カメラ今昔物語
こんにちは心斎橋買取センターの たつみ です。
今回は、キヤノンの最高峰AF一眼レフEOS-1にまつわるお話です。
新時代のプロ用モデル
2020年も早いもので既に2か月が過ぎようとしています。
ご承知の通り今夏にはオリンピックが東京で開催されます。
晴れの舞台において各選手が最高のパフォーマンスを見せてくる事を期待する
ばかりです。そしてこの4年に1度の貴重な機会はカメラメーカーにおいても
その技術力をお披露目する恰好の舞台となってきました。
先日には業界の雄 キヤノンから新型最高級機種 『EOS-1Dx MarkⅢ』が発売と
なりました。
フラッグシップを意味する『EOS-1』も代々受け継がれ本モデルで実に15代目。
(あくまでも筆者数え。。)
イメージ的には足利さんや徳川さんに匹敵するような長期政権!
まさにカメラ界の征夷大将軍。このモデルも大活躍する事間違いなしでしょう。
さてさて話しはここからが本題。。
キヤノンはAF初号機 EOS650発売から2年半は本格的なオートフォーカス時代に
向けてミドル機及び普及機を効率的にラインナップし足場を固める念の入れ様。
ライバル社ニコンがオリンピックに合わせるかのように88年にF4を発売しても
大本命プロ用EOSは発売されません。。
(一部で試作機がテストされたようですが)
キヤノンお得意の放置プレーか?(失礼。。) と歯ぎしりするプロカメラ達。
そんなギリギリする時間の中、しかし水面下では熟成が続けらます。
それはあたかも新時代の『1』は圧倒的な存在でないといけない想いとプライド。
そしてようやく待望のプロ用AF機 初代『EOS-1』が発売されましたのが遡ること
31年前の1989年9月の事でした。
桁違いのプロ用EOSの実力
絶好のお披露目の機会にもなるオリンピックでの登場を諦めてまでも仕上げに
仕上げたEOS-1はそれまでのどれとも違う機種として脚光を浴びます。
まずその外観。
AF参入を遅らせてまで世に放ったT90を彷彿とさせる曲線デザインは、ドイツの
工業デザイナー『ルイジ・コラーニ』氏のアイデアによるもの。
90年代半ばまで熾烈な競争を繰り広げる事になるニコンF4とはまったく異なる
コンセプト。片や前時代からの操作性を踏襲した機種に対し、EOS-1は全て
ボタンと電子ダイヤルによる操作に集約化しする事でシンプルな装いを実現。
当初は面を食らっていたプロ達からも徐々に多いなる支持を集めます。
その時に初めて登場した装置が裏蓋に備え付けられたサブ電子ダイヤル。
様々な機能をコントロールできるようししたこの『発明』は以降EOSシリーズ
の隠れた代名詞となっていきます。
次にプロ達を唸らせたのが測距方式。
それまでのAF機は左右の像のズレを検出して測距する方式で横ライン状の
被写体はすごく苦手で時には使い物にならない始末。
そこでEOS-1には縦・横ラインに対応できるクロスセンサーを初めて導入。
AFは役立たずと揶揄していた人達を黙らせます。
また報道の現場においては連写スピードが左右されます。
それも怠る事なく対応します。
T90で培った複数モーター制を採用。基本ボディは2モーターとし、秒間最高
で2.5コマを実現。さらに底部にドライブブースターを装着することで5.5コマ
にスピードUP!(商品名はEOS-1 HSとして発売)
さらにさらに世の中をビックリさせたの本体189,000円というその価格!
(なんとニコンF4との値差、約4万円安!)
ここまでの装備と価格に文句を言うプロ達はいなくなり名実ともに1番の機種
に成り上がっていく事になります。
最後に
他社の追随を許す事なく誕生したEOS-1はその後も進化を続けます。
初代発売から5年後にはEOS-1Nとしてフルモデルチェンジを敢行!
ペンタ部が高くなりよりスマートになったこの2代目は恐ろしい進化を見せます。
測距点は1点から5点にスペックUPされさらにAF精度を強化。
要望の多かった作動の静音化と防滴性の向上を実施しプロ達の要求に応えます
また派生モデルとしてペリクルミラーを装備したEOS-1RSを加えて充実を図ります。
これでEOS-1は完成したとまで言われましたが、さらにその6年後の2000年には
シリーズ最強と言われる事になる EOS-1Vを投入。
測距点は実に45点に大増強。またボディは金属加工と防滴性をさらに上げて
過酷な撮影シーンにも対応。ついにはHS仕様で秒間10コマ連写を達成するなど
究極的進化を果たします。
その後時代はデジタルに移り、それとともにEOS-1 もデジタル化され今に至る
事になるのでした。