シグマ28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary 猫撮影レビュー

皆様 こんにちは。見崎でございます。

最近、Eマウント用交換レンズの新製品情報が毎月入ってきますが、気になる交換レンズはございますか?

シグマでは大口径標準ズームレンズに新たな選択肢がふえました。その製品は【SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary】です。

2019年8月に【14-24mm F2.8 DG DN | Art】発売以後、ショートフランジバックが特長であるフルサイズミラーレスカメラに最適化された光学性能を有する「DG DNシリーズ」の大口径ズームレンズの拡充が進んでいます。

大口径ズームレンズとしては、非常に高い解像度性能を誇る【24-70mm F2.8 DG DN | Art】があるなか、【28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary】の発売した経緯・特長について、筆者の撮影した猫写真と共に紐解いてゆきましょう。

【光学技術者の発案で「ニッパチ」最高の小型化・軽量化を実現】

ズーム全域でF2.8通しの「ニッパチ」標準ズームレンズと聞けば、メーカーを問わず「24-70mm f2.8」を思い浮かべます。

それと同時に「高画質には満足しているが、通常撮影では重すぎる・長時間の撮影では疲労感が出やすい」とサイズ感について、改善を求めるプロフェッショナル・ハイアマチュア層は少なからずいますね。

【28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary】は、営業側の製品化要望でなく、「広角側の焦点距離を24mm→28mmへ縮めると、レンズ性能を維持したままでも、小型化・軽量化が可能」とある光学技術者の独自研究がきっかけであります。

当初は、営業側は難色を示していたようですが、紆余曲折を得て、光学技術者の熱意が製品化につながります。

焦点距離を4mm縮めたことで、【24-70mm F2.8 DG DN | Art】と比較して、質量比33%減 全長比17%減 フィルター径φ82mm→φ67mmと3段分も小径化されています。

その結果、フルサイズ用「ニッパチ」標準ズームレンズとしては、最小・最軽量を実現しています。

■参考比較
ニコン NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S 重さ 805g フィルター径φ82mm
キヤノン RF24-70mm F2.8 L IS USM 重さ 900g フィルター径φ82mm
サムヤン AF 24-70mm F2.8 SONY-E 重さ 1027g フィルター径φ82mm
ソニー FE 24-70mm F2.8 GM II 重さ 695g フィルター径φ82mm
パナソニック LUMIX S PRO 24-70mm F2.8 重さ 940g フィルター径φ82mm
シグマ24-70mm F2.8 DG DN | Art 重さ 830g フィルター径φ82mm
シグマ 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary 重さ 470g フィルター径φ67mm

【最新の光学技術でArtラインに匹敵する高い光学性能に】

【24-70mm F2.8 DG DN | Art】のレンズ構成15群19枚をベースに、高画質はそのままでレンズ構12群16枚へ軽量化ができたのは、非球面レンズ3枚、FLD2枚、SLD2枚を使用し、色収差・サジタルコマ収差を極力抑えているからです。

またカメラボディ側の電子補正を活用すれは、歪曲収差を抑えることもできます。

FLDレンズ…シャープでコントラストの高い優れた描写を実現できる蛍石と同等の性能を持つガラスレンズ

SLDレンズ…従来方式のレンズでは取り除くことができなかった残存色収差を除去するガラスレンズ

サジタルコマ収差…星などの点像に尾を引いたような歪みが同心円方向に生じる収差

【望遠寄りの至近距離では柔らかいボケ味】

かつて昭和30年代、レトロフォーカスタイプやオルソメタータイプを採用していた交換レンズでは、最短撮影距離を短くすれば描写力は低下する定説がありました。

当時は近接撮影をしたくても、気軽に楽しめるものではありませんでした。

普段、近接撮影が苦手なオールドレンズで猫撮影を趣味にしている筆者としては、猫の顔を少しでも大きく写しこみたい派には、今回のシグマ28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary レビューは満足ゆくまで堪能できました。

当レンズの望遠寄りの近接撮影では、背後のボケは非常に柔らかく、猫の毛並みもふわっと表現してくれます。

広角寄りの近接撮影では、玉ボケの口径食が少々見受けられ、ボケの溶け込み方がやや硬く感じる方もいるかもしれません。

【逆光に強いシグマ独自のコーティング】

シグマの誇るコーディング技術「ナノポーラスコーティング」と多層コーディング「スーパーマルチレイヤーコート」によりゴースト・フレアーを抑え、コントラストがある高画質を実現しています。

今回の試写では、炎天下で敢えてレンズフードを取り外した状態で臨みましたが、逆光でも気にすることなく、構図を決められました。

ナノポーラスコーティング…コーティング材料の多孔質シリカ層内部に空気を含んだナノサイズの穴を形成。その結果、屈折率を大きく下がり、逆光のような強い入射光に対しても影響を受けにくくします

スーパーマルチレイヤーコート…レンズに入射した光の反射防止とフレアやゴーストの発生を低減するために施すシグマ独自の多層膜コーティングです。現行のすべてのレンズに採用されています。

撥水・防汚コート…水滴、手の脂などが付いても、レンズクロス等で簡単に拭き取りやすくしたコーディング
筆者は、プライベートで【SIGMA 30mm F1.4 EX DC HSM / EX DC】を愛用しています。

当レンズもデジタル専用設計ですが、画像周辺部の解像度や逆光耐性は、【28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary】では明らかに進化しているのを確認できました。

また レンズの最前面には、撥水・防汚コートを施していますので、水しぶきの飛んでくる噴水広場でもレンズフィルターを外した状態で安心して撮影できます。

【ジンバル派には嬉しいインナーフォーカス】

ズームレンズのピント合わせは、以前は「全群繰り出し方式」や「前玉繰り出し方式」が一般的でしたが、【28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary】は、レンズの総重量を軽減可能な「インナーフォーカス方式」を採用しています。

構成している光学レンズ群のうち、中間部にあるレンズ群のみ動作されるので、ピント合わせでレンズの全長に変化が生じません。

このおかげで、バランスをもっとも求められるジンバルに搭載した場合でも重心移動の心配がなくなります。

【最後に】

今回のレビューでは、SONY 初代α7(ILCE-7)と【SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary】のコンビで臨みました。

サイズ感は、APS-C用「ニッパチ」標準ズームレンズ(SONY E16-55mm f2.8)と同等であり、終日、猫をローアングルで撮影しても肩や腕の疲労感は軽かったです。

特にSONY α7C (ILCE-7C)と組み合わせれば およそ979g

SIGMAの最新型 fp Lと組み合わせれば およそ897gと大口径ズームレンズシステムでは劇的な軽量化であります。

大きさ・重さでフルサイズミラーレスカメラシステムを敬遠されていた方には今回は朗報な新製品と言えるでしょう。

「大口径ズームレンズを購入したけれど、あまりにも重くて使う頻度が減った」と諦めていた方には是非とも手にしていただきたい製品です。


尚、高性能コンパクトズームレンズとして【16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary】が2022年6月17日に発売されています。

こちらの重さは450gと軽量かつ高性能仕様です。 SIGMA Contemporaryシリーズは優れた光学性能とコンパクトネスを上手に両立させています。

皆様の交換レンズシステムにSIGMA Contemporary シリーズを新たに加えてみませんか?




■撮影協力:ハチさん・トラさん・タクさん・クロさん・クリさん
※許可を得て、猫を撮影