Summicron M 50/2 4th 使用レビュー

こんにちは、カメラのナニワ西梅田店のスタッフSです。
今回の商品レビューはLeica Summicron M 50/2 4th モデルです。
いわゆる現行のM型ズミクロン50です。新品でも中古でも手に入りやすい個体
じゃないかなと思います。
調べて気づいたんですが1994年発売のレンズ。まだまだフィルムカメラが
バリバリ元気だった頃に発売され始めた時に販売開始されたとこのブログ
を書いている時に判明して「えぇ...ヤバ...」と声が漏れました。
フード組み込み式なのでにゅいーんとフードが伸びます。賛否両論分かれますが
僕は前のモデルの取り付け型の方よりこっちのほうが好みです。
6bitコードが搭載されているので純正カメラで撮影するとメタデータが保存されます。
絞りはF2~F16まで。F16に絞ると円形状に近い形になり、それ以外は手裏剣状。
最短撮影距離は70cmです。長い前置きはこれくらいにして作例に行きましょう。
(クリックすると原寸大の画像が表示されます。)

F9.5/SS 1/90秒/ISO 200

F5.6/SS 1/180秒/ISO 200

もう1発目からトンデモ解像をしてしまってあんぐりしてしまいました。
木も標識の金属感と塗装された感じといい窓越しのカーテンの「布」とわかる感じ。
どの部分も”これはこういう素材”というのがはっきりわかります。
2枚目の写真は奥の横断歩道渡ってる途中の人にピントを合わせたつもり。
年末の朝の銀座だったので交通量が少なく、排気ガスで曇ってなかったので非常に
ヌケのいい感じに撮れました。ヌケが良いと空気感も表現してくれるからすごい。
奥にピント合わせたのに手前のアスファルトも解像しています。

F3.4/SS 1/60秒/ISO 200

ガラス越しに撮った革靴です。奥に歩いている人が反射しているのでわかると思い
ますが、ショーケースに入った革靴ですね。ガラス1枚間に挟んでいるのにハッキリ
写っています。ちょっと絞っただけなのに”この素材”ってわかるの凄いなぁ...
ボケも自然で雰囲気を出してくれていい感じです。

F4/SS 1/1000秒/ISO 200

F2.4/SS 1/90秒/ISO 200

なんとなく撮った標識もなんかかっこよくなる。金属感が増すからですかね...?
というか4つの標識が1つにまとめて立ってるの大阪で見ない気がする。多分。
青色の菊を見るのが初めてでこんな菊があるんだなーって思って撮った1枚。
スプレー菊っていうらしいです。この2枚撮って思ったのは青色の自然な出方と
背景のボケが自然で気持ち良いです。

F5.6/SS 1/60秒/ISO 800

F2/SS 1/60秒/ISO 800

F2.4/SS 1/45秒/ISO 800

 

オブジェとか照明機器、そういうものもふと目に留まっていざ撮るとなんか違う風に
見える気がします。なんかこう...シュっとする?

F2/SS 1/350秒 ISO 400

F2/SS 1/750秒/ISO 400

開放で撮った2枚。撮って気づいたことは開放だとピント面が薄いことです。
1枚目の自分が歩いてる所をふと靴にピントを合わせたのですが、その後ろの地面が
ボケているのがわかります。2枚目の枯れた紫陽花...で合ってるのかな(自信がない)
の花びらにピントを合わせていますが手前以外はもうポワポワのトロトロです。


F8/SS 1/500秒/ISO 400

F3.4/SS 1/4000秒/ISO 400

逆光状態での写真。
ゴーストも出ていませんしフレアも多少ありますが穏やかな感じ。
葉脈も枝もしっかり描写しています。

F4/SS 1/4000秒ISO 400


収差もこれといってなく、葉っぱ1枚1枚解像しており上の石のマテリアル感も見事に
表現していてくれて凄いと思いました。あんなに小さいのにすんごい写る。

F4/SS 1/4000秒/ISO 400

上の葉っぱの集合体の写真はこの写真に含まれて居ます。駅への入り口の壁ですね。
東京は大阪より自然が多い印象がありました。歩いていて気持ちよかったです。
信号にピントを合わせています。LEDのドットも解像していています。

F2.8/SS 1/125秒/ISO 200

12/31、大晦日の朝7時の東京駅周辺の写真です。朝日が強烈にフレアを起こしていて
奥側が白とびしていたのでRAWでハイライト処理だけしています。
F2.8なのにぱっと見隅々まで解像しているかのような描写で驚きました。
このレンズ、1994年製とはまったく思えない描写です。


使ってみた感想ですがコーティングが素晴らしく逆光が厳しくてもフレアやゴースト
を押さえ込んでいてくれているので編集でなんとかできるような写真が撮れやすかっ
たりF2のピントは薄いとはいえその描写は味があり、絞りリングを1段階回すだけで
また違う描写を見せてくれるとんでもないレンズだと感じました。
撮った写真も解像度が高いのでピントが合っていなくても合っているように見えたり
よく見たら若干ピントが外れていることに気づいたりと撮った写真をじっくりと時間
をかけて眺める楽しみも味あわせてくれる描写をしていると感じました。
色の出方もこれといってどの色が綺麗に出やすいとかではなく、どれも自然な感じに
発色しているので非球面も使っていない球面レンズのみの設計なのに凄い....
(そもそも18年前のレンズなのにこれだけ描写しているのがとんでもないと思います)
MFの良さをしっかりと生かしている老舗ならではの味わいがあり、写真を撮る楽し
さを思い出させて初心に戻らせてくれるレンズだと感じました。
とにかく使っていて楽しいレンズです。