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人気の衰えないタムロン28-75mm F2.8 Di III VXD G2 <A063>レビュー

タムロン初のフルサイズミラーレスカメラ用交換レンズとして、28-75mm F2.8 Di III RXD 〈A036〉が発売されたのは、2018年。

「描写力」「扱いやすさ」「お求めやすい価格」でハイアマチュアからプロカメラマンに至るまで高い評判がありました。

そして、発売からわずか3年で、28-75mm F2.8 Di III VXD G2 <A063>として、フルモデルチェンジしました。

従来製品でも競争力があるにも関わらず、ユーザーの声をすばやく反映させた28-75mm F2.8 Di III VXD G2 <A063>の注目すべきポイントについて、筆者の猫写真と共に紐解いてゆきましょう。

【大きさはそのままで解像力向上】

従来製品28-75mm F/2.8 Di III RXD(Model A036)は、タムロン初のフルサイズミラーレス用大口径レンズであり、特殊硝材を用いることで高画質をキープしていました。

発売当時(2018年)の各社フルサイズ用大口径標準ズームレンズは、 重さもおよそ805g~1430g。

しかし、28-75mm F/2.8 Di III RXD(Model A036)は550gと他社製品と比較して、重量比38%~68%と極めて軽いものでした。

そのため、どちらかというと画質面よりも「超軽量でお買い求めすい大口径ズームレンズ」のインパクトのあった製品だったように思います。
今回の新製品はゼロベースで設計を見直し、従来製品よりズーム全域で解像度が飛躍的に向上しました。

タムロン公式の製品紹介において、MTF曲線が公開されています。左側のMTF曲線が従来製品(モデル A036) ・右側が今回ご紹介している新製品(モデル A063)です。


単焦点レンズに匹敵する「高コントラスト」「画像周辺部まで高い解像度」を発揮するであろうことがグラフからも読み取れます。

グラフには、「10本/mm」と「30本/mm」の2種類があります。

「10本/mm」は、コントラスト値(縦軸)が「1」に近いほど、コントラストが良く、ヌケの良いレンズとされます。

「30本/mm」は、コントラスト値(縦軸)が「1」に近いほど、解像度が高く、シャープに描写されます。

ただし、レンズの味わい・ボケの柔らかさなど、撮影者・鑑賞者の瞳で官能的に感じる部分に関してはMTF曲線で判断できません。

そのようなMTF曲線で判断できない良さは、「ペンタックス スーパータクマー」「ミノルタ MCロッコール」等のオールドレンズが得意とする範疇です。

こちらの28-75mm F2.8 Di III VXD G2 <A063>も、MTF曲線が良好な数値を示しているだけでなく、タムロン特有の柔らかいボケを堪能できる1本となっています。

【新機能も搭載して使いやすくなった】

高性能化した本製品(モデル A063)に相応しい機能が新設されました。

幅広のズームリングとピントリングの間に丸いフォーカスセットボタンが新設されています。 レンズを構えた時に左手の親指が当たる部分です。
フォーカスセットボタンで新たにできる機能は以下の7種類。

① 被写体から被写体へスムーズにフォーカスを移動させる機能(A-Bフォーカス)
② 記録したピント位置へクリック一つでフォーカスを移動させる機能
③フォーカスセットボタンを使って AF/MF を切り替えるための機能
④フォーカスセットボタンを使って、フォーカスリングを絞りリングに切り替えて使用することが出来る機能
⑤カメラボディで予め割り当てた機能をフォーカスセットボタンで使うことのできる機能
⑥フォーカスリングの回転方向を設定できる機能
⑦フォーカスリングを操作する際のピントの移動方式を設定できる機能

レンズに設けられたコネクターポートとPCを接続し、専用ソフトウェアであるTAMRON Lens Utilityを用いて機能の割り当てが行えます。

これは、他のレンズメーカー製の同スペック(同クラス)の標準ズームレンズより大きく勝る機能(使いやすさ)です。

【オートフォーカス機構の見直しで合焦時間が半分に】

従来製品(モデル A036)のAF駆動に「ステッピングモーターユニット」を採用していました。静粛性には優れていますが、合焦速度には他のモーター方式には負ける部分であります。

本製品(モデル A063)は静粛性を保ちつつ0.005mm単位で位置精度を確保できる「リニアフォーカス機構」へ変更されました。

大口径の重いレンズであっても、快適にAFが作動して、スッと目標位置で停止します。
一方、動画撮影において、映像鑑賞者の視点に立った場合、近距離から遠距離へのピント切り替えは敢えてゆっくりの方が演出効果が高いです

ソニーα7IV・α7SIIIなどでは、カメラメニュー内「AFトランジション速度」と「AF乗り移り感度」で、オートフォーカスの対象物に対する乗り移り速度・追従感度の設定で変更することも可能です。

カメラメニュー内で「AFトランジション速度」と「AF乗り移り感度」が変更できない機種(α7・α6000など)を愛用されている方では、前項で紹介しました「TAMRON Lens Utility」のカスタマイズ機能を使用されると良いでしょう。

①被写体から被写体へスムーズにフォーカスを移動させる機能(A-Bフォーカス)」を使用することであらかじめ2点の位置を記憶させて、フォーカスを行き来させることができます。

速度設定は8段階(LOW-5→HIGH+2)から選択することで可能ですので、お好みの演出ができる速度を探ってみてください。

【最短撮影距離の向上】

最短撮影距離について、広角端で18cm・望遠端で38cmまで近づけます。最大撮影倍率では 広角端で0.37倍・望遠端で0.24倍と従来製品(A036)より向上しています。
特に広角端では、ワーキングディスタンス(レンズ先端から被写体までの距離)はわずか4.4cmとテーブルフォト・花の近接撮影などでも扱いやすいです。

■参考比較
□SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2(Model A032) 最大撮影倍率 0.2倍
□SP AF28-75mmF/2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO (Model A09) 最大撮影倍率 0.25倍
□28-75mm F/2.8 Di III RXD(Model A036) 最大撮影倍率 0.34倍
□28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 (Model A063) 最大撮影倍率 0.37倍→NEW

【従来製品より耐摩耗性の向上した鏡筒】

カメラボディと比較して、交換レンズの使用年数は長くなる傾向があります。

カメラボディと異なり、フルモデルチャンジの頻度は少ないので、10年以上使用する方々をよく見かけます。

まず、 長期使用で気にかかる点として、「外観部の対擦傷性・防汚性」が挙げられます。

カメラボディの場合、前面カバーやグリップ部など摩耗しやすい部分にはゴム製品を使用することが多いです。

このゴム部分は各カメラメーカーのサービスセンターで取り換えることができ、簡単にリフレッシュができます。

また、交換レンズの場合も、ズームリング・フォーカスリングには滑り止めのゴムを使用することが大半です。

しかし、骨格をなす鏡筒部はプラスチック素材に塗装を施した製品が多いです。
28-75mm F2.8 Di III VXD G2 <A063>については、従来製品〈A036〉からデザインを一新しています。

鏡筒部の塗装については、対擦傷性が向上しキズが付きにくくなるよう改善されています。

外観部はプラスチックを使用していますが、長期に渡る使用を考慮して、フォーカスリングの内部には金属部品を使用するなど、目に見えないところまでこだわっています。

また、当レンズにも、タムロン独自の「簡易防塵防滴仕様」「防汚コート」を施していますので、撮影にも集中できます。

【最後に】

28-75mm F2.8 Di III VXD G2 <A063>の特長である「大口径f2.8ズームをコンパクトに設計する技術」は、かつての「AF 28-300mm F/3.5-6.3 XR Di VC LD Aspherical [IF] MACRO」など歴代の高倍率ズームレンズで培った革新的な技術力がベースのひとつになっています。

「直径をそのままに鏡筒を短くすることでレンズの明るさを保つことができる」などの発見が活用されています。
フルサイズ用の大口径レンズを購入したいけれども、「山岳撮影に荷物になる」「街中のスナップで、大きいレンズは躊躇する」とf4-5.6クラスのズームレンズで代用されていた方々には嬉しい新製品です。

ぜひともご検討ください。

■敷地責任者・飼育責任者の許可を得て、猫を撮影
撮影協力:ボブくん・ナンシーちゃん・コナンくん・児島くん・コアちゃん・モコちゃん・ザビくん・ハルちゃん・ジャスミンちゃん・ダズくん・パンちゃん・はっちゃん・ソラさん

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