こんにちは。なんばマルイ店の池田です。
今年の春も新製品ラッシュですね。
前回のペンタックスK-3 MarkIIIに続き、今回も新製品の使用レビューをお届けいたします。
今回ご紹介する商品は、2021年3月18日に発売されました「富士フイルム XF70-300mm F4.5-5.6 R LM OIS WR」です。
このレンズはフジXユーザーにとっては待望の1本ではないでしょうか。
と言いうのも、Xシリーズのレンズは本数としては充実していたものの、望遠系のレンズに関して言えば、ラインナップが少ないと感じていました。
200mm以上のXFレンズで言えば、XF55-200mmまたはXF100-400mmの2本のみ。
「200mmでは少し足りない。けど400mmは大きくて高価で厳しい。」と悩んだ方もいらっしゃるのではないでしょうか。少なくとも一人はいます。はい、それは私です(笑)
鉄道や飛行機などを撮影する上で、最低300mmは欲しかったのです。
そんな悩みを解消してくれるレンズがようやく発売されました。しかも、かなり魅力的なスペックでの登場です。
主なスペック
焦点距離(35mm換算) | 70-300mm(107-475mm相当) |
絞り | 9枚 円形絞り |
最短撮影距離 | 0.83m (ズーム全域) |
最大撮影倍率 | 0.33倍 (テレ端) |
手ブレ補正効果 | 5.5段 ※CIPAガイドライン準拠) |
テレコン対応 | 〇 (1.4X / 2X) |
フィルター径 | 67mm |
質量 | 580g |
上記スペック表から、注目すべき点は、質量・最短撮影距離・手ブレ補正です。
まずは質量から、すでに発売されていたXF55-200mm F3.5-4.8 R LM OISの質量も実に580g。XF70-300と同じなのです。フィルター径は62mmから67mmとワンサイズ大きくなっていますが、レンズの外寸径は75mmとXF55-200mmと同じで、長さがわずか約1.5cmほど大きくなっている程度で、とてもコンパクトな設計となっています。
続きまして、最短撮影距離です。XF70-300mmはズーム全域で最短撮影距離0.83mを実現しており、最大撮影倍率0.33倍となっています。これは35mm換算しますと、ハーフマクロに相当する近接能力となっています。
XF55-200mmの最短撮影距離が1.1mで倍率が0.18倍、XF100-400mmが1.75mで0.19倍ですから、いかにXF70-300mmの近接能力が高いかがわかります。
最後に手ブレ補正。手ブレ補正効果は5.5段と、レンズ単体ではかなり強力な補正効果となっています。ちなみにXF55-200mm、XF100-400mmは5段補正で、XFレンズの中で一番補正効果の強いレンズがXF16-80で6段です。望遠レンズ使用時は手ブレの心配も出てきますので、この補正効果はありがたいですね。
このあたりのスペックを注目しながら、X-T3に装着して撮影してきましたので、画質も含めてご覧ください。
作例
可憐に咲くネモフィラ。とても小さな花ですが、このレンズの最短撮影距離0.83m付近で撮影すれば、これだけの大きさで撮影できます。
同じくネモフィラ。3輪が仲良く並んでいるところを切り撮りました。撮影距離は1mくらいの接写という事もあり、背景のボケも滑らかでキレイです。
XF70-300mmは純正のテレコンバーター1.4倍と2倍にも対応しています。2倍テレコンバーターを装着した場合、どれくらいの大きさで撮影できるのか試してみました。
300mmの2倍、600mmでの撮影です。XシリーズのカメラはセンサーがAPS-Cサイズですので35mm換算すると約900mm相当という事になります。テレコンを装着してもレンズの最短撮影距離は変わりませんので、ここまで大きく撮ることができます。もはやマクロレンズと言っても過言ではありませんね。
しかし注意しなければいけない点として、開放F値も2倍になるということです。300mm側での開放F値はF5.6ですので、2倍テレコンを装着した場合はF11となります。F値が暗くなればISO感度を上げざるを得ない状況もあると思いますが、、Xシリーズの高感度性能はとても良いので、あまり気にする必要はないかもしれません。
今回、テレコンバーターはマクロ的に使いましたが、本来は遠くのものを大きく撮るという目的の方が多いでしょう。野鳥や飛行機など、超望遠が必要な場合にかなり有効です。
望遠レンズのメリットは、柵やロープがあって近寄れない場合でも、遠くから被写体が狙える事です。この写真も花壇の手前にあるチューリップではなく、奥に咲いている花びらのキレイなチューリップを狙いました。
ピント面は芯のある描写で、背景のボケもやわらかくてキレイです。
色とりどりのポピー。しかし、見頃は少し過ぎた感じで花の量も少なめでした。
ここでは、望遠レンズならではの圧縮効果を利用して、手前から奥までたくさんの花が咲いているかのような表現にしてみました。
まだ花びらがキレイなオレンジ色の花にピントを合わせ、前ボケも出しつつ、背景もボカしています。
公園内にあった川の流れ。手ブレ補正効果を試してみました。
このレンズの手ブレ補正効果は5.5段相当との事でしたので、スローシャッターで川の流れを表現してみました。
この写真は0.6秒という低速シャッターにもかかわらず、手持ちでブレることなく撮影できました。1秒でも撮影しましたが、それはさすがにブレてました。
逆光耐性はどうか。日中の太陽をまともにフレームの中に入れても参考にしにくいので、新緑のモミジで少し光を弱めつつ、太陽の光が葉っぱの隙間からクロスに輝くように表現するため絞って撮影しています。
この写真では若干のフレアはあるものの、明らかにゴーストと認識できるものは発生していません。逆光耐性も良いレンズという認識でいいでしょう。
快晴の日の日没。このような時は夕日であっても光線は強いものですが、ここでもフレアやゴーストの発生はありません。
朝日や夕日などの逆光時においても、フレアやゴーストを気にすることなく撮影に挑めそうです。
新緑のモミジ。ここでご覧いただきたいのが、このレンズの描写力です。
近距離での撮影とは言え、モミジの葉脈の描写が驚くほどの解像感であり、このレンズの光学性能の高さを知ることとなりました。
遠景での描写はどうか。離陸前の飛行機を撮影してみました。
近景同様に遠景でも高い描写力を備えており、コンパクト設計のレンズとは思えないほどの描写性能を持っています。
マクロから風景や乗り物などの遠景撮影まで、色んなシーンで使えるレンズです。
最後にオートフォーカス性能について。
このレンズにはLMという表記があるように、リニアモーターを採用しておりオートフォーカスはとても静かで、ピント合わせもとても速いと感じました。
X-T3やX-T4のオートフォーカス性能を十分に発揮できるものに仕上がっています。
この写真は着陸寸前の飛行機を捉えたものですが、急にフレーム外からフレームインしてくる状況です。しかし、AFはしっかり食いつき快適に飛行機撮影を楽しむことができました。
暗くなってもAFの食いつきは変わらずです。
暗いシーンでのオートフォーカス性能はボディによるところが大きく、X-T3やX-T4、X-S10などは暗いシーンでも強い性能を持っています。
撮影時は本当にピントが合っているのか心配でしたが、あとでゆっくり確認するとバッチリ合ってました。
まとめ
「予想以上のパフォーマンスを見せてくれた!」というのが正直な感想。
私は日頃XF100-400mmというレンズを使用していますが、質量は約1.4kgと重く、また最短撮影距離も1.75mとなっており、描写力には満足しているものの、持ち運びや使い勝手という面から言うと、明らかにXF70-300mmが上だと感じました。
XF70-300mmは小型軽量のレンズでありながら、最高のパフォーマンスを見せてくれました。機動力だけでなく、近接能力、描写力、手ブレ補正効果、オートフォーカス性能などなど、すべての面において満足できるものでした。
テレコンバーターが装着できるというのも大きなメリットであり、XF100-400mmでしか補えなかった望遠域をカバーすることができます。
今回はX-T3に装着して撮影しましたが、レンズの重さからX-S10などのミドルクラスに装着してもバランスはいい感じです。
望遠レンズのラインナップに最強の1本が仲間入りです。
Xシリーズユーザーで、望遠レンズを検討している方には、オススメの1本です。
https://cameranonaniwa.jp/shop/g/g4547410437980/この記事に関するお問い合わせは・・・なんばマルイ店 池田まで