【白と黒で表現する】モノクロ写真入門⑥

みなさまこんにちは!

フィルム現像に最適な秋~初冬がやってきましたね!(理由は後ほど!)

【白と黒で表現する】モノクロ写真入門も、第6回目となりました!

前回は「モノクロフィルム写真~現像準備編~」として、フィルムのリール巻き取り方法についてご紹介いたしました。

お待たせしました、今回はついに現像編!

大ボリュームでお届けしますが、フィルム現像の肝となる部分ですので、是非読んで見てみてください~。

それではスタート٩(・v・)و

【フィルム現像に必要な薬品】

★今回は富士フイルムでメーカーを統一しております。各種他メーカーも現像薬品の種類がありますので、慣れてきたらお好みの薬品を試してみましょう( ・∀・)


⓵現像液:ミクロファイン

露光したフィルムの現像処理をするための薬剤です。

少し前は液体タイプの現像液もありましたが、現在はフジフィルムのミクロファインが少量(1L用)から買える、比較的手軽なものになると思います。

⓶停止液:富士酢酸(50%)

現像液の次に使用する薬液です。アルカリ性の現像液を中和することで、化学反応を「停止」させて現像が進まないようにします。

暗室独特のにおいは、この酢酸によるもの。最近はクエン酸を使用した「匂わない停止液」もあり、私も自宅ではこちらを使用しています。

※酢酸は色々な濃度が販売されていますが、90%酢酸の場合、うっかり素手で触ったままにすると薬品やけどの危険性がありますので注意してください!

こちらも水にて希釈します。

⓷定着液:スーパーフジフィックス-L

現像処理されたフィルムは乳剤(銀)が付いているので、定着作業で余計な銀を取り除きます。

こちらの富士フイルムスーパーフジフィックス-Lには「硬膜効果」もあるので、水でやわらかくなったフィルムも硬く扱いやすくなります。


⓸水洗促進剤:富士QW

定着処理後は流水で残留薬品を洗い流しますが、水洗促進剤を使うと本水洗を60分→15分と大幅に短縮することができます……!

時間(と水道代)が節約できるので、こちらもあると便利です(・v・)


⓹ドライウエル(水滴防止剤)

水洗後、フィルムに残った水滴むらを防止するために使用します。

※フォトスポンジを使って直接水滴を取る方法もありますので、後ほど併せてご紹介します!


【現像準備】

〈現像液・水洗促進剤〉
計量カップにそれぞれ薬品を入れ、袋の記載に従って溶解します。

現像液は50℃、水洗促進剤は40℃の温湯にかくはんしながら薬品を徐々に投入し、完全に溶かしましょう。

※粉末タイプの薬品は、薬剤の偏りを防ぐため小分けにせず一袋すべて1回で溶かし切ってください!

粉末タイプの現像液は、溶け残りを防ぐため現像作業前日までに溶解しておくのがベストです(・v・)
現像液は温度によって処理時間と仕上がりが変わります!

20℃
を基準としますので、使用の際は、写真のように氷水にあてて、低ければ湯せんします。


〈停止液〉
水に対して1.5〜3%程度の濃度になるよう酢酸を混ぜて使用液とします。
(今回は50%酢酸を使ったので、水1L:酢酸30ml)
※現像の化学処理を停止するために必要なので、用意できない場合は水でも代用可能です。

〈定着液〉
今回使用したスーパーフジフィックス-Lの場合、水1:2の比率で希釈していきます。
液体なので、水に溶かすのも楽々(・v・)♪
薬液の準備ができましたら、現像液・停止液・定着液・水洗促進剤の順に計量カップを並べます。

右利きの場合は左から並べると作業がやりやすいです( ´∀`)

現像場所は、水道が近く、現像後すぐにフィルムを干せるお風呂場がベスト!

※液の注入・排出時にこぼれてもいいよう、バットを敷いておくと安心!

※計量カップには、それぞれ何の薬品が入っているか分かるようにマジックで液名を書いておきます

(初めて一人で現像した時、テンパっていきなり定着液を入れた思い出がよみがえる……)

【現像】

現像のプロセスと時間は以下のとおりです。

①水(前浴) ― 30秒

②現像液 ― 20℃で10分

③停止液 ― 30秒

④定着液 ― 5~10分

⑤予備水洗 ― 流水30秒

⑥水洗促進剤 ― 1分

⑦本水洗 ― 流水5〜10分

⑧水切り・乾燥

ひととおり見て、イメトレしてからのぞむと失敗が少ないと思います(・ω・)

①(前浴)
前回のとおりフィルムを巻き込んだリールが入った現像タンクに水を注ぎ、約30秒ほどゆっくり天地を返してかくはんし、排出する。

※前浴は現像ムラを防ぐ作用があると言われておりますが、メーカーによっては前浴を勧めないフィルムもあるようです……。

失敗したくないフィルムは、一度、ご自身の現像環境で前浴アリ・ナシでテストしてから挑んだほうが確実かもしれません。

②現像

〈かくはん手順〉
現像タンクに現像液を注ぎ、蓋をして底を数回軽く叩いて気泡を抜く

※液に触れたところから現像が進んでいきます。現像ムラを防ぐため、ゆっくりすぎず、かつ液体が溢れ出ない程度のスピードで迅速に注ぎましょう(`・v・)!
蓋を押さえながら、1分間、約10秒に3回のスピードで天地を返す(かくはん)。

※かくはんのスピードが速すぎたり液温の温度が高すぎると、仕上がりの画像が粗くなる恐れがあります。一定のスピードで、タンク内の液体をまんべんなく対流させるようにかくはんしましょう。
かくはんが終わったら、手を離して1分待ちます
※手に持ったままだと液温が上昇してしまうので注意!

1分経ったら、5秒間、先ほどと同じスピードで上下を返してかくはんし、また1分待ちます

このサイクルを繰り返し、現像液を入れてから合計10分経ったら注ぎ口の蓋を取って、タンクの蓋を押さえながら液を排出する。

※蓋が緩いタンクもまれにあり、ここで中のフィルムに光が当たってしまうと全て真っ黒に感光してしまうので注意!※富士フイルム「ミクロファイン」の袋に記載されている現像方法を参考にしています。
※時間は液温20℃・フィルムはネオパン 100 ACROS Ⅱ使用時のものです。
温度やフィルムのメーカ別による時間は富士フイルムの公式HPよりご確認ください。

③停止液
現像液を排出し切ったら素早く停止液をタンクに注ぎ、天地を返して30秒連続かくはんする。

かくはんが終わったら元の計量カップに排出する。

④定着液
停止液を排出し終わったら、定着液を注ぎ入れ、天地を返してまず1分間連続かくはんする。

あとは現像液の〈かくはん手順〉と同じく、1分待って5秒かくはんを繰り返し、合計5分(~10分)経ったら元の計量カップに液を排出する。

⑤予備水洗
タンクの蓋を開けて水道から直接リール真ん中めがけて水を注ぎ、流水で30秒間フィルムに付いた薬品を洗い流す。

次に使う水洗促進剤の疲労を極力予防する意味もあるので忘れずに(*・∀・)o"

⑥水洗促進剤
タンク内の水を排出し、フィルムが全て浸かるよう水洗促進剤を注ぎ入れる。リールを軽く揺らして気泡を取り、1分間漬けたら薬液を元の計量カップに排出する。

⑦本水洗
タンクからリールを取り出し、大きめの計量カップ(2Lペットボトルの上部を切ったものでも可)に入れ、流水で5〜10分、薬品を洗い流す。

⑧水切り
水切りの方法は以下の2種類です。

〈ドライウェル〉
リールを取り出し、計量カップの水を新しいものに取り替え、水1Lにドライウエル5㎖を入れてよく混ぜる。

リールを戻して揺らし、気泡を取って30秒ほど浸けます。

リールからフィルムの先端を取り出し、フィルムクリップを付けてお風呂場内のポールにS字フックなどを使って引っ掛ける。

その後、ゆっくりと下ろしながらフィルムを引き出し、反対側の端にもフィルムクリップを取り付ける。ドライウエルに漬けた場合はフィルムをぬぐう必要はありませんので、乾くまでそのまま干しておけばOKです。

★洗濯用ピンチハンガーを利用する場合は、(厚みが無さすぎて吊るす途中に落下するのを防ぐため)リールのフィルム先端を二つ折りにして挟みましょう。

その後、ゆっくり下ろしながらフィルムを引き出し、反対側の端に目玉クリップを付けて重りにする。

(我が家はポールが無いので、天井に強力磁力のフック付き磁石を付けています^^)
干している間に埃が付着すると、乾いた時に取れなくなってしまう場合があります。プリントしやすいネガを作るためにも、乾燥時はなるべく埃を立てないよう注意しましょう!
〈フィルムスポンジ〉
水洗が終わったら、リールから取り出した先端にフィルムクリップを取り付ける。

お風呂場内のポールにS字フックなどを使って引っ掛け、ゆっくりと下ろしながらフィルムを引き出し、もう一方の先端にもフィルムクリップを付ける。

水に濡らしてよく絞ったスポンジ2つでフィルムの両面を挟み、上から下に向かってゆっくり滑らせて水滴を取る。何度もフィルムを触ると傷がついてしまうので、なるべく1回で済ませ、あとはフィルムが乾くまで干しておきます。

※数本同時に現像した場合は拭き取るごとにスポンジを絞ります。

※繰り返し使用していると、スポンジが劣化してきてカスが付きやすくなります。定期的にチェックして、古ければ交換しましょう(`・ω・)

さて、現像工程は以上です!
一見大変そうに見えますが、慣れてしまえば簡単です( ・∀・)

が! 実はかくはん方法や待ち時間など、人によってやり方は千差万別……!

ご紹介した方法はあくまでも一例となりますが、現像→停止→定着の順番を守れば現像はできるので、まずは1回、気軽にトライしてみてください♪


真夏や真冬液温の上下に気を配りながら作業する必要があるので、室温が20℃前後になり液温調整の手間が省ける秋~冬春~初夏!!

この時期を逃さず、是非みなさんも現像にチャレンジしてみてくださいね!


次回はフィルムの管理方法や使い回しのできる薬品、廃液処理の方法についてご紹介できればと思います( ・v・)!

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「【白と黒で表現する】モノクロ写真入門」の連載は月イチ(目標)で更新中!

連載が打ち切りにならないよう頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします!

(`・ω・)φ”

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