こんにちは。 カメラ担当の池田です。
さて今回は、フジフイルムの新製品「X100V」の使用レビューをお届けいたします。
X100VはX100Fの後継機種として、2020年2月27日にまずはシルバー色から発売されました。 ※ブラックは2020年3月12日発売。
X100VはX100シリーズの5代目の機種で、今回はデザインや素材も変更され、またレンズも新設計のものとなり登場してきました。
そんなX100Vの魅力をお伝えしたいと思います。
外観
まずは外観から見ていきましょう。
ボディはアルミ外装になり、高級感たっぷりの仕上がり。エッジの効いたデザインがカメラ好きの心をくすぐります。
前モデルのX100FとX100Vを並べてみました。
右がX100Fで左がX100Vです。
好みはあると思いますが、やっぱりX100Vのデザインはかっこいい。
カメラマンの憧れ、ライカに見えなくもない・・・。「持ちたい」「持ち歩きたい」そんな気持ちにさせてくれる1台ではないでしょうか。
重量は約469gと軽量で、いつでも持ち歩けるカメラです。
液晶はチルト式を採用。X100シリーズでは初となります。
そしてここにもこだわりが!
液晶の超薄型設計により、収納時もフルフラットとなり、美しいデザインをキープしています。
しかしその反面、液晶が若干動かしにくいと感じました。
液晶はもちろんのことタッチパネルで、ドット数も約162万ドット(X100Fは約104万ドット)に向上しており見やすくなりました。
ファインダーはX100シリーズの特長でもある、電子ビューファインダーと光学ファインダーの切り替えができるハイブリッドファインダーを搭載。
電子ビューファインダーもX100Fより進化して、ドット数は約236万ドットから約369万ドットになり、ミラーレス一眼のX-T3やX-PROと同等の高精細で見やすいファインダーとなっています。
主なスペック
- 2610万画素 APS-Cサイズセンサー
- ミラーレス一眼のフラッグシップ機と同じ、X-TRANS CMOS4センサー&X-Processor4を搭載
- 新設計の23mmF2(35mm換算35mm相当)レンズを搭載。歪曲収差や球面収差を低減
- 最短撮影距離10cmの高い近接撮影能力
- X100シリーズ初のフィルムシュミレーション「クラシックネガ」、「エテルナ」を追加
- 暗所でのAF性能が向上し、低輝度限界EV-5を実現
- 青色に深みをつける「カラークローム ブルー」機能を搭載
- モノクロ撮影が楽しくなる「モノクローム カラー」機能を搭載
- レンズに絞り値4段相当のNDフィルターを内蔵
以上が主なスペックとなります。
ここからは撮影した写真とともに、X100Vの魅力をご紹介していきます。
作例
描写力を確認するために、大阪駅で撮影した1枚です。
X100Vのレンズは、X100シリーズ初のフルモデルチェンジとなり、解像度だけでなく歪曲収差などが抑えられています。
上の写真は開放のF2で撮影していますが、開放とは思えないほどの解像感で、細部までしっかり描写されています。さらに絞ることで解像感は増します。
開放からシャープな画像が得られるという事は、暗いシーンなどシャッター速度が遅くなるような状況で、その恩恵を感じることができるでしょう。
京都の伏見で撮影した1枚です。
ここでご覧いただきたいのが、歪曲収差がとても少ないことです。
違う場所でも収差を見るために撮影しましたが、さすが単焦点レンズ。わずかに糸巻き型の収差が見られるだけで、普段の撮影ではまったく気になる事はないでしょう。
X100Fは非球面レンズが1枚でしたが、X100Vでは非球面レンズが2枚になりました。画質だけでなく収差もかなり低減されています。
少し意地悪な逆光テスト。
太陽を思いっきり画面の中に入れて撮影してみました。
結果として、光の強い太陽付近と画面右上にゴーストが出ています。しかし、これだけの逆光状態でありながら大きなフレアはなく、写真はヌケの良い仕上がりとなっています。
逆光耐性も良いと思います。
伏見稲荷の千本鳥居です。
この日は天候が急変し、晴天から曇天、最終的には土砂降りの雨。
この写真は曇天の中、ISO3200という高感度で撮影していますが、センサーと画像処理エンジンが新しくなったことで、ノイズも少なく画質の劣化は見られません。
スナップを得意とするカメラとしては、高感度が気にせず使えるのはありがたいことです。
これも伏見稲荷にて撮影。
レンズは23mmF2と広角ですが、最短撮影距離が10cmということで、被写体に近づくことで背景を大きくボカすことができます。
そのボケ味も滑らかにボケていく感じで、好感の持てる仕上がりとなりました。
雨の中、撮影した梅。
花びらに水滴がついてキレイでした。
上でも書いたように最短撮影距離が10cmと短いので、花に近寄り大きく写すことも可能です。
また、背景の白い部分のボケは円形となっており、ボケ味に関しては申し分ないと思います。
フィルムシミュレーションも拡充されています。
ミレーレス一眼X-PRO3に新搭載された「クラシックネガ」がX100Vにも搭載されてました。
この写真はその「クラシックネガ」で撮影しています。カラーネガフイルムの仕上がりをイメージした、落ち着いた何とも言えないこの雰囲気。クセになりそうな発色。
各メーカー、色んな仕上がり設定がありますが、この色味はフジフイルムだけではないでしょうか。
もちろん画像処理をすれば、これに似たような色調にすることは可能でしょうが、撮影する時にこのイメージを確認しながら撮れるのは良いものです。
これもX100シリーズ初搭載となったフイルムシュミレーション「エテルナ」で撮影。
「エテルナ」はX-H1で初搭載され、その独特のやわらかい表現が人気になっていました。
今回はスイーツの写真を、やわらかく表現するため「エテルナ」で撮影してみました。
もともとは動画用として搭載された「エテルナ」ですが、シーンによっては静止画でもその魅力を発揮してくれます。
カラーだけでなく、モノクロ表現も幅が広がりました。
フイルムシュミレーションを「モノクロ」「アクロス」に設定すると、カラーフィルターをかけたような写真を楽しむことができます。
上の2枚は同じ画像をカメラ内RAW現像で、正反対の色味に仕上げてみました。このように撮影シーンに応じて、色調を微調整しながら撮影するのも楽しいものです。
X100Vではチルト式液晶が採用されており、この写真のようにローアングルで撮影するのも快適になりました。
液晶のドット数も上がり見やすくなり、チルト式液晶が活躍する場面も増えそうです。
この写真のフイルムシュミレーションは、私の大好きな「クラシッククローム」です。古い町並みには「クラシッククローム」が良く似合います。
上りエスカレーターに乗りながら、低速シャッターで撮影した1枚です。
「なんで手ブレ補正機能がついていないんだろう?」と思う方も多いでしょう。私もその中のひとりです。
でも、手ブレ補正機能が付いていなくても、1/15秒や1/8秒くらいまでなら、何とか止まります。ホールディング性に優れているので、意外とブレません。
まとめ
カメラは写真を撮るための道具ではあるものの、X100Vは道具であると同時に、「持つ喜び」、「撮る愉しみ」を味あわせてくれる1台です。
私はこのカメラの作例を撮っている時は、お気に入りのストラップを付けて、ずっと首からぶら下げて、気になるものがあればパシャパシャ撮ってました。
オートフォーカス性能もミラーレス一眼のフラッグシップ機と同レベルですので、瞬時にピントを合わせてくれ、そのピント精度も高く、スナップカメラとして最高のカメラです。
また、フィルムシュミレーションが増えたことで写真表現も広がり、ますますフジのカメラで撮影するのが楽しくなりました。
ズームレンズが主流の今、35mm相当の単焦点レンズで撮影するというのも新鮮で、カメラ・写真の原点に戻った感覚になり、それがまた楽しく感じます。
伏見稲荷では途中、雨に降られるも防塵防滴仕様(正確には、アダプターリングとプロテクトフィルターを装着した場合)の為、安心して使用することができました。
画質、デザイン、速写性に優れたX100V。
色んなジャンルで使えますが、やはりスナップカメラとしてオススメしたい1台です。
この記事に関するお問い合わせは・・・カメラ担当 池田まで