こんにちは。なんばマルイ店の池田です。
さて今回は、2021年8月27日にリコーより発売されました「HD PENTAX-DA 16-50mm F2.8ED PLM AW」の使用レビューをお届けいたします。
今回ご紹介する「HD PENTAX-DA 16-50mm F2.8ED PLM AW」は2007年8月に発売された「smc PENTAX-DA 16-50mm F2.8ED AL SDM」の後継モデルとなります。
2007年と言いますと、2006年にペンタックスK10Dが発売された翌年であり、そのユーザーに満足してもらうべく、発売に至ったのが「smc PENTAX-DA 16-50mm F2.8ED AL SDM」だったように思います。
それまで、APS-Cサイズ専用のF2.8通しの標準ズームレンズはなく、ペンタックスユーザー待望の1本となりました。
スターレンズの名に恥じない描写力と超音波モーター「SDM」の搭載により快適なピント合わせが可能となり、ユーザーの反応も良かったと記憶しています。
そして約14年の時を経て、「HD PENTAX-DA 16-50mm F2.8ED PLM AW」が発売されました。これは今春、カメラ市場を賑わせた「K-3 MarkIII」を意識してのもだと感じています。
前モデルが発売された当時のメイン機種はK10Dであり、その画素数は約1020万画素。そしてK-3 MarkIIIは約2500万画素。
これはまさしく高画素モデルに対応すべく、これまでの技術を結集させ発売されました。
まずは前モデルとスペックの比較をしてみましょう。
仕様表
HD DA 16-50mm F2.8ED PLM AW | smc DA 16-50mm F2.8ED AL SDM | |
焦点距離 | 16-50mm | 16-50mm |
開放絞り値 | F2.8 | F2.8 |
レンズ構成 | 10群16枚 | 12群15枚 |
絞り羽根数 | 9枚 | 9枚 |
最短撮影距離 | 0.3m | 0.3m |
最大撮影倍率 | 0.24倍 | 0.21倍 |
フィルター径 | 77mm | 77mm |
最大径×長さ | 84×117mm | 84×98.5mm |
質量 | 約712g | 約565g |
スペック表からわかる違いはレンズ構成と最大撮影倍率、そして質量です。
質量は前モデルから約147g重たく、また大きさもひと回り大きくなった印象です。
しかし、K-3 MarkIIIに装着すると、それほど重く感じることはなく、むしろバランスの良いレンズだと感じました。
作例
まずは解像度、描写力のテストです。
前モデルでは絞り開放あたりでは、周辺部の解像度が落ちるなどのレビューも多く見られました。
とは言うものの、一般的に絞り開放付近での解像度は少し甘くなってしまうものです。そういう意味では、前モデルも当時としては問題のないレベルだったと思います。
しかし近年はレンズの技術も向上し、絞り開放から抜群の描写力を発揮するものが増えてきています。
今回ご紹介するこのレンズも、絞り開放付近からとても素晴らしい解像感でした。
わかりやすいように中心部と周辺部を拡大してみます。
高感度で撮影していますので、少しノイズの発生がありますが、中心部だけでなく周辺部も解像感は抜群です。
中心の拡大画像は鉄骨のボルトの数が数えられるくらいクリアに写っています。左上部分の拡大画像からも像が流れることもなく、解像力の高さが見てわかります。
逆光耐性はどうか。
日中の太陽をフレーム内に入れて撮影してみましたが、何とこの仕上がり。
良く見れば、中心付近や画像周辺部ににわずかにゴーストが見られますが、太陽をこれだけ大胆にフレームインしたにもかかわらず、ゴーストやフレアはほぼなく、クリアでヌケの良い画像が得られました。
このレンズに施されているHDコーティングは、平均反射率を従来比で約50%以下に抑えることができ、その実力を改めて実感いたしました。
最短撮影距離について。
最短撮影距離は前モデルと変わらず0.3mですが、最大撮影倍率がわずかに上がっており、マクロ的にも使用しやすくなりました。
今回撮影した彼岸花もこれだけ大きく撮影できます。たまたま彼岸花の上で休憩?していたカマキリもこんな感じで撮影できました。
ワイド端は16mmということで、広角マクロとしても使用可能です。
広角マクロの場合、16mmで主役にグッと近づいても、背景も大きく入るので、彼岸花がどんな状況に咲いているのかを表現できます。
この写真の場合、主役を彼岸花、脇役を背景の「はざ掛け」と青空と決めて撮影しました。
F2.8ならではのボケ味。
F2.8通しのズームレンズという事で、ボケも大きく表現することが可能です。
特にに50mm側でのボケは大きく、そのボケ味も大口径レンズならではの自然でやわらかいボケとなっています。単焦点レンズを使っているかのような錯覚に陥ります。
高解像力とボケの良さを両立したレンズと言えるでしょう。
ボケだけでなくF2.8という事で、光量の少ない夜の撮影においても大きなアドバンテージとなります。また、今人気の星空・星景写真でも活躍することでしょう。
この写真はF2.8でシャッタースピードは1/6秒とかなり低速ですが、K-3 MarkIIIの手ぶれ補正性能の高さから、ブレることなく撮影できました。
絞り開放での撮影ですが、ビルの窓などもしっかり描写され、解像力の高さも感じることができます。
オートフォーカスについて。
前モデルはSDMという超音波モーターを採用しています。
当時のペンタックスレンズと言えば、AF時にギーギーと駆動音がするものがほとんどで、SDMの搭載によりAF駆動がスムーズになり、とても快適なものとなりました。
そして今回のモデルに搭載されたのはPLM(パルスモーター)です。このモーターにより前モデルより広角側で約2.2倍、望遠側で約1.5倍のオートフォーカスの高速化を実現しています。
この写真に写っているコスモスは風でずっと揺れていました。そんな中、風が弱くなったわずかな瞬間を狙って撮影した1枚です。
高速オートフォーカスに助けられて撮影できた1枚と言っても過言ではないでしょう。
また、PLMもSDM同様にAF駆動音は静かで、動画撮影時においても駆動音や絞りの動作音も入りにくい構造となっています。
レンズとは関係のない話ですが、個人的にペンタックスのカメラはネイチャーフォトに向いていると思っています。
強力な防塵防滴性能なども一つの理由ですが、カスタムイメージと呼ばれる色の仕上がり設定にネイチャーフォト向きのものが多いということが一番大きな理由です。
「鮮やか」「風景」「雅」「リバーサルフィルム」と風景写真の分野で好まれる鮮やかな発色傾向の設定が4種類もあります。
「雅」は鮮やか過ぎて好みが分かれるところですが、その他の3種類は状況に使い分けると良いと思います。
上の2枚の写真はカスタムイメージを「風景」にセットして撮影し、C-PLフィルターを使用して反射を除去して、緑色が引き立つように撮影しました。
解像力の高いレンズですので、フィルターも光の透過率に優れていてるケンコーのゼクロスシリーズなどがオススメです。
少し高価ですが、レンズ性能をキープする上ではとても重要です。
その他作例
まとめ
撮影してみての最初の印象は、「めちゃくちゃ良く写るやん! 高感度で手持ち撮影やで!」でした。
大阪駅の屋根を撮影して、液晶モニターで拡大して確認したのですが、解像度が半端なかったので少々驚きを隠せず「スゲェー」と独り言を言ってました。
レンズの質量は前モデルより少し重たくなってしまいましたが、その分描写力の高い画像が得られると思えば、少しの質量アップなんて気になりません。
描写力、オートフォーカスのスピードや最大撮影倍率のアップなど、ユーザーにとっては嬉しいことばかり。
約14年の年月を経て、最新技術が凝縮された素晴らしいレンズとなっています。
K-3 MarkIIIとの相性も良いので、ユーザーの方はぜひご検討くださいませ。
16-50mmの次は50-135mm F2.8かな?と少し期待してしまう私でした。
※画像はすべてJPEG撮って出しです。
この記事に関するお問い合わせは・・・なんばマルイ店 池田まで