カメラのナニワ 京都店の阿部です。
ラージフォーマットによる圧倒的な描写力が人気のミラーレスカメラ、富士フイルム"GFX"シリーズ。
35mm判(フルサイズ)の約1.7倍にもなる大型センサーを搭載しているため、そのぶん豊かなボケと諧調(明暗のグラデーション)を楽しむことが可能です。
こちらのGFXシリーズですが、FUJIFILM純正のGマウントレンズを装着して撮影するのではなく、あえて35mm判レンズを付けて撮影される方々も多くいらっしゃいます。
GFX 50RにニコンAI-S 35mm F2を付けた例。ここでは極端に絞ってケラレが目立つようにしています。
その際に問題になるのが、画面周辺部の「ケラレ」。上の写真は実例です。
35mmフルサイズ版レンズのイメージサークル(レンズによって像が結ばれる円形の範囲)はGFXの撮像範囲よりも小さいことが多く、四隅が写らずに黒くなってしまうことによってのような写真が生まれてしまいます。
しかし中にはGFXにつけてもケラレない・ケラレが非常に少ないレンズも存在しており、見つけた時はなんともいえないカタルシスを感じるわけです。
今回はGFX 50RにCarl Zeiss Planar T* 50mm F1.4 ZFを装着してみたところ、相性ばっちりでしたのでこちらを作例付きでご紹介致します。
レンジファインダースタイルのGFX 50Rと、本レンズの組み合わせは思った通りめちゃくちゃかっこいい。
GFX用のマウントアダプターを揃えるとなかなか高価ですので、銘匠光学のライカM→GFX変換アダプターにK&F Concept のニコンF→ライカM変換アダプターを重ね付けしております。
マウントアダプターのロゴを黒塗りしてみましたが、素人塗装で思ったようにならなかった……。
絞り値表記は1段ごとですが、1/2段まで調整できます。
Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4 ZFは伝統的なスタイルの外観とレンズ設計がなされた「Classic シリーズ」のうちの一本。
現在Classic シリーズの50mmは「ZE(キヤノン用)」と「ZF.2(ニコンF用電子接点あり)」が販売されております。
ニコンFマウント用「ZF.2」は、今回使用した「ZF」に電子接点を追加したもの。
マウントアダプターでの運用の場合、電子接点のない「ZF」を中古で探しても問題ないでしょう。
これらのレビューは過去ブログにもございますので、ぜひご参照ください。
【作例付き】レモン社新宿店:新入荷案内:Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZF.2
【商品レビュー】Carl Zeiss Planar 50/1.4 ZFとあやめ祭りへ
ちなみに、50mmレンズはGFXボディにつけるとフルサイズ換算で40mm程度。
50mmよりもちょっと広くて35mmよりちょっと狭い、昨今トレンドの画角になります。
作例
F1.4F2.8
絞り開放では周辺減光が強く、味わい深い描写に。
柔らかい写りですが、コントラストがあり、色がしっかり乗っているのが特徴的。
そして背景によってはこのようにボケが乱れるので注意が必要です。(これはこれで印象的です)
一方でF2.8まで絞ると写り方がバシっと変わり、解像感が増して光量落ちも気にならなくなってきます。
四隅の写りに関しては、若干ボケが流れてしまっておりますが、ケラレはほぼないのではないでしょうか。
ちなみにフィルムシミュレーションはすべて「クラシックネガ」をアレンジしたものです。
ある程度絞ってあげると、四隅の画質低下も少し抑えられます。
2006年発売のレンズですが、細かい葉の部分まで均一に写し出されていて、GFX50Rの約5140万画素にも十分対応しているように見えます。
色の出方も素晴らしいですね。
フォーカスリングの回転角は大き目で、操作感は非常になめらか。
スナップでさっとピントを合わせるのも、じっくり丁寧にピント合わせするのも、どちらもやりやすい仕様です。
このカットでは、わずかですがハッキリとケラレてしまいました。
どうも遠景で絞るとケラレが出やすいようです。
こんな時はアスペクト比を初期設定の4:3ではなく、3:2に設定するのもありです。
3:2にするとケラレはほとんどわからない状態に。
これでもフルサイズセンサーより十分大きいですから、GFXでレンズ遊びするときは是非活用したいところです。
カメラ内の補正もないレンズですから、ラージフォーマットの画角では歪曲収差が気になるときがあります。
Lightroom等現像ソフトのレンズ補正に頼るのも良いでしょう。
レンズ補正なし
レンズ補正あり
今回はLightroom Classicでレンズ補正「Zeiss Planar T* 50mm F1.4 ZF.2」を使用しました。
「カメラホリック Vol.8」に掲載されているGFX×オールドレンズ特集は必見
バチっとハマれば美しいボケに。絞り開放付近の空気感はたまりません。
ラージフォーマットとプラナーの描写が合わさり、まるでその場にいるように感じてしまうほど立体的です。
画質のことを考えつつこのレンズの個性を生かすとなると、F1.8~F2.8ぐらいがこの組み合わせの美味しい部分な気がします。
これは癖になってしまう。
ポートレートも撮ってみました。
思いっきり逆光でゴーストは出ていますが、白くならずにコントラストが維持されているのがすごいです。
流石のツァイスT*コーティングですね。
こちらも画面下部はボケが流れてしまっております。全身ポートレートなどは注意が必要です。
気になる時は大人しくGFXの「35mmフォーマットモード」を活用しましょう。
約3000万画素のフルサイズカメラとして使用できます。
何気なく撮った写真も「作品」にしてくれるような、そんな魅力があります。
このカメラとレンズの組み合わせで撮るのがよっぽど楽しかったのか、一人でにやにやする筆者が写っております。おい、ピントはどうした。
GFX×ZEISSは禁断の旨味
GFX 50RとPlanar T* 50mm F1.4 ZFはかねてより是非試してみたいと思っていた組み合わせでした。
ケラレだけでなく四隅の画質にも気を使わないといけないなあと思いつつも、ツァイスらしいコントラストや色乗りの良さ、立体感、味わい深いボケはGFXでも存分に発揮されました。
ハッとさせられるその写りは、癖になる禁断の果実。
焦点距離が違うPlanar T* 85mm F1.4 ZFも試しましたので、機会がありましたら紹介いたします。
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