こんにちは、鹿児島天文館店の吉冨です。
上の写真のような、木の葉が明るく空が暗い不思議な色の写真をみたことありますか?
Twitterやインスタで話題になることが多いので見たことある方も多いとは思いますが、実際にどうすれば撮影できるのか知ってる方は案外少ないのではないでしょうか。
今回は、このような幻想的な写真を簡単に撮ることができる赤外撮影フィルター「Kenko R72フィルター」を使って撮影の方法をご紹介します!
1. 赤外線写真とは
人間の目には感じとることのできない長い波長の光を赤外線と呼び、その光を使って被写体を撮影することを赤外線写真といいます。
可視光をカットして赤外線を透過させるフィルターを使う事で、赤外線がよく反射する雲や木の葉は明るく写り、それに対して雲の無い空や赤外線を吸収する水は暗く写る、といった写りかたをします。
2. 必要な道具
- R72フィルター等の赤外撮影フィルター
- 赤外線を感光できるカメラとレンズ
- 三脚
この3点があれば赤外線写真が撮影できます。
「赤外線を感光できるカメラ」とありますがカメラによって赤外線の受光量が違うため、お持ちのカメラが赤外線撮影が出来るのか確認する必要があります。
確認する方法は、お家にあるテレビのリモコンの送信部をカメラに向けてボタンを押して赤紫の光をモニター上で確認出来ればOKです!
*一眼レフの場合はライブビューで確認できます。
今回の作例を撮影した機材は、フジフィルムX-T2にマウントアダプターを使用してシグマ17-70mm/F2.8-4.5レンズで撮影しました。
3. 撮影の方法
三脚に据えて、シャッターブレを抑える為にレリーズケーブルを使用するかセルフタイマーをセットします。
- 画質モードを「RAW+JPEG」に設定する
- 撮影モードをモノクロに設定する
- 撮影モードをマニュアル(Mモード)に合わせる
- 絞り値をF5.6~11まで絞り込む
- ISO感度を100~400と低めに設定する
- シャッタースピードを長めに設定をして露出を調整する
- ピントはマニュアルフォーカスでモニターを見ながら合わせる(一眼レフの場合はライブビューでピントを合わせる)
シャッタースピードはカメラの赤外線に対する感度によって長さが変わります。
赤外線の感度が高いカメラでしたらシャッタースピードは短くても良いのですが、感度の低いカメラの場合シャッタースピードを長くする必要があります。
続いて絞り値ですが、絞り込む理由は2つ「ピントがしっかり合うように被写界深度を深くするため」「シャッタースピード長くするため」です。
今回絞りの設定をF5.6~F11と書いていますが、あくまで目安なのでピントがしっかり合って、赤外線をしっかり取り込めるシャッタースピードに設定することが重要です。
ちなみに今回、X-T2の場合はシャッタースピード2秒~20秒の間で撮影しています。
「RAW+JPEG」で撮影するのは、これからご紹介するカラースワップをする場合にRAWデータから編集を行うためです。
モノクロだけの仕上がりだけでしたらJEPGデータのみで良いのですが編集を考えている方はRAWデータも残しておきましょう。
その他、綺麗な赤外線写真をとる重要なポイントは「晴天の日に日中に順光」で撮影することです。
そのタイミングで、空と植物等メリハリの利いた被写体を撮影することで印象深い写真を撮ることが出来ます。
4. カラースワップをやってみた
赤外線写真をカラーで撮ると一枚目の写真のように真っ赤に写ります。それをモノクロで見ると二枚目のように不思議なモノクロ写真になります。
さらに、RAWデータをカラースワップという加工をすると三枚目のような幻想的な写真になります。
〈カラースワップの工程〉
*Photoshopで編集した際の工程になります
① Photoshopの画像編集ソフトにRAWデータを取り込みます。
② PhotoshopのCameraRawでホワイトバランス〈色温度〉のメーターを一番左端にしてから少しずつ右に戻していき、空と植物の色が最も分離するところで止めます。右に戻す量は少しだけです。
③ Photoshopで写真を開き、上部タブの[イメージ]→[色調補正]→[チャンネルミキサー]を開きます。チャンネルミキサー内の出力先のレッド・ブルー・グリーンを以下のように設定します。
- 出力先をレッドにする→[レッド0%][ブルー100%]
- 出力先をブルーにする→[レッド100%][ブルー0%]
- 出力先をグリーンにする→[レッド]を0~200%の間で空と植物の色が最も分離するところを選択する
④ 上部タブ[フィルター]から[CameraRawフィルター]を選択し色温度・彩度等を調整して完成です。
5. 作例
6. まとめ
天候・日差しの向き・赤外線を取り込む時間(シャッタースピード)が重要になるため、撮影の際この3つを意識して撮影に挑んでいただけるとメリハリのある綺麗な写真を撮ることができます。
撮影後のカラースワップも奥が深く、今回ご紹介した作例はモノトーンに近い色味ですが調整具合によっては、木の葉の色をピンク色にしたり空の色を鮮やかなブルーにしたり、調整の幅がとても広いので個性的な一枚をつくることができます。
これからの季節、日差しの強い時期に一段と綺麗に撮れる赤外線写真、いつもの風景も幻想的に写し取れるので、変わった作品を撮りたい方は、ぜひこの夏にチャレンジしてみてはいかがでしょうか!
鹿児島天文館店 吉冨