こんにちは。なんばマルイ店の池田です。
さて今回は、タムロンの新製品レンズ「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD(Model B061)」の使用レビューをお届けいたします。
このレンズはAPS-Cセンサーサイズのカメラ用で、先行してソニーEマウント用が発売され、2021年10月28日にフジXマウント用が発売されました。
タムロンにとってフジXマウントのレンズはこれが最初の1本。タムロンのソニーEマウントレンズが人気だけに、フジXマウントにも期待が膨らみます。
そんな注目のレンズをフジXユーザーである私が試写してきましたので作例をご覧いただければと思います。
主なスペック
焦点距離(35mm換算) | 18-300mm (35mm判換算 27-450mm相当) |
レンズ構成 | 15群19枚 |
絞り羽根 | 7枚 円形絞り |
最短撮影距離 | 0.15m(WIDE)/0.99m(TELE) |
最大撮影倍率 | 1:2(WIDE)/1:4(TELE) |
フィルター径 | 67mm |
質量 | 620g |
このレンズの魅力は何と言っても18mm~300mmの高倍率ズームであること。35mm判換算すると27mmから450mmとなり、1本のレンズで広角から望遠まで楽しむことができます。
さらに最短撮影距離が短いことから、花などのマクロ撮影も手軽に楽しむことができます。
また手ブレ補正機構も搭載されていますので、望遠時やスローシャッター時の撮影をサポートしてくれます。
このレンズを私の愛機X-T3に装着して撮影してきました。
作例
大台ヶ原にて日の出を撮影。
1枚目は広角側18mmで周囲の風景を入れながら日の出を撮影、2枚目は望遠側300mmで朝陽に輝く熊野灘を撮影しています。※少しモヤった感がありますが、これは霧の影響です。
日の出の時間はわずかで、レンズ交換する時間がもったいないシーンでもあります。広角でも望遠でも撮りたい場合は、カメラ2台体制にするなどして、私もこれまで撮影してきました。
しかし高倍率ズームレンズとなれば、レンズ交換は考えずに撮影に集中することができ、画角の違ったバリエーション豊かな写真を撮ることができます。
高倍率ズームレンズで気になるのは、やはり画質ではないでしょうか。
無理して設計している分、一般的なズームレンズより画質が劣るのではないか。そんなご質問を良くいただきます。
1枚目の写真は絞りF5と開放付近での撮影です。わずかに周辺光量落ちがあるように見えますが、気になるレベルではありません。
画質については、絞り開放近くでの撮影でありながら、立ち枯れの木の解像感はとてもよく、開放から満足のいく画質となっています。
2枚目の写真はF8と少し絞り込んでの撮影。樹木だけでなく葉っぱまで描写されています。開放でも十分な画質ですが、少し絞ることでよりキレイな写真になります。
そして今回撮影して感じたのは、私が愛用しているフジフイルム純正レンズのXF18-135mmと同等レベルの描写力を持っているということです。
フジXF18-135mmを愛用していて、個人的には大きな不満を感じていません。逆に「ズーム倍率が高いのに良く写る!」というのが私の思いです。
そのレンズよりさらに高倍率でありながら、画質が同等レベルであれば文句はありませんよね。
画質は満足できるものでしたが、逆光耐性はどうか、撮影してみました。
この時は太陽が昇りきり、かなり光線は強い状況でした。
中心部分には気持ち目立つゴースト、太陽あたりにもわずかなゴーストがありますが、これだけ光線の強い太陽を画面の中に入れてこの結果なら十分だと感じます。
そして逆光でありながら、ヌケの良いクリアな描写力にも好感が持てます。
このレンズには逆光やフレアに強いBBAR-G2コーティングが施されており、レンズ設計と合わせて、これだけの描写力を実現したもと思われます。
このレンズには手ブレ補正機構が搭載されており、スローシャッター時でも三脚なしで撮影できるシーンも増えます。
タムロンより補正効果の段数は公開されていませんが、作例のような暗いシーンで、シャッタースピードが1/10秒というスローシャッターでも手持ちで撮影ができました。
個人的には少なくとも、3段分以上の手ブレ補正効果はあるのではないかと思います。
このレンズの大きな特長は近接能力に優れていることです。特に18mm側の最短撮影距離は15cmで撮影倍率にして1/2倍のハーフマクロを実現しています。
この時のレンズ先端から被写体までの距離(ワーキングディスタンス)は5mmとなっており、撮影時にはレンズで被写体に影ができないよう、レンズ面に被写体が当たらないよう注意が必要なくらい寄れます。
大台ケ原の登山道で見つけた小さなキノコもご覧の通り。こんなに大きく写すことができます。
場所は変わって、和歌山県黒江の古民家。
ここでは、このレンズの接写能力を活かしつつ、背景のボケを出してみました。
円形絞りの採用により、背景にあるお猪口に当たっている光はキレイな円形のボケとなっており、ボケの質もズームレンズとしては悪くありません。
接写に強いということは、ボケも大きく表現できるという事に繋がります。
最後にオートフォーカスについて。
オートフォーカスの駆動にはリニアモーターフォーカス機構のVXDが採用されています。
このVXDによりモーター音も静かで、オートフォーカススピードも速く、快適に撮影することができます。
オートフォーカスが速いことで、上の写真のような動く被写体でも、何の問題もなく撮影することができました。
モーター音が静かですので、動画撮影にも最適だと思います。
その他作例
まとめ
高倍率ズームというだけでなく、接写にも強いという事で、この1本を持っていれば色んなジャンルの撮影が可能となりました。
画質や手ブレ補正効果、AFスピード等も不満を感じることはなく、むしろ満足できるものでした。
今回、大台ケ原では山歩きをしながら撮影をしましたが、その時はこのレンズを装着したカメラを首からぶら下げて、気になったところがあれば手持ちで気軽に撮影を楽しみました。
これも高倍率ズームだからできる事。ハイキングや山登りをされる方には、オススメしたい1本です。
もちろん旅行にも便利。とりあえず、この1本があれば旅行の写真は十分でしょう。
フジフイルムからはこれだけのズーム倍率のレンズは発売されていないので、タムロンもおいしい所を狙ってきましたね(笑)
今回はフジXシリーズ用で撮影しましたが、ソニーEマウント用も同じ仕様ですので、同じような結果が得られますよ。
この記事に関するお問い合わせは・・・なんばマルイ店 池田まで