カメラのナニワ京都店阿部です。
今回紹介する商品は個人的に最近お気に入りのレンズ、Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4です。よろしくお付き合いください。
【NOKTON classic 40mm F1.4とは】
NOKTON classic 40mm F1.4は2004年にコシナから発売された、ライカMマウント互換であるVMマウントのマニュアルフォーカスレンズ。
「NOKTON(ノクトン)」とはフォクトレンダーの明るい大口径レンズに冠される名称。「classic 」はシリーズ名であり、古典的レンズ構成を最新技術で再構成したものとされています。
2004年に一体何があったのか調べてみると、【Photokina 2004】でMマウントの新生ツァイス・イコンが発表されたり、世界初のレンジファインダー式デジタルカメラ「EPSON R-D1」が発売されたりして、Mマウントがなかなか盛り上がった年のようです。
2022年のいま、なぜこちらのレンズを取り上げるのか。
昨年2021年はニコンからZ 40mm f/2、ソニーからはFE 40mm F2.5 G、そしてリコーからGR IIIxなど、40mm(相当)のレンズ・デジカメが各社から発売されました。
カメラ市場で40mmがブームとなるのに合わせて、このレンズへの注目度も再上昇しているのを実感しており、今回レビューを企画しました。
F1.4の大口径でありながらこのサイズ感。見た目や質感が素晴らしいのはもちろん、絞りリングのクリック感やピントリングの操作しやすさも癖になります。
なお、レンズフードは別売りです。
こちらのNOKTON classic 40mm F1.4はSC(シングルコート)とMC(マルチコート)の二種類があります。
SCはクラシカルな色調、MCの方は限りなくニュートラルな色再現とのことですが、恐らく逆光耐性もMCの方が少しあるかと思われます。
ネット上ではSCの方がよりオールドに近く、人気がありそうですが、後述するようにMCでも十分レンズの癖が出て来てくれます。今回はMCで作例を撮っております。
【ライツミノルタCLという選択肢】
40㎜の視野枠が表示されるレンジファインダー機は非常に少ないのですが、
ライツミノルタCLには40mmのファインダー視野枠がありますのでこのレンズにピッタリ。
というわけで今回は、ライツミノルタCLにNOKTON classic 40mm F1.4 MCを装着して作例を撮ってみました。
ちなみに事前の注意点として、フードを装着すると距離計窓が若干さえぎられます。シビアなピント合わせが必要な時はフードを外した方が良いかもしれません。
また、ライツミノルタCLについての詳しい解説は以下の記事もをどうぞ。
【コラム】カメラ今昔物語 【ライツミノルタ CL&ミノルタCLE 編】
それでは、以下作例です。
【作例】
Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (Kodak ProImage100) Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (Kodak ProImage100)
Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (Kodak ProImage100) Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (Kodak ProImage100) Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (Kodak ProImage100)Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (Kodak ProImage100)
レンジファインダーということで、パンフォーカスでの撮影が多くなりました。
かの巨匠、アンリ・カルティエ・ブレッソンはスナップ撮影の際、「晴れた日は絞りをF8、シャッタースピードを1/125秒、距離を5m」で固定して撮ったという逸話がありますが、40mmの場合はF5.6でも十分ピントが合ってくれます。
周辺部までシャープに解像し、発色も綺麗で、「めちゃくちゃ(良く)写るやん」と思わず声を上げてしまいました。
このあたりは流石現代レンズといったところ。
Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (ILFORD DELTA 100 )Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (ILFORD DETLA 100 )Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (ILFORD DELTA 100 )Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (ILFORD DELTA 100 )Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (ILFORD DELTA 100 )
モノクロのパンフォーカスだとまさに「切れ味抜群」。
今回モノクロで使用したフィルム、ILFORD DELTA 100の細かい粒状性、シャープさも相まって、ストリートに合う仕上がりに。
50mmでも35mmでもないこの絶妙な画角はスナップにピッタリ。私にとってはかなり使いやすく感じました。
では絞り開放付近だとどうでしょう。
Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (Kodak Pro Image100) Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (Kodak Pro Image100)
Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (Kodak Pro Image100)
Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (ILFORD DELTA 100 )Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (ILFORD DELTA 100 )
開放気味にすると一気に線の柔らかい描写に早変わり。
ボケは少しざわついている印象。それでいてピント面に関しては浮きだつようにしっかり描写されます。
古典的描写と現代レンズの解像感が伴ったまさに唯一無二の写りですね。
F1.4の大口径レンズですので、ポートレートにも良いでしょう。
Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (Kodak Pro Image100)
ボケの質に関しては背景がすっきりしていると気になりませんが、ごちゃついた背景だと収差によって玉ボケの形は安定せず、ぐるぐるボケの傾向もあり、騒がしくなります。
上の写真はF2.8で撮影しましたが、逆光だとゴーストが結構写りこんでいるのがわかります。
SCタイプではもっと癖が出てくるのだと思われますが、ご覧の通りMCタイプでも十分特徴的です。
Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (Kodak Pro Image100)Leitz Minolta CL + NOKTON classic 40mm F1.4 MC (ILFORD DELTA 100 )
ただ、なんでしょう。私はこのボケ味、引き込まれるような感じがしてすごく好きです。
(なんとなく海外写真ぽいボケだなあと感じるのは私だけでしょうか。)
自分の実力ではライツミノルタCLのピント合わせにビビッて、F2とかF2.8で撮ることが多かったですが、ミラーレスカメラでピーキング機能を使えば躊躇なくF1.4での撮影もできるでしょう。
ちなみに↓はFUJIFILM X-T4につけてF1.4で撮影したもの。FUJIFILM X-T4 + NOKTON classic 40mm F1.4 MC
F1.4はなかなか暴れてくれます。
【まとめ】
いかがでしたでしょうか。
NOKTON classic 40mm F1.4は新品で買えるMマウントレンズとして非常に手に取りやすい価格ながら、するどい写りの持ち主です。
今の優秀なレンズと違って絞りによって描写が明確に変化するので、使いこなすのが楽しいレンズ。
少々変わった画角ですが、CLと合わせてM型ライカ入門用として使ってみてはいかがでしょうか?
ナニワグループオンラインでもお取り扱いございますので、ご検討ください。
カメラのナニワ京都店 阿部