こんにちは、カメラのナニワ鹿児島天文館店の米田です。
今回のテーマは、デジタルでフィルムを再現してみた!です。
SNSなどでフィルム写真の雰囲気がエモいと言われ出して数年経ちますが、その勢いは未だ衰えることを知らないようです。
なお、私もその魅力にハマっている一人です。(入りはLOMO LC-A でした…)
そんな素晴らしいフィルム写真ですが、苦しい点があるとすれば、やはり費用でしょう。
フィルム代、現像代、データ化代、気軽にポンポン出せるほどお安くはないです。とくに中判を使っている方はもっと苦しいのではないでしょうか…そして、「フィルム写真の雰囲気をデジタル写真で再現出来れば心を落ち着かせられるのでは…」と思い至りました。
この試みはたくさんの方々が挑戦されているようでネット上では十人十色、様々なフィルム風レタッチを見ることが出来ます。
そこで、私も、私なりの「フィルム風」を再現する手法を考えたので、皆様の参考までにと思い今回のブログを書いてみました!
◇オススメのカメラ・レンズ
まず写真を撮らないと始まりませんので、カメラとレンズは必須です。フィルム写真の雰囲気を再現するにはやはりオールドレンズでしょう。個人的には50mmがオススメです。しかし、こだわりのある方は28mmや35mm・85mmなどでも構いません。
つぎにそれらを運用できるカメラとアダプターが必要です。私の場合は、無印のα7にK&Fのアダプターとニコンのオールドレンズで組みました。無印のα7はかなり安くなっているので、オールドレンズ運用機としてオススメです。ボディは好みに合わせて揃えていただいて結構ですが、APSCやマイクロフォーサーズをお使いになる場合は焦点距離の換算に注意してください。
◇「フィルム風」撮影のコツ
撮影する時のコツとして、絞りすぎないということです。レンズの焦点距離にもよりますが、開放~F4辺りが「フィルム写真らしさ」が出ると感じました。それ以上絞ってしまうと、シャープになりすぎてオールドレンズ特有の周辺光量落ちも弱くなってしまうためです。私は50mm/F1.2のレンズをF2まで絞って使いました。
次に、保護フィルターは極力外すということです。オールドレンズはただでさえフレアやゴーストが出やすいため、保護フィルターを付けると、逆光時など露骨に写りが悪くなりました。(フレアやゴーストが出すぎたり、眠い写りになったりなど)
次に色温度ですが、デイライトフィルムに倣って、5500kで固定しておきます。AWBを使わない理由としては、敢えて色被りを狙うためです。c200などのマゼンタ被りを起こすフィルムが好きなら少しだけマゼンタに振っておくのもいいです。
◇フィルム風レタッチ
撮影はRAWで、現像にはadobeのLightroom Classicを使いました。
ここから各数値をいじっていきます。
フィルムはシャドウとハイライトがソフトなイメージなので、トーンカーブでシャドウ部を上げ(0/30~40)ハイライト部を下げます(255/245~235)。ネガフィルムのようなマットな感じが増したと思います。この調整については多くの方が行っているようで、共通意識としてもここが一番フィルムらしいポイントなのかなと思います。
次に、基本補正の項目でコントラストを調整します。シャドウとハイライトがソフトになった代わりにやや眠い画になったので、20~30ほどコントラストを上げて深みを足します。コントラストを上げると発色が強くなってしまうので彩度を-10ほど減らします。
次にカラーグレーディングの項目で、シャドウに気持ちほんの少しだけブルーを足します(色相220、彩度1~3)。フィルム写真はシャドウ部が薄く青みがかるのが特徴なのでこのような調整をします。やりすぎると写真全体が青くなるため、控えめをキープしましょう。
次はHSL/カラーの項目を触ります。ネガフィルムはブルーの発色がほんのり緑がかるため、ブルーの色相を-25~-35の間で調節し、ターコイズブルー寄りにします。
そして、レッド・イエロー・グリーンの彩度をそれぞれー30・-20・-60に調整します。この3色はデジタルだとやや発色が強いのでこのように調整しました。そして、イエローとレッドの彩度が下がった分、オレンジの彩度を+25します。こうすることで、人肌や日の光などがほんのり明るみを増し、バランスが良くなります。
周辺光量補正やシャープネス補正に関してですが、オールドレンズの描写を保つために、補正値は0にします。
最後に、フィルム特有の粒状感を再現するために粒子を付け足します。適用量は20までのラインで保っておき、サイズも20まで、粗さは50に設定しておきます。こちらに関しては、PCモニターでは効果が弱く見えてもスマホなどに転送すると効果が強く出ていたりするので、要調整です。
以上でネガフィルムの雰囲気を再現する調整は終わりです。さわらなかった項目は必要に応じて調整していただいて大丈夫ですが、今回の調整で大まかには完成しているのではないかと思われます。
最後に、今回ご紹介した数値で調整した写真の作例をご覧ください!
◇作例
オールドレンズとレタッチの組み合わせいかがだったでしょうか。
皆様も自分だけの「フィルム風」を探してみてはいかがでしょうか?
鹿児島天文館店 米田