ワタクシ、最近「結局どっちなの?」と、悩んでいることがあります。
それは…
大阪から天王寺までJR大阪環状線で行くときに、内回り(西九条経由)で行くほうが早いのか、外回り(京橋経由)で行くほうが早いのか(あ、快速に乗るっていうのはナシね)ということ…
ではなくて、
パナソニックの「LEICA DG」って名前にあるレンズは、結局パナソニックなのかライカなのかということです。
こんにちは。カメラのナニワ千里中央店の平田です。
そんな疑問を解消するために、パナソニックのホームページを見てみました。
(ライカは)現在も各工程において、厳格な基準を設け、高品質なレンズを生み出し続けています。
LEICA DG レンズはこの厳しい品質基準をクリアし、LEICAの名を冠することが許された高性能なレンズです。
とあります。つまりソニーにツアイスのレンズがあるみたいなもん、というある意味想像どおりの答えでしたが、でもソニーの場合、たとえば Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA のように、型式名に
「ツアイス」
って入ってないのです(たぶん)。
でもパナソニックの場合は
「ライカ」
としっかり入っているんですよね。そんだけライカを推すなら何かいいに違いない、ということで試してみることにしました。
今回使用してみたのはパナソニック LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH. です。
写真は私物のオリンパスE-P3に取り付けたところ。このレンズにはこのくらいの大きさのボディがちょうど合うように思います。このレンズにはシルバーも用意されており、ホワイトボディにはそちらのほうが似合うかもしれません。
主な仕様は下のとおり。
レンズ構成 | 7群9枚(非球面レンズ3枚) |
---|---|
ナノサーフェスコーティング | ○ |
マウント | マイクロフォーサーズマウント/金属マウント |
画角 | 72° |
焦点距離 | f=15(35mm判換算:30mm) |
最小絞り値 | F16 |
開放絞り | F1.7 |
絞り形式 | 7枚羽根 円形虹彩絞り |
撮影可能範囲 | 0.2m~∞(撮像面から) |
最大撮影倍率 | 0.1倍(35mm判換算:0.2倍) |
フィルター径 | φ46mm |
最大径×長さ | φ57.5mm×約36mm※ |
質量 | 約115g |
メーカー希望小売価格は70,000円(税抜)です。
このレンズはマイクロフォーサーズマウントのため、15mmといっても35mm換算では30mmに相当する画角。つまり、広角の明るい単焦点レンズというわけです。
名前に「ライカ」と入ってること以外に目立つ特徴といえば、開放絞り値が1.7であることと、「ナノサーフェスコーティング」というのと「7枚羽根 円形虹彩絞り」のあたりでしょうか。このあたり実写を交えてご覧いただきます。
あ、このご時勢なので全部家の敷地内です。したがいまして、広角単焦点という街のスナップに向いてそうなレンズなのに、街のスナップは1枚もありません。あしからず。
■広角レンズでもここまでぼかせる
ということで、まずは開放絞り1.7の描写から見てみましょう。
以下の作例写真はすべてオリンパスE-P3・RAWで撮影し、ライトルームにてホワイトバランスおよび露光量を調整(一部の写真のみ)ののち、リサイズしたものです。
15mmという短焦点にもかかわらず、開放1.7という絞り値かつ撮影距離を短くすることで結構ボケてくれます。ノーファインダーじゃなくノーモニター(?)で撮りました。E-P3はバリアングルじゃないのでこういう撮影は辛い。
家の塀
庭のウノハナ。もっとガーリーに撮りたかったのですが、オッサニーなワタクシにはこれが限界。
■ナノサーフェスコーティングとは
最近各メーカーから「ほにゃららコーティング」と呼ばれるコーティングを施したレンズが出ており、それぞれにフレアやゴーストを軽減すると謳っています。パナソニックのホームページを見たところ「ナノサーフェスコーティング」についても同様のもののようでした。
「ということは逆光で撮ればいいのね」と短絡的に考えて撮ってみました。って、サラッと書いてるけど、敷地内という限られたスペースで、テーマに合った写真撮るのってけっこう大変なんですよ。
日が当たるのを待って…、
○オリンパス M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II R(14mm・F3.5)
○パナソニック LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH.(F1.7)
おお!!!
この差には驚きました。上のオリンパスのレンズはE-P3のキットレンズにもなっている、いわゆる入門用のレンズなので違いがあって当然なんですが、ここまでわかりやすいとは思いませんでした。太陽の周辺がしっかり出ているだけでなく、暗部が黒くつぶれず、鮮やかに表現されています。またこちら側からストロボでも当てたように、赤や緑の葉の色まで表現されています。
でも、まったくフレアやゴーストが出ないわけではありません。
上の写真のようにけっこう強烈に出ることもありますが、少し撮影位置を変えるとこのゴーストも消えました。
■7枚羽根 円形虹彩絞り
みんな大好きな丸ボケが、絞ってもできるってやつですよね。
F2.8で撮影しています。拡大するとやや「角」がありますが、ふつうにみていればわからないレベルです。ただ、F4ぐらいまで絞ったり、ピント位置が遠めになるとあまりボケませんので、使える範囲はあまり広くありません。
■画質は?
普通に撮影した際の画質もチェックしてみました。
カメラ店に勤めるワタクシの住む家に勝手に住み着き、あげく拾われたくせにカメラ嫌いなので、何枚も撮ってると機嫌が悪くなります。上の写真はF5.6で撮影していますが、それでもこのくらいの撮影距離にすることで背中の毛並みや背景など柔らかくボケてくれます。それは当然なんですが、特筆すべきはピントの来ている部分のシャープさです。この大きさだと画質はわかりませんが、あんまり大きいサイズの画像は決まりで載せられないので、上の写真をトリミングしてみました。
シャープネスは上げずにこれです。カリッとした描写は街のスナップなどに合いそう。
続いては、絞りごとの描写を比較してみました。画像中心部をトリミングしています。
○F1.7
○F2
○F2.8
○F4
○F8
○F16
ちょっとわかりにくいですね。F1.7、2あたりはややソフトなのですが、2.8くらいから画像がキリっと締まってきます。F16は回析現象の影響で甘めの描写になっています。
また、歪曲収差についてもよく補正されています。うーん、家の中でどこ撮ったらいいかと考えて障子を撮りました。
○オリンパス M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II R(14mm)
タル型の収差が出ています。
○パナソニック LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH.
これも一目瞭然です。まあ、単焦点レンズとズームレンズを比べたらズームがかわいそうですが、想像通りの結果です。でも、想像できなかったのは14mmと15mmなのに、15mmのほうが若干広く写っていることです。
続いては、広角レンズでは気になる周辺部の光量落ちもチェックしました。
○F1.7
○F2
○F2.8
○F4
F2ではやや残って、F2.8でほとんどわからないレベルといえるでしょうか。画質を重視するならF2.8~F8あたりがおすすめです。
あと何枚か作例です。
気づいたら開放の写真ばっかりですが、開放で撮りたくなってしまうレンズです!ということにしときます。本当は、被写界深度を深くすると、見られては困るものまで写っちゃうから。
ということで、数少ないF8で撮影した分も1枚だけ…
強い逆光にもかかわらず高精細でクリアな描写です。
■その他
本体はアルミ削り出し加工だそうで、手に持った際にヤスモノ感がせず、小ささのわりに適度な重みもあって高級感があります。
絞りリングがついていますが、オリンパスボディでは作動しないらしくE-P3との組み合わせでは、操作しても何の反応もありませんでした。個人的にはE-P3の電子ダイヤルはあまり操作しやすくないと感じているので、絞り優先を多用するワタクシとしては、絞りリングに期待しましたが残念。
MF時のピントリングは軽めですがやや粘りがあって、旧来のMFレンズに近い操作感です。レンズの側面にAF/MFの切り替えスイッチがあり、即座に切り替えられるのも高得点です。
■本物のライカを知らないワタクシ's結論
本当のライカを知っている人からしたら「こんなのライカじゃないやい!」かもしれません(もしくは、開放がF1.7なのにズミルックスを名乗っているところとか?)。でも名前にライカが入っている入っていないにかかわらず、コンパクトで写りもよく、またF1.7の明るさで暗いところでの撮影もOKと、フラッと街を歩きながら撮影するのにはとてもおすすめのレンズです。マイクロフォーサーズは、フルサイズやAPS-Cサイズにくらべて同じ画角でも焦点距離が短いため、あまりピントを気にせずバシバシシャッターを切れるのも、ピントをはずしまくるワタクシにとっても心強い(って、35mm換算30mmくらいのレンズでピントはずしまくるの?)。そして何と言っても本物のライカより安い。
結論としましては…、
パナソニックなのか?ライカなのか?それは問題ではない!
結局パナソニックなのか、ライカなのかの結論は出せませんでした(いや、パナソニックやろ!)。そして残念ながら大阪環状線についても結論は出せていません。
東京だったら東京から新宿まで中央線があるんですけどねー。
ではでは、またまた。