こんにちは、タカチホカメラ天神店 長島です。
自宅の部屋の片隅にあるジャンク箱には、修理ができていないカメラが眠っています。今回はその中から変わった一台をご紹介します。
12年くらい前になりますが、その当時、私は東京新宿のカメラ店に勤務しておりました。
昼休みは中古カメラ店や鉄道模型店を巡ることを日課にしていたのですが、その時に某中古カメラ店のジャンクコーナーにてデザインに魅かれて購入したカメラが。
その名も「FUJI TW-3」です。カメラっぽくない不思議な見た目をしています。
とりあえず電池なんだろう?と思って電池蓋を開けようとしましたが、ぱっと見でみあたらず。
グリップの部分にわずかながら開けた跡らしきものがあったので、とりあえず開けてみることに。中はこのようになっていました。
ネットで調べると、このカメラはどうももともと「電池交換は修理扱い」であったと書いてありました。かつては専用の電池があったようなのですが、今は手に入らないようです。
ですが、CR123Aで電池を代用できるとのことで、2本テープで巻いて接点をはんだ付けしました。
電池を収めて、グリップを元通りにセットします。組み立てて、元に戻します。テスト用フィルム装填して動作確認しましたが、問題なさそうです。
今回は軽修理で直ってよかったです。以下、「FUJI TW-3」ついて簡単な紹介です。
写る事よりもデザインに魅かれたカメラを買ってから気が付く事っていろいろあると思います。
正直このカメラは、驚くことばかりでした……。
まず発売は1985年とのこと。
よくある全自動式のコンパクトカメラならば「ふ~ん~それでどうしたの?」なのですが、こちらのカメラはハーフ版カメラです。
1980年代後半に登場した京セラの「SAMURAI」、コニカの「レコーダー」そしてこちらの「TW-3」は、三大ハーフカメラとして第二次(?)ハーフカメラブームを作り出したカメラなのでした。
ほか2台も非常に特徴のあるデザインのカメラですが、それに劣らずTW-3も独特のギミックを採用しています。
このカメラ、レンズカバーが右に左に動きます。レンズカバーにTELE/WIDEと銘記してあるように、焦点距離を切り替えられるようになっています。
TELE側望遠が69mm、WIDE側広角が23mmのツインレンズ切り替え式でした。
試しにWIDE側広角にセットすると、ストロボがポップアップ。WIDE側広角23㎜ F8の固定焦点(パンフォーカス)で、プリセット設定で0.5mまで撮影可能。TELE側望遠が69mm F8で、3点のゾーンフォーカス式になります。
ミラーを用いた屈曲光学系を採用することで焦点距離を長くし、望遠化を実現しています。
この仕組みがデジタルカメラに使われるようになるのはだいぶ先の話ですが、今どきのスマートフォンも同じように「光を曲げて」望遠モードを実現しているらしいので興味深いです。
ボディ下部にはTV MODEやBLCのボタンが設けられています。
TV MODEは、この当時のブラウン管テレビ撮影用モードです。
このボタンを押しながら撮影をするとシャッタースピードが1/30秒になり、フラッシュは発光しない。これでブラウン管テレビの走査線が写らないように撮れるそうです。
BLCは、逆光補正機能を作動させるボタンです。
また、シャッターボタン脇に「C」ボタンがありますが、こちらを押しながらシャッターを押すと連射が可能になるとのこと。
あれ、「FUJICA TW-3」の作例は??
……近いうちにお見せしようと思います。
ジャンクカメラを直すときにどんな道具使ってますか?とお客様に聞かれることがよくあります。
私の場合、下の写真のような道具を揃えています。(周りが汚くてすみません)だいたいこんな感じです。写真に写っている以外にも道具はあります。上の写真の本を参考に今まで修理をやっていました。今はネットで検索すると、修理方法たくさん載ってますので、参考にしてみてください。
因みに私は、『かわいいカメラに首ったけ!』の著者のRyu Itsukiさんの修理教室に一時期通っていたことがあります。
今回のTW-3のように、ジャンクコーナーに眠っているカメラたちも、直してあげればまだまだ活躍できます。
よろしければチャレンジしてみてはいかがでしょうか?