カメラ沼の深層 カメラのナニワ 梅田2号店

令和3年にCONTAX TixでAPSフィルムを使ってみた件

APSフィルムnexiaとCONTAX Tix

今回は未開封のAPSフィルムが手に入ったのでそれを試した企画です。

未開封のAPSフィルムにも興奮が抑えられず今年いっぱいは興奮しっぱなしです。

年の瀬ぐらい落ち着きたいところですが、そうも言ってられないぐらい興奮するものがあります。

その興奮はブログでお伝えしたいと思っておりますのでいつかのブログで興奮を解き放ちます。

誰が興味あんねんっていう類のブログ(今回もそう)。


【伝えたいこと】

  • APSフィルムというフィルムが存在していたこと
  • CONTAX Tixというカメラのこと
  • 期限切れのフィルムの写り

この三点をご紹介していきたいと思います。

ちなみに、先にお伝えしておくと、APSフィルムは約10年前に生産完了しており、ほぼ入手不可能です。

また、手に入れたとしても、確実に期限切れとなっています。

APSフィルムの現像やプリントは自店で処理できないことが多く、外注となっておりますのでご注意ください。

ややこしい話は置いておいて、作例だけ見たい方はこちらをどうぞ。

【作例はこちら】


【APS=アドバンストフォトシステム】

英語直訳で「先進的な写真機構」

つまりは新しいフィルムのフォーマットでした。

名称が時代の最先端を行く画期的なシステムって感じがしていつの時代に聞いてもかっこいいですね。

皆の衆は「APS」と聞くと何を思い浮かべますか?

今の時代だとダントツで「APS-C」に関することが多いと思います。

APS-Cセンサーや、そのセンサーを搭載したカメラ、少数派だとAPS-HセンサーやライカM8、キヤノン1Dシリーズがいるかな。

ちなみにデジタルのAPS-CやAPS-Hは、フィルムのAPS-C、APS-Hとまったく同じではないのでご注意ください。

APSフィルム

これがAPSフィルムのネガ。

35mm判フィルムとAPSフィルム

となりに1コマ36×24の35mm判のフィルムを並べてみました。 APSフィルムは1コマ30.2×16.7です。

35mm判フィルムとAPSフィルム

重ねてみると横幅の長さが明らかに違うのがわかると思います。

ややこしい話

筆者が今の時代だからこそややこしいと感じたお話です。

当時、APSフィルムを使用していた方なら理解されていることだと思いますのでスルーしていただいて結構です。

何があったかと言うと、ファインダー内のブライトフレームが3:2の状態で撮影しました。

現像後データ化された写真の比率は約16:9だったのです。

比率画像

比率画像を作成してみました。

上の画像のようにファインダーで見ている範囲は線内の3:2の比率で、データ化された写真はフィルム1コマの全体16:9の比率で、ファインダーで見た光景より左右が広く写っていました。

当時、APSフィルムは撮影後プリントする際に16:9のH、3:2のC、3:1のPが選べるようになっており、ほとんどの方が3:2でプリントをされていたそうです。

方法は16:9の長辺を切り、3:2でプリントをする。

ですので、3:2の前提で使用するカメラだった。

しかし、APSフィルムは撮影すると16:9(フィルム全面積)で露光されます。

データ化をするとそのまま16:9比率のデータになります。

当時はL判プリント(3:2が多い)、現在はデータ(16:9)で乖離が発生していたのです。

ホント今だからややこしくなるお話でした。

後々知ったのですが、CONTAX Tixは

CONTAX Tix

ファインダー横のC、H、Pどれかに設定するとファインダー内のブライトフレームが設定した比率に変更されるようになっています。

ですので、アタクシの認識不足と知識不足により余計ややこしく感じてしまいました。

ちなみにそれぞれのクロップ係数は以下の通りです↓

APS-H=16:9
クロップ係数は1.25倍 35mm判換算35mm

APS-C=3:2
クロップ係数は1.51倍 35mm判換算約42mm

APS-P=3:1
クロップ係数は1.37倍 35mm判換算約38mm


【CONTAX Tix】

CONTAX Tix

ざっくりとしたスペック

レンズ Sonnar T*28mm F2.8(4群6枚)
撮影距離 0.35m~∞
シャッター

15秒~1/1000秒
(絞り開放時、最速1/500秒)

露出制御 プログラムAE、絞り優先AE
使用電池 CR2リチウム電池(1個)
大きさ 幅100.5×高さ60.5×奥行き33mm

重さ

225g

1997年に発売されたカメラでAPSフィルムを使用する唯一の高級コンパクトフィルムカメラ

T2のようなチタン外装でT3のようなコンパクトさでルックスが大変すばらしい◎

ショーケース内に並べているとよく声がかかります(結局使えないことを案内するしかないけど)

絞り優先AEプログラムAEが使用できる使いやすいカメラです。

日付・時刻設定、タイトル、撮影時の露出を磁気情報として記録することができました。

日付印字は4種類で
月・日・年
日・月・年
年・月・日
時・分
の4種類と印字なしが選択できます。

これらはプリントの際に写真の両面か裏面のみに印字するかを選択できました。

タイトルはいわゆるキャプションと同じで6か国語、9種類のタイトルを設定可能で日本語、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語の6か国語。

オメデトウ、アリガトウ、アイラブユー、
パーティ、タンジョウビ、ケッコン
メリークリスマス、アケマシテオメデトウ
ソツギョウの9種類のタイトルです。

これらはプリントの裏面のみに印字されます。

余談ですが、今回撮影した際に
Joyeux Noël 
(フランス語のメリークリスマス)や
パーティや露出設定を磁気記録しました。

しかしながら、これらはすべてプリントされるときに印字されるものであり、今回のデータ化では無意味でした。

せめて露出記録だけでも見たかったな……。

仮に情報を記録できたとしてもプリンター側が壊れている可能性もありますので、必ず印字できると思わない方がいいです。

その逆パターンもあるのでね、、、

20年も経過してますしね、、、

隠しフードギミック

そして、Tixで最もスタイリッシュだと思ったところが
フードが内蔵されている機構です。

CONTAX Tix

電源を入れて繰り出したレンズ鏡胴を反時計回りに回すとフードが外れます。

CONTAX Tix

フードを逆さにし、ねじ込めば装着完了です。これはあえてフードを浮かせています。

CONTAX Tix

しっかりとフードを付けるとこのようになります。主張しすぎずかっこいいです。 所謂フードの逆さ付けと同じです。


この隠しフードのギミックがかっこよすぎてツボなんですよね~

コンパクトなのにこういう機構もあってよくできているカメラですね。


【作例】

※カメラはCONTAX Tix Sonnar T* 28/2.8二台体制
※使用したフィルムはnexia 400 25枚撮り
※2009年5月に期限切れ

※スキャン時に自動補正有

補正アリナシの比較

12年前に期限が切れているので、自動補正アリと可能な限り補正を外したものを比較したいと思います。

歩道橋と銀杏

スキャナーの自動補正アリ 補正アリとはいえ、全体的に彩度が低い印象です。

歩道橋と銀杏

出来るだけ補正をしない(階調補正なし) 可能な限りの補正を外してスキャンした結果は 全体的に黄緑色がかった写真になりました。

木とビルと空

自動補正アリ。シャープさは素晴らしく12年前に期限が切れたとは思えない描写(Sonnarが優秀なのかも)。やや褪せている感じは見受けられます。

木とビルと空

可能な限り補正を外した方。なんだか黄色っぽく変な色合いです。

ピンボケ写真

自動補正アリ。そもそも露出アンダーでピンボケの写真です。

ピンボケ写真

可能な限り補正を外した方。なんかくすんでますね。自動補正って偉大だと感じます。

こんな感じで12年も経過しているとまともではないですね。

しかしながら、写真にもよりますがスキャナーの自動補正は結構綺麗に補正してくれますね。

スキャナーには感謝です。

ここからは自動補正アリの作例のみです。

手すりの影

こちらも非常にシャープに写っている写真。Sonnarの力もあるかもしれない。 しかし、3:2が良かったな。まぁ自分でトリミングできるんやけども。

盆栽と自転車

自転車の荷台に盆栽という令和的風流。盆栽とにけつすることは孤独を感じなくて良いのかもしれない。

赤と緑の葉

期限切れのわりに色が綺麗に出ています。これもSonnarのおかげかな?

CONTAX Tix

TixでTixを撮影。期限切れっぽく少し色褪せています。そして、この写真は3:2の比率が良かったな。

自転車を漕ぐ人

こちらも16:9の恩恵を受けた奥行きを感じる写真。

カレーピザ

atarizzaにてカレーピザ。卓上の写真も撮れるコンパクトは便利でいいですね。ピザ屋に来てもらうのではなくピザ屋をしばく(方言)のは焼き立てが食えてめちゃめちゃ美味しいです。

焼き窯で調理する人

そんなピザは大きな焼き窯の薪火で焼かれています。

ピンボケ写真

コンパクトフィルムカメラ特有のピン外れ。暗いところにピントを合わせるのが苦手なので奥の明るいほうにピントを合わせてしまっています。

鏡越しのツーショット

こちらもコンパクトフィルムカメラの苦手とする鏡越しの写真。手前の鏡に文字があるのでそちらにピントが合ってしまいました。

裏ダブルピースする男性

シュウペイではなくワカです。クリスマスっぽい背景でフランス語のメリークリスマスを印字したつもりの写真。 APSはプリント時に印字されますのでお気をつけて...

夜の千日前

夜でも開放2.8で露出補正+1.5で手ブレしないように構えて撮れば上手いこと撮れました。 もちろん、自動補正の恩恵もあります。

ピンボケ写真

ストロボを焚くとなったもそもそものピント合わせは暗い状況ですからこういう場でも外しがちなのがコンパクトフィルムカメラですね。え?誰や今鈴木そ〇子みたいって言うたん。誰が鈴木そ〇子やねん!

カメラを構える人

ストロボ焚いてもしっかり立体感があってシャープに写るこのTixはAPSカメラのテッペンやな。


いかがでしたでしょうか?

いろいろ長々と書きましたけど

  • APSフィルムについて
  • Tixについて
  • 期限切れフィルムの写り

それぞれ伝わりましたか?

今さらAPSフィルムを使ってブログ書く人なんてほとんどいないと思うのであえて書きました。

自分が生まれた頃の歴史を知れて個人的には満足です。

少しでもこういう「コト」、「モノ」があったことを知っていただければと思います。

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