こんにちは。
なんばマルイ店の池田です。
さて今回は、オリンパスの新製品レンズ「M.ZUIKO.DIGITAL 150-400mm F4.5 TC1.25X IS PRO」のご紹介です。
新製品と言いましても、発売されたのは2021年1月ですので、約半年ほど経過しています。
発売前から注目のレンズであり、なかなかデモ機がまわってきませんでしたが、この度ようやくデモ機が手元に届きました。
1000mm相当での手持ち撮影を可能にする
超望遠PROレンズ
究極の超望遠性能を追求して開発したハイスペックなPROレンズです。
プロの要求に応える解像性能をズーム全域で実現したうえ、最大8段分[2]の高い補正効果を発揮する世界最強の5軸シンクロ手ぶれ補正にも対応。オリンパスの交換レンズとして初めて1.25倍のテレコンバーターを本体に内蔵し、最大1000mm相当[1]での超望遠手持ち撮影を可能にしています。大口径超望遠ズームレンズながら小型軽量で機動力に優れ、PROレンズに相応しい防塵・防滴・耐低温性能や操作性も実現。
野鳥や野生動物、スポーツなど幅広いシーンで最高のパフォーマンスを発揮する1本です。
(OMデジタルソリューションズ公式ホームページより引用)
今回はこのレンズの使用レビューをお届けしたいと思います。
「M.ZUIKO.DIGITAL 150-400mm F4.5 TC1.25X IS PRO」はマイクロフォーサーズシステム用のレンズですので、35mm換算で300~800mm相当になり、レンズに内蔵されている1.25倍テレコンを使用しますと、最大で1000mm相当のレンズになります。
また、このレンズにはすでに発売されていますテレコンバーター「MC-14」「MC-20」の装着が可能で、MC-14装着時で35mm換算1400mm相当に、MC-20装着時で2000mm相当の迫力の超望遠レンズに早変わりします。
このレンズの魅力はこの焦点距離だけではありません。
ズーム全域で開放F値4.5(内蔵テレコン使用時はF5.6)でありながら約1875gという小型軽量設計。
さらには手ブレ補正も強力で対応ボディとの5軸シンクロ手ブレ補正で、最大8段(150mm使用時)の補正効果が得られます。
そしてもう一つ。最短撮影距離が短く、接写に強いという事です。超望遠レンズでありながらズーム全域で最短撮影距離1.3mを実現しており、花などのテレマクロ撮影が可能となります。
今回はオリンパスのフラッグシップ機「E-M1X」に装着して撮影してきましたので、ご覧いただければと思います。
開封の儀
大きな箱が自宅に届きました。でも、それほど重くは感じない。
そして開封。自分のレンズではないですがドキドキ・ワクワクします。
こんな感じでレンズが入ってます。
レンズの重量が約2kgとそれほど重くない事もありますが、大口径の超望遠レンズでよくあるアルミケースではなく、ソフトケースが付属となっています。
化粧箱の大きさの割にレンズは小さく感じます。化粧箱の置き場にはちょっと困ります(笑)
外観
大きさ比較のため、ペットボトルと並べてみました。
フードを装着していますので長く、大きく感じますが、レンズ部分だけを見るとペットボトル1本半ほどの長さです。
実際の仕様としましては、全長314.3mm 最大径115.8mm 質量1.875g(キャップ・フード除く)となっており、これだけの超望遠レンズということを考えると、かなり小型軽量化されているように思います。
レンズの素材にはマグネシウム合金、炭酸繊維強化プラスチック、カーボンファイバーなどが使用されており、これらにより強度を確保し、小型軽量を実現しています。
ズームはインナーズーム方式となっており、レンズ全長が伸縮することがありませんので、バランスが良く撮影も快適に行えます。
フォーカスリミッターは3パターンあります。野鳥や飛行機など遠くの被写体を撮影する場合には6m~無限遠にセット、花などの近接撮影時には1.3~6mにセットすると良いでしょう。
内蔵テレコンの切り替えレバーはレンズの根元の右側にあります。400mm(800mm相当)では足りないという時は、ワンタッチで500mm(1000mm相当)に切り替えができます。
作例
お月さんを撮ってみました。
1枚目は内蔵テレコンバーター(1.25倍)を使用して500mm(35mm換算1000mm相当)で撮影した画像で、2枚目は2倍のテレコンバーターのMC-20を装着して1000mm(35mm換算2000mm相当)で撮影した画像です。
500mmでもそれなりの大きさで写っているのですが、テレコンバーターMC-20を装着するとド迫力の1枚になりました。クレーターまではっきりと描写されています。満月だったら画面いっぱいに撮れたことでしょう。
この2枚とも手持ち撮影ですが、強力な手ブレ補正のおかげでブレることなく撮影することができました。
このレンズで撮りたくなるであろう被写体の1つ、飛行機を撮ってみました。E-M1Xにはインテリジェント被写体認識AFが搭載されており、ターゲットを飛行機に設定すれば、気軽に飛行機撮影を楽しむことができます。
但し、上の写真のようにコックピットが見えていない場合は被写体認識AFは働きませんのでご注意ください。
この写真で見ていただきたいのはPROレンズならではの解像力。飛行機までの距離は相当ありますが、抜けのよいクリアな描写を実現しています。
ランディングシーンを狙った1枚です。やはり500mm(1000mm相当)の威力は凄いです。
この場所で何度もランディングシーンを撮影しましたが、トリミングなしでこの大きさで撮れるレンズはなかなかありません。
2kg弱のレンズでこのような迫力ある写真が撮れるのは撮影者にとっては身体への負担も少なくありがたい事です。
夕刻の空港。誘導灯が光りはじめ、撮影意欲が湧いてくる時間帯です。
このレンズは内蔵テレコンを使用して500mmにしても開放F値はF5.6。これだけの望遠レンズでありながらレンズの明るさもしっかり保っています。
F値に余裕があると、シャッター速度やISO感度にも余裕が出てきますので、結果的にキレイな描写に繋がるのです。
また手ブレ補正も150mm側で最大8段補正、500mm側(内蔵テレコン使用時)でも6段分の補正効果が得られます。
このような暗いシーンで止まっている被写体を撮影する時には、大きなアドバンテージとなります。
続いての被写体は鉄道です。
鉄道もE-M1Xのインテリジェント被写体認識AFのターゲットの中に入っています。被写体認識AFの大きなメリットはピントをカメラ任せにできるため、構図に集中できるということです。
鉄道写真においては400mm(800mm相当)や500mm(1000mm相当)といった焦点距離を使用するシーンというのは少ないと思いますが、作例写真のような望遠レンズならではの圧縮効果により迫力のある写真が撮ることができます。
E-M1Xの被写体認識と言えば、やはり鳥です。2020年12月のファームアップにより鳥認識AFが可能となりました。その精度はかなりのもので、鳥撮影初心者の方には強い味方となってくれます。
鳥撮影=超望遠レンズと言っても過言ではありませんので、鳥撮影にもチャレンジしてみました。
小さな鳥も多く、35mm換算で300mmや400mmのレンズでは全然足りないなんて事も多々あります。しかし、このレンズであれば十分。トリミングなしで作例写真のような大きさで撮影することができます。
またオートフォーカスも早く、鳥の素早い動きにもしっかり対応してくれます。
これまで、飛行機、鉄道、鳥と3種類の被写体を撮影しましたが、個人的に一番向いていると感じた被写体は鳥でした。
人気の被写体ネモフィラです。
1枚目は400mmで撮影。そして2枚目は内蔵の1.25倍テレコンを使用して500mmでの撮影です。撮影距離はこのレンズの最短である1.3mあたりです。テレコンを使用しても最短撮影距離は変わらず、小さな花も大きく写すことができます。
撮影倍率は400mmで0.57倍、500mm(内蔵テレコン使用)で0.71倍とマクロレンズ並みの近接能力となっています。
また、別売のテレコンバーターMC-14(1.4倍)装着時は1.01倍、MC-20(2倍)装着時は1.43倍での撮影が可能となっています。
こちらもネモフィラ。
3輪の花がキレイに並んだ部分を切り取って撮影しました。植物園などでは柵があり、少し遠くにある花を撮る場合には望遠レンズが有利です。
この作例写真の花も柵の少し奥に咲いていました。そこを306mm(35mm換算612mm相当)で撮影しています。ズーム全域で最短撮影距離が1.3mですので、小さな花であっても大きく写せるのは嬉しいですね。
チューリップの一部分を切り取った1枚です。
この写真を撮影した日、もうチューリップの見頃は過ぎていました。そこで、まだ花びらのキレイな花を探して撮影した1枚です。これも花壇の奥の方に咲いていたもので、望遠にしてアップで撮影しています。
ネモフィラとチューリップの写真で見ていただきたいのは背景のボケ味です。さすがPROレンズと言った感じで、やわらかくて自然なボケを実現しています。接写なのでボケが出しやすいという事もありますが、その他のシーンにおいてもキレイなボケを出してくれます。
夕日を画面いっぱいに入れて撮影。
ここで試したのは逆光耐性です。夕日と言っても、かなりキツイ光線でしたが、フレアやゴーストの発生は見られません。もう少し焦点距離の短い域でも撮影しましたが、その写真にもフレア、ゴーストは見られませんでした。
このレンズには、逆光に強い「Z Coating Nano」が施されており、逆光時でもフレアやゴーストの少ない写真が撮れるのでしょう。
最後に、飛行機雲。
千里川土手にて飛行機待ちをしている時、空を見上げるとキレイな飛行機雲。思わずシャッターをきりました。
撮影後、モニターで画像を確認すると左下に飛行機もバッチリ写っていました。やはり描写力も一級品です。
まとめ
「M.ZUIKO.DIGITAL 150-400mm F4.5 TC1.25X IS PRO」は開発発表の時から注目されていたレンズでした。それもそのはず、35mm換算で300mmから800mm相当の超望遠ズームレンズで、内蔵のテレコンバーターを使用すれば1000mm相当になるというスペックだけで「欲しい」と感じてしまいます。
しかし、この段階では価格に関する情報はありませんでした。
そして発売が決まった時、価格が明かされました。メーカー希望小売価格110万円(税込み)。正直高いと思ったのは私だけではないはずです。
しかし、スペックから考えるとどうでしょう。800mm相当でF4.5のレンズで他社と比較をしますと、キヤノン「EF800mm F5.6L IS USM」が約192万円で、ニコン「AF-S 800mm F5.6E FL ED VR」が約235万円となっています。
もちろんフルサイズとマイクロフォーサーズという違いはありますが、このクラスとしては決して高いレンズではないのです。
さらに重さで比較しますと、オリンパスが約2kg弱、キヤノンが約4.5kg、ニコンが約4.6kgと断然、オリンパスが軽いのです。
オリンパスはマイクロフォーサーズですので、実質の焦点距離は400mmということになりますが、センサーが小さい分小型軽量にすることが可能で、機動力が上がるというのがマイクロフォーサーズシステムのメリットなのです。
描写性能やオートフォーカス性能はPROレンズの名に恥じないものとなっており、オリンパスの代名詞でもある手ブレ補正も強力で、超望遠域での撮影や暗いシーンでの撮影においてアシストしてくれます。
そして特筆すべき性能は近接能力の高さであり、この性能により幅広いジャンルの撮影にも対応しています。
高価なレンズですが、本格的に野鳥撮影や飛行機撮影をされる方には、ぜひ使用していただきたいレンズです。
この記事に関するお問い合わせは・・・なんばマルイ店 池田