こんにちは。なんばマルイ店の池田です。
今年もいよいよ紅葉シーズン到来です。
東北や信州、標高の高いところでは、すでに色づきのピークを迎え、これから紅葉前線は山から里へと下りてきます。
関西の紅葉は11月中旬くらいから見頃となる所が多いので、これからがまさに撮影シーズンと言ったところですね。
私の紅葉撮影も毎年10月下旬よりスタートいたします。そして今年も紅葉を求めて、一足先に近畿の標高の高いところへ行ってきました。
しかし、残念なことに紅葉が遅れていて、しかも色づきが悪い……。
そんな状況でしたが、中判ミラーレス一眼を持って撮影してきました。
ここ最近、中判ミラーレス一眼が注目され始めています。
その注目のきっかけとなった商品は2021年9月に発売された「富士フイルムGFX50SII」であり、注目される理由は2つ。
1つ目は中判カメラでありながら、レンズキットが市場売価で50万円を下回る価格で発売されたこと。つまり、中判カメラもフルサイズ機と同じくらいの価格になった事になるのです。
2つ目は質量。質量は約900gと、2021年2月に発売された1億画素機種の「GFX100S」と同じ重さであり、大きさも同サイズとなっており、フルサイズ一眼レフと大きく変わらないくらいレベルになっています。
今回、GFX50SIIは発売されたばかりでテスト撮影できるボディがなかった為、GFX50SIIの元となったGFX100Sを使用して、中判ミラーレス一眼の魅力をたっぷりと味わってきました。
参考までにGFXシリーズの性能比較です。
GFX100 | GFX100S | GFX50SII | |
発売日 | 2019年6月 | 2021年2月 | 2021年9月 |
画素数 | 約1億200万画素 | 約1億200万画素 | 約5140万画素 |
撮像素子 | 裏面照射型CMOSセンサー | 裏面照射型CMOSセンサー | ベイヤ―CMOS センサー |
映像エンジン | X-Processor4 | X-Processor4 | X-Processor4 |
低照度AF限界 | -5.5EV | -5.5EV | -3.5EV |
手ブレ補正 | 最大5.5段分 | 最大6段分 | 最大6.5段分 |
AF方式 |
位相差+ コントラストAF |
位相差+ コントラストAF |
コントラストAF |
ファインダー | 0.5型576万ドット | 0.5型369万ドット | 0.5型369万ドット |
質量 | 約1400g | 約900g | 約900g |
2019年に発売されたGFX100は1億画素超えの中判カメラとして業界でも話題になりました。
価格も100万円を突破し、決して安いとは言えるものではありません。ボディの質量も約1.4kgと、それなりの重さ、大きさとなっています。
そして今年2月、GFX100Sが登場。ここで驚かされたのが、大きさと質量。1億画素の中判カメラでありながら何と約900g。
キヤノンのフルサイズ一眼レフEOS5D MarkIVが約890gですので、重さはほとんど変わりません。
市場価格も約70万円と安くはありませんが、頑張れば手の届くレベルにまで来ました。
そして9月にGFX50SIIを発売。画素数は約5000万画素とGFX100シリーズより画素数は半減したものの、大きさ・質量はGFX100Sと同じで、価格は40万円台とかなりお求めやすくなりました。
中判カメラのメリット(GFXシリーズ)
GFXシリーズのセンサーサイズは43.8×32.9mmであり、これはフルサイズの1.7倍の大きさになります。
大きなセンサー搭載により、大きな受光面積を各ピクセルで持つことが可能であり、それが広いダイナミックレンジと豊かな階調再現を実現してくれます。
GFX100Sで撮影した作例
色づき始めたブナの木。今年は例年より、色づきが遅れていました。
1億画素ともなれば、わずかなブレが写真にも影響してしまいますので、三脚とレリーズを使用して撮影しました。
初めての中判ミラーレスでの撮影。少しワクワクしながらシャッターを切りました。
なんて静かなシャッター音なんだろう。フィルム時代、中判カメラを使用していたので、あの大きな「ガシャ」という音に近いものを想像していましたが、想像とは大きくかけ離れていて、周りが騒々しい場所ならシャッター音が聞こえないほど静かな音でした。
中判と言えど、ミラーレス一眼だからこのような事が可能なのでしょう。
やはり1億画素となれば、描写力はさすがの一言。
写真を撮るたびに液晶モニターで拡大し、その描写力に「スゲェ~」と独り言。
この画像ではわかりにくいですが、パソコンで拡大していくと葉っぱの葉脈までもがしっかりと描写されています。
また、その質感描写には目を見張るものがあり、中判カメラのメリットを十分に感じることができました。
雨に上がりの瑞々しいブナ林。
わずかに霧が漂う状況の中、ブナ林を見上げて撮影しました。
少しハイキー調に仕上げるため、露出を大幅にプラス補正しています。
見上げて撮影する場合、ファインダーを見ての撮影は体勢がキツイので、チルト式の液晶モニターを見ながら撮影しました。
ここでまた驚きがありました。それは、液晶がとてもキレイだという事。
スペック上では約236万ドットですが、それ以上に美しく感じる高精細液晶モニターは、撮影時だけでなく再生時にも大活躍でした。
高画素機が使いたくなるシーンであり、その性能を発揮できる遠景描写。
GF100-200mmの望遠側で紅葉の美しいところを切り取って撮影しています。遠くの風景ですが、枝や葉っぱなどの細部までしっかり再現されており、1億画素の実力を遺憾無く発揮してくれています。
ブナの老木。千手観音の手のように、幹からたくさんの枝が分かれている姿に魅せられ、色づき始めた葉を入れて撮影しました。
この老木の木肌や幹に生えている苔など、とにかく立体感と質感描写が半端ないです。
この場所は何度か訪れていて、過去に富士フイルムのAPS-Cサイズセンサー搭載モデルX-T3でも撮影したことがありますが、まったく違う再現力です。
画素数の影響もあるとは思いますが、やはり中判カメラだから得られる画像なんだと感じました。
霧のブナ林。1本の巨木を主役に、わずかに色づいた葉っぱを入れて撮影しました。
今回撮影した中で、個人的に気に入っている写真です。
その理由として、もちろんロケーションの良さもありますが、GFXが描いてくれたこの空気感のある画像が素晴らしい。この写真を見ると、撮影していた時のブナ林の雰囲気を思い出します。
質感や立体感だけでなく、その場の空気感まで写してくれるのが中判カメラなんです。
車を運転中に見つけた風景です。
しかし、車を駐車する場所もなく、窓を開けて車内から手持ちで撮影した1枚です。
高画素になれば、ブレに対してはとてもシビアになるものですが、最大6段の補正効果が得られるボディ内手ブレ補正機能のおかげで、1/45秒のシャッタースピードでは問題なく撮影できました。
もう少し遅いシャッタースピードでもブレなさそうですが、このような遠景描写ではできる限り速いシャッタースピードで確実に捉えたいものです。
高原に群生するススキ。光がなかったので少し残念でしたが、それでもキレイでした。
ここでご覧いただきたいのは、背景のボケです。絞りF8でもこのボケの量です。
中判カメラの大きなセンサーともなると、ボケも表現しやすくなります。その反面、近景から遠景までピントを合わせたい場合は、フルサイズやAPS-Cサイズセンサー機で撮影する時より絞り込む必要があります。
ここまで風景写真のことばかり書いてきましたが、ボケが出しやすくなるということは、ポートレートの分野でも使いたくなるカメラです。
GFXライブラリ
まとめ
今回、GFX100Sを使用したのは1億画素の実力を試してみたいという思いもありましたが、中判ミラーレス一眼の表現力と小型軽量化されたボディの機動力を感じてみたいという気持ちが強くありました。
結果、中判カメラの実力に感動しっぱなしでした。作例のところでも書きましたが、立体感や空気感までしっかり描写してくれる素晴らしいカメラです。
パソコンのモニターで拡大していくと、その驚異の描写力に感動するばかりですが、やはりこのクラスのカメラとなると、パソコンのモニターではなく、大きなサイズにプリントして、さらにその良さが伝わるのだろうと感じました。
ですから、このブログの写真からは、中判カメラの良さを100%お伝えできませんが、間違いなく素晴らしい描写をしてくれます。
今回は1億画素のGFX100Sを使用しましたが、5000万画素モデルのGFX50SIIでも同じような結果が得られると思います。価格も手の届くところまで来ました。
パソコンへの負担を考えると、1億画素より5000万画素の方が扱いやすいと思います。
GFXシリーズは風景写真をじっくり撮りたい方には、ぜひオススメしたいカメラです。
富士フイルムの美しい「色」も魅力です。
今回私も使用して、本当に欲しくなりました。もちろん、すぐには買えませんが、いつかは手に入れたいと思う1台でした。
今回の撮影機材
カメラ:フジフイルムGFX100S
レンズ:GF32-64mm F4 R LM WR / GF100-200mm F5.6 R LM OIS WR
撮影日:2021年10月22日・10月26日
この記事に関するお問い合わせは・・・なんばマルイ店 池田まで