こんにちは。 なんばマルイ店の池田です。
この度、10月20日にオープンしましたなんばマルイ店に異動となりました。
今後はなんばマルイ店より、新製品のレビューを中心に情報を発信していきたいと思います。今後とも、よろしくお願いいたします。
さて今回はオリンパスのフラッグシップ機「OM-D E-M1X」のレビューをお届けしたいと思います。
なぜ今さらE-M1Xのレビュー??と思う方も多いのではないでしょうか。
それもそのはず、E-M1Xは2019年2月22日発売の機種で、私も発売前にオリンパスさんよりお借りして2019年2月15日に使用レビューのブログをアップしています。
今回、E-M1Xを取り上げた理由は2つあります。
1つは、大幅に販売価格が下がったこと! 30万円前後で発売されていた機種が何と20万円を切った価格になりました。半額とまではいきませんが、それに近い大幅値下げです。
そしてもう1つは、インテリジェント被写体認識AFに「鳥認識AF」が搭載された事です。これまで、「鉄道」「飛行機」「モータースポーツ」の3種が搭載されていましたが、12月3日公開のファームウェアで「鳥」が追加されます。
性能がアップするのに大幅値下げになったOM-D E-M1Xについて、被写体認識AFを中心にもう一度その魅力をお伝えしたいと思います。
主な性能
- 約2037万画素 4/3型 Live MOS センサー
- 常用ISO感度200-25600 (オート時は200-6400)
- 121点オールクロス像面位相差AF
- AF低輝度限界、最大-6EVを実現
- 「インテリジェント被写体認識AF」機能の搭載
- AE・AF追従で約18コマ/秒の高速連写 ※電子シャッター時
- 最大7.5段も手ブレ補正効果
- ハイレゾショットに「手持ちハイレゾショット」を追加
- スローシャッター効果をライブビューで確認しながら撮影できる「ライブND」機能の搭載
- AFポイントを移動しやすいマルチセレクターを配置
- 40万回の高耐久シャッターユニット
- 防塵・防滴構造。耐低温性能
これら一部の性能は2020年2月28日に発売されたOM-D E-M1 MarkIIIにも搭載されましたが、今回のファームウェアによって性能がアップする「インテリジェント被写体認識AF」についてはOM-D E-M1Xだけの機能となっています。
という事で、今回は「インテリジェント被写体認識AF」を使用して鳥だけでなく、鉄道も撮影してきましたのでご覧ください。
使用したレンズは今年9月に発売された「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」です。400mmで撮れば35mm換算で800mm相当になる超望遠ズームレンズです。E-M1Xに装着した時のバランスは抜群にいいです!
「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」の使用レビューはこちらから・・・
作例
琵琶湖にて、新しく搭載された鳥認識AFを試してみました。
インテリジェント被写体認識AFを使用する場合、AFモードは「C-AF TR」にセットする必要があります。そして、鳥が被写体という事で、ドライブモードも高速連写にセットして撮影に挑みました。
湖岸でサギを発見。カメラをそのサギに向け、ファインダーを覗くと鳥に合わせて白い枠が現れました。これが鳥だと認識した合図です。そこからシャッターボタンを半押しにするとオートフォーカスの追従が始まります。
1枚目の写真は飛び立つ瞬間を捉えたもので、2枚目はその鳥が琵琶湖の沖へ飛んで行くところを捉えたものです。この間ずっとシャッターを切り続けていますが、見事なまでにAF追従してくれました。
AF追従の精度の高さを実感いた瞬間でした。
また、このような鳥が飛び立つ瞬間や捕食の瞬間を撮影する場合、シャッター全押しの前を記録できる「プロキャプチャーモード」を併用すると良いでしょう。
上の3枚は飛んで来た鳥に対して、瞬時にカメラを向け撮影したものです。
このように突如現れる鳥に対しても、すぐに被写体認識をしてAF追従してくれました。特に2枚目と3枚目の写真は、日の出前の暗い時間帯でコントラストも低くてピントが迷いやすいシーンでしたが、ここでも抜群の追従性能をみせてくれました。
本来、鳥を含めた動く被写体を撮影する場合、測距エリア(ポイント)は1点やゾーン(グループ)にセットし、ある程度構図を決めた上で撮影することが多いと思います。
しかし、この被写体認識AFを使用すればAFポイントやAFエリアの変更をする事なく、ただ被写体の動きに合わせてカメラを動かしてシャッターを押すだけで写真が撮れてしまうのです。
特に鳥のような不規則な動きをする被写体を撮影する上では、この被写体認識AFは本当に重宝します。
大きな鳥だけではありません。小鳥の俊敏な動きに対しても、しっかり追従してくれます。
鳥が前や横を向いた時だけでなく、後ろを向いた時でもAF追従してくれるのには少し驚きました。
飛んでいる鳥で、あれだけのAF精度を発揮してくれますので、止まっている鳥なんて簡単なものです。
この2枚の写真を撮影して驚いたのが、それぞれの写真には3羽の鳥が写っていますが、その3羽すべてに鳥を認識したという白い枠が表示されたのです。
上でも書きましたが、測距ポイントを鳥のいる場所に移動させる必要はありませんので、構図だけに集中して簡単に鳥の写真が撮れるのです。
琵琶湖に注ぐ川で、餌となる魚を探す鳥。
動くスピードはゆっくりで、ある程度近くまで寄ることができましたので、被写体認識には余裕すら感じられました。
鳥認識AFは、まずは鳥の姿(全身)を認識し、その後シャッターボタンを半押しにすることで、緑枠に変わり鳥の頭部、または鳥の瞳にピントを合わせてくれます。
優先順位としては、瞳→頭部→全身となっており、瞳が認識できなければ頭部、頭部が認識できない場合は全身といった感じになります。
これぐらい近い距離での撮影となりますと、しっかり鳥の瞳を認識してピントを合わせてくれます。
鳥認識AFを使用しなくても撮影できるシーンですが、勝手にピントを合わせてくれるのは本当に楽です。
1枚目のような強い逆光状態で、しかも相当距離があり鳥だと認識するのが難しい場面でも、ちゃんと認識してくれるこの精度。
鳥の色んなシチュエーションを想定して実現した鳥認識AFは、鳥の撮影をより身近にしてくれました。
せっかくですので、被写体認識AFの「鉄道」でも撮影してみました。
まずは在来線の列車。超望遠レンズでの鉄道写真は、圧縮効果もあって迫力抜群です。
個人的に「鉄道認識AFの性能良くなった?」と感じました。以前、E-M1Xの使用レビューのためお借りしたのは発売前。ひょっとしたら製品版ではなかったのかもしれません。
そのように感じるくらい、色んな車両を撮影しましたが、安定したAF追従をしてくれました。これだけの精度と安定性があれば、本当に構図だけに集中できます。
続いては新幹線。E-M1Xの実力の見せ所です。
このようなシーンでは、本来はより確実に撮影するために、あらかじめシャッターを切る場所にピントを合わせておく「置きピン」という手法を使います。
なかなか出会えないドクターイエローが走るということですが、ここはあえて被写体認識AFを信頼して勝負してみました。
1枚目の一般車両でテストするも全く問題なしで、これならドクターイエローも大丈夫と思い撮影。結果、素晴らしい追従性能で、連写したすべてのカットにピントが合っていました。
最後は流し撮り。シャッタースピードは1/30秒。
流し撮りはシャッタースピードが遅ければ遅いほど、背景の流れが大きくなりインパクトのある写真が撮れます。
ここでも被写体認識AFが大活躍。時速300キロ近いスピードで走る新幹線は、フレームアウトしないように追っかけるのも大変なのですが、AFは撮る人(私)の撮影技術は関係なしに、ずっと追従し続けてくれました。結果、このような写真が撮れたのです。
まとめ
性能がアップしたのに大幅な値下げとなったOM-D E-M1X。
そう言えば、E-M1Xの発売当初にオリンパスさんが被写体認識AFは鳥の瞳を目指して研究して行くと言っていたのを思い出しました。
今回のバージョンアップにより、その言っていた事が実現されることになりました。ここはオリンパスさんに大きな拍手を送りたいですね。
しかも、そのAF精度が素晴らしいものと体感できました。
この性能であれば、「鳥を撮ってみたい」という人に自信を持っておすすめできる1台となりました。正直、今まで被写体認識として搭載されていた鉄道や飛行機などは鳥に比べるとまだ簡単な被写体です。
鳥は動きが機敏で不規則なので、難しい被写体のひとつでした。でも、このE-M1Xを手にすれば鳥の撮影が少しは簡単かつ楽になることでしょう。
また、オリンパスが採用しているマイクロフォーサーズシステムは機動力が抜群で、他社と比べて小型軽量で超望遠効果を得ることが可能です。これは鳥撮影には大きなアドバンテージです。
今年の春に発売されたE-M1 MarkIIIは、E-M1Xの機能の一部を搭載してE-M1Xとの差も少なくなっているのも事実です。
しかし被写体認識AFはE-M1Xだけの機能であり、バッテリーグリップ一体型となったボディは少し大きくは感じますが、その分ホールディング性は抜群で、バッテリー残量も気にする事なく、撮影に集中できるのは大きなメリットだと思います。
そして今回の大幅値下げ。結果、E-M1 MarkIIIよりも安くなり、まさに「今が買い!」の商品となりました。
この記事に関するお問い合わせは・・・なんばマルイ店 池田まで