レンズはほぼ「見た目」で決まると言っていいという趣旨のシリーズでございます。
第一回はレンズ外見至上主義!「ZEISS Loxia 2/50」でございました。
レンズの外見、操作感から、最後に作例も紹介いたします。
今回も筆者の偏見を交えながらもお届けいたします。
さて、今回取り上げるレンズは「SIGMA 65mm F2 DG DN | Contemporary」です。
2020年12月にLマウント用、ソニーEマウント用とあわせて発売されました。
ミラーレス時代に"プレミアムコンパクトプライム”という新たな価値に挑戦する「Iシリーズ」第一弾として登場した、4本のうちの一角を担うレンズでした。
このシグマ「Iシリーズ」の発表時は驚きましたね。
だって「Iシリーズ」の特設ページを見てみると、やれ金属削りだしがどうの、絞りリングのクリック感がどうのと、外観・手触り・操作感へのこだわりが延々と語られているんです。
レンズを触らずともフォーカスや絞りを設定できる時代ですから、極端な話メーカーはレンズの描写性能やAF性能を追求すべきであり、外観や手触りは二の次でいいわけです。
そこをまさかここまで作りこんでくれるメーカーがあるとは、と感動さえ覚えました。
Iシリーズは2022年10月現在、7本のレンズが存在しています。
高画質と常用性を両立するF2のシリーズが4本。
20mmF2 DG DN
24mmF2 DG DN
35mmF2 DG DN
65mmF2 DG DN
コンパクトネスを追求するF3.5、F2.8のシリーズが3本
24mmF3.5 DG DN
45mmF2.8 DG DN
90mmF2.8 DG DN
以上のように分けられております。
SIGMA fpのキットレンズにもなっている45mmF2.8と65mmF2を比べてみると、確かに45mmはかなりコンパクトですね。
しかし、フルサイズ最小・最軽量のSIGMA fpに装着してもこのサイズ感で収まります。
これでF2という性能、そして前回紹介したZEISS Loxia 2/50と違ってオートフォーカスも可能ですから、十分小型のレンズと言えるでしょう。
レンズは外装から内部部品に至るまで金属素材で作られており、ツヤ消し加工されていることでなんともいえない高級感が漂っております。
ずっと見ていると吸い込まれてしまうような黒です。
金属外装特有の触れるとひんやりした感触が嬉しいです。
金属レンズならではの重みを少し感じますが同じ大きさのオールドレンズよりは軽く、持ち運びには困りません。
今となっては珍しくなってしまった"MADE IN JAPAN"表記に歓喜
絞りリング付きのレンズを持つと、使わないときもついクルクル回してしまいますがこのレンズのクリック感も素晴らしく、上質で心地よい音が響きます。
特にF22から「A」に変える時のニュッとした感覚がクセになります。
是非お試しを。
フォーカスリングと絞りリングの間にはカバーリングが採用されており、指がかりになるように美しいラインで切り削られています。
実用性を兼ね備えた良いデザインですね。
フードを装着するとそれなりのサイズ感になります。
フォーカスリング・絞りリングはもちろん、フードまでローレット加工されていますね。
このローレット加工には相当手間がかかることが予想されますが滑り止めになるため操作性が良く、ホコリもたまらないので、私にとっては良いことづくめです。
細部まで作りこまれており、どこまでも繊細で美しい外観には「調和」を感じます。
「生粋のMade in Japan」であるSIGMAの本気度が見てとれますね。
作例
F2, 1/4000, ISO800, Forest Green
F2, 1/4000, ISO800, Forest GreenF2, 1/400, ISO800, Forest Green
65mm/F2は十分なボケ量で、ピント面がかなりシャープなことも相まって、被写体に目が行くように写っています。
F2, 1/200, ISO800, Forest Green
F2, 1/320, ISO800, Forest Green
寄って撮影すると猫の毛並がなだらかに変化してボケていくのがわかります。
カッチリしたレンズかと思いきや、これほどまで柔らかく美しいボケを出すことも可能です。
F2 ,1/250, ISO800, Powder Blue
F2, 1/1000, ISO800, Powder Blue
初めて使ってみたカラーモード「パウダーブルー」がすごく良いですね。
シャープなレンズでもふんわりした写りに。テーブルフォトや日常写真におすすめです。
F2, 1/2000, ISO400, Teal and Orange
開放でもこれだけ解像してくれます。
こちらはカラーモード「ティールアンドオレンジ」を試してみましたが、雰囲気に見事にマッチしてくれました。
F4.5, 1/160, ISO400, Forest Green
最短撮影距離は55cm。
さすがはArtレンズに匹敵すると言われているレンズ。
少しだけ絞ってみましたが、切れ味と解像感が増しましたね。
F2, 1/500, ISO3200, FOV Classic Yellow
ポートレートにおいても、肌の質感を綿密に描写してくれます。
「FOVクラシックイエロー」の豊かな色味も合わさり、とてもリッチな仕上がりに感じます。
F2, 1/4000, ISO100, FOV Classic Yellow
F4, 1/320, ISO100, Standard
あまりにも気に入ったので、琵琶湖キャンプにも持っていきました。
泡の一粒一粒までしっかり捉えています。
夕焼けに入るか入らないか微妙な時間帯の赤味を豊かに表現してくれました。
F22, 0.5秒, ISO100, FOV Classic Yellow
NDフィルターをつけてスローシャッターで水面を写してみました。
すみずみまで写る解像感と、SIGMA fpの色味と合わさり、めっちゃかっこよくないですか?(語彙力)
F2 ,1/1600, ISO500, PortraitF2, 1/320, ISO100, Powder BlueF2, 1/400, ISO100, Powder BlueF2, 1/800, ISO500, FOV Classic Yellow
造りも写りもリッチなレンズ