プロミネント用ウルトロン VS ズミクロン オールドレンズ一番勝負!

どうも皆さん、お久しぶりです。

レモン社銀座教会店……もとい、ナニワグループオンラインの中村でございます!


前回の投稿からかなり月日が経ってしまいましたが、昨年の10月末より大阪転勤、オンラインショップ配属となっておりました。

最近、御無沙汰しておりましたが、裏でこっそり色々と機材をため込んでおりました。
そろそろネタも溜まってきましたので、少しずつ発信していければと思います!

それではさっそく今回のお題はこちら。

プロミネント用ウルトロン50/2 です。

フォクトレンダーのレンジファインダーカメラ「プロミネント」用の交換レンズですが、レンズ自体にヘリコイドがありません。

そのため、ヘリコイド付きの距離計連動ライカMマウントアダプターを装着しております。

こちら、アダプター距離計調整済みで販売されていたものを入手いたしました。

プロミネント本体につきましては、以下の記事ご参照ください。

【商品レビュー】フォクトレンダー プロミネントと一緒に。

今回は、こちらのウルトロンの実写テストを行いたいと思います。

タイトルですでにモロバレしていますが、こちらの性能検証にあたって、比較対象を用意しています。

いわずと知れた銘玉中の銘玉、ズミクロンM 50/2です!

バリエーションとしては第3世代で1979年以降の製造、1950年代に作られたウルトロンと比較するのは少々酷でしょうか。

しかし、スペック的には同じ焦点距離50mm、開放F値2のレンズでございます。

今回は、この2本のレンズで実写比較・テストした結果をご報告いたします。

はたして、オールドレンズ界のレジェンドに対して、ウルトロンはどれだけ伍することができるのか。いざ、勝負!!!

※使用したボディはFUJIFILM X-S10、テスト画像はフィルムシミュレーション「PRO Neg.Std」と「Acros+Rフィルター」にて撮影しています。
今回はAPS-C機でレンズの「おいしいところ」だけ切り取っての比較になります。ご承知おきを。

なお、めんどくさい比較とかは興味ないから作例だけ見たいよ! という方は、以下より作例に飛べますのでご参照くださいませ。

作例はこちら!

【比較撮影テスト】

聞き及んだところによりますと、こちらのウルトロンは「像面湾曲」が顕著なレンズとのことですので、我が家の本棚でまずは像面の平面性をチェック。F2F2.8F4 F5.6

左端に注目していただけますと、周辺部の像がふんわりしているのがはっきりと分かります。こちらは絞っていくにつれ、徐々に改善されていきます。

続いて、ズミクロンでテスト。

F2 F2.8

F4F5.6

さすがのズミクロンも、開放ではわずかに周辺部が甘めなのが分かりますね。

次に玉ボケチェックです。

F2F4

ウルトロンで撮影。多少絞ればきれいな玉ボケになりますので、口径食ではないように感じます。

素人目では、これが像面湾曲によるものなのか、他の収差なのかは判別がつかないところですが……。詳しい方、ご意見いつでもお待ちしております!

次はズミクロンです。

F2F4

ズミクロンも開放だと若干ざわざわしていますが、F4まで絞ると乱れがほぼなくなります。玉ボケがカクカクしているのは、若干好みが分かれるかもしれませんね。

続いて、屋外で本格的な実写比較です。

ウルトロン 開放F2

ズミクロン 開放F2

まず目につくのは、後ボケの暴れ方。ウルトロンは若干ぐるぐるボケのようなざわっとしたボケ方をしています。こちらでも玉ボケがくし形になっているのが確認できます。

さすがに世代がかなり離れていますので、色の乗り方やシャドウの描写力などはズミクロンのほうが若干優秀に見えますね。

とはいえ、合焦部の立体感などはウルトロンも負けていません。


次に絞って撮影したものを。

ウルトロン F4ズミクロン F4

ウルトロンは開放での暴れ具合から一転して、シャープで生真面目な写りに化けました! 絞りを変えることで大きく描写が変わる、いかにも「オールドレンズらしい」楽しみかたができますね!


以上でひとまず比較検証を終わりにします。

ウルトロン、今回使ってみまして総評としましては、開放でこそボケは暴れるものの、絞ればかっちりした写りを見せてくれる優秀なレンズだと感じました。

強い個性を持ちつつも、きっちり絞ればお利口な写りもこなせる、使いこなし甲斐のあるレンズと言えるでしょう!

距離計連動式ライカMマウントアダプターで使っていますので、いずれM型ライカで使ってフィルムでの写りも確かめてみたいところです。


【ウルトロン50/2 作例】

続いてウルトロンのみの作例を掲載していきます。 ほぼすべて絞り開放での撮影です。

まずはカラーで。フィルムシミュレーションは「クラシッククローム」です。

程よく褪せた色合いが、秋の雰囲気に似合います。後ろの葉っぱが盛大にぐるぐる暴れていて面白いですね。

こちらも開放で撮影。ハイライトがうっすら滲んでいい感じです。

ちなみに、プロミネント用のレンズだとノクトン 50/1.5のほうが有名ですが、作例をみてウルトロンの「クセがある」描写に惹かれて衝動買いしてしまった次第です……。

ライカだと、大口径のズミルックス50/1.4のほうが個性的な写りをする一方、ズミクロンは堅実な写りをすることでつと知られています。

しかし、プロミネント用のノクトンとウルトロンでは、ウルトロンのほうがクセ玉でノクトンのほうが素直な写りをしてくれるとの話をよく聞きます。

真逆で面白いですね~。

続いてフィルムシミュレーション「Across」でモノクロ撮影。うっすらフレアが出ており、それがノスタルジックな感じを演出してくれています。

普段から花を撮ることの多い私からすると、ズミクロンは少し「よく写りすぎる」感じがします。

こういう「ぬるりとした」写りをしてくれるウルトロンのほうが、描写としては好みかもしれません。

中之島の中央公会堂付近で、結婚式の前撮りカップルに遭遇。ポーズを決めているところにスッと忍び寄って後姿を拝借いたしました。

カメラマンの方からしたら、「なんか変なレンズで写真撮ってるやつがいる……」と不審に思われたかもしれません……。

日差しが強い日にふんわりしたレンズを使うと、なんとも非現実的な写真が撮れますね。

砂利の地面は格好のぐるぐるボケ採取スポット!  

こちらはF4に絞って撮影。橋の下の部分、水面の反射を丁寧に描写してくれています。

うっすらベールがかかったような、上品な前ボケも魅力的です。

他に同スペックのズマール L50/2なども「柔らかい」レンズだといわれますが、それとはまた違った雰囲気を醸し出しています。

ズマールにつきましては、以前わたしの書いたブログを貼っておきますので、ご興味がある方はご一読ください。

【新入荷情報】やわらかオールドレンズ ズマール L5cm/2

長くなりましたが今回は以上です!


なお、最後にマウントアダプター事情について補足です。

今回、私はMマウント変換アダプターつきでレンズを入手しましたが、こいつがなかなかのクセモノ。

レンズ自体は比較的簡単に手に入るのですが、アダプター単品が平気で3~4万円するのが普通です。ほとんど出回っていませんゆえ……。

そのため、レンズだけお持ちでミラーレス等での再利用をお考えの方は、茨の道となりますのでお覚悟を……。

なお誠に申し訳ございませんが、弊社ではプロミネント用マウントアダプターは、現在取り扱いしておりません。


それでは最後までお読みいただきありがとうございました!

また次のブログでお会いしましょう~。