さらに加速した機動力 OM SYSTEM OM-1 実写レビュー

こんにちは。なんばマルイ店の池田です。

さて今回は、先日発売が発表されたばかりの注目の新製品OM-1の使用レビューをお届けいたします。


2021年オリンパスからOMデジタルソリューションズに社名が変わり1年以上が経過しました。

カメラボディのロゴはどうなるのかな?と思っていましたが、ちゃんと「OLYMPUS」のロゴが入っています。また、新たに「OM SYSTEM」の文字も見られます。

今回ご紹介するOM-1は、これまでのオリンパスのフラッグシップ機(E-M1X、E-M1 MarkIII)より飛躍的に進化しています。

商品名もこれまでの「E-M1」シリーズの名称ではなく「OM-1」となったことで、今までの商品とはまったく別物だと感じさせてくれる代物です。

それでは、具体的にどこがどう変わったのか、進化のポイントを掘り下げて紹介していきたいと思います。

■目次
【外観】
【主な機能と進化したポイント】
【作例】
【まとめ】

外観

右がOM-1 左がE-M1 MarkIII

外観のデザインはE-M1 MarkIIIとほぼ同じような感じです。

ボディの厚みがわずかに厚くなっていますが、重量は本体のみで511gとE-M1 MarkIIIより7g重くなっただけで、持った感じでは大きく変わらない印象です。

目に見えないところでは、防塵防滴性能がIPX1からIP53に大きく性能がアップしており、より過酷なシーンでも安心して撮影に挑めるようになっています。

右がOM-1 左がE-M1 MarkIII

操作系も大きくかわっていませんが、フロントダイヤルとリアダイヤルの形状が変更されています。

また、動画のRECボタンを押す事で、手持ちハイレゾショット機能に切り替え可能です。これは初期設定の段階でボタンに割り当てられています。


ファインダーが大きく進化し、ドット数がE-M1 MarkIIIでは約236万ドットでしたが、OM-1では約576万ドットとなり、とてもクリアで見やすくなっています。

今までの機種はドット数の割にに少しネムい感じするファインダーでしたが、OM-1のファインダーはクリアでヌケの良いものとなっています。

ファインダーが良いと撮影時のモチベーションも上がりますので、自然と写真のクオリティーも上がってくることでしょう。

メニュー画面が一新されています。

今まではオリンパス独特のメニュー操作でしたが、今回のOM-1より他社の一般的なメニュー表示と同じような表記に変わりました。

オリンパス以外のメーカーを使用している方にとっては操作がしやすく感じるでしょう。


記憶媒体はSDカードでダブルスロット。

これまでのフラッグシップ機では、スロット1はUHS-II対応、スロット2はUHS-I対応となっていましたが、OM-1では両方のスロットともUHS-II対応になっています。

また、バッテリーも新型のBLX-1になり、稼働時間が長くなって使いやすくなりました。


主な機能と進化したポイント

映像エンジン

新しい画像処理エンジンTruePic Xが搭載され、これは従来の映像エンジンの3倍の処理能力を持ち、また高画質の実現にもつながっています。

手ブレ補正機能

ボディ単体での手ブレ補正効果は約7段分とE-M1X MarkIIIと変わらないものの、150-400mmレンズとの組み合わせでは、最大8段分の補正効果を発揮してくれます。


オートフォーカス

フォーカスポイントが従来の121点から1053点に大きく進化しており、その測距点はすべてがクロスセンサーとなっています。

AF方式は像面位相差クアッドピクセルAFという新しい方式になっており、より精度の高いAFを実現しています。

また、E-M1Xに搭載されていた「インテリジェント被写体認識AF」は「AI被写体認識AF」と名称が変更になりました。

今までの「鉄道」「飛行機」「車/バイク」「鳥」に加えて「犬」と「猫」が新しく追加されています。


連写性能

メカシャッター時は従来機と変わらず、約10コマ/秒ですが、電子シャッター時はAF・AE追従で約50コマ、AF・AE固定で120コマを実現しています。

E-M1 MarkIIIではAF・AE追従で18コマでしたので、大きな進化を遂げています。

連写時(電子シャッター時)はもちろんブラックアウトフリーとなっています。


高感度性能

センサーは約2037万画素の裏面照射積層型のLive MOSセンサーで受光面積が増えたことと、新しい画像処理エンジンにより高感度性能も向上しています。

従来機種のISO6400(拡張25600)でしたが、OM-1はISO25600(拡張102400)を実現しています。

他にも進化点は多数ありますが、主な進化点はこのような感じです。ここからは作例を交えて、OM-1をご紹介していきたいと思います。


作例

シャッター速度優先 1/1000秒 F13 ISO800 被写体認識AF「鉄道」

シャッター速度優先 1/1000秒 F10 ISO800 AI被写体認識AF「鉄道」


山陽新幹線、西明石駅で高速で通過する新幹線を撮影してみました。

被写体が新幹線でしたので、AI被写体認識AFの「鉄道」を選択。AFモードは「C-AF TR」にセットして高速連写で撮影しています。

被写体の認識も俊敏で、時速約300キロで走る新幹線であっても確実に捉えてくれます。

そのAF精度も抜群で、今回撮影した鉄道写真においてはピントを外しているカットはありませんでした。

連写性能もAF・AE追従で、E-M1 MarkIIIでは秒間18コマでしたが、OM-1では秒間50コマと大幅に向上しています。

鉄道写真ではここまでの連写は必要ないかもしれませんが、野鳥の撮影においてはこの連写性能が生きてくるでしょう。

OM-1では新たに「犬・猫」の被写体認識が追加されましたが、今回はテストするチャンスがなく次回、チャンスがあればトライしてみたいと思います。

絞り優先 F5.6 1/10秒 ISO3200

夕方の操車場にて出発を待つ機関車。写真では少し明るく見えますが、実際にはもっと暗い状況でした。

OM-1は-8EV(F1.2レンズ使用時)という暗いシーンでもオートフォーカスが可能ですので、これくらいの明るさであれば迷わずピントを合わせてくれます。

また高感度性能が向上したことで、ISO3200で撮影したこの写真でもノイズの量はかなり抑えられています。

従来の機種ではISO3200まで感度を上げると、ノイズは目立ってしまうレベルでした。

なので出来るかぎり使いたくない感度でしたが、OM-1ではISO3200は常用で使えると感じました。

シャッター速度優先 2秒 F20 ISO200 ライブND32

シャッター速度優先 4秒 F16 ISO200 ライブND32

手ブレ補正の効果を改めてテストしてみました。

1枚目はシャッタースピード2秒、2枚目はシャッタースピード4秒で、レンズはMズイコー12-100mm F4を装着して撮影しています。

OM-1は最大8段分の補正効果があり、ボディ単体でも7段分の補正効果が得られます。

上の写真はともに手持ち撮影ですが、ブレることなくスローシャッターならではの水の流れが表現できました。

正直なところ、シャッタースピードが2秒や4秒となりますと、中にはブレている写真もありますが、かなりの確率で止まってくれます。

オリンパスの手ブレ補正はこれまで何度もテストしてきましたが、やはり良く止まります。

シャッター速度優先 1秒 F20 ISO200 ライブND64

雪の渓谷。岩に積もった雪と水の流れを絡めて撮影しました。

E-M1 MarkIIIやE-M1Xにも搭載されていましたが、ライブNDという機能が進化して、これまでのND32(5段減光)からND64(6段減光)になっています。

ライブNDとは、露出オーバーにならないシャッター速度で途切れなく撮影した複数の画像を合成することでスローシャッター効果を得る機能です。

簡単に言えば、カメラに光量を減光するNDフィルターが内蔵されたと思っていただければと思います。

仕組みとしては複数の画像を合成するのですが、合成したという違和感はまったく感じらえず、普通にNDフィルターを装着した写真と変わらない画像が得られます。

ライブNDのメリットは、液晶でスローシャッタ―効果を確認しながら撮影できることだけでなく、PLフィルターと併用したい場合でもフィルターを2枚重ねしなくても良いこと。

さらにはフィルターの装着できない超広角レンズでもNDフィルターの効果が得られる事です。

手ブレ補正効果も高いので、手持ち撮影でライブNDを使用しての写真表現も可能です。

絞り優先 F8 1/20秒 ISO200 手持ちハイレゾショット

拡大画像

今回の撮影において、多用したのは手持ちハイレゾショットです。

ハイレゾショットとは、複数枚の画像を合成し高画素を得る仕組みで、三脚使用モードと手持ちで使用可能なモードがあります。

OM-1の手持ちハイレゾショットの場合、約5000万画素の高画質を得ることができます。

上の画像は、この機能を使って撮影した兵庫県の扁妙の滝です。厳冬期のいま、水が凍って氷瀑となっています。

冷たさ、寒さを表現するためにホワイトバランスは太陽光にセットしています。晴天時の日陰で撮影する場合、ホワイトバランスを太陽光にすることで青味がのりますので、雪景色や氷の撮影にはオススメの設定です。

こちらの機能、今までより合成時間が大幅に短くなっています。従来機種では12秒かかっていましたが、OM-1では5秒にまで短縮されました。

ハイレゾショットを使用しなくても、元の2000万画素でも一般的な写真サイズでプリントするには十分です。

しかし、風景写真などをA1サイズなどのポスターサイズにプリントする方には重宝する機能だと思います。

ただし、動いている被写体が入る場合は、うまく合成できない場合もありますので注意が必要です。

絞り優先 F11 1/30秒 ISO400 手持ちハイレゾショット

拡大画像

こちらの画像も手持ちハイレゾで撮影したものです。氷瀑の一部を切り撮った写真ですが、その中心部分を拡大してみました。

凄い質感描写です。

この機能の実力が最大限発揮されるのは雄大な風景の撮影などの遠景描写だと思いますが、被写体との距離が近い場合でも質感が表現できてオススメの機能です。

また、今回は使用しませんでしたが、「三脚ハイレゾショット」も搭載されており、その場合は約8000万画素の高画質が得られます。

シャッター速度優先 1/2秒 F22 ISO200 ライブND32

大雪の滝風景。この写真は三脚を使用し、ライブND機能をND32に設定しスローシャッターで撮影しています。

シャッタースピードは1/2秒ですので、手持ちでも撮影できたと思います。

しかし、足元は新雪で不安定な体勢だったこと、そして遠景描写だったことと、関西に住む者にとってはこのような光景に出会えるチャンスが少なく失敗したくなかったこと……などなどの理由で万全を期して三脚を使用しています。

絞り優先 F11 1/40秒 ISO400

かねてよりキャッチコピーとして掲げられていた機動力は相変わらず健在です。

OMシステムはマイクロフォーサーズ規格ということもあり、フルサイズ機やAPS-C機と比較すると、ボディだけでなくレンズも小型軽量化されています。

今回のOM-1は強力な手ブレ補正機能と高感度性能の向上により、手持ちでの撮影も用意となり三脚が使えないシーンでも快適に撮影することができます。

この写真を撮影している場所は、足元が氷っており足場がとても悪く、さらにはローアングルで撮影したかったので三脚は立てづらい状況でした。

このような過酷な状況で活躍してくれる強い味方がOM-1なのです。

シャッター速度優先 1/1000秒 F5.6 ISO800 ホワイトバランス:電球色

マイクロフォーサーズシステムはセンサーが小さいため、フルサイズ機と比較しますとボケ量が少なくなりますが、望遠レンズで絞りを開放近くにすることで上の写真のようにキレイにボカすことができます。

個人的には、M.ZUIKO.DIGITAL 40-150/2.8 PROが描写性能もボケ味もキレイでオススメです。この写真も40-150mm F2.8に1.4倍テレコンバーターを装着して撮影しています。


まとめ

オリンパス時代に発売されたE-M1 MarkIIIを初めて触ったとき、機能や操作性などには特に不満を感じなかったのですが、唯一ファインダーについては不満を感じていました。

その事は、当時の開発に携わった方に「もっとファインダーを良くしてほしい」と要望した記憶があります。

そしてこの度、OM-1ではとても見やすいファインダーを搭載して登場してきました。

私だけでなく、ユーザーの方からの声も多かったのでしょう。社名は変わっても、しっかりと要望に応えてくれました。嬉しい限りです。

そして、オートフォーカスの進化も特筆すべき事で、測距点が増えただけでなくオートフォーカスの精度、追従性能がさらにパワーアップしていると感じました。

撮影していてAFが迷ったり、ピントが甘かったりと言ったことはほぼ皆無でした。

AI被写体認識AFについても、今回は鉄道だけしかテストできていませんが、E-M1Xの時より被写体を認識する精度、スピードが向上しているように思いました。

OLYMPUSがこれまで培ってきたものを受け継ぎ、「OM」の名を冠して生まれた今回のOM-1。

OM SYSTEM初となる機種として、完璧な仕上がりのカメラだと言えるでしょう。機動性も抜群ですので、色んなシーンで活躍すること間違いなしです。

Youtubeの動画レビューのほうも、内容重複しておりますがよろしければどうぞ。

この記事に関するお問い合わせは・・・なんばマルイ店 池田