レンズはほぼ「見た目」で決まると言っていい。
そりゃあプロがお仕事として使うのなら、見た目よりも描写・使い勝手・オートフォーカス性能等を重視するべきだろう。
しかし、いかに持ち出したくなるか、触りたくなるか、眺めてお酒を飲みたくなるか……「好みの外見である」ということも、レンズ選びには非常に重要なのだ。
当然、見た目と描写能力を両立させているレンズも多いわけです。
今回はそんなレンズのうちの一本、「ZEISS Loxia 2/50」を取り上げます。
あくまで個人的な主観によるものですが、お付き合いください。
ブログタイトルは赤城 耕一先生の著書をオマージュ致しました。
ZEISS Loxia 2/50
2014年発売、ソニーEマウント用、フルサイズに対応しているマニュアルフォーカスレンズです。
Loxiaという名前ですが、4群6枚構成、Carl Zeiss伝統の「Planar(プラナー)」タイプのレンズ。
オールドレンズ界隈ではヤシカ/コンタックスマウントのプラナーが有名ですね。
非球面レンズを使用していない、現代レンズとしてはわかりやすいシンプルなレンズ構成です。
なにはともあれ、外見の特徴を確認していきましょう。
F2のレンズとしては非常にコンパクト。
金属鏡筒で、手に持ってみると少し重みを感じ、高級感のある質感です。
冬場はひんやりしそうです。
フードにはレンズ名が刻印されています。「Loxia」のフォントがなんとも愛らしいです。
(←ZEISS Loxia 2/50 ZEISS Batis 2/40→)
同じCarl Zeissでも、オートフォーカスの機能がついた「Batis」シリーズと比べるとコンセプトが全く違うことがわかります。
もちろん「Batis」シリーズの曲線美、近未来感もかっこいいなあと思うのですが、
「Loxia」シリーズのようにくびれがない、直線的なデザインはまさに「鏡筒」と呼ぶにふさわしい、美しいデザインだと感じます。
前から見ると「Planar」の表記があります。プラナーファンにはたまらないですね。
好みのレンズを見ると「美味しそう」という感想が湧く私ですが、美味しそうなカットとなり、大変満足です。
フォーカスリングがラバー製でなく、金属ローレット加工であるのが好きです。
そして、マニュアルフォーカスレンズならではの「被写界深度目盛り」がありますね。
単純にかっこいいのと、スナップの時のパンフォーカスなどで役立つので、オートフォーカスのレンズでもなるべく省略しないで欲しいなあと願っているのですがみなさんはどうですか?
当然、私のように「絞りリングがないと嫌だ!」と喚くめんどくさい輩の欲求も満たしています。
絞りリングをまわすと非常に心地よいクリック感で、このクリック感にはヒーリング効果があるという説が界隈では有力です(?)
なお、絞りのクリックをなくし、シームレスに操作できるようにする「DeClick(デクリック)機能」もあります。
これによって動画撮影中に絞りを回しても自然に明るさを変更できるようになり、非常に便利です。
しかも、変更方法は付属のキーを使って調整ねじをまわすという、妙にアナログチックなところがニヤニヤしますね。
このアクセサリーも非常に可愛らしいですが、なくしてしまいそうで心配になります。
実際この撮影中に一度落としてしまい、見つけるのが大変でした。
マウント部にはツァイスカラーの青いゴムが。
塵や水滴の混入を防止するためだと思われますが、レンズ自体に防塵防滴性能はないので雨の日などは要注意です。
ソニーαボディにつけた際、この青とαのオレンジが合うかどうか、については意見が分かれるかもしれません。
ただ、全体で見るとサイズ感や形のバランスは非常に良いですね。
現代的デザインのαシリーズですが、かつて伝説の写真家が所有していたカメラのような、そんな風格が生まれました。
意外な相乗効果です。
作例
絞り:F2 / シャッタースピード:1/1600秒 / ISO:200 使用機材:SONY α7R IV + ZEISS Loxia 2/50
絞り:F2 / シャッタースピード:1/8000秒 / ISO:200 使用機材:SONY α7R IV + ZEISS Loxia 2/50
一枚目はボケがなだらかに出てくれた例です。
二枚目は少しボケがざわついていますね。好きですけど。
絞り:F2 / シャッタースピード:1/8000秒 / ISO:200 使用機材:SONY α7R IV + ZEISS Loxia 2/50
なんてことない写真ですが、さすがツァイス、素晴らしい立体感が見てとれます。
F2というちょっと控えめな開放値もあって、ピントの山がつかみやすいです。
ピントリングがとても扱いやすいので、開放でもささっとピントを合わせてスナップ、なんてこともやりやすいです。
マニュアルフォーカスは、やはりマニュアルフォーカスレンズでするに限ります。
絞り:F2 / シャッタースピード:1/800秒 / ISO:200 使用機材:SONY α7R IV + ZEISS Loxia 2/50
ポートレートで撮ったらどうなる?をテストするために私によく使われている電柱。
抜けのよい描写で、やはりポートレートにもマッチしそうです。
近い焦点距離でもっとボケるレンズだと
FE 50mm F1.2 GM
Planar T* FE 50mm F1.4 ZA
FE 50mm F1.8
Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA
など純正でも多くありますが、どれともキャラが異なるので併用するのもよいでしょう。
標準レンズなんてなんぼあっても良いですからね。
絞り:F2 / シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:200 使用機材:SONY α7R IV + ZEISS Loxia 2/50
絞り:F3.2 / シャッタースピード:1/125秒 / ISO:200 使用機材:SONY α7R IV + ZEISS Loxia 2/50
最短撮影距離は45cmと一般的な部類です。
このレンズ構成でα7R IVの約6100万画素との組み合わせはどうなるのかと思っていましたが、全く問題ないですね。
非常にシャープに、高解像で写ってくれます。
開放でも高いコントラストで、ツァイスらしい色のりの良さが発揮されています。
絞り:F2 / シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:200 使用機材:SONY α7R IV + ZEISS Loxia 2/50
絞り:F2 / シャッタースピード:1/125秒 / ISO:400 使用機材:SONY α7R IV + ZEISS Loxia 2/50
絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/320秒 / ISO:400 使用機材:SONY α7R IV + ZEISS Loxia 2/50
条件が揃えば、とても上品な周辺光量落ちが出て、階調豊かな表現が楽しめます。
後からPhotoshopで周辺光量を落とすのと、レンズで現れるのとはやはり味が違うのです。
是非、ボディ側の周辺光量補正をオフにして楽しみたいところ。
絞り:F2 / シャッタースピード:1/640秒 / ISO:200 使用機材:SONY α7R IV + ZEISS Loxia 2/50
ツァイス独自のT*コーティングのおかげか、逆光でもこれだけコントラストを維持してくれていて、見事ですね。
色収差に関してはそれなりに出るものの、良好に補正されているのではないでしょうか。
少し絞ったときの玉ボケは完全な円形にはならないものの、ヤシコン時代のプラナーのような手裏剣型や六角形にはならないのが良いですね。
絞り:F2 / シャッタースピード:1/200秒 / ISO:800 使用機材:SONY α7R IV + ZEISS Loxia 2/50 絞り:F2 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:200 使用機材:SONY α7R IV + ZEISS Loxia 2/50絞り:F2 / シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:1600 使用機材:SONY α7R IV + ZEISS Loxia 2/50
なんともいえない空気感で、このレンズの美味しい部分が発揮された感じがします。
見た目も写りも美味しいレンズ
ツァイスのレンズは空気までも写すなんてよく言われますが、どうでしょう。
少なくとも私は、その日の空気感、気温、香りまでもが、写真から鮮明に思い起こされるような気がするのです。
見た目も写りも操作感も美味しいレンズ。
ひとつご賞味いかがでしょうか?
商品コード:2221070326168
(ツアイス) ZEISS LOXIA 2/50 E-MOUNT
<付属品> 元箱 F,Rキャップ フード
<商品状態> 少ホコリ 少クモリ有 スレ ソニーEマウント用
¥52,800
※価格、在庫状況は2022/7/13時点のものです
カメラのナニワ 京都店
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阿部