こんにちは、鹿児島天文館店の吉冨です。
オールドレンズ入門におすすめのレンズ〈ジュピター8 50mm/F2〉どのようなレンズなのか、どんな写りをするのか作例とともにご紹介します!
1.ジュピター8とは
レンズ名 | Jupiter-8 50mm F2 |
レンズマウント | L39マウント・旧コンタックスマウント |
レンズ構成 | 3群6枚(ゾナー型) |
焦点距離 | 50mm |
絞り値 | F2.0~F22 |
最短撮影距離 | 1m |
絞り羽 | 9枚 |
フィルター径 | 40.5mm |
サイズ | 44mm × 50mm |
重さ | 約120g |
ロシアで1950年代~2000年代頃まで長期間に渡り生産されていたオールドレンズ、戦前のカールツァイス、ゾナーをコピーして設計されているため抜けの良い柔らかな描写が魅力のレンズです。
マウントは2タイプ
・Leicaスクリュー L39互換のZorki(ゾルキー)スクリューマウント
・旧Contax互換のKiev(キエフ)マウント
2タイプありますが、ミラーレスでの使用する場合、特段の事情が無ければアダプターが手に入りやすいL39スクリューマウントがおすすめです。
前期型・後期型
生産時期の違いから鏡胴の色が2種類あります。
シルバーの鏡胴=前期モデル(シルバー鏡胴の前期モデルには、初期型のフォーカスレバー付きとフォーカスレバー無しの後期型があります)
ブラックの鏡胴=後期モデル
*さらに細かく見るとレンズ銘板の表記の違いなど、いくつかのバリエーションに分けられます。

前期シルバーモデルの初期型フォーカスレバー付モデル

前期シルバーモデルの後期型フォーカスレバー無モデル

後期ブラックモデル
ロシアレンズはシリアルナンバーの最初の2つの数字が製造年の西暦下二桁を表しています。今回、作例に使用したジュピター8は1963年製シルバーのフォーカスレバー無しのモデルになります。
2.作例

α7R×Jupiter-8 ・F2 ・SS 1/160 ・ISO 100

α7R×Jupiter-8 ・F2 ・SS 1/1000 ・ISO 100
逆光では虹色のゴーストが現れます。太陽光に向かって少し斜めを狙うとゴーストが出やすくなります。

α7R×Jupiter-8 ・F2 ・SS 1/800 ・ISO 320

α7R×Jupiter-8 ・F2 ・SS 1/4000 ・ISO 100
ほどよいフレアでふんわり柔らかな印象の描写です。フレアで白んでコントラストが低くなっても芯が残り、色乗りよくノスタルジックな雰囲気で撮れます。

α7R×Jupiter-8 ・F2 ・SS 1/1600 ・ISO 320

α7R×Jupiter-8 ・F2 ・SS 1/250 ・ISO 100

α7R×Jupiter-8 ・F2 ・SS 1/4000 ・ISO 320

α7R×Jupiter-8 ・F2 ・SS 1/1250 ・ISO 100
オールドレンズらしい油絵のような、こってりとしたボケ味です。輪郭のハッキリした玉ボケもアクセントになりノスタルジックな雰囲気で撮れるので開放での撮影が楽しくなります。

α7R×Jupiter-8 ・F11 ・SS 1/160 ・ISO 100

α7R×Jupiter-8 ・F11 ・SS 1/1000 ・ISO 100

α7R×Jupiter-8 ・F11 ・SS 1/1250 ・ISO 100

α7R×Jupiter-8 ・F8 ・SS 1/320 ・ISO 100

α7R×Jupiter-8 ・F22 ・SS 1/1250 ・ISO 100

α7R×Jupiter-8 ・F11 ・SS 1/20 ・ISO 100
絞りF8~F22に絞りこんでも柔らかな描写です。少し絞り込むことで気になる色の滲みが少なくなり周辺部の写りがキリっと引き締まります。

α7R×Jupiter-8 ・F4 ・SS 1/800 ・ISO 100

α7R×Jupiter-8 ・F8 ・SS 1/80 ・ISO 100

α7R×Jupiter-8 ・F5.6 ・SS 1/2500 ・ISO 100
ゾナー譲りの階調の豊かさで明暗差の大きい被写体も自然に表現してくれます。
3.最後に
ほどよいクセとやわらかな描写で何気ない景色もフォトジェニックに撮れる扱いやすいオールドレンズです。
長期間に渡り生産されていたこともあり個体差が大きく生産時期や生産工場で描写にばらつきがあったり、古いロットの場合レンズ自体の状態が良くないものもあるので、購入の際には店頭で状態確認、試写してからがおすすめです。
タクマーやヘリオスにも劣らない個性の強い銘レンズ!オールドレンズ好きにおすすめの一本です。
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