こんにちは。カメラ担当の池田です。
さて今回も新製品の使用レビューをお届けいたします。
今回ご紹介する商品は「XF16-80mmF4 R OIS WR」です。
このレンズはフジフイルムXシリーズユーザーの方にとっては、とても興味のあるレンズではないでしょうか。
実際に良く売れており、2019年10月現在では超品薄商品となっております。
売れてる理由は、単なるF4通しの標準ズームレンズではないと言うことです。
これからこのレンズの魅力を詳しくご紹介していきたいと思います。
主なスペック
- 35mm換算24mm~122mm相当の5倍ズームレンズ。
- 非球面レンズ4枚を含む12群16枚のレンズ構成で高画質を実現。
- ズーム全域で最短撮影距離0.35m。最大撮影倍率は0.25倍。
- 6段相当の手ブレ補正機能を搭載。
- 安心の防塵・防滴・-10℃の耐低温構造。
- 440gの小型軽量設計
以上が主なスペックで、上記の中で興味をひくのは最短撮影距離が短いことと、強力な手ブレ補正効果ではないでしょうか。
このあたりの性能を体感しながら撮影してきましたので、その作例をご覧いただければと思います。
今回はX-T3に装着して撮影しています。
※撮影データは、撮影モード・絞り値・シャッター速度・ISO感度・焦点距離・フイルムシュミレーションの順です。
作例
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絞り優先オート F6.4 1/2秒 ISO800 21mm プロビア
まずは手ブレ補正の効果をテストしてみました。
手ブレ補正効果6段というのは、レンズ単体では最強レベルの補正能力となっています。
テストの舞台は、夕暮れ時の門司港駅舎。
シャッタースピードを1/2秒にセットして、いざ手持ちで撮影。
結果は見事に止まってくれました。この場所で1/2秒前後のシャッタースピードで何カットも撮影しましたが、1枚も手ブレした写真はありませんでした。
試しにシャッタースピード1秒で撮影してみましたが、結果はほんの少しだけブレていました。でも、安定した姿勢で撮影できれば、手持ちで1秒も可能ではないかと思わせるほどの補正効果でした。
手ブレ補正が強力だと、ISO感度を極端に上げる必要はなく、高画質な写真を得ることができるメリットもあります。
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絞り優先オート F4 1/1800秒 ISO400 80mm プロビア
私がこのレンズの大きな魅力と思っているのは、接写能力がとてもに高いということです。
ズーム全域で最短撮影距離が0.35cmで、最大撮影倍率は0.25倍にもなります。もちろんマクロレンズほどではありませんが、上の写真のような小さな花でも、大きく写すことができます。
これだけ被写体に近寄ると、背景のボケも大きく出すことができます。
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絞り優先オート F4 1/60秒 ISO500 16mm プロビア
ズームレンズの広角側で気になる歪みを確認するため、JR九州の列車の側面を撮影してみました。
広角から中望遠までカバーする標準ズームレンズは、広角側では樽型の収差(歪み)が出ることが多いのですが、このレンズは5倍ズームで、しかもコンパクトでありながら、収差がかなり抑えられている印象です。
実際に写真を見ると、列車の横のラインがほぼ真っすぐに描写されており、厳しく言えばわずかに周辺部に歪みがあるものの、ズームレンズとしてはかなり優秀だと感じました。
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絞り優先オート F8 1/105秒 ISO400 16mm エテルナ
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絞り優先オート F4.5 1/150秒 ISO160 21mm プロビア
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絞り優先オート F8 1/12秒 ISO400 16mm プロビア
歪曲収差が少ないという事で、上の写真のように歪みがあれば目立つようなシーンでも、何も気にせず撮影することができます。
今回の門司港周辺での撮影では広角16mmを多く使用しましたが、すべて満足できる仕上がりでした。
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絞り優先オート F8 1/150秒 ISO160 68mm ベルビア
夕日に輝く関門橋。レンズの解像力を確認するには、最適な被写体です。
ここでは拡大した画像は載せませんが、パソコンで画像チェックをすると、関門橋の細部までしっかりと描写されていました。
今や当たり前の事かもしれませんが、解像力についても申し分ないと感じました。
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絞り優先オート F22 1/85秒 ISO400 16mm プロビア
逆光耐性はどうか。午後4時頃の太陽を入れて撮影。
結果、ゴーストが盛大に出てしまいました。門司港駅内にある「旅立ちの鐘」で、太陽を少し隠して光を弱めて撮影したのですが、ゴーストの量はとても多く発生してしまいました。
かなり意地悪なテスト撮影なので、参考程度にしておいてください。
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絞り優先オート F4.5 1/950秒 ISO160 16mm プロビア
場所を変えて、太陽を入れずに逆光で撮影。
このような撮り方では、わずかにフレアが見られますが気になるほどではなく、ヌケの良い画質をキープしています。
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絞り優先オート F8 1/950秒 ISO160 80mm ベルビア
日没30分くらい前の夕景。
初めは太陽を入れて撮影したのですが、光が強すぎて、太陽に露出を合わせると海の部分が真っ黒になってしまったので、太陽を入れずに海面の輝きが引き立つように撮影しました。
太陽を入れなかったとは言え、かなり強い逆光状態でこれだけ写れば十分だと思います。
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絞り優先オート F5 1/13秒 ISO400 47mm アクロス
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絞り優先オート F4 1/90秒 ISO1600 61mm プロビア
F4通しのズームレンズという事と、接写能力が高いという事で気になってくるのがボケ味です。
接写が出来てもボケ味が悪ければ、そのレンズの評価は下がってしまいます。
上の写真を含め、色んなシーンでボケを確認しましたが、ズームレンズとは思えないくらい、とても滑らかでキレイなボケを得ることができました。
画像周辺ではわずかに口径食と言われるラグビーボール状になるボケが見えますが、単焦点レンズでも発生するボケですので、気にすることはないでしょう。
まとめ
フジXシリーズユーザーである私。このレンズの発売が発表された時からとても気になっていました。その理由は上にも書きましたように、高い接写能力と手ブレ補正機能です。
そしてもうひとつ!私には気になる理由があったのです。
私が標準レンズとして使用しているのは「XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR」で、このレンズとどれくらい違うのだろうかという事です。
描写性能はもちろんのこと、望遠側は弱くなるものの、広角側が16mmと広くなる分、使い勝手は良くなるのでないだろうか?などなど、色んな事を試してみたかったのです。
実際に使用してみて、手ブレ補正の効果と接写能力に関しては文句なしでした。大切な描写性能についても、十分に満足できる力を持っており、広角で気になる歪曲収差も少なく、「XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR」より歪みが小さいように感じました。
16mmという画角も使用頻度が高く、18mmとはわずか2mmの差ですが、広角側の2mmは大きいと改めて感じました。
そして440gの小型軽量というのも、撮影に出かける上ではとても重要な要素です。16mmからのズームレンズですと、「XF16-55/2.8 R LM WR」という大口径の標準ズームレンズもありますが、このレンズは655gと重量感たっぷりで、私が所有している「XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR」でも490gあります。
「XF16-80mmF4 R OIS WR」はF4通しでありながら、いかに小型軽量であるかが良くわかるかと思います。
希望小売価格は税別105,000円と安くはありませんが、性能を考えるとかなりお得な価格設定です。
これからXシリーズの購入を検討の方には、特にオススメしたい標準ズームレンズです。
また、私を含めXF18-135のレンズをお持ちの方は、買い替えを検討しても良いレンズかも・・・(笑)
この記事に関するお問い合わせは・・・カメラ担当 池田まで