さて今回は、2020年5月14日発売の新製品、タムロン70-180mm F2.8 Di III VXD(Model A056)の使用レビューをお届けいたします。
このレンズはソニーミラーレス一眼Eマウント用で、もちろんフルサイズ機対応のモデルとなっています。このレンズの登場により、すでに発売になっている28-75mm F2.8 Di III RXD (Model A036)、17-28mm F2.8 Di III RXD (Model A046)と合わせて、超広角から望遠までF2.8通しで繋がる事となり、これで大三元レンズとして揃うこととなります。
70-180mm F2.8 Di III VXD(Model A056)は使用頻度の高い望遠ズームレンズで、様々なシーンで活躍する1本です。
魅力たっぷりのレンズをご紹介していきたいと思います。
※このようなご時世ですので、作例写真はすべて家の近所の公園や神社での撮ったものですです。作例が少ないこと、予めご了承くださいませ。
カメラはα7IIIを使用しています。
主なスペック
- F2.8通しのレンズながら、重量約810gの小型・軽量を実現
- タムロン史上最高レベルの高速・高精度オートフォーカス性能
- 特殊硝材を贅沢に使用し、高画質を実現
- 最短撮影距離0.85mの高い近接性能 ※MF時は70mmで0.27mの近接撮影が可能
- 進化したBBAR-G2コーティングで、ゴーストやフレアの発生を大幅に抑制
- 9枚羽根の円形絞りを採用
- 安心の簡易防滴構造
以上が主なスペックになります。
夢中になる。望遠の世界。
フルサイズミラーレス一眼カメラ対応、F/2.8大口径望遠ズームレンズ
この軽さと機敏な反応が、望遠撮影を面白くする。
70-180mm F/2.8 Di III VXD(Model A056)は、ミラーレス専用設計のソニーEマウント用大口径望遠ズームレンズ。その最大の特長は、開放F/2.8通しの高性能レンズでありながら、フィルター径φ67mm、最大径φ81mm、長さ149mm(70mm時)、重量810gという世界最小・最軽量ボディです。特殊硝材を贅沢に使用することで、高い描写性能を実現しました。また、0.85mという短い最短撮影距離が表現の幅を広げます。AF駆動には静粛性・俊敏性に優れたリニアモーターフォーカス機構「VXD (Voice-coil eXtreme-torque Drive)」を新開発。タムロン史上最高レベルの高速・高精度AFを可能としました。2つのVXDを電子制御で同時に動かすフローティングシステムを採用することで、至近から遠景までクリアで美しい描写性能を発揮します。さらに、屋外での撮影を考慮した簡易防滴構造や防汚コートを搭載するとともに、ソニー製カメラに搭載されている「ファストハイブリッドAF」などの各種機能にも対応。
<タムロン公式ホームページより引用>
ここからは作例とともに、このレンズの性能を見ていきましょう。
作例写真
描写力がどれほどあるのかチェックしてみました。
写真①は開放のF2.8で撮影。写真②はF8で撮影したものです。
F2.8では若干周辺光量落ちが見られるものの、それほど気になるものではありません。F8まで絞ると光量落ちは見られなくなります。写真のように青空が入る構図の場合は少し絞ると良いでしょう。
さて、気になる解像力ですが、この写真サイズではわかりにくいので、写真の中央部分を拡大したのが下の写真です。
被写界深度の関係もあり、画像中心部の拡大画像です。
F2.8でもしっかり解像していますが、やはり絞ることでさらにシャープで解像感の高い描写が得られます。ボケを活かした表現でなければ、少し絞ると画像周辺部までしっかりしたワンランク上の画質となります。
これだけ拡大しての比較であり、どちらのF値でもかなりレベルの高い画質を実現しています。これはXLDレンズやLDレンズ、GMレンズなどの特殊硝材を贅沢に使用しているからこそ実現できるのでしょう。
70mm側と180mm側での歪曲収差をテストしてみました。
70mm側ではわずか樽型収差が見られますが、かなり抑えられている印象です。望遠側180mmでは糸巻き型収差が見られ、このように水平が良くわかる被写体を撮影すると少し目立ってしまう感じです。
ズームレンズではこのような収差が見られるのは当然のことで、小型軽量レンズとしては秀逸だと思います。
逆光耐性についてのテストです。
撮影している場所は少し違いますが、同じような条件で70mm側と180mm側で撮影しています。
結論から言いますと、かなり逆光に強いです。快晴のもと太陽もほぼ真上にある状況で、画面の中にガッツリ太陽を入れて撮影してこの結果です。
70mm側ではゴーストやフレアの発生はなく、ヌケの良い画質が得られました。180mm側では太陽が大きく入るためか、少しゴーストとフレアが発生してシャープ感が失われていますが、かなり厳しい条件でのテストにもかかわらず、素晴らしい逆光耐性を見せてくれました。
新しく開発されたBBAR-G2コーティングが大きく効いていると感じます。
このレンズの魅力の一つに近接能力が高いことではないでしょうか。
ズーム全域で最短撮影距離0.85mを実現しており、望遠ズームレンズとしてはかなり寄れます。
180mm側での最大撮影倍率は1:4.6で、花の撮影などにも十分使えるレベルです。また開放F値2.8と合わせて、背景をキレイに大きくボカした表現もできます。
70mm側でマニュアルフォーカスに設定した時には、最短撮影距離が0.27mになり撮影倍率も1:2とマクロレンズ並みの性能となります。
上の写真は家にあるバラの花を窓際で撮影。まるでマクロレンズで撮ったかのような仕上がりとなりました。
マクロレンズでも最短撮影距離付近で撮影する場合はマニュアルフォーカスで撮影することが多いので、マニュアル限定でも特に面倒さを感じることはありません。
大口径F2.8レンズの特長としまして、やっぱり背景を大きくボカせること。大三元レンズの中で一番ボケを得意としているレンズと言えます。
望遠側でF2.8の開放近くで撮影すると大きなボケを出すことができ、花やポートレート撮影に最適なレンズです。
写真⑨から⑪はすべて開放に近いF値で撮影しています。F3.2やF3.5で撮影しているのは、少しシャープ感を出すために気持ち絞っています。
これらのボケ感は大口径レンズならではの表現方法です。今回の作例にはありませんが、このレンズは円形絞りを採用しているため、点光源は丸くキレイにボケてくれます。
オートフォーカス性能について。
このレンズには、タムロン初のリニアモーターフォーカス機構(VXD)が搭載されました。
タムロン史上最高レベルの高速・高精度の実現しているとのことです。確かにオートフォーカスはストレスを感じることのないスムーズさで、低振動で駆動音もしないので快適そのものです。
写真⑫では、飛行機雲と新緑を絡めて撮影、そして写真⑬は飛行機雲だけを撮影したものです。
写真⑫のような遠近がはっきりしていてコントラストが高いシーンでは、ピントが迷うこともなくスピーディーです。しかし写真⑬のようなシーンでは、機種によりピントが迷う場合も多々ありますが、このような難しいシーンでもしっかりピントを合わせてくれました。
この写真⑬を拡大してみます。
この写真を見て正直驚きました。ピント精度は抜群で、さらに驚いたのは解像感です。飛行機雲の質感描写が素晴らしく、良く見ると飛行機もちゃんと写ってます。
オートフォーカス性能だけでなく、改めて描写力の高さを知らされました。
これだけの実力があれば、ソニーのα7シリーズのオートフォーカス性能を落とすことはないでしょう。
まとめ
小型軽量と高画質を実現させた70-180mm F2.8 Di III VXD(Model A056)。
F2.8通しのレンズでありながら約810gと軽く、他社のレンズで言えば70-200mm F4通しのレンズを持っている感覚です。70-200と言えばズームしても全長が変わらないインナーズーム方式が多いのですが、このレンズはズームした時に全長が伸びてしまいます。そこは小型軽量も実現させる上で仕方がなかったのでしょう。
望遠側も200mmではなく、180mmに抑えてことについても、高画質と小型軽量を両立させ、さらには他のタムロンのソニーEマウント用レンズと同じフィルター口径67mmに合わせてきた事にも、タムロンさんのこだわりを強く感じます。
描写力については、さすがは大三元レンズ!と思わせる性能で、逆光耐性も良くしっかり仕上げてきたなという印象です。
オートフォーカスの性能も高速なのはもちろんのこと、オートフォーカス時の駆動音がとても静かで動画撮影などではかなり有効かと思います。新しいVXDというリニアモーターフォーカス機構の実力を示してくれました。
「ソニー純正の70-200mm F2.8 GMは高価で重い。でもF2.8通しのレンズが欲しい」と思っていた方、このレンズは価格、重量ともにユーザーに優しい1本となっています。
ぜひ、大三元レンズの良さを体感してください!
メーカー希望小売価格 165,000円(税込)
この記事に関するお問い合わせは・・・カメラ担当 池田まで