みなさまこんにちは! 京都店中古担当やませでございます。
今回は店内おすすめアイテムをご紹介してまいります。
カメラのナニワ 京都店にはさまざまな珍しいクラシックも取り扱っており、その中の一品をお見せしてまいります。
〇ツァイスイコン ホロゴンウルトラワイド
Zeiss ikon Hologon Ultra Wide
1968年(昭和43)年に発売(資料によって相違あり)。超広角に特化したホロゴンレンズを当時のツァイスイコン製一眼レフ「コンタレックス」に固定した珍品カメラです。
超広角15mmF8レンズを固定で採用した、まさに「広角を極めたい」方におすすめの一台です。
数年後に製品化され、生産終了までに市場に出たのは少数にとどまります。それゆえ、希少価値が高く現在でも高い注目を集めています。
〇ホロゴンレンズとは
3群3枚、特異な形状の凸レンズを前後の凹レンズで挟み込む、極めて特殊なレンズ構成です。
画角は110°と極めて広く、人間の最大視野角を上回っています。その特異な見た目もあいまって「神の瞳」と呼称されることも。
ちなみにレンズ単体でライカMマウントのものもありますが、そちらはコレクターズアイテムとして途方もない値段で取引されるほどの代物。
絞りはF8固定。これは絞り羽根が装着されて光量を調整できるということではなく、絞り自体がレンズの構造の一部となっています。
なおオリジナルアクセサリーとして周辺光量の調整用にセンターNDフィルターが用意されています。
今回ご紹介の個体には残念ながら付属しておりませんが、周辺光量不足を含めて「ホロゴンの描写」と捉えてよいかもしれません。
〇ホロゴンウルトラワイドを使ってみる
それでは実際の使用手順を簡単にご紹介します。
まずはネジ込み式の専用レンズキャップを外します。一体化されたデザインのかっこいいキャップ、紛失しないようにしましょう。
このカメラは超広角レンズの特性上、カメラ本体をホールドして撮影すると撮影者の手や指を撮影してしまうことがあります。
そこで専用アクセサリーとしてボディ下部に取り付けるグリップが用意されています。
ただし、確認できるのはピッチ方面のみで、ヨー・ロールのずれは分かりません。参考程度に使うのが良いでしょう。
〇作例
それでは「神の瞳」で写し取った光景をお見せしてまいります。
描写の特徴としてよく言われる、強烈な周辺減光が発生しています。
専用のセンターフィルターがあれば均等な露光量になるよう調整できますが、その場合はF16相当になります。
15㎜という極めて画角の広い超広角レンズであるにも関わらず、画像周辺部の歪みや流れがほとんど見られないのは実に驚くべきことです。
画面左に写る人物のサイズから、いかに広大な範囲を切り取っているか、お分かりいただけるのではないでしょうか?
樹木を力強く生命感溢れる姿に写してくれました。人間の視点とはスケール感の違う表現ができます。
フードを装着できないため逆光気味のシーンは苦手となっています。右下にゴーストが発生しています。
夕暮れのグラデーションも美しく表現されています。
広大な京都駅の内部も丸ごと写しこむことができました。人間の視野角を超えた世界、まさしく「神の視点」を経験できます。
〇ホロゴン伝説を未来へ遺す
しかし、そういった機材がいま存在するのも、歴史の中でさまざまな設計者やメーカーが血の滲むような努力を重ねてきた延長線上にあるのです。
50年以上前に生まれたカメラを使って、その当時の「最先端」を感じる。
そんな贅沢ができるドイツ生まれの無骨なカメラを、ぜひこれからも永く遺したいものです。
フィルムカメラ・広角レンズ・カールツァイスなどのワードに反応したあなたはぜひチェックしてみてください!
京都店店頭でのみお取り扱いの商品ですので、お気軽にお問い合わせください。
商品コード:2221070262367 ホロゴンウルトラワイド
カメラのナニワ京都店 山瀬
TEL:075-257-7100
機材撮影:カメラのナニワ あべのand店 安松
参考資料
『カール・ツァイス 創業・分断・統合の歴史』 小林 孝久 著 朝日新聞社
『クラシックカメラ専科 No.43 コンタレックスのすべて』朝日ソノラマ
『クラシックカメラ専科 No.69 レンズコレクション』朝日ソノラマ