ニコン D780 使用レビュー

こんにちは。カメラ担当の池田です。

さて今回は、ニコンの新製品D780の使用レビューをお届けいたします。

ニコンD780は2014年9月に発売されたD750の後継機種として、2020年1月24日に発売されました。D750の発売からもう5年以上の月日が経っていたんですね。

現在の位置づけとしましては、D850の弟のような存在で、フルサイズ一眼レフの中級機ということになります。

ミラーレス一眼が普及し、一眼レフのシェアが下がる中、機能を大幅に進化させて市場に投入してきました。

今回はそんなD780の魅力をご紹介したいと思います。

作例はすべてD780にAF-S24-70/2.8E ED VRを装着して撮影したものです。


スペック

まずは前モデルのD750と主なスペック比較をしてみましょう。

D780 D750
画素数 2450万画素 2432万画素
画像処理エンジン EXPEED6 EXPEED4
ライブビュー時AF 像面位相差とコントラストのハイブリッドAF

コントラストAF

低照度時AF性能 -7EV(ローライトAF時) -3EV
常用ISO感度 ISO100-51200 ISO100-12800
連写 約7コマ/秒 約6.5コマ/秒
動画 4K UHD フル HD
バッテリー寿命 約2,260枚 約1230枚

画像処理エンジンがEXPEED4からEXPEED6に2世代進化していることで、高感度性能は一気にアップしています。

進化点が多い中、一番注目すべき点はライブビュー時のオートフォーカス性能の向上にあると思います。

D750はコントラストAFのためピント合わせが遅く、せっかくのチルト式液晶を上手く活用できない事も多かったと思います。

D780ではミラーレス一眼でも採用されている像面位相差とコントラストを自動的に切り変えるハイブリッドAFとなっており、ライブビュー撮影が飛躍的に快適になりました。

そしてバッテリーの持ちもD750と比較しますと約2倍になっています。

ミラーレス一眼はバッテリー寿命が短いものが多く、現在のミラーレス一眼の弱点と言っても過言ではありません。

そこはやはり一眼レフ。驚異のバッテリー寿命を実現しています。


新機能(D750と比較して)

①瞳AF

今、流行りの瞳AF。各社とも瞳AFには注力されています。もちろんD780にも搭載されています。

瞳AFが使用できるのは、ライブビューのオートエリアAF時ということで、ファインダー撮影時は瞳検出はしてくれませんのでご注意ください。


②画像編集機能に比較明(暗)合成が追加

これまた流行りの比較明(暗)合成。撮影時にも設定できますが、撮影後に画像編集メニューより比較明(暗)合成が可能になりました。


③サイレント撮影

サイレント撮影はライブビュー撮影時に限られますが、シャッター音が気になるようなシーンでも無音撮影が可能になっています。

サイレント撮影時は電子シャッターとなるため、ミラーショックもなくメカシャッター機構部も動きませんので、ブレが気になる風景写真にも最適です。

また、サイレント撮影でのAF・AE追従で約12コマ/秒の撮影も可能です。


以上までが機能に関するご紹介でした。



ここからはD780で撮影した写真をご覧いただければと思いますが……。

その前に1点だけ操作において注意するべき事がありますのでご紹介しておきます。

機能のご紹介のところで、D780の進化点で一番注目すべき点はライブビュー撮影時のAFが速くて快適になった事と書きました。

ライブビュー撮影のメリットの1つに、露出やホワイトバランスなどを確認しながら撮影できることがあります。

しかし、ニコンD780の初期設定では、露出等が液晶の撮影画面に反映されない設定になっていますので、下記のように変更してからご使用ください。

カスタムメニューのd9・露出プレビュー(LV)を選択します。初期設定ではご覧のようにOFFになっています。

露出プレビューを選択したら、「しない」を「する」に変更します。

こうする事で、ライブビュー撮影時に露出やホワイトバランスなどを液晶画面に反映して撮影することができます。


作例

絞り優先オート F8 1/160秒 ISO100

フルサイズ一眼とうことで、やはり風景写真が撮りたくなります。

上の写真は霧の中撮影した長野県北八ヶ岳の坪庭で撮影した写真です。本当ならば快晴のもと、白と青空のコントラストを撮りたかったのですが、当日は生憎の天気でした。

せっかくなのでライブビューで撮影しようと思ったのですが、霧と周りの雪の影響で液晶が見にくくファインダーで撮影しました。

個人的には久しぶりの光学ファインダーでの撮影で、最初は戸惑いもありましたが、撮影しているうちに昔の勘を取り戻し、レンズを通して入ってくる光を見れる光学ファインダーは見やすくて良いもんだと感じました。

また、D780のファインダーは視野率100%なので、風景写真など繊細なフレーミングが必要なシーンに最適です。

絞り優先オート F2.8 1/3200秒 ISO100

この写真も北八ヶ岳での1枚です。

凍てつく樹木を主役に、背景を少しボカしてみました。

今回使用したAF-S 24-70/2.8E VRというレンズのおかげでもあるのですが、70mm側でF2.8にする事でこれだけのボケ量を出すことができます。

フルサイズで70mmということは、APS-C機では46mm、マイクロフォーサーズ機では35mmのレンズを使用するすることで同じ画角を得ることができますが、ボケ量はフルサイズに軍配が上がります。

フルサイズ機は少し大きく重たくなりますが、写真表現の幅が広がるのです。

絞り優先オート F6.3 1/320秒 ISO400

場所が変わって、大阪住吉神社での1枚です。

ここでは、ローアングルでのライブビュー撮影を楽しみました。参道でカメラを構え、「ちん電」こと阪堺電車が来るのを待って撮りました。

チルト式液晶ですので、これだけのローアングルでも身体に負担がかかる事はなく、またタッチパネル液晶ですのでピント位置をワンタッチで設定でき、快適に撮影が行えました。

また像面位相差AFになったことで、オートフォーカスが速くなりミラーレス一眼で撮影しているような感覚で、まったくストレスを感じることはありません。

絞り優先オート F5.6 1/160秒 ISO400

駅舎にあった何だかレトロ感のある時計を主役に、ちん電を脇役にして撮影してみました。

これもライブビューで撮影しています。と言うのも、この時計と電車の構図のバランスを考えると身長165cmの私の目線では無理がありますので、ライブビューにして腕を上に伸ばして撮影しています。

ライブビューでないと撮影できない1枚でした。

また、連写性能もD750からわずかに進化して、秒間7コマの撮影が可能になりました。

連写性能は動く被写体を撮影する上では大切な要素ですので、わずかな進化でも嬉しいものです。


絞り優先オート F4.5 1/800秒 ISO400

ちん電をモノクロで撮影。レトロな駅舎にはモノクロが似合います。

これもライブビューで撮影しています。

撮影前にピクチャーコントロールでモノクロ設定にして、このシーンにはどのイメージの色合いが似合うのか微調整して撮影しています。

RAW記録をしておけば、あとでカメラ内RAW現像やパソコンを使用してのRAW現像もできますが、撮影する時にできる限り仕上がりのイメージを持って撮影しておきたいですね。

絞り優先オート F8 1/250秒 ISO400

あべのハルカス。

西日を浴びたビルと空がキレイだったので撮った1枚です。

このような被写体を撮影すると、カメラやレンズの描写性能が良くわかります。窓の部分のディテールが解像感抜群に描写されています。

レンズ性能による部分も大きいとは思いますが、さすがはフルサイズ機と言ったところでしょうか。

絞り優先オート F8 1/160秒 ISO3200

ISO3200での撮影。

映像エンジンが2世代新しいものになったことで、高感度性能は抜群に良くなっています。ISO3200で撮影した写真ではノイズはほとんど感じられません。

さすが、最新の映像エンジン。ISO3200は何の躊躇いもなく使用できる感度です。

絞り優先オート F8 1/30秒 ISO6400

ISO6400で撮影。

D780の常用ISO感度の上限はISO51200で、感度拡張でISO204800まで上げることができます。そんな高感度性能ですのでISO6400も問題なく使えるレベルの描写となっています。

APS-C機やマイクロフォーサーズ機の高感度性能も進化していますが、やはりフルサイズの高感度性能は違います。余裕を感じます。

絞り優先オート F16 1/60秒 ISO400

逆光でちん電を撮影。

使用したレンズが逆光に強いナノクリスタルコーティングという事もあり、発生したゴーストはわずかです。ナノクリレンズが使用できるのも、ニコンの魅力の1つかも知れません。

そしてもう1つ注目いただきたいのが、逆光状態の中、大幅な露出補正をしていないにもかかわらず、電車が暗くなることなくしっかりと描写されています。

これは新しく搭載された180KピクセルRGBセンサーによるものが大きいのか、シーン認識性能が上がり、それに加えアクティブDライティングが効いて階調豊かな描写を得ることが出来ました。

絞り優先オート F4 1/3200秒 ISO400

絞り優先オート F4.5 1/400秒 ISO400

最後の2枚はホワイトバランスとピクチャーコントロール(仕上がり設定)を調整して、某有名鉄道写真家さんのように「ゆる鉄」風に撮ってみました。

下の写真は、急に現れた猫。光学ファインダーのおかげで、起動時間のタイムラグを気にせず撮影することができました。

光学ファインダーは電源を切ってもファインダーを覗くことができますが、ミラーレス一眼は真っ暗になってしまいます。

突然現れた絶好のシーンを撮影する場合、対応しやすいのは一眼レフなのかもしれませんね。


まとめ

D780は世間で一眼レフとミラーレス一眼の良さを合わせ持つハイブリッド一眼と言われているように、ライブビュー時のAFスピードが大幅な向上し、撮影が快適になったのは大きな事だと思います。

ミラーレス一眼もどんどん進化し、動く被写体に弱いという弱点を克服してきた機種もありますが、それでも光学ファインダーには勝てないところはあります。

風景や花の写真だけでなく、鉄道や飛行機などの動く被写体なども撮影する方にピッタリのカメラではないでしょうか。

もちろんミラーレス一眼でも動きものもを撮影することが出来ますが、他機種を圧倒するバッテリー寿命は、連写することの多い被写体を撮影する場合には大きなアドバンテージとなります。

D780はあらゆるシーンに対応できる素晴らしい1台と言えます。

ミラーレス時代に突入していますが、とっても気になる1台です。


この記事に関するお問い合わせは・・・カメラ担当 池田まで