こんにちは~。編集長 中村です。
FUJIFILMの最新ミラーレスカメラ X-H2が発売されましたね!
交換レンズも、バージョンアップしたポートレートレンズ のXF56mmF1.2 R WRと動画に便利なパワーズームレンズ XF18-120mmF4 LM PZ WRが発売され、FUJIFILM Xシリーズは極めてホットな状況です。
いや~嬉しい!! イチXユーザーとして本当に嬉しい!!!!
……で、ここで上記の新製品の実写レビューとか出せたら恰好がつくのですが……。
注目を集めているだけあってデモ機を借りることすらままならない状態でございます。お恥ずかしい。
とはいえ、FUJIFILM推しメディアである我らが『新世界』として、今このXビッグウェーブに乗れないのはあまりにもダサいなと。
ということで、X-H2の約4020万画素に対応するレンズの中から、イチオシの製品を今回はご紹介させていただきます。
今回取り上げるのは、FUJIFILM Xマウント標準ズームレンズのハイエンドモデル・ XF16-55mmF2.8 R LM WR でございます。
2015年発売と、Xマウントレンズの中では「古株」のレンズですが、その素晴らしい描写はいまだに多くのXシリーズ愛用者を魅了しつづけています。
こちらのレンズの魅力を今回は改めてお伝えしていければと思います~!!
【簡単なスペック紹介】
焦点距離 | 16-55mm (35mm判換算:24-84mm相当) |
レンズ構成 | 12群17枚 (非球面レンズ3枚、異常分散レンズ3枚) |
開放絞り | F2.8 |
最小絞り | F22 |
絞り形式 | 羽根枚数:9枚(円形絞り) |
最短撮影距離(撮像素子面から) | 標準 0.6m - ∞ マクロ 広角:30cm-10m、望遠:40cm-10m |
質量 | 655g |
まずは簡単なスペック紹介から。
焦点距離16-55㎜(35mm換算で24-84mm相当)で、ズームしてもF値が暗くならず全域でF2.8通しのレンズになります。
こようにズーム全域でF2.8通しの広角ズーム・標準ズーム・望遠ズームレンズを一般的に「大三元レンズ」と呼びならわし、カメラメーカー各社ラインナップに揃えています。
メーカーによって焦点距離は若干違いますが。
「大三元」という言葉は麻雀の用語らしいですが、学生時代に雀荘へ連れていかれた時にまったく役をおぼえられず3分で諦めたわたしにはよく分かりません。
余計な話はともかく、FUJIFILMにおける「大三元レンズ」の標準ズームレンズ枠を担うのがこちらのXF16-55mmF2.8 R LM WRになります。
※ちなみにFUJIFILMの大三元レンズのうち、広角枠はXF8-16mmF2.8 R LM WR・望遠枠はXF50-140mmF2.8 R LM OIS WRになります。
【単焦点4本分をカバーする便利ズーム】
こちらのレンズ、35mm換算で焦点距離24-84mm相当ですので、24mm・35mm・50mm・80㎜といった代表的な単焦点レンズの画角をカバーしております。
なおかつ全域でF2.8のボケを活かした撮影が可能、「単焦点と同等の画質」を実現しているとのこと。
それが本当ならめちゃくちゃすごくない!?
一般的に、「単焦点レンズのほうがズームレンズよりも画質が良い」とされることが多いのですが、その欠点を克服しているということらしいのです。
【類似スペック品と比べてデメリットも】
ただし、当然ながら良いことずくめではありません。
上の写真は、X-S10などについているキットレンズのXF18-55mmF2.8-4 R LM OISと比較のために並べて撮ってみたものになります。
右がXF16-55mmF2.8 R LM WR(今回紹介してるほう)、左がXF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(キットレンズ)です。
一目瞭然ですが、XF16-55mmF2.8 R LM WRのほうがめちゃくちゃデカいです……。
重さにもきっちり違いが出ていて、XF16-55mmF2.8 R LM WRが質量655gなのに対し、XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(キットレンズ)が半分以下の310gとなっています。
また、手ブレ補正(OIS)の有無も大きな違い。
XF16-55mmF2.8 R LM WRには手ブレ補正機構が内蔵されていませんが、XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(キットレンズ)には入っています。
今どきのFUJIFILMのカメラにはボディ内手ブレ補正が内蔵されているものが増えておりますが、必ずしもすべてではありません。
大きさや重さがコンパクトとは言い難い点、手ブレ補正機構が入っていない点という代償を払いながらも、画質を追求したというこちらのXF16-55mmF2.8 R LM WR。
果たしてその写りは一体いかがなものなのでしょうか?
【作例】
では、皆さま気になる作例のほうをお見せしていきたいと思います。X-S10に装着して撮影して参りました!
焦点距離:16mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/1700 ISO:800
とりあえず万博記念公園に行こうと思いました。
モノレールに乗る直前、ディストーション(歪曲収差)のテストとして千里中央の商業施設内にて軽く1枚。
あんまりいいテスト材料ではないかもしれませんが、ぱっと見で不自然な歪みは発生していないように見えます。
焦点距離:30mm 絞り:F4 シャッタースピード:1/4700 ISO:320
この日は主にフィルムシミュレーション ASTIAを使用して撮影しております。
10月に入ったばかりですが、夏の名残りのようにわたあめチックな雲が浮かんでおりました。
1段絞ってしまっていますが、周辺減光は見事なまでにまったく見られません。
焦点距離:19mm 絞り:F4 シャッタースピード:1/3000 ISO:320
きたぞ太陽の塔!!
焦点距離:34mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/5000 ISO:320
裏側の「黒い太陽」も撮ってみました。
思いっきり太陽(本物)にレンズを向けて撮影しましたが、HT-EBC (High Transmittance Electron Beam Coating)とナノGIコーティングによってフレアやゴーストの発生が極めて抑えられています!
ハイエンドモデルにふさわしい強力な逆光耐性ですね~。
焦点距離:16mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/680 ISO:320
絞り開放・広角端の16㎜で木々を仰いで撮ってみました。
こういう明暗差がはっきりしているシーンでは木漏れ日の周辺などにフリンジ(存在しない色が写ってしまうこと)が発生しがちですが、それもほぼ目立たず隅々までシャープな写りです。
焦点距離:55mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/3200 ISO:320
一方で望遠端55㎜でも絞り開放で撮影してみました。岩や水、落ち葉の質感もしっかりと感じられる描写ですね。
焦点距離:23mm 絞り:F4 シャッタースピード:1/2900 ISO:640
焦点距離:32mm 絞り:F8 シャッタースピード:1/800 ISO:640
準広角・標準レンズ相当の画角でも撮影してみましたが、全域でヌケの良いクリアな描写を見せてくれます。
焦点距離:55mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/640 ISO:320
苔を被写体に近接撮影!
さすがに意地悪な条件なので周辺部に若干のざわつきは発生しますが、合焦部のシャープさとなだらかなボケは非常に素晴らしいです。
かなり優秀な部類なのではないかと。
焦点距離:25mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/2500 ISO:640
焦点距離:55mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/3000 ISO:320
もう少しボケの詳細を細かく見ていきましょう。
切れ味鋭く被写体を浮き上がらせてくれる一方、ボケはなだらかで美しい拡散具合です。
ゴリゴリにシャープではないものの、しっかりと質感のある描写。繊細さを感じます。すき。
焦点距離:55mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/2200 ISO:640
焦点距離:55mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/3800 ISO:640
APS-Cサイズでありながらもフルサイズ機にも負けない画質を実現しているX-Trans CMOSの実力もあって、繊細な光のニュアンスも逃さず丁寧に描写してくれます。
焦点距離:33mm 絞り:F8 シャッタースピード:1/640 ISO:640
焦点距離:16mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/1250 ISO:640
フィルムシミュレーションをASTIAにしているせいかもしれませんが、極めて線が細い描写傾向があるように見えます。
単純なかたちをした被写体よりも、木々の葉っぱの細かい様子などを描写するほうが得意なレンズなように感じますね。
約4020万画素で高周波被写体のAF検出性能にも優れたX-H2にはまさしくぴったりなレンズなのではないかと。
焦点距離:47mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/750 ISO:640
強い点光源を周辺部に入れたりすると、さすがにちょっと収差が出ますね。とはいえ、ぱっと見で目立つレベルではありません。
それに、X-Trans CMOS 4 のX-S10ですら2610万画素ありますので、気になるならトリミングしてしまえばそれこそまったく問題ありませんし。
焦点距離:55mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/900 ISO:640
水面の照り返しが綺麗だったのでもう1枚。LM(リニアモーター)によるAF駆動は軽快で、ストレスなくサクサク撮影できるのも快適です。
ってかこれだけ強烈な照り返しでもクリアで透明感のある画が出てくるのほんと逆光耐性すごい……。
焦点距離:55mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/3200 ISO:640
コキアに目いっぱい寄って撮影。近接撮影でも画質が低下することなく、繊維の1本1本まで丹念に解像してくれています。
繰り返しますが、ズームレンズでここまでクリアでシャープな画が出てくるのは本当に素晴らしい……。
焦点距離:55mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/3800 ISO:640
焦点距離:55mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/2500 ISO:640
コスモス畑にて。
こういう背景が煩雑になりやすいシーンでは「ボケの良さ」がシンプルに試されますが、極めて自然で美しいボケを生み出してくれるのでめちゃくちゃテンション上がります。
焦点距離:21mm 絞り:F5.6 シャッタースピード:1/300 ISO:640
広角側でコスモス畑の広がりを表現してみました。
1本のレンズで極めて多様な写真表現を生み出せるのは本当にありがたい限り。
焦点距離:52mm 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/1300 ISO:640
分かりやすく「エモい」写真を撮ろうとして閉園ギリギリまで粘りました。
ここまで厳しい逆光でも透明感のある描写を保っているのは本当にすごい……。
フレアの出方も上品で、ブラックミストなどの特殊なソフトフィルターを装着した時のような心地よい柔らかさがありますね~。
【まとめ】
では、振り返りつつ簡単にまとめて参りましょう。
「単焦点と同等の画質」という謳い文句は正真正銘の本物です。
通常撮影時のみならず、シビアな撮影条件でも画面中心から周辺部までかなり良好な描写を保っており、あらゆるシーンに対応してくれる心強さがあります。
Xマウントレンズ全般に言えることですが、適度なシャープさはありつつも「優しさ」のある写りが非常に魅力的です。
リニアモーターによるAF駆動ですばやいピント合わせが可能。
今回は晴天での撮影でしたが、WR(防塵防滴)仕様になっているので不安定な天候下での撮影でも安心できます。
広角域でダイナミックに写しこむことも、標準域でナチュラルに描くことも、望遠域でエモーショナルに切り取ることもできる。
キリっと立体感のあるボケを生み出してくれるので、APS-Cサイズ開放F2.8でもボケを強く感じられます。
この切れ味は本当に単焦点に負けないレベルなので本当にすごいです。
「大三元レンズ」などというとガチガチのプロしか使ってはいけない機材のように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが……。
「趣味」で写真を撮っているわたくしとしては、同じように趣味で楽しく写真を撮っている方にこそこちらのレンズを使ってみていただきたいです。
他社のフルサイズ機用「大三元レンズ」ともなれば20万円以上するのがふつうですが、こちらのレンズは新品でも12万円程度と比較的お手頃。安くはないけど。
投資に見合うだけの、満足いく写真が撮れること請負いです。
ぜひともご検討くださいませ!!
ナニワグループオンラインでも新品中古品お取り扱いございます。中古品は使い込まれた個体も多いため、新品で購入するのもおススメできますよ。
FUJIFILM XF16-55/F2.8 R LM WR 新品・中古品 在庫状況
それでは今回も長々とお付き合いいただきましてありがとうございました~!
また次回のブログでお会いしましょう!!
あぁ~X-H2はやく使いてぇ~!!!
【おまけ】
太陽の塔って夜になると目が光るんですよ。
知ってました??
中途半端な暗さで分かりづらくて恐縮ですが。