こんにちは~。編集長の中村です。
今回はちょっとした思い出話からはじめさせていただきます。
わたくしが初めて手にしたデジタルカメラは、母方の叔父から譲り受けたものでした。
ちょうど4年ほど前の話になります。
叔父は自慢げに「このカメラ買ったときは高かったんだぜ?」的なことを言いました。
カメラの知識のなかったわたくしは「そうなんだ……そんなすごいカメラをもらえるなんてラッキーだぜ!」と思ったものです。
その時もらったのは、EOS Kiss X2というカメラでした。
ここ数年の中古価格相場は約10,000円程度。あとで知って唖然としました。
今回は、こちらのEOS Kiss X2を2022年現在の視点で評価してみようという酔狂な試みでございます。
よろしくお付き合いくださいませ。
【EOS Kiss X2のスペック】
丸みを帯びた、ツルっとしたデザインがかわいい。
発売は2008年3月。わたくしが入手したのがだいたい2018年ごろですが、その時点で10年前の機種でした。
APS-Cサイズ 約1220万画素のCMOSセンサー、画像処理エンジン DIGIC Ⅲを搭載。
例として、現行品のEOS RPが約2620万画素・画像処理エンジン DIGIC 8になっておりますので、時代を感じさせます。
A4サイズでプリントするのに必要な画素数が800~900万だと言われておりますので、一般的なL判サイズの写真でプリントするのには十分な画素数を有しています。
記録メディアはSDカードなので、今のデジカメで使っているSDHCとかをそのまま挿せるので心配ありません。
ちなみに、上の写真でつけているレンズは EF 50/1.8 II です。
こちらのレンズも1万円以下という破格の値段で入手できたことから多くの人間をカメラ沼に引きずり込んだ、いわゆる「撒き餌レンズ」の代表格。
貧乏人のわたくしは、この合計2万円もしないセットでカメラライフをスタートさせ、1年ほど使ったのちにFUJIFILMのX-T20に乗り換えたのでした。
【使用感・フィーリングについて】
もともと大マジで使っていたカメラになりますので、色眼鏡をかけずに使用感をお伝えするならば「使いやすい」カメラです。ほんとに。
設定項目が一目で分かり、ホワイトバランスやピクチャースタイルなどの触ることが多い項目がすぐに変更できます。
ファインダー覗きながら露出補正をいじるのは若干やりづらいですが。
右手で握りながららくらく操作できるのが非常に快適です。
ちなみに、モードダイヤルの項目についても補足しておきましょう。
A-DEPモードはピンボケ防止用に自動で被写界深度を決めてくれるモード。被写体を検出して自動で絞り値を決めてくれます。
AF精度の怪しさを補うためのものなのでしょうが、F22で撮れ、って毎回なるんでまったくもって使えないです。
Pモードと違ってホワイトバランスとかピクチャースタイルとかも全部自動でカメラが決めてくれます。
その他のシーンモードもろもろ、カメラの設定し方が分かっていれば特に使う機会がない機能ですね……。
M・Tv・Avだけしか使ったことなかったですし、設定の呼び出し・変更が容易で使いやすかったので、自動機能はマジで使いませんでした。
ファインダー自体の大きさ・視認性はものすごく良いわけではありませんが、そこまで難儀するほどではありません。
ひと昔前のミラーレスのもやっとしたEVF(電子ビューファインダー)に比べればはるかにマシです。
Kissシリーズといえばわたくしも幼い頃にさんざんテレビCMを聞いた記憶が……。
パンクっぽい子どもが歌ってるやつとか、甲本ヒロトさんが歌ってるやつとか。
メディア経由のインパクトもありますが、入門機の王道としての地位を築いたのは、単純にユーザビリティに配慮した機種だったからなのだなぁと今更ながら実感しました。
【作例つきレビュー】
では、皆さん気になるところの画質について、作例をお見せしつつ解説していきましょう!
やってきたのは毎度おなじみ、親の顔より見た中之島バラ園です。冗談抜きで毎週来てる。
さて実写。これが14年前のデジタルカメラ・EOS Kiss X2の写りです。
いかがでしょうか?
サーバーにアップする際に若干劣化しているので、縦位置だとほんのわずかに解像感足りないかも。
とはいえ、横位置だとふつうに綺麗に写ってるように見えるのですが、皆さまどう感じますでしょうか?
ちなみにレンズは、冒頭で装着していたEF 50/1.8 IIを使用しています。
ピクチャースタイルは「風景」で鮮やかめに撮影。
カンカン照りの日差しのさなか撮影したので、若干ながら赤色が飽和してのぺっとした写りになってしまっています。
全体的に諧調も乏しめですが、単焦点レンズならではのボケの綺麗さはバッチリ味わえます。
写りに「粗」を見つけることは容易ですが、そんなに「見られたもんじゃない」クオリティではないと思いませんか?
ひさびさにEF 50/1.8 II を使ってみましたが、ボケが柔らかくて本当にいいレンズなんですよ……。
1990年12月に発売されたレンズですので、光学設計は若干古め。
オールドレンズよりはシャープで癖のない写りですが、適度な柔らかさがあってカリカリすぎない写りは本当に素晴らしいです。
そのぶん鏡胴はプラスチック製でなんともチープな感じ。使い続けると簡単に壊れるとの話をよく聞きます。
とはいえ、お手頃価格でこの写りが手に入ったがために沼へ浸かっていってしまったひとは多いでしょうね……。
開放F1.8で撮影。このとろけるような滑らかなボケ、合焦部のシャープながらもわずかにふわっとした描写よ……。
F2.8ぐらいまで絞るとふんわり感は消えます。お好みに応じて使い分けしてみても良いかと。
日差しがとても強かったのでISOを最低の200まで落として撮影。ISOはオート・200・400・800・1600しか選べません。
しかし、シャッタースピード上限が1/4000のため、日差しが強いと絞り開放で撮るのけっこうきついです……。
その点、乗り換え先のX-T20は電子シャッターで1/32000までシャッターが切れたので、絞り開放で撮りたいときに苦労しなかったなぁと。
そして端から諦めて動かない被写体を撮りに行ってしまいましたが、当然ながらAF挙動はかなりもっさりしてます。
レンズ側も古い設計のものを使ってましたし……。
連写速度も最高約3.5 コマ/秒で控えめ。動きものを撮るのは正直しんどいですね。
とはいえ、逆に言えば花などの動かない被写体を撮るならば、べつにこのEOS Kiss X2でも支障ありません。
ホワイトバランスはオート・太陽光・日陰・くもり・白熱電球・白色蛍光灯・ストロボ・マニュアルの8種類のみ。
ケルビン値指定もできなければ、緑・マゼンタの色補正もできない。
若干不便ですが、きちんとシーンごとにホワイトバランス設定を変えればそこまで変な色になりません。
オートホワイトバランスもそこまで悪くない色ですし。
上の写真は「太陽光」にセットして撮影。夕方だったので赤みの強い、あたたかみのある色合いになりました。
むかし撮った写真を見返してみても思うのですが、暖色系の色がいい感じに撮れるなぁと。
古い世代のセンサーの特色なのか、Canonの色づくりそのものの特色なのか、このカメラしか使っていないので判断がつきませんが……。
花びらの質感もけっこう綺麗に出ていますし、いい感じ?
白飛び・黒潰れが気になる方々もいらっしゃるかもしれませんが、2万円しないカメラ&レンズでこれぐらい写ったら儲けもんじゃないでしょうか?
小型軽量で持ち運びにも困りませんし、わりと大マジで悪くないカメラだと思います。
古いカメラということで、高感度ノイズがどれくらいでるのかも皆さま気になるところではないでしょうか?
最大感度のISO1600で撮影してみました。
PCのモニターで見たらノイズがはっきり分かるのですが、スマホの画面で見るぶんにはどれだけの人が気づくのでしょうか……。
夜に撮ったやつでいちばんノイズが分かりやすいのはこの写真でしょうか?
とはいえ、スマホの画面で見るならぶっちゃけ気にならん程度です。
最近はそれこそナイトモードが使えるので、スマホで夜間撮影してもかなりきれいな写真が撮れるようになっています。
しかし、ひと昔前はスマホで夜に写真を撮るとそれこそノイズまみれで悲惨な写真しか撮れなかったものです……。
そういうのを経由してくると、申し訳程度のノイズで騒ぐ気になれないといいますか……。
【まとめ】
- 小型軽量で取り回しの良さはバツグン
- 操作系が一目でわかるので、手間取らずに設定等を変更しながら撮影できる
- 写りはわずかに粗があるが、趣味の範囲内なら不足はない
- AF速度・精度はあまり良くない。動く被写体を撮るのには不便する
- 連写性能も明らかに足りない(わたしはほぼ連写しないので困りませんが)
- 設定のいじれる範囲が狭い
- 画像のスマホ転送機能はついていないので、別途対応が必要
実際のところわたくしはこのカメラを使ってしばらく写真を撮っていたので、「使用に耐える」ということは当然知っておりました。
しかし、わたくしもその後カメラ店のスタッフとなり、フルサイズ機やライカなど使ってみて、多少は「目が肥えた」状態になております。
その状態であらためてEOS Kiss X2を触ってみても、やはり「使いやすくて良いカメラ」という感覚は消えないままでした。
つまり、なんだかんだで写真を撮ろうと思ったら古いヤツでも十分なのです。
さすがに作品撮りやお仕事での撮影は厳しいですが、趣味の範囲内なら最先端のハイエンド機じゃなくても問題ないわけです!
一生使い続けるのは難しい、場合によっては「使い捨て」になりかねないことはあらかじめご了承ください。
あと、この記事を作成する際にトリミングしようとしたり、ピクセル数を落としたりしましたが、かなり悲惨な感じになりました。
あくまで「スマホでそのまま見る分には十分」というお話です。この点もご注意を。
最後に、わたくしが完全にカメラビギナーだったころにEOS Kiss X2で撮ってた花以外の写真をいくつか貼っておきますのでご覧ください。
室内のやつはストロボ焚いてますが。
もらいものじゃなくて「自分のカメラ」が欲しかったから乗り換えてしまったけど、愛してたよ……。
ちなみに、EOS Kiss X2の詳しい商品スペックはCanonさま公式のページを以下よりご覧ください。
https://global.canon/ja/c-museum/product/dslr797.html
では、今回も長々とお付き合いありがとうございました~。
ちなみに、実はこの記事、前後編となっておりまして今回は前編にあたります。
来週は、同じく2008年に発売されたEOS 5D Mark II で撮った写真をお見せしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします~!!