こんにちは~。広報担当 中村です。
今回、FUJIFILMさまよりデモ機をお借りいたしましたので、製品レビューをお届けして参ります~。
今回ご紹介するのはこちら、XF23mmF1.4 R LM WRでございます。
もともと2021年の11月に発売される予定でしたが、発売延期になって2022年 2月24日の発売となった製品。
こちら、もともとあった同じ画角のレンズ XF 23mmF1.4 Rの新しいモデルになります。作例とともに、その魅力を詳しくお伝えしたく存じます~!!
【スペックまとめ】
FUJIFILM様公式の商品ページはこちら。
https://fujifilm-x.com/ja-jp/products/lenses/xf23mmf14-r-lm-wr/
スペック表を以下にまとめましたのでご覧ください。
レンズ構成 |
10群15枚 (非球面レンズ2枚、EDレンズ3枚) |
焦点距離 | 23mm (35mm相当) |
最大口径比(開放絞り) | F1.4 |
羽根枚数 | 9枚 |
最短撮影距離 | 19cm - ∞ |
最大撮影倍率 | 0.2倍 |
長さ | 77.8mm |
フィルター径 | Ø58mm |
質量 | 約375g |
【新旧比較】
それでは新旧モデルの比較を通してスペックを解説して参ります。
旧バージョンのXF 23mm F1.4 Rから変わった点として、まず名称のとおりLM(リニアモーター)搭載、WR(防塵防滴)仕様になりました。
また、旧バージョンが8群11枚(非球面レンズ1枚含む)であったのに対し、10群15枚(非球面レンズ2枚・EDレンズ3枚含む)とかなりレンズ構成が変わっています。
特に非球面レンズ1枚・EDレンズ3枚追加というのは見逃せません。かなり豪華なレンズ構成に生まれ変わっています。
これらの変化に伴い、旧バージョンが長さ63mm・重さ300gであったのに対し、長さ77.8mm・重さ375gと若干サイズアップしました。
並べて比較。長さはけっこう変わっていますね。なお、旧モデルにあった被写界深度スケールおよびMF切り替えクラッチはなくなっています。
一方で絞りが不用意に動かないようAポジションロックボタンが追加されました。
フィルター径も62mmから58㎜に変更されてスリムになっています。
気になる画質ですが、簡単に比較してみました。1枚目が新モデル、2枚目が旧モデルです。両方とも絞り開放F1.4・シャッタースピード1/80・ISO400で三脚に固定して撮影してみました。
もともと旧モデルのほうも写りに定評のあるレンズでしたのでぱっと見ではあまり分かりづらいですが、周辺部などを拡大して見ると像のシャープさはかなり違います。
また、光源の滲みやパープルフリンジの発生も抑えられており、全体的にクリアでシャープな写りに磨きがかかっています。
余所様のレビューでも「明らかに写りが違う!」という話はちらほら上がっており、たしかに細部を見るとかなり写りがアップデートされています。
しかし、正直なところ、大きい画面で拡大して比べてみないとなかなかこの違いは分かりづらいでしょうね……。
たぶんスマホの画面とかで見たら違いは分からないと思います。
とはいえ、こちらのレンズは今後のイメージセンサー高画素化を見越して設計されたレンズとのこと。
今後、ボディ側の性能がさらに向上したらまた見え方が変わってくるはずです。
では、作例を交えながらさらに細かく解説して参りましょう。
【作例:茶屋町~中崎町】
まずは梅田 茶屋町・中崎町近辺にて作例を撮ってきました!
使用したボディはX-S10、フィルムシミュレーションは普段あんまり使ったことのないETERNA ブリーチバイパスを試してみました。
こちらのレンズ、35㎜換算での焦点距離が35mm相当であるため、スナップショットに適した画角となります。
一般的に、35㎜換算で50㎜のレンズが人間の視野に近い画角だと言われていますので、視界よりも少し広い範囲を写し取れるのがこちらのレンズ。
開放F1.4のためボケをを活かした撮影も可能です。手前の1台にピントを合わせて後ろボケを作ってみました。
被写体がするっとシャープに切り出されるような心地のいいボケ方です。
簡単にですが、いちおう絞りを変えて描写の変化もチェックしてみました。1枚目が開放F1.4、2枚目がF5.6まで絞ったものです。
開放だと周辺部が少しぼやっとしますが、これはこれで雰囲気のある写りだなと。一方でF5.6だと隅々までシャープに写っています。
こちらは2段絞ってF2.8で撮影。APS-Cセンサーなのでだいぶ被写界深度を稼げるのですが、手前の木がごくわずかにボケてしまいました……。
こちらはF4にて撮影しております。扉のあたりにピントを合わせたため手前の電柱が気持ち程度ボケていますが、まぁ正直大きい画面で見なければ分からないレベルでしょう。
ボケのないパンフォーカスでの撮影をしたいならF5.6まで絞るのが安定でしょうが、光の少ないシーンならF4ぐらいまで絞りを開けても問題なさそうです。
ちなみに、旧モデルよりも接写に強くなっており、最短撮影距離が19㎝になりました!
旧モデルの最短撮影距離28cmから9㎝も短くなりましたので、かなり寄って撮れるようになっています。
開放F1.4と明るいため、ちょっと暗めの室内でも使いやすいです。カフェでちょっとテーブルフォトを撮ったりするのにも向いていると思います。
広めに切り取れるのでカフェの内装などを撮るのにも苦労しません。
ETERNA ブリーチバイパスの低彩度・高コントラストな写りが古民家カフェのシブい雰囲気とめちゃくちゃ合う……。
なんか雰囲気あるドア。画角が広いレンズですが、当然ながら歪曲収差もきれいに補正されて線がきちんとまっすぐ歪まずに描写されています。
旧モデルからの変更点と大きな要素として、AF駆動がLM(リニアモーター)によるものになりました。
もともとAF速度はそこまで遅くはなかったものの、スルッと無音でピントが被写体に食いついてくれるのは非常に快適です。
特に普段オールドレンズを用いてMFで撮影することの多いわたくしからすると、「こんなに楽にピントが合っていいの……?」って感じ。
特にスナップは人を画面に配置しないと画が成り立たないことが多いので、ストレスのない撮影が楽しめました。
テスト撮影の途中、雨が降りはじめてきたのでやむを得ず撤退。
こちらのレンズは新しくWR(防塵防滴)仕様となっていますが、ボディ側のX-S10は防塵防滴ではありませんので……。
【作例:桜の宮~淀川】
翌日、大川沿いに桜の宮から淀川まで歩きながらさらにテスト撮影してきました~。
旧桜宮公会堂(旧明治天皇記念館)からスタート。
春の暖かい日差しを表現するためにフィルムシミュレーションはETERNAを使ってみました。
適度に広い画角で建物も撮りやすいです。汎用性が高くいろいろなシーンに対応できるのは実に便利。
すぐ近くには帝国ホテルおよび大阪アメニティ―パーク(OAP)もあります。なんかラグジュアリーな雰囲気。
絞り開放での撮影。わずかに周辺減光が見られますが、かえってこれぐらいのほうが雰囲気あってわたしは好みです。
逆光耐性テストもかねてOAPビルを撮ってみました。少なくとも実用に困らない程度には逆光に強いのは間違いないです。
ユキヤナギを発見! 絞り開放で撮ってみましたが周辺部(特に左上)はだいぶシュワシュワしてます。
点光源になるものを周辺部にたくさん配置していたので、これはさすがに意地悪な被写体チョイスかも。
F2.8で近接撮影。2段絞るとかなり安定感が出ます。最短撮影距離19cmで目と鼻の先まで寄って撮影できるのもべんり。
とはいえやはり絞り開放で被写体がシャープに切り出される感じが楽しい……。
このカットも左上あたりは若干ざわつきがありますが、背景処理に気を付けてうまくこの切れ味を活かしたいところ。桜の宮駅付近。春先の少し強めの日差しをETERNAで柔らかく表現できました。コントラスト低めで穏やかな画になるのが良い。絞りは安定感のあるF5.6での撮影です。
大川沿いにずんずん北上していきます。画角が広いとこういうシンメトリックな構図で撮るのが楽しいですね。
ここらへんでETERNAとETERNA ブリーチバイパスで撮り比べしてみました。
ETERNAは明暗差の抑えられた穏やかな雰囲気。一方でETERNA ブリーチバイパスは対照的にガツンと明暗差のついた写り。
ブリーチバイパスのほうはETERUNAをベースに、映画の表現技法のひとつかなり対照的な仕上がりです。
横方向の空間の広がりを表現するためにアスペクト比16:9で撮ってみました。
……というのは方便で、広角レンズ使うのヘタクソなわたしは画面の上下の処理に困ったらとりあえず画面比率を横長にして誤魔化してます。ここだけのハナシ。
またしても暗雲が立ち込めてきたので、暗い雰囲気を強調するためにフィルムシミュレーションをETERNA ブリーチバイパスに設定してみました。
寂寥感のある郊外の風景がいい感じに撮れているのでは? 個人的にお気に入りの一枚です。
そうこうしているあいだに毛馬閘門(けまこうもん)までやってきました。F2.8で手前の柵をぼかしてみた。
こちらは大川と淀川の境目に位置する水門で、水位の違う2つの川を繋ぐ役割を担っているそうです。
水門のところに小さな花壇があって菜の花がいい感じに見ごろでした。フィルムシミュレーションをふたたびETERNAに戻して撮影。
絞り開放でのシャープな写りとボケがやはり心地よい……。
淀川に到着~!! 広々とした空が写せるのは広角寄りの画角ならではですね。
淀川側から見た毛馬閘門。「閘門」ってあまりにも難しい漢字ですけど初見で読めるひといるのかしら……?
手前に人物、背景に景色を配置してF5.6で撮影。
遠景の建物もモヤっとせずにクリアでシャープな写りでじつにポテンシャルの高いレンズだと実感しました。
ハトが飛んでいたのでとっさにシャッターを撮ってみました。AFの速さはやはり折り紙付きです。
収まりが悪かったのでけっこう大胆にトリミングしてみました。十分シャープさを維持できていると感じます。
今後、Xシリーズの高画素モデルが出たら「引き気味で撮影しておいて後でトリミング」のような使い方がもっとやりやすくなるでしょうね。
そういう意味でも、今後のボディ側の進歩によって評価がさらに高まるレンズではないでしょうか。
若干ローアングル気味で遠近感を強調してみました。アングル次第では広角らしい表現もできるので、本当に引き出しの多いレンズです。
大阪は高い建物が少なくて空が広く見えますね。雲の切れ間からまた日が差してきて、ETERNAの穏やかな画でのどかな雰囲気が出てくれています。
おおさか東線の鉄橋。塗装が剥げて年季の入った感じが雰囲気あります。
淀川の河川敷を離れてそろそろ帰路につきます。
乙女椿を発見。引きと寄り両方で撮ってみました。こういう柔軟な使い方ができるのが本当に便利です~。
城北緑道公園を通ってJR城北公園駅を目指します。
めちゃくちゃ人に慣れたネコがいました。近寄ってもぜんぜん逃げない。上の2枚は絞りF4で撮影しています。
もうちょっとボケを活かしたかったのでF2まで開けて撮影した2枚。あまり動物を撮るのに適した画角ではないですが、モデルが鷹揚だったのでいい表情をもらえました。感謝。
【まとめ】
以上、使用感をまとめます。
換算35mmで自由度の高い画角、大口径F1.4の大きなボケ、素早く被写体に食いつくAF、クリアで抜けの良い描写、最短19cmに近接撮影可能と特に欠点らしい欠点のない優秀なレンズです。
絞り開放でわずかにボケのざわつきはありますが、背景処理を少し工夫すればそこまで気にならないかと。
中心部から外れても全体的にシャープに写るように描写に磨きがかかっておりますので、多少大胆にトリミングしても使用に耐えるのは嬉しいところ。
アナウンスの通りXシリーズ高画素化が実現したら、後からの構図修正などがかなりしやすくなるでしょう。実に楽しみですね。
Xシリーズ初めての単焦点としてもオススメできる一本だと思います。自分の撮りたい被写体やシーンに合わせてぜひともご検討くださいませ。
弊社オンラインショップでも取り扱いございます。
【おまけ】
JR城北公園駅の前にあったオシャレな喫茶店。店名をよく見ると……。
「エテルナ」じゃん!!
えっえっそれって……「ETERNAでエテルナを撮ってみた」ってコト!?
……はい、それでは今回も最後までお付き合いいただきましてありがとうございました~!
また次のブログでお会いしましょう!