手ブレ補正 いる? いらない?【カメラ・レンズ選びの参考に】

こんにちは~。編集長 中村です。

一瞬で梅雨が明け、いかにも「」って感じになりました。

日差しがきつすぎて、日中に写真を撮る気が欠片も起きない今日この頃でございます。

ところで、夕方になって薄暗いところで写真を撮っていると気になるのが「手ブレ」。

しかし、最近はカメラやレンズに強力な手ブレ補正機構が内蔵されているため、昔ほど神経質にならずとも写真が撮れるようになりました。

今回はそんな「手ブレ補正」について、ちょっとだけ詳しく解説したいと思います。

■目次
【そもそも「手ブレ」とは?】
【手ブレ補正「〇段分」とは?】
【主流は5軸方式のボディ内手ブレ補正】
【ボディ内手振れ補正は必須ではない】

【そもそも「手ブレ」とは?】

まずは大前提、「手ブレ」とは何か?というところからスタートしましょう。

先週、「露出」を解説したブログの「シャッタースピード」のくだりでで軽く触れてはいますが、あらためて詳しくご説明しておきます。



「写真」を撮るためには、フィルムなりイメージセンサーなりの感光材料に光を一定時間当てなければなりません。

そうして光を記録している間、撮影しているカメラの側も被写体側も動かなければ「止まった」まま写真が撮れるのは直観的に分かりますね?
絞り F16 シャッタースピード:2秒 感度:200

これは動かない被写体を、カメラを固定して撮ったものです。当然「ブレ」は発生していません。

しかし、同じ設定でカメラを激しく動かして撮ってみたらどうなるでしょうか?
絞り F16 シャッタースピード:2秒 感度:200

ぐにゃんぐにゃんになりました!

カメラを動かしたため、「」を連続的に打ち続けて「」にしたように軌跡が写っています。

分かりやすく大げさな例をお見せしましたが、つまり「手ブレ」とはこういう風に「動き」が記録されてしまうことによって生じる現象なのです。
「手ブレ」が出ている例。1/30秒(0.33333……秒)でシャッターを切りました。

こんなごくごくわずかな時間でも、人間は「微動だにしない」でいることはできません。わずかな身体の動きが「ブレ」を生む原因になるのです。

ちなみに焦点距離の長い望遠レンズほど像のブレは目立ちやすくなります。

目安として、シャッタースピードが1/焦点距離と同じ(50mmのレンズだったら1/50秒)だと手ブレを防げるとよく言いますね。
ちなみに、「ブレ」の発生原因はカメラ側の動きだけではないことをお忘れなく。

こちらの写真はシャッタースピード1.5秒で撮影したもの。カメラは固定して動かないように撮影しています。

真ん中のバンや路肩の車は、シャッターを開けている間動かなかったので「止まって」写っています。

しかし、バンの上下に謎の筋が写りこんでいますね?

これは、走り抜けていった車のテールライトや、ライトに照らされた車の外装の反射が連続的に記録されて線状に写ったもの。

こういう風に、カメラ側が動いていなくても被写体に動きがあるために発生するブレを「被写体ブレ」と呼びます。

この「被写体ブレ」に関しましては、手ブレと違って機材で補正をかけることはできませんのでご注意を!

【手ブレ補正「〇段分」とは?】

さて、「手ブレ」がどのようにして起こるかはだいたいご理解いただけたかと思います。

そこで、カメラやレンズにセンサーが内蔵されていて、撮影者の「動き」に合わせてそれを打ち消すように補正をかけてくれるのが「手ブレ補正」機能です。

ところで、手ブレ補正機能についてのスペックは「5段相当」とか「8段相当」とか表記されていることがほとんど。

これは、いったいどういう意味なのでしょうか?
この写真は、6段分の手ブレ補正機構を内蔵したFUJIFILM X-S10にて撮影しました。

非純正50mmレンズを装着してシャッタースピード1/2秒にて撮影しましたが、目立った手ブレは発生していません。

この「6段」というときの「」は、当然ながら露出の「段」という言葉と同じです。
この写真の場合、実際にシャッターが光を記録したのは1/2秒の間です。

しかし、6段分の手ブレ補正が働くことによって、1/125秒でシャッターを切ったのと同じぐらい「ブレない」ということになります!

まぁメーカー公称であって、実際にきっちり6段分止まるかははっきり分かりませんが……。使うレンズにもよりますし。

いちおう、弊社スタッフが手ブレ補正の効果を検証した記事もございます。ご興味あるかたはご一読ください~。
フジフイルム X-T4の手ブレ補正効果を試してみた!

ちなみに、「このレンズとの組み合わせで最大8段だよ」みたいな注釈付きの場合も多いので、「最大段数」はあまりアテにしないほうがいいかもしれません。

【主流は5軸方式のボディ内手ブレ補正】

ちなみに「手ブレ補正」にはレンズに補正機構がついているものと、カメラボディに補正機構がついているものがあります。

ボディ自体に手ブレ補正機構が備わっていれば、どんなレンズを使っても手ブレを補正することができます。

そのため、主要メーカー各社の現行機種にはボディ内手ブレ補正機構が備わっているものが多いです。

その中でもボディ内手ブレ補正は5軸方式のものが主流。
出典:SONY 5軸ボディ内手ブレ補正機構


レンズ内蔵型の手振れ補正機構よりも幅広い動きに対応できるため、こちらが各社のスタンダードになっています。
ちなみにレンズ内手ブレ補正機能が内蔵された一眼レフ用のレンズは、地味にフィルムカメラでも使えたりします。

こちらのブログでNikonの手ブレ補正機能内蔵レンズについて軽く説明していたり。
【Nikon F100で】 水族館でフィルム写真が撮りたい!!【遊ぶ】

水族館は基本的に薄暗いので、手ブレ対策が必要になりがちなシーンですね。

Nikonの場合はレンズのバージョンによってAF動く・動かないなどの話が出てきてしまいますが、CanonのEFレンズならば特に問題なく使えるはず。

デジタル一眼で写真撮っていたけどフィルムでも撮ってみたい……!」みたいな方は、レンズ資産を活かすチャンスになりますよ!

【ボディ内手振れ補正は必須ではない】

さて、ここでズバリ皆さんが気になるのは「カメラを買うときは手ブレ補正機能が入ってないとダメなの?」というところですよね。

手ブレというものは、基本的にシャッタースピードが遅くなるシーンでの撮影でしか問題にならない現象です。

最近のカメラはISO感度を6400ぐらいまで上げてもあまりノイズが目立たない機種が増えてきています。

なので、暗くてシャッタースピードが遅くなってしまうシーンでは、感度を上げることで露出を「稼ぐ」ということができるようになってきました。

なので、必ずしも手ブレ補正機能がなければ写真が撮れないわけではないというのが実情です。

ただし、望遠レンズを使って撮る時は手ブレ補正機能がないとけっこう大変です。
X-S10 製品レビュー【オールドレンズと相性最強】

こちらのブログでも書きましたが、望遠レンズはちょっとの手ブレでもだいぶ画面が動くため、手ブレ補正があると安定感が全然違います。

三脚を持ち出さなくともちょっと焦点距離が長めのレンズを使えるのはかなり楽。

100mmとか135mmのオールドレンズを使ってボケボケの写真を撮りたい方などは、ボディ内手ブレ補正のあるカメラを使ったほうが断然楽です。

メーカー純正の望遠レンズ高倍率ズームレンズにはレンズ側に手ブレ補正機構が入ってる場合も多いです。

レンズ側で補える場合も、ボディ内手ブレ補正は必須ではなくなりますね。

まずは自分の撮りたい写真・撮りたいシーンを整理して、手ブレ補正が要るかどうかを冷静に判断してみることをオススメします。

また、ナニワグループ各店では機材相談も承っておりますので、お気軽にご質問ください~!!

それでは今回も最後までお読みいただきましてありがとうございました!

また次回のブログでお会いしましょう~!!