16000Sec.まで稼げます。

  • 耐逆光

殆どの場合は強い光源が画面に入ってもさほど気にならないのではないか、と思います。今回一番強烈な影響がでたのが下の画像です。

F5 1/400Sec. 1:1モード

レンズにはかなり意地悪な状況ですから、まぁ影響が出て当然です。

F8 1/1400Sec. モノクロ+Rフィルター 大さん橋の午後、逆光

ほぼ真逆光ですが、これだけ抜けが維持できていれば上出来ではないでしょうか。特にフードが着けられなくても良いかな、位の気にさせられます。

  • デジタルテレコンバーターと近接撮影
    単焦点一本勝負と云うものはストイックな面白みがありながら、「あ!今あのレンズが欲しい!」なんてシーンに出っ食わす事もしょっちゅうです。
    先述の通りアクセサリーとしてワイドコンバーターの類はありませんが、デジタルテレコンバーター機能で35mm/50mm換算の画角に切り替える事が出来ます。初期設定ではフォーカスリングのように見える「コントロールリング」を回す事で切り替えが可能です。電源を入れたままブラブラ歩いているうちにいつの間にやら切り替わっていた・・・なんて事もありますが、切り替え機能を他のボタンに割り振る事も可能です。

ノーマル状態(28mm相当)

デジタルテレコンバーター使用(35mm相当)

デジタルテレコンバーター使用(50mm相当)

取り敢えずあると便利なこの機能、実は近接時に使用すると大いに威力を発揮してくれます。

公称最短撮影距離は約10cmなので、28mm→35/50mmへの切り替えは侮れない接写能力を見せてくれます。

F2.8 1/60Sec. ノーマルでの近接

F2.8 1/280Sec.  28mmでグっと寄ってます。

ここでデジタルテレコン稼働、50mmへ切り替えますと・・・

F4 1/140Sec. デジタルテレコンで50mm相当。

風に花が揺れるわこちらは膝が笑うわで絞り開放に挑戦出来ず、F4で撮影しています。
これだけ寄れれば、まずは十分楽しめるでしょう。

  • フィルムシミュレーション
    既に何枚かモノクロ画像を載せていますが、XF10のモノクロモードには標準の他にもY・R・G各フィルター効果を反映したモードがあります(ACROSモードは非搭載)。
    グレインエフェクト等の粒状感演出もありませんが、フィルター効果と露出コントロール/シャドーコントロールでオーソドックスなモノクロ写真を仕立てるには十分なチカラがあると思います。
    F6.4 1/420Sec. Velvia

雲が多めの時間。普段はXシリーズを使う際はASTIAメインで使っていますが、発色が鈍くなりそうだったのでVelviaにて色調を強めにしてみました。


ざっとここまでXF10のあれこれを述べて参りましたが、使った印象として。比較的安めの価格設定ですが、画作りに関しては手抜きを感じる点はありません。各部のボタン配置を最初に見たときは「?」と感じましたが、実際使うにあたっては違和感無しで、よくまとまっていると思います。
強いて弱点を挙げるなら暗がりではAFが迷いがち、AFは決して爆速ではない、と云ったところでしょうか。

日常風景、スナップ等がメインの方で、単焦点レンズがお好きで、いつでも持ち歩けるカメラが欲しいとお考えの方に、一度ご検討いただきたいカメラでした。

富士フイルム XF10、ご用命はレモン社各店
又はナニワグループオンラインまでどうぞ。

レモン社横浜店 松浦

うっかりF2.8のままで撮りましたが、被写界深度に助けられました・・・