こんにちは。なんばマルイ店の池田です。
さて今回は、オリンパス株式会社からOMデジタルソリューションズ株式会社になって初の新製品カメラ「E-P7」の使用レビューをお届けいたします。
2009年7月に発売されたE-P1からE-P2、E-P3と続き、2013年6月に発売されたE-P5を最後に後継機種はなく、その代わりに「PEN-F」というフイルム時代のPENを彷彿させるデザインのモデルが発売されました。
今回ご紹介するE-P7はE-P5のデザインをある程度継承しつつ、PEN Fの機能を兼ね備えたもモデルとなっています。
現在発売されているPENシリーズと言えばE-PL10です。E-P7が発売されればE-PL10が下位モデルになりますが、E-PLシリーズもモデルチェンジを重ねるごとに性能、操作性、デザイン性も向上しています。
ここでE-P7とE-PL10、前モデルのE-P5のスペックを比較してみましょう。
E-P7 | E-PL10 | E-P5 | |
画素数 | 2030万画素 | 1605万画素 | 1605万画素 |
手ぶれ補正効果 | 5軸 4.5段 | 3軸 3.5段 | 5軸 5段 ※注1 |
AF方式 | ハイスピードイメージャAF | ハイスピードイメージャAF | ハイスピードイメージャAF |
測距点 | 121点 | 121点 | 35点 |
常用ISO感度 | 200-25600 | 200-25600 | 200-25600 |
連写 | 8.7コマ/秒 | 8.6コマ/秒 | 9コマ/秒 |
最大撮影コマ数 ※RAW記録時 |
カード容量一杯まで ※連写H時 |
13コマ ※連写H時 |
17コマ ※連写H時 |
アートフィルター | 16種類 | 16種類 | 12種類 |
質量 ※電池含む | 337g | 380g | 420g |
※注1・・・オリンパス測定方式にて。E-P7・E-PL10はCIPA規格に準拠した測定方法。
基本スペックだけでみると、E-PL10でも十分のような気もしますが、E-P7は小型軽量化され、手ぶれ補正機能や最大撮影コマ数などが向上しています。
スペック表にはありませんが、E-P7の最大の魅力はPEN-Fで好評だったプロファイルコントロール機能の搭載です。
この機能により、撮影時に自分のイメージ通りのクリエイティブな写真表現が可能となっています。
プロファイルコントロールはカラーとモノクロに分けられており、カラーの場合は12色の彩度、シェーディング、ハイライト&シャドーを細かく調整でき、設定値が調整できるプリセットが4種類(標準・クロームフィルム リッチカラー・クロームフィルム ビビッド・クロームフィルム ソフトトーン)搭載されています。
モノクロの場合は、カラーフィルター効果、シェーディング効果、粒状フィルム効果などが調整でき、こちらもプリセットが4種類(標準・クラシックフィルム モノクロ・クラシック フィルム IR・クラシックフィルム ローコントラスト)搭載されています。
外観
とにかく小さい。下位モデルのE-PL10よりも小型軽量化されています。レンズキットのM.ZUIKO.DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZの組み合わせならポケットに入ってしまいそうな大きさです。
小型化されていますがチープ感はまったく無く、持つ歓びを感じることができる洗練されたデザインで高級感たっぷりです。アルミ削り出しダイヤルなど、細部にまでこだわっています。
E-PL10との比較です。左がE-P7。右がE-PL10。
同じPENシリーズということで、デザインは良く似ていますが、E-P7の方がクラシックな感じがします。
また、写真では伝わりにくいのですが、現物で比較するとE-P7の方が高級感が感じられます。
操作系はオリンパス伝統の2ダイヤルを搭載。
絞りやシャッタースピードなどを直感的に操作することができます。ちなみにE-PL10は2ダイヤルにはなっていません。このあたりは使ってもらいたいユーザーの事を考え、しっかり差別化されています。
通常撮影とプロファイルコントロールを切り替えるスイッチ。
撮影中もスイッチを見なくても瞬時に切り替えできる場所に配置されています。
作例
カラープロファイルの標準となる設定です。このプリセットでも彩度やシェーディングなどが調整できます。
プリセット②のリッチカラーは渋みと深みがある仕上がりで、フィルムで言えばコダックのコダクロームの色調に似ています。
プリセット③のビビッドは風景写真に適した鮮やかな仕上がりです。フィルムのイメージとしてはエクタクロームE100VSが近い感じです。
カラープロファイル④のソフトトーンは、コントラストが低く柔らかい色調です。フィルムで言えば、ネガフィルムのポートラに似ているでしょうか。人物写真に向いていると思います。
モノクロプロファイルの標準となる設定です。このプリセットでもカラーフィルターやシェーディングなどが調整できます。
プリセット②のモノクロは粒状フィルム効果も強く、少しザラついた感じは本当にフィルムで撮影したかのような仕上がりです。
プリセット③のIRは名前の通り、赤外フィルムのような効果が得られます。
プリセット④のローコントラストも名前の通り、コントラストが低く階調も豊で、やわらかい雰囲気に仕上がります。モノクロプリセット②とは正反対の仕上がりイメージです。
まずはプロファイルコントロールのご紹介です。
PEN-Fにも搭載されていた人気の機能で、撮影シーンに合わせて自分のイメージに合わせた画作りが可能になります。カラーとモノクロにそれぞれ4種類、合計8種類のプリセットがあり、さらにそこから細かい調整で自分のイメージまで追い込むことができます。
特にカラーの彩度調整は撮影時にLightroomを使用して現像している感覚で、今回は撮影時間の都合上、その楽しみをゆっくり味わうことができませんでしたが、フィルム時代では当たり前だった撮影時に「考えて撮る」というプロセスを体験できます。
※上の8枚の作例は、比較のために1枚の写真からカメラ内RAW現像をしています。
プロファイルコントロールの中で、シェーディング効果を調整することができます。
シェーディング設定では、写真の四隅を明るくしたり、暗くしたりする事ができます。
上の写真は、曇りで空も白い状況でしたので、露出をプラス補正で明るくし、さらにハイキーなイメージにするためにシェーディング効果で四隅を明るくしています。
少し霧のかかったような幻想的な1枚に仕上げることができました。
この写真はシェーディング設定で四隅を暗くしています。
本来は補正するレンズの周辺光量落ちを敢えてカメラでつくった感じです。
この写真は全体的に暗い部分が多いのでわかりにくいので、もう少し白の割合の多い写真などで使用するとトンネル効果が得られて、おもしろい写真にすることができるでしょう。
この写真もシェーディング効果を利用しています。プリセットは「②クラシックフィルム モノクロ」です。個人的にはこのメリハリの効いたプリセットが好みで、粒状感もありフィルムらしさもあり、今回の撮影においては多用しました。
そのメリハリの効いた写真にシェーディング効果で周辺を明るくし、昔にタイムスリップしたようなイメージで撮影しました。
赤い提灯を際立たせるため、プリセットは「③カラークローム ビビッド」を選択しました。
ネイチャー系(自然風景)で出番の多くなるプリセットですが、スナップでも原色を強調したい時には有効だと思います。
提灯の下の濡れた道。そこには上に飾られた提灯が映り込んでいました。ローアングルで映り込みを強調して撮影しました。上の提灯の写真とほぼ同じ場所ですが、この写真は「②カラークローム リッチカラー」に設定を変更し、渋みを出しています。
また、この写真はISO6400という高感度での撮影ですが、ノイズもそれほど気になりません。最新の画像処理エンジンにより、しっかりノイズ低減されている印象です。
モミジの新緑。
緑の色を強調したいので、ここも迷わず「③カラークローム ビビッド」を選択。実際の色よりかなり鮮やかですが、自然風景などでは少し派手な仕上がりの方が好まれる傾向にあります。
鮮やかな発色ではありますが、緑色が色飽和を起こすことなく仕上がっています。また、明暗差の大きなシーンでしたが、暗部のディテールもしっかり再現されており、コントラストは高めでありながら、階調豊かな仕上がりとなっています。
神社の絵馬。
プリセットは「④クラシックフィルム ローコントラスト」にて撮影しています。絵馬の背後が少し黒いので、シャドー部の階調が潰れないようにと、ローコントラストの仕上がりを選択しました。
プリセット②でも撮影しましたが、このシーンではメリハリが強くて、カリカリの写真で私のイメージには合いませんでした。
この写真のように背景をボカした写真にはローコントラストが似合うように思います。
神社の参道より、プリセット④の「カラークローム ソフトトーン」での撮影。
まさにソフトトーンと言った感じで、やわらかくて、ゆる~い感じの仕上がりです。各プロファイルの紹介のところで、人物に向いていると書きましたが、昔懐かしい風景などでも使えそうです。
まとめ
とにかく小型軽量ということが最高で、旅行だけでなく、ちょっとしたお出かけや散歩にも持っていきたくなるカメラです。
デザインもクラシカルでオシャレ。妻にカメラを見せたところ、「かわいいやん」と一言。男性だけでなく、女性にもうけるデザインとなっています。
機能面では、やはりプロファイルコントロール機能が写真の楽しみを増幅させてくれます。
撮影後にRAW現像するのも良いですが、やはり撮影時に自分のイメージになるように設定して撮ることも大切だと思います。そういう意味では、プロファイルコントロールは撮る楽しみを味わわせてくれる機能だと思います。
また、オリンパスには16種類のアートフィルターもあり、写真表現は無限に広がると言っても過言ではないでしょう。
気になる基本性能のところですが、オートフォーカス性能や高感度耐性もOM-Dシリーズのフラッグシップ機に引けを取らないものとなっており、満足できるものでした。
その他、オリンパスならではのライブコンポジット機能なども搭載されており、スナップだけでなく星景写真なども撮影することができます。
唯一惜しい点は、ファインダーがないこと。せめて外付けでも良いのでファインダーを装着できるようにして欲しかったというのが正直な感想です。
プロファイルコントロールで色調整をするにしても、液晶では確認しにくい状況もあり、ファインダーがあれば画像確認もしやすく、文句なしのカメラだったと思います。
でも、総合的に判断すればいいカメラなのは間違いありません。
お出かけの時は持っていきたくなる、そんな1台です。
この記事に関するお問い合わせは・・・なんばマルイ店 池田
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