こんにちは。カメラ担当の池田です。
春は新製品の発売ラッシュで、使用レビュー用の作例撮影のため、ここ最近は忙しい休日を過ごしています(笑)
さて今回も、新製品レビューをお届けいたします。
ご紹介する商品は、2020年3月27日発売のオリンパスの新製品レンズ「M.ZUIKO.DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」です。
描写力と防塵防滴仕様の信頼性に定評のあるPROレンズに、携帯性に優れたレンズが仲間入りしました。
高画質な撮影を軽快に。
究極の小型軽量を実現した高性能・標準ズームレンズ。
傑出した光学性能と防塵・防滴性を持つオリンパスの最高峰レンズM.ZUIKO PROシリーズに、小型軽量化を徹底追求した新しい標準ズームレンズM.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROが誕生しました。開放F値固定の標準ズームレンズとして世界最小最軽量[*]を達成しながらも、妥協のない光学設計によってズーム全域でシャープな画質を実現。どこにでも持ち運べて高画質に撮影できるマイクロフォーサーズシステムの魅力を存分に味わえる“究極の”小型軽量高性能レンズです。
(OMデジタルソリューションズ公式ホームページより引用)
早速ですが、スペックを見ていきましょう。
スペック
- 35mm換算24-90mm相当のF4固定のズームレンズ
- 重さ、わずか254gの小型軽量設計
- スーパーHRレンズやDSAレンズなどの特殊レンズを贅沢に使用したレンズ構成
- 防塵・防滴・耐低温性能
- ズーム全域で最大撮影倍率0.5倍(35mm換算)を実現
主な特長は以上になります。
その中でも一番の魅力は、小型軽量254gという点ではないでしょうか。
今まで、このレンズとよく似た焦点距離のズームレンズと言えば、「M.ZUIKO.DIGITAL 12-40mm F2.8 PRO」で、重さは382gありました。
右が「M.ZUIKO.DIGITAL 12-40mm F2.8 PRO」、左が「M.ZUIKO.DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」。
開放絞りがF2.8とF4の違いありますが、ここまでコンパクトに仕上げてきたオリンパスさんに大きな拍手を送りたいと思います。
質感は悪くはないんですが、小型軽量設計のためか若干チープ感を感じます。あくまでも個人的な意見ですが……。
また、これまで発売されたPROレンズと違う点があり、ワンタッチでマニュアルフォーカスに切り替えができる「MFクラッチ」がついていないことです。
オートフォーカスがメインの人はまったく関係のない機能ですが、マニュアルフォーカスの切り替えをよくする方にとっては少し残念な事かもしれません。ボディ側での操作が必要となります。
大幅な小型化に成功した「M.ZUIKO.DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」。果たして描写力はどうか。
ここからは作例とともに、その実力をご覧いただければと思います。
作例
和歌山県白崎海岸にて。
1枚目が開放F4で撮影、2枚目が開放から2段絞ったF8で撮影した写真です。
焦点距離は広角側12mmです。
この写真サイズでは解像感を確認しにくいのですが、F4の開放でもシャープな画像を得ることができ、F8で撮影した画像と解像度は変わらないレベルです。
しかし、F4ではわずかに周辺光量落ちが見られ、F8に絞ることで周辺光量落ちはなくなりました。
この作例写真のように、青空などが入るシーンでの撮影では開放で撮影するより、少し絞って撮影したほうが良いでしょう。
もう1点見ていただきたいのが、水平線の歪みです。ズームレンズだとどうしても歪みが出てしまうもので、特に広角側で目立つことが多いのが普通です。
このレンズもやはり樽型収差が見られますが、ズームレンズとしてはかなり優秀で、じっくり見ないとわからないレベルとなっています。
この写真は望遠側45mm、開放F4で撮影した画像です。
広角側と同様に、開放F値での撮影でありながらシャープで解像感の高い画像が得られます。
広角側では少し目立った周辺光量落ちも気にならなくなっています。
白崎海洋公園にて。
開放から高解像の画質は得られますが、天気の良い日中ということでF8で撮影。
白い石灰岩のゴツゴツとした質感がキレイに描写されています。カメラの性能による部分もありますが、ハイライトからシャドーまで潰れることな階調が再現されています。
白崎海洋公園にて。半逆光での撮影。
この写真は13mmで撮影していますが、水平線は歪むことなく真っすぐに写っています。
半島や島で水平線がわかりにくいというのもありますが、少しテレ側にするだけで歪みがなくなるように感じます。
レンズの性能とは違いますが、この写真を普通に絞り優先オートで撮ると、半逆光ですので手前の岩は黒く沈んだ写真になります。そこで、カメラにある暗部補正機能を使用して、少しだけ暗部の階調を出るように設定し撮影しています。
その効果もあって、爽やかな海の風景に仕上げることが出来ました。
白崎海洋公園にて。無理やり逆光テスト(笑)
白崎海岸の石灰岩をシルエットに太陽を入れて撮影してみました。
少しのゴーストは出るものの、かなり優秀な結果となりました。朝日や夕日の撮影はもちろんの事、花や人物撮影など逆光で撮ることが多いシーンでも安心して使えます。
白崎海岸にて。
この日は少し波があり、岩に波が当たり砕け散るシーンに遭遇しました。
波の飛沫が自分にかかるか、かからないポジションで波を待って撮影しています。しかし波の大きさは様々で、撮影中何度も飛沫が身体やカメラ・レンズにかかりました。
このような撮影場所では、本当に防滴仕様というのが心強いのです。防滴仕様のカメラ・レンズでなければ、ここまで海に寄って撮影することはなかったでしょう。
オリンパスの防塵・防滴性能はプロからの信頼も厚く、天候に左右されるネイチャー撮影では本当に助かります。
京都市伏見区にて。このレンズの魅力のひとつに、高い近接能力があります。
ズーム全域で最大撮影倍率0.5倍(35mm換算)を実現しており、広角側12mmでの最短撮影距離は12cm、望遠側は23cmとなっています。
上の2枚の写真は同じ土筆で、1枚目は12mmで、2枚目は45mmで撮影しています。
1枚目の12mmの写真は、背景とのバランスから最短撮影距離まで近寄って撮影はしていません。広角で接近して撮影する事で、この土筆がどんな所に生えているのかを表現できます。
2枚目の45mmでの写真は、ほぼ最短撮影距離付近で撮影しており、小さな土筆をこれだけ大きく写すことができます。
ピント面は実にシャープで、最短撮影距離が短いことで背景のボケも大きく、まるでマクロレンズで撮影したかのような写真になりました。
その他の作例
まとめ
結論から言いますと、小型軽量設計でありながら描写力が素晴らしく、PROレンズの名に恥じない1本に仕上がっています。
写りに定評のある「M.ZUIKO.DIGITAL 12-40mm F2.8 PRO」で使用されている特殊レンズが効果的に配置されているので、その結果素晴らしい解像力の高い描写につながっているのでしょう。
また、近接撮影能力も秀逸で、ズーム全域で最大撮影倍率0.5倍という性能は重さと匹敵するくらいこのレンズの魅力です。
12mm側で被写体に近寄って撮影すれば、周囲の風景を入れて表現できる広角マクロ撮影が楽しめ、45mm側ではボケを強調した望遠マクロ撮影が楽しめます。
風景やスナップ撮影だけでなく、花などのマクロ撮影を手軽に楽しむことができるレンズです。
最後に、今回は新製品OM-D E-M1 MarkIIIに装着して作例撮影を行いましたが、小型軽量ゆえE-M5 MarkIIIの標準レンズとしても使用したいレンズです。
この記事に関するお問い合わせは・・・カメラ担当 池田まで