こんにちは~。編集長 中村です。
今回はひさびさの新製品レビュー。
ご紹介していくのは、7月14日に発売されましたFUJIFILMさんのX-H2Sです!
発表前からかなり注目を集めていた次世代機、ついに実機を触ってその真価を確かめられる時がやってきました……!!
こちらの使用感をお伝えしてまいります~。
【ついに出た! 新世代のX-TRANS CMOS】
【軽快なレスポンスでストレスなく撮影可能】
【動画性能も大幅アップ】
【飛躍的に進化したAF性能:被写体検出AF】
【ノスタルジックネガがついに使える!】
【まとめ】
【おまけ】
【ついに出た! 新世代のX-TRANS CMOS】
その名も、X-TRANS CMOS 5HS!!
X-T4やX-E4、X-S10などに搭載されているのは裏面照射式のX-TRANS CMOS 4。
新しいX-TRANS CMOS 5HSでは裏面照射式に加え、積層構造になったことで光を電気信号に変換した後の処理速度が向上し、現行比で約4倍という高速処理が可能になりました!
なお、画素数は2616万画素となっております。
画像処理エンジンも新型のX-Processor5を搭載。こちらも画像処理が現行比で約2倍になっています。
なお、FUJIFILMでは高画素モデルの新型センサーX-TRANS CMOS 5HRも開発中とのこと。
詳細は9月のX Summitにて公開予定とのことですので、期待が高まりますね~。
【軽快なレスポンスでストレスなく撮影可能】
その効果は如実に表れており、操作のレスポンスが飛躍的に向上しています!
特にAF合焦からシャッターが切れるまでの挙動の速さは実に快適。
ふだん使っているX-S10と比較すると、完全に別物です。
シャッターを切るのが楽しくて無駄に撮りまくってしまいます。これはクセになる……。
また、Hシリーズ共通の大型グリップ採用で、がっちりとカメラをホールドすることができます。
特に望遠レンズなど大きくて重いレンズを装着した時、これは本当にありがたい。
ボタンが大きいため、ファインダーを覗きながらでも押しやすいのがGood。
スペック的には576万ドット。他社のファインダーのスペックと比べても優秀です。
ファインダーを覗いたまま素早くAFエリアを変更できるので、後述するAF性能の向上も相まって非常に快適な撮影が可能になっています!
という具合に、極めて操作感にこだわって造られたカメラとなっております。
【動画性能も大幅アップ】
わたくしは動画方面は聞きかじった程度の知識しかありませんが、その程度でもかなりスペック強化されているのが分かります。
まず、今どきのミラーレスカメラのスタンダードに習って動画撮影用RECボタンが追加されました。
ドライブモードから動画モードを呼び出して……みたいなことをせずにすぐさま録画開始できるのは良いですね。
しかもかなり多くの動画形式をカバーしております。
6.2K/30P 4:2:2 10bitをカメラ内で録画可能・4K/120P録画可能・4K/60Pで240分間の録画可能・Apple ProResコーデック対応などなどスペック鬼盛り。
スチル用でここまでできるミラーレスは他にあまり多くないですね……。
さて、動画撮影をどれぐらいするかはさておき、皆さん気になっているであろうアレのお話をしておきましょう。
こちらのX-H2S、動画撮影時の熱問題に対応するため、とあるアクセサリーを装着できるようになっています。
外付け冷却ファン「FAN-001」! ド直球の潔い名前です。
ちなみに、装着個所はバリアングルモニターの裏側。右下の接点に接続し、真ん中左右のねじ穴で固定します。
軽く見せてはいただいたのですが、非常に静音性が高く動画撮影中に音が入り込むことはなさそうな感じでした。
【飛躍的に進化したAF性能:被写体検出AF】
まず、従来の顔検出/瞳AFの精度が抜群に高くなり、ぱっと被写体に食いついてくれるようになりました!!
その他、新しく被写体認識AFも追加されています。識別するようになったのは以下の6種類です。
・動物
・鳥
・車
・バイク&自転車
・飛行機
・電車
性能テストのため、天王寺動物園でちょっとだけ動物と鳥を撮ってみました。
動物検出、まずは簡単なところから。サイです。
パッと被写体を検出してすぐさまピントが合ってくれます。
シマウマ。ここら辺は動きが少ないので被写体検出に頼るまでもありませんが。
ジャガー。こいつは被写体検出が非常にうまく働いてくれました!
ケージの中をウロウロ歩き回っていたのですが、今までのFUJIFILMのカメラではAFが追い付かなかったでしょうね。
あまりここら辺を撮ったことないのでガラスの写りこみの処理とか甘いですけど、AF性能のテストなのでそのあたりはご勘弁を……。
しかもブラックアウトフリーなので、ファインダー越しに被写体を見続けながらきっちり連写で撮りたい瞬間を収めてくれます。
このジャガーのカットも20枚くらい連写してその中からそれっぽいヤツをセレクトしています。
普段わたくしはAFすら使わず、ちまちまMFでピント合わせてようやく1枚撮影、みたいなことをやっているので、こういう写真の撮り方は新鮮だったり……。
これは札束の風呂に入るような写真の撮り方だなぁ……。
ちなみにX-H2SはHEIF形式の画像保存にも対応しています。
画質を損なわずにJPEGよりも軽いファイルサイズで画像を保存できます。
再生環境によっては対応していない場合もありますが、連写するとファイル容量が圧迫されがちなのでありがたいですね!
シロクマ。けっこう活発に動いていましたが、動物認識AFで思うまま撮影できました!
高感度テストもかねて、夜行性動物舎で撮ったやつ。たぶんアライグマ?
ISO 10000で撮りましたが、ノイズがかなり目立たなくなっています。
第4世代のセンサーと画像処理エンジンではもうちょっと露骨にノイズが出たと思いますので、高感度耐性も向上しているかと!
チンパンジー。動物認識AFのおかげでキメ顔も逃しません。
ちなみにどこまで「動物」として認識されるかですが……いちおうトカゲはいけました。
魚もいけました。
たまに全然認識してくれない時もありますが、だいたいの生き物は検出してくれるっぽいです。
お次は鳥認識です。まずはフラミンゴ。
こないだミラーレンズで必死こいて撮ってたのが何だったのかと思うほど簡単にピント合います。
魚を食べるコウノトリ。レスポンスが速くすぐさまシャッターを切れるので、連写に頼らなくても撮りたい一瞬を逃しません。
水浴びするカワウ。大きめの水鳥はかなり簡単に撮れます。
飛んでるところもバッチリ!と言いたいところでしたが……さすがに素人には難しかったよ……。
もうちょい練習したら取れ高マシにはなると思いますね。あと、SDカードの容量が怪しくなって連写せずに撮ろうとしたけどやっぱり無理でした。
なんにせよ、普段使ってるX-S10ではこのカットすらも撮れなかったと思いますので、X-H2Sは本当にすごいと思います。
小さい水鳥はちょっと被写体検出されづらかったりしてかなり苦労しました……。
とはいえ、鳥撮影の経験がほぼないわたくしでも多少撮れたぐらいですので、きちんと経験がある方ならかなり快適に撮れるんじゃないかと!
ちなみに申し訳程度ながら電車と自動車も撮ってみましたが、スムーズに被写体を検出してくれました。
いや~すごい……。
【ノスタルジックネガがついに使える!】
Xユーザー的にはこれが気になっている方も多いはず。
「アンバー寄りのハイライトと色乗りのいいシャドウ」が特徴とのこと。具体的にはどんな感じでしょうか?
とりあえず日中の1枚。
青空の発色は多少鈍く、PROVIAやASTIAよりは渋めの色ですがクラシッククロームよりは鮮やかな感じです。
このカットだけ見ると「ノスタルジック」という名前のわりにヌケの良い鮮やかな色の出方に見えます。
確かにハイライト(明るい部分)にあたるビルの壁面がうっすら暖色寄りです。
一方でシャドウ(暗い部分)である手前の人影は比較的明るめでトーン重視に仕上がっています。
コントラスト(明暗差)の大きいシーンで使うと効果が実感しやすいモードなのかなぁと。
すでに多くの方が指摘していますが、おそらく夕暮れ時に使うのがいちばんしっくりくるフィルムシミュレーションですね。
夕日に照らされるハイライト部の雲が強調され、一方でシャドウのディティールもきちんと見せてくれる。
ハマるとかなり印象的な1枚が撮れます!
ここでちょっとフィルムシミュレーションブラケットで3種類撮ってみたものを比較してみましょう。
右下あたりの雲を見るとノスタルジックネガのハイライトの特徴がよく分かると思います。明らかに暖色寄りになっていますね。
シャドウ部にあたるビルの外壁ですが、クラシッククロームとクラシックネガは暗く潰れてコントラストが高くなっています。
一方でノスタルジックネガは、青が強めでハイライトの暖色と補色になるのでコントラストは高くなっていますが、ディティールが潰れずに保たれていますね。
もうちょっと比較です。
明暗のコントラストが低いETERNAと比べると、ノスタルジックネガきっちり色が乗っていて派手めな色づくりになっているのがお分かりいただけるかと。
明暗差という意味ではコントラストが低いですが、暖色と寒色の対比でコントラストを作るという面白い発想!!
1970年代の「アメリカンニューカラー」をオマージュしているとのことですが、洋画でよくある「ティール&オレンジ」にも似ています。
「ティール&オレンジ」とは、暗い部分にティール(深緑)・明るい部分にオレンジをのせてインパクトのある色を演出するやり方。
今までのフィルムシミュレーションにはなかったコンセプトで非常に面白いです。
明暗のコントラストが高いシーンでないと特徴が分かりづらいですが、なかなか使いこなし甲斐がありそう……!!
【まとめ】
正直なところ、いままでのFUJIFILM Xシリーズはレスポンスや挙動の速さの面がちょっと弱かったのですがかなり改善されました!
また、今回わたくしのほうで動画サンプルなどは撮れておりませんが、幅広い動画形式をカバーしており、「静止画も動画も撮りたい!」という方にはかなり魅力的な一台となっております。
APSーCでボディ単体30万円コースというのはなかなか手を出しづらい価格にはなってしまいますが……。
静止画用機としても非常に高い性能を持ちながら、シネマカメラにも匹敵する動画性能を有する全部盛りの一台ですので。仕方ない。
ちなみに、動画スペックのところで羅列していたいろいろな用語がピンと来ないかたは、こちらを参考にしていただければと。
気安く手を出せる価格ではないものの、かなりハイスペックにまとまった優秀なカメラです!!!
もちろんナニワグループオンラインでもお取り扱いしております~。
すでにFUJIFILM Xシリーズでレンズを揃えており、動画撮影も積極的に行っている方はかなり前向きに検討してみて良いのではないのかと!
【おまけ】
センサー・画像エンジンが変わったため、従来のXシリーズと画の作りがちょっと変わったかもしれません。
動物園の作例はすべてフィルムシミュレーションASTIAで撮ったのですが、ちょっとシャドウが濃いというか……。
小雨が降っていて暗いシーンではあったのですが、「ASTIAってこんな色になったっけ?」と思ったり。
こちらも追加で情報発信できるようなら細かい検証をしておきたいところ……。
X-H2Sではそういう処理待ちが発生することなくスムーズに撮影を続けられました。ほんとに画像処理の高速化がすごい……。
では、これぐらいで。
長くなりましたが今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
また次回のブログでお会いしましょう~!!