FUJIFILM カメラのナニワ 京都店

FUJIFILM X-T5 製品レビュー!【小さなボディに全部つめこんだ一台】

カメラのナニワ京都店阿部です。

2022年11月25日にFUJIFILM X-T5が発売となりましたね。X-H2S、X-H2に続く第5世代モデルとして登場いたしました。

「富士フイルムはいいぞおじさん」の端くれである私としては、これは触っておくべきでしょう。

目立つ変化として、X-T4の約2610万画素から約4020万画素と大きく高画素化したこのモデル。

動画にも強いX-H2S・X-H2と比べて、「Photography First」というキャッチコピーで写真機として特化しているとのこと。

現X-T4ユーザーである私がX-T4と比較しながらX-T5の使い心地や作例を紹介いたします。

【外観比較】

(←X-T4 X-T5→)

FUJIFILM X-T4とX-T5の外観比較 正面からカメラというものは新しいモデルになるとサイズが大きくなる場合が多いのですが、X-T5の場合はなんとX-T4からサイズダウンしております。

重さに関してもボディのみでX-T4の526gからX-T5は476gと軽量化。

持った瞬間「小さい!軽い!」とテンションが上がりました。

高画素化し、手振れ補正の性能も強化されたのにも関わらず、小型軽量化できるとは驚きです。

グリップ感も素晴らしく、カメラを握るだけでニヤニヤできること間違いなしです。
FUJIFILM X-T4とX-T5比較 モニターの違いモニターはX-T4のバリアングル式から3方向チルト式に変更となりました。

思い切った変化です。
FUJIFILM X-T5の3方向チルト式モニター上下のほかに右側へも少し開きます。縦位置のローアングル撮影もこれで楽にこなせますね。

バリアングル式は動画向き、チルト式は静止画向きと言われておりますが、私の使い方では3方向チルトがあれば動画でも充分です。

むしろモニターを上向きにしたときにマイクやケーブル、リグなどに干渉しないからより使い易いんじゃないかとさえ思っています。
X-T4の場合バリアングル式モニターとSmallRigが干渉してしまった↑「リグ」とはこういうやつ。X-T4に付けた画像。バリアングルモニターだとリグと干渉してしまいモニターの可動域が少なくなってしまった。

ジンバルに付けたときに角度によってはジンバルと干渉するかも……ぐらいですね。このあたり、動画プロユーザーから見てどう評価されるのか気になります。

ただしX-T5だと自撮りができないのは悩みどころ。

一人でYouTube撮影するといったような使い方には向きません。(外部モニターを使用するとか、スマホアプリで連携するとかが必要)

そういうカメラではないと言われてしまえばそれまでですが、せめてカメラの下までがっつり開いてくれたらチルト式でも自撮りできるのに、とは感じました。
FUJIFILM X-T4とX-T5の外観比較 軍艦部(↑X-T5 ↓X-T4)

操作系はX-T4と変わらないダイヤル配置で、相変わらずかっこいいです。

ISO感度ダイヤル・シャッタースピードダイヤル・露出補正ダイヤルが軍艦部に配置されております。

X-H2S・X-H2ではこういったアナログ風のダイヤルは採用されず、概ね他社メーカーと同じ操作感になり、それはそれで使いやすいのですが……。

こちらのX-T5は上から見て設定が一発でわかる電源OFFの時でも先に設定を変えておける、そしてカチャカチャ操作するのが楽しいというメリットがありますね。

X-Tシリーズではこの形式を維持してくれたのがとても嬉しいです。

ISO感度ダイヤルを見比べていただくと、X-T4は常用ISO感度が160~でしたが、X-T5では常用ISO感度が125~とより低ISO感度で撮影できるようになりました。

他には露出補正ダイヤルの操作がよりスムーズになったといった変化があります。

X-T4では親指と人差し指でつままないと回しにくいのですが、X-T5だと右手の親指だけですんなり操作できますね。

【明らかに増した解像感】

FUJIFILM X-T5 XF33mmF1.4 R LM WRでの作例 X-T5 + XF33mmF1.4 R LM WR , 1/170 , F2.8 , ISO 160
X-T5 + XF33mmF1.4 R LM WR , 1/1250 , F1.4 , ISO 160
FUJIFILM X-T5 XF56mmF1.2 Rでの作例 開放からピント部の解像感がアップX-T5 + XF56mmF1.2 R , 1/8000 , F1.4 , ISO 160 FUJIFILM X-T5 XF33mmF1.4 R LM WRX-T5 + XF33mmF1.4 R LM WR , 1/2200 , F1.4 , ISO 160
FUJIFILM X-T5 XF56mmF1.2 Rでの作例 開放からピント部の解像感がアップX-T5 + XF56mmF1.2 R , 1/500 , F1.2 , ISO 160

約4020万画素にアップしたX-T5。

使用したレンズはXF33mmF1.4 R LM WRとXF56mmF1.2 R。

XF56mmF1.2 Rは旧型で、「4020万画素にフル対応しない」とされています。

それでも、モニター上で明らかに違いがわかるほどに解像感・立体感が上がっています。

これほど小さいカメラからこんな画が出てくるとは。少し撮影しただけで私はこのカメラのことが好きになってしまいました。

【レンズが生まれ変わるほど優秀になったAF】

FUJIFILM X-T5 人物(頭)検出オートフォーカスX-T5 + XF56mmF1.2 R , 1/1700 , F1.2 , ISO125FUJIFILM X-T5 人物(頭)検出オートフォーカスX-T5 + XF56mmF1.2 R , 1/4000 , F1.2 , ISO 125
FUJIFILM X-T5 人物(頭)検出オートフォーカスX-T5 + XF56mmF1.2 R , 1/400 , F1.2 , ISO 125 FUJIFILM X-T5 人物(頭)検出オートフォーカス 夜でもしっかり使えるX-T5 + XF56mmF1.2 R , 1/240 , F1.2 , ISO 1600

驚くべきはオートフォーカス性能の向上です。

顔検出AFで撮影しましたが、動いている人物をしっかり認識してピントを合わせてくれました。夜の撮影でも充分機能します。

小型化したおかげでさっと構えて撮影するスナップショットがさらにやりやすくなって、なおかつそれがこのカメラに似合います。
FUJIFILM X-T5 被写体検出オートフォーカス(鳥)X-T5 + XF56mmF1.2 R , 1/2200 , F1.2 , ISO 125
FUJIFILM X-T5 被写体検出オートフォーカス(鳥)X-T5 + XF56mmF1.2 R , 1/850 , F1.2 , ISO 400

被写体検出に「動物」「」「クルマ」「バイク&自転車」「飛行機」「電車」が新搭載されました。

今回は「鳥」に設定して街中の鳥をスナップしてみました。

X-T4で旧型XF56mmF1.2 Rを使っていると、AFはおおむね実用レベルではあるもののやはり最近のレンズと比べるとすこ~し不安があるものでした。

しかし、X-T5なら瞬時に動く被写体を認識し、オートフォーカスが追従してくれて、開放1.2でもピントがしっかり合うのです。

まるでXF56mmF1.2 Rが生まれ変わったようです。

こういった初期型のオートフォーカスが遅めなレンズほど、より違いが感じられるかもしれません。

(とはいえX-T5の画質・性能を最大限に発揮するには新型のFUJIFILM XF56mmF1.2 R WRを使用するのが本来はおすすめです。)

「クルマ」「鳥」「電車」の被写体検出AFの様子を動画で撮影しました。

ご参考にどうぞ。ゾーンAF+被写体検出AFです。


【高画素を生かしたデジタルテレコンバーター】

X-T5ではデジタルテレコンバーターの機能が使用できるようになり、2倍1.4倍を選ぶことができます。

残念ながらこの機能を使用するのを忘れてデモ機を返してしまいましたので、代わりに大幅にトリミングした作例を紹介します。

FUJIFILM X-T5 被写体検出オートフォーカス(鳥)X-T5 + XF56mmF1.2 R , 1/16000 , F1.2 , ISO 125

鳥が屋根に降り立つ瞬間を撮影しましたが、56mmなので全然距離が足りませんでした。
(ちなみにこちらも鳥検出AFで撮影しております。)

そこで、トリミングして鳥を大幅にクローズアップしてみます。(トリをトリミング…)
FUJIFILM X-T5 デジタルズーム…の代わりに大幅にトリミングしてみましたたぶんデジタルテレコンでいう2倍以上のトリミングだと思います。

とっさに開放で撮ってしまったこともあって流石にシャープさは元データにかなわないものの、十分実用レベルですね。

望遠レンズがない時などに是非活用したい機能です。

【動画機能の進化】

X-H2S、X-H2と比べると「写真機」としての役割を強調されがちなX-T5ですが、「動画もすげえ進化してるぞ!」ということは声を大にして言いたいです。

まず動画の記録画素数はX-T4のDCI4Kから、X-T5では6.2Kにアップ。

外部出力にしか対応していなかった4:2:2 10bitSDカードで記録できるようになりました。

より広いダイナミックレンジを記録できる「F-Log2」に対応。

優秀な被写体検出AF」が動画でも使える!

といったようにアップデートがされております。

私は4K/60pを使いたいので、そこだけに絞ってお話をすると、

X-T4の場合、まず4Kで60pを撮りたいとなるとAll-IntraではなくLong GOPに制限されてしまいます。(内部収録の場合)

また、4K/60pでの撮影は1.18倍にクロップされてしまうというデメリットも。

しかしX-T5の場合、すべての解像度でAll-Intra・Long GOP共に撮影できます。もちろん4:2:2 10bitも。

そして4K/60pの場合のクロップ率は……1.14倍!(電子手振れ補正OFFの場合)

クロップするのかよ!

すみません、6.2K撮れるカメラですからてっきりクロップなしかと……。よく調べたらX-H2でも同様にクロップするのですね。

とはいえ、一般的なフルサイズカメラだとAPS-C画角まで大きくクロップされることが多いです。

そんな中、これは素晴らしい数字なのです。(そもそもX-T4の1.18倍クロップでも違和感なく撮影できていましたし)

ちなみにX-H2Sならクロップなしで撮影できます。

【動画時のオートフォーカスについて】

動画のオートフォーカスについてもかなり進化したように感じましたが、ワイド/トラッキングAFは相変わらず静止画のみで、動画では使えません。

これはX-H2Sでも使用できないようですね。

特に「トラッキングAF」は指定した被写体を追い続けてくれるとても優秀な機能。

被写体検出AFや 顔・瞳検出AFがかなり優秀とはいえ、自分でピントが合う被写体を選びたい場面等活用できる時は多いでしょう。

他社では動画でも便利に使えますから、是非追加してほしいなと思っております。

FUJIFILM X-T5 動画撮影で、記録中に画面に赤枠が出るようになった録画中はモニターに赤枠が出る仕様に変わっていて地味に嬉しい。録画し忘れを防ぐことができます。

なんやかんや言いましたが、X-T5の動画性能は元々優秀だったX-T4よりさらに盤石な体制になった印象。

「写真機」というにはもったいないほど動画撮影も素晴らしいということは強調いたします。


【高画質・高機能・趣味性を全部つめこんでみました】

FUJIFILM X-T5 外観

X-Tシリーズのクラシカルかつ合理的なデザイン、操作の楽しさはみなさんご存知のとおり。

今回のX-T5は、サイズ感的に「プロ機」といった印象が強かったX-T4と比べると、小型・軽量化されてより身近に使用できるようになったと感じました。

それでいて性能・画質が格段に向上し、約4020万画素の高画素モデルながら、もたつくことなく軽快に動作します。

スペックだけじゃない、楽しさだけじゃない。

高画質・高機能・趣味性を兼ね備えたこのタフなカメラはあなたの良い相棒になってくれること間違いなしの一台です。


FUJIFILM X-T5 XF56mmF1.2 Rの作例 クリスマス感カメラのナニワ京都店 阿部

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