【ぐるぐるボケの出し方】Helios-44-2 58mm F2【作例多数】

こんにちは鹿児島天文館店の吉冨です。

ぐるぐるボケのオールドレンズで有名なヘリオスですが実際に使ってみると「思うようにぐるぐるボケが出ない」ということをお客様から相談を受けることがあります。

そこで今回は、ヘリオスを使ってぐるぐるボケが出やすいシチュエーションを紹介します!


1.ヘリオスとは

東ドイツのカールツァイス・イエナ「ビオター58mmF2」のレンズ構成を参考にして旧ソ連が一眼レフ用に製造したM42マウントのレンズです。

ヘリオス44と一口に言っても〈Helios-44M-2、Helios-44M-3、Helios-44M-4〉など、いくつかのバリエーションが存在します。

これらのレンズは、外観の構造の違いでレンズ構成は同じの為、同じような描写性能になっています(個体差やコーティングの違いはあります)

マウント

M42スクリューマウント
焦点距離 58mm

明るさ(F値)

F/2
最短撮影距離

50cm

描写の特徴としては・・・

  • 58mmと標準レンズに近い画角で幅広いシチュエーションで使いやすい
  • 逆光に弱くフレア・ゴーストが出やすい
  • クセの強いボケ方をする

綺麗なボケ味とはまた違った、癖の強いボケ味を楽しむことができるので個性的な写真が撮れます。


2.ぐるぐるボケを出すには

ぐるぐるボケの出やすいシーンを確かめるために、F値を変えて撮影した写真と距離を変えて撮影した写真をそれぞれ比較してみます。

距離別の比較

赤い葉っぱから背景の緑まで【1m】

赤い葉っぱから背景の緑まで【50cm】

赤い葉っぱから背景の緑まで【25cm】


絞り値別の比較

F2

F4

F8


比較結果

しっかりと感じられるほど綺麗なぐるぐるボケを見ることはできませんでしたが【絞りは開放F2】【距離は25cm】が最もぐるぐるしたボケに近い結果でした。

このテストで気が付いたのが、背景に玉ボケや輪郭の分かりやすい物(この場合は葉っぱ)がある場合に写真中央に向かって円周状に横長の玉ボケが並ぶことで、ぐるぐるとボケているように感じます(下の図)

このように横長に光が伸びてしまうのは、非点収差が原因でレンズ周辺の球面によって光の結像する位置がずれてしまいボケが歪んだように見えます。


3.ぐるぐるボケを出すには(もう少し詳しく)

ぐるぐるボケを出すには・・・

①非点収差の出やすい開放F2付近の絞り値を使用する

②玉ボケや輪郭の分かりやすい背景を選ぶ

③ぐるぐる見えるようにある程度、玉ボケの数が多い背景


①について、絞り開放付近で撮影してもらえばOKです。

②については、玉ボケの輪郭がはっきりするような被写体、例えば木漏れ日やイルミネーション、白と黒など明暗差の大きい色味のもの(写真①のような被写体)

写真①明暗差が大きく非点収差がハッキリわかる色味のもの


③については、全体的に非点収差の玉ボケが散らばっていないとぐるぐる見えません。

どういう事なのかといいますと・・・

赤線が輪郭がハッキリしている玉ボケです。

コチラの写真のように、右上にしか玉ボケが出てないので、ぐるぐるボケているようには見えませんよね。

続いてはこちらの写真

赤線が輪郭のハッキリしている玉ボケです。

先ほどの写真とは違い、ある程度四隅に散らばって玉ボケが出ています。こうなることでぐるぐると円を描いているように見えます。



4.作例

ISO 200 / SS 1/4000 / F/2.0

ISO 200 / SS 1/2500 / F/5.6

ISO 100 / SS 1/800 / F/2.0

ISO 200 / SS 1/125 / F/2.0

ISO 100 / SS 1/1600 / F/2.8

ISO 200 / SS 1/400 / F/8.0



5.最後に

出そうと思っても中々出てくれないのが、ぐるぐるボケ。

このブログで、ぐるぐるに見える理由を知ったうえで撮影されるとぐるぐる写真のヒット率が上がるはずです!

また、ヘリオスを持っていない方でオールドレンズを何にしようか迷われている方に

フレア・ゴースト・ぐるぐるボケの三拍子そろった、ヘリオス

個性ある一枚が撮りたい方に、とってもオススメのレンズです!


鹿児島天文館店 吉冨