【初心者注意報 002】期限切れフィルムの罠

【初心者注意報】 第2回

こんにちわ、中の人です。

今回は、期限切れフィルムについて、中の人なりに、説明させて頂きたいと思います。

昨今、こちらの「期限切れフィルム」が流行っているようですが、このようなフィルムを使って撮影することのリスク・注意点をまとめています。

「期限切れフィルム、使ってみたい!」という方は、まず一度こちらのブログに目を通していただけますと幸いです!

■目次
【フィルムには有効期限がある】
【今はもう現像できないフィルムも】
【期限切れフィルムを現像するリスク】
【期限切れフィルムをほどほどに楽しむ】

【フィルムには有効期限がある】

期限切れ!? フィルムの期限? 消費期限? 賞味期限?

なかなかご存じないかもしれませんが、フィルムには有効期限があります。
有効期限とは、指定された保管状態でカメラ装填後すぐに現像処理をした場合に発色等を保証する期限となります。

簡単に言うと「しっかりと保管してあり、すぐ使い、すぐ現像した時に、まともな色が出る期限」です。

フィルムは生物(イキモノではなくナマモノ)だと思って下さい。

たとえ指定された方法で保管していても、有効期限を超えて時間がたてば、感度が下がって色調もくるってしまいます。

【期限切れフィルムはどう写るかは分からない】

昨今、このバランスの崩れた色調がひそかなブームとなり、インターネット上では色々な期限切れフィルムが販売されている。

20年ほど前にもエフェクトフィルムのブームがあったが。

カラーバランスの崩れた写真、オシャレと言えばオシャレ。エモいと言えばエモい。

ただし、オークションで手に入れたフィルムを使ったからと言っても、思ったような色になることはほぼない。

現像をしてみないと、どんな仕上がりになっているかも解らない的な危険な賭けだ。

具体的にどのような写真になるかは、以下の記事をご参考までに。
約20年前に期限切れした120フイルムを使ってみた【コラム】

この写真のように真っ黒だったり、逆に真っ白だったりすることも。

場合によってはお店に受付を断られた、追加料金を取られたが納得のいく仕上がりでなかった。。。などの問題が発生する可能性も。

ちなみに、こちらのブログのフィルム現像は、社内のゲンゾウナニワで行っています。
稀にうまく感度を調整することができ、自分の思ったほうに色が転び、「こいつは使える!」となることがある。

しかし、同条件同保存で同ロット10本パックなどで購入していない限り、それきりとなってしまう。

【今はもう現像できないフィルムも】

なぜ中の人が、ここまで言うかというと。

フィルム写真を始めたばかりの知人やお客様が、よく騙されて酷いフィルムをネットオークションなどで落札してしまい、途方に暮れているからだ。

とてもひどいのは、「K-14」現像のコダクロームを買ってしまった初心者さん。

コダクロームは2010年現像終了しているフィルム。ほとんどの店ではもう現像することができません。

2010年にアメリカ カンザス州のドウェインズ・フォト現像所で最後のコダクローム現像が行われたことは有名で、ナショナルジオグラフィックで特集番組が作られたほど。

最後のコダクロームで撮影を行った写真家・Steve McCurry氏がYouTubeにアーカイブを公開しています。


National Geographic: The Last Roll of Kodachrome

もともとコダクロームは特殊な現像処理が必要なフィルムで素人が使うものじゃないだけに、オークションで出品している人物は現像できない事をほぼ知っているに違いない。

絶対にコダクロームシリーズは買わないように。

また、赤外フィルムは期限が1年ほどしかない特殊物なので期限切れは使えないと思ってください。

数十年前の赤外フィルム(HIEなど)も、オークションに上がってますが買わないようにしましょう。

【期限切れフィルムを現像するリスク】

なぜ今回ここまで期限切れフィルムについてくどくどと注意するのかというと、現像する店の側からすると非常に厄介だからです。

例えば、ひと昔に「数十年前のドイツ軍の塹壕後から見つかった、予測不能の発色をするフィルム。在庫ロール限りの限定発売」という謳い文句のフィルムがあった。

このフィルム、古いうえに廃棄パトローネ内に残ったフィルムカスにセロハンテープで得体のしれないフィルムを張り付けて販売したものだった。

一般の現像店での現像時には、セロハンテープが邪魔をして現像中に現像機が止まってしまったり、古すぎて剥がれた乳剤面が液中に漂い、他のフィルム引っ付いたり。

現像液が駄目になったり、ひどい場合は現像機のカッター刃が壊れてしまったりする事故が起こった。

この時、他のお客様のフィルムも同時に現像していると大変な事になる。

普通、現像は2本一緒に流すことが多い。

事故を起こす確率が多いフィルムと一緒に、自分のフィルムが流されるとしたら、どう思いますか?

いやですよね。事故られたらとんでもないですよね。。。

実際、私は経験があり、そのフィルムのせいで一度に20本10数人のお客様のフィルムが駄目になった事がある。

フィルム現像全盛期だったので、被害が拡大したのだった。販売元は、海外から輸入したなどの言い訳で話にならず苦労したのを覚えている。

そのため、申し訳ございませんがゲンゾウナニワでは期限切れフィルムの現像には330円の追加料金を頂戴しております。
【写真現像サービス】現像追加料金330円

通常の現像+データ化等とあわせてカートに入れてご注文ください。

【期限切れフィルムをほどほどに楽しむ】

個人的には、ずっと前に使用期限の切れたフィルムはなるべく使わないのがいいかと思います。パトローネだけキーホルダーにしたりして楽しむのが良いのかなと。

でも、どうしても使いたいという方は、、、5年ぐらいの物なら特に問題なく現像できることが多いです。

現像に出す際に「期限切れです」と一声かけていただければと思います。

しかし、あまりにも古いものは先ほど説明したような事情がありますので、ちょっと難しいかもしれません。

時間と追加料金など頂き、事故が起こらないよう一日の最後に1本づつながして、現像後に現像液の確認と濃度の再調整を行っているお店はあります。

そういった店を探して相談してみてはいかがでしょうか?

以上、長くなりましたが期限切れのフィルムで撮ることの楽しさ自体は否定しません

しかし、期限切れフィルムにはいろいろなトラブルがつきものということだけ知っておいてください!

それではみんな、ほどほどの期限切れフィルムで、楽しく写真を撮りましょう!


今回はここまで。
でわ、でわ、See you next time !!