こんにちは~。編集長の中村です。
今回は、TAMRONさんからお借りしたブツをご紹介したいと思います。
このTAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD Xマウント用をね!
こちらのレンズも2022年7月に発売された1本ですが、フルサイズ換算で25.5-105mmまでの画角をカバーしながら、全域で開放F値2.8固定という素晴らしい1本になります。
今回は、類似スペックのレンズとの比較も交えながら、こちらのレンズの魅力をお伝えしてまいります!
【ズーム比4.1倍でF2.8通し!】
【XF16-80mmF4 R OIS WRと比較】
【XF16-55mmF2.8 R LM WRとの比較】
【トータルで高いレベルにまとまった描写性能】
【取り回し良好で旅のお供にもピッタリ】
【換算105mmの望遠端が予想以上に良い】
【Xマウント大口径標準ズーム あなたに合うのはどれ?】
【ズーム比4.1倍でF2.8通し!】
他社製のものですと、ズーム全域でF2.8通しの大口径標準ズームはフルサイズ換算で24-70mmのものが一般的ですね。いわゆるところの「大三元」の標準ズームレンズってやつです。
これ以上のズーム比率で24-120㎜や24-105mmのレンズになると、ズーム全域でF4固定と1段暗くなるものが普通です。「小三元」のやつらですね。
しかし、こちらのTAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDは、フルサイズ換算で25.5-105mという広い範囲をカバーしながらもF2.8通しというスグレモノ!
【XF16-80mmF4 R OIS WRと比較】
FUJIFILM純正レンズで似たようなスペックのレンズとしては、焦点距離がほぼ同じなXF16-80mmF4 R OIS WRと、F2.8通しの標準ズームレンズXF16-55mmF2.8 R LM WRがあります。
前述した「小三元」レンズがこちらですが、ズーム全域でF4のためTAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDと比べると1段分「暗い」スペックです。
ただし、上の写真の通り、サイズはXF16-80mmF4 R OIS WRのほうが小型。
また、TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDが530gなのに対し、XF16-80mmF4 R OIS WRは440gです。
ズーム全域で1段分明るいスペックになっているので、このサイズ差は妥当でしょう。
また、XF16-80mmF4 R OIS WRは6段分の強力な手ブレ補正機構が内蔵されています。
TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDもレンズ内手ブレ補正機構VC (Vibration Compensation)を搭載していますが、補正効果の段数は公開されていません。
しかし、AI(人工知能)テクノロジーを用いて動画撮影により配慮した補正効果が得られるとのことですので、動画撮影も視野に入れている方には魅力的ですね。
【XF16-55mmF2.8 R LM WRとの比較】
サイズ感はほぼ変わらないですが、TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDが530gなのに対し、XF16-55mmF2.8 R LM WRは655gと強烈に重いです。
XF16-55mmF2.8 R LM WRはLM(リニアモーター)によるAF駆動。
一方、17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDはTAMRON独自開発のステッピングモーターユニット・RXD (Rapid eXtra-silent stepping Drive)によるAF駆動ですが、十分にスムーズかつ高速なAF合焦が可能です。
とはいえ、以前わたくしもXF16-55mmF2.8 R LM WRの製品レビューを書きましたが、「単焦点と同等の画質」を謳うだけあって切れ味の良い描写がこちらのレンズのウリ。
一方で17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDは、タムロン特有の適度なシャープさと柔らかさを兼ね備えた描写を見せてくれます。
描写性能に関しましては続いて作例をお見せしていきますので、そちらを踏まえてご判断いただければと。
【トータルで高いレベルにまとまった描写性能】
というわけで、作例をお見せしつつ描写性能をチェックしていきましょう。
まずは京都の宝ヶ池公園に行った時の写真から載せていきます。
使用したボディはFUJIFILM X-S10、フィルムシミュレーションはPro Neg. Hiです。
とりあえず望遠端70mmの描写チェック。
通常の大口径標準ズームレンズよりも詰め込んだスペックになっているため、高倍率ズームレンズなどでありがちな望遠域での「ヌケの悪さ」が出てないかと懸念しましたが……。
コントラスト・シャープネスが損なわれることなく良好な写りを見せてくれました。いいですね!
逆光耐性テスト。思いっきり太陽をフレームに入れて撮影しました。
フレア・ゴーストともにまったく発生していないわけではないものの、かなり抑えられています。
枝のあたりにフリンジ(明るいところと暗いところの間に発生する滲み)が多少発生していますが、そこまで目立つレベルではないかと。
別カットですが、F8まで絞って撮影するとフレア・ゴースト・フリンジともにかなりすっきりしますね。
絞り開放F2.8からシャープな写りを見せてくれます。
当然ながら絞ったほうが解像感は増しますが、小さいサイズで見る分にはそこまで差を感じにくいでしょうし……。
約2610万画素のX-S10など第4世代以前の機種で使う限りでは、そこまで神経質に絞らなくても十分実用レベルです。
近接撮影テストです。最短撮影距離が広角端0.19m・望遠端0.39mと「寄れる」レンズですので、簡易マクロ撮影もこなせます。
絞り開放・最短撮影距離付近で撮影。
かなり意地悪な条件ですので望遠側は滲みがちょっと目立ちますが、広角側は極端な画質低下やボケの乱れもなくかなり優秀です。
これには正直驚きました。
タムロン特有の適度なシャープさと柔らかさを兼ね備えた描写がいい感じです。
また、ボケ味が穏やかで背景処理に気を遣わなくて良いですね。フジ純正レンズであれば、左上あたりの後ボケにもっとクセのあるざわつきが出るのではないでしょうか?
カタログスペックだけ見ても分からない箇所ですが、地味に大きな利点です。
唯一デメリットとして挙げるならば、広角端での歪曲収差がちょっと強めなところでしょうか。
建物など、直線的な被写体を撮ると「まっすぐのはずの線がちょっと歪んでいる」ことが気になるシーンがありました。
とはいえ、編集で簡単に修正できますし、大きく「画質を損なう」ようなポイントではありません。
トータルで見て、かなり高いレベルの描写性能を発揮してくれるレンズだと思います!!
【取り回し良好で旅のお供にもピッタリ】
さて、基本性能をチェックしたところでもう少し作例をお見せしてまいりましょう。
広い画角をカバーしながらズーム全域で開放F2.8通し、なおかつサイズ感も持ち運ぶのに困らない程度ですので、1本でいろいろな撮影に対応することができます。
そこで今回は、旅先での撮影を意識して京都水族館でもテスト撮影をしてきてみました~。
京都水族館は、オオサンショウウオを展示の目玉にしている日本でも珍しいユニークな水族館です。
こちらの撮影もボディはX-S10を使用、フィルムシミュレーションはVelviaをまず使用していきます。
意外とデカくてこわい。
オオサンショウウオ単体で撮るとすこし単調な写真になるので、女性の後頭部を写しこんでみました。
望遠端の換算105㎜ともなると、分かりやすく圧縮効果が出てくれますね。
えっ……これどうなってんの??
隅っこに溜まる大量のオオサンショウウオ……。
ちなみに床付近の直線にはかなり分かりやすく歪曲収差が出ていますね。こういう直線がフレームに入る際は注意しましょう。
TAMRON独自開発のステッピングモーターユニット・RXDによるAF駆動は高速かつ静か。泳ぎ回る川魚もきちんととらえてくれました。
オットセイ。アザラシとかアシカとかとの違いがいまだにイマイチ分かっていない。
アクティブに泳ぎ回っている子らもスムーズに撮影できました。
ブリージング(ピント位置の移動に伴い画角が若干変化する現象)やウォブリング(ピント位置が行ったり来たりする現象)もないため、動画撮影にも使いやすいレンズなのではないでしょうか。
「京の海」エリアです。エイがでかい。
水族館、写真を撮ろうと思うと暗くて意外にに苦労する撮影スポットの代表格です。
こちらのTAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD、ズーム全域F2.8通しでシャッタースピードを稼ぎやすいため、こういうシーンではかなり活きます!
今回はX-S10にて撮影を行いましたが、ボディ内手ブレ補正機構の内蔵されていないX-T3などの機種で使う際には、手ブレ補正機構・VCの恩恵も大きいでしょう。
続いてペンギンエリアにやってきました。
1段絞ってF4で撮影しましたが、換算105㎜ともなるとしっかりボケ量を稼ぐことができますね!
若干前ピン気味で目にきちんとピントが来ていませんが……ケージにべったりくっついてペンギンを接写してみました。
かなり寄っての撮影ですが画質劣化は少なく、毛並みやクチバシの質感もしっかり描写されていていい感じです!
「クラゲワンダー」エリア。実験室を彷彿とさせる、ちょっと変わった展示レイアウトになっています。
クラゲを飼育している様子。ここはフィルムシミュレーションをクラシッククロームに変更して撮っています。
青色がシアン寄りになって、なんかケミカルな雰囲気になった……気がします。
クラゲワンダーの先には「イルカスタジアム」があるのですが、残念ながら現在はイルカショーを中止しているとのこと。
望遠端の換算105㎜でどれくらい撮れるかテストしたかったのですが……。やむなし。
と、言う感じで水族館で使ってみた感じ、非常に快適な撮影が楽しめました~!
【換算105mmの望遠端が予想以上に良い】
ちなみに、実際に使ってみて思ったのは、望遠がフルサイズ換算で105mm相当まで伸びるのは思ったよりも便利だなと。
こちらは1月9日 宵戎の今宮戎神社境内の模様です。
望遠レンズならではの圧縮効果(被写体前後の感覚が狭まって写ること)が強めに出ますので、遠近感を誇張した写真が撮れます。
広角ー望遠、寄りー引きを織り交ぜていろいろな写真を撮れるレンズなうえに、サイズや重さもそこまで負担にならない程度。
結論:めっちゃ使いやすいです!
【Xマウント大口径標準ズーム あなたに合うのはどれ?】
XマウントもFUJIFILM純正レンズだけでなくいろいろな選択肢が出てきたのがすごく嬉しいですね~。
そのぶん「で、どれ買ったらええのん?」となってしまっている方も多いかと」思いますが……。
F2.8 通しの標準ズームレンズ3本ですと、使ってみた実感を踏まえて個人的にはこんな感じではないかと思います。
→FUJIFILM XF16-55mmF2.8 R LM WR
・携行性最優先
→SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary
・使いやすさ最優先
→TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD
XF16-55mmF2.8 R LM WRは「単焦点と同等の画質」と謳っているだけあって、切れ味鋭い写りを楽しむことができます。
しかしながら、重くてデカいので携行性や取り回しにはやや難ありですね。
一方でSIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | ContemporaryはF2.8通しにしては常識外れの軽さ・コンパクトさを誇るレンズ。
キットレンズのXF18-55mmF2.8-4 R LM OISとほぼ同じサイズ感ですので携行性は抜群。しかも、望遠側では最大撮影倍率0.5倍とハーフマクロ撮影までこなせます。
ただし、テスト撮影してみた感じ、ズームして望遠側で撮影するとコントラスト低下がかなり目立ちます。
FUJIFILMの強みである「jpeg撮って出しの色味・雰囲気の良さ」を活かしづらくもなりますので、カタログスペックのみを見て判断されないことをおすすめします。
広角端の歪曲収差のほかには取り立てて描写に欠点もなく、どんなシーンでも安定して使える便利さがありますね。
他2本のような尖った強みはありませんが、何でもそつなくこなしてくれる優等生といった感じです。
また、F2.8通しではありませんが、XF16-80mmF4 R OIS WRも強力なライバルです。
大きさ・重さではXF16-80mmF4 R OIS WRに軍配が上がりますが、開放F値が1段分明るいというのはやはり大きなメリット。
暗いところで撮影することが多い方にはこちらの17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDをおススメいたします。
また、XF16-80mmF4 R OIS WRはズーム全域で最短撮影距離0.35mのところ、TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDの最短撮影距離は広角端で0.19m・望遠端で0.39m。
広角側で寄って撮影することが多い方はTAMRONのほうが使いやすいでしょう。
いずれにせよ、どの要素を重視するかで「最適なレンズ」は人それぞれ違ってきますので、ゆっくりと時間をかけていろいろご検討いただければと。
弊社オンラインショップにてお取り扱いしておりますのでぜひともどうぞ~!!
それでは今回も長々とお読みいただきましてありがとうございました。
また次回のブログでお会いいたしましょう!!
【おまけ】
どことなくジオン公国 ズムシティ公王庁を彷彿とさせるデザインですね。そう思いません?