こんにちは~。編集長の中村です。
諸君、わたしはソフトフォーカスレンズが好きだ……。
わたくし、もともとはオールドレンズに興味があってレモン社に入社した者です。
なので、シャープでカリカリに写るレンズよりもふんわり甘めのレンズを好む傾向があります。
しかし、最近はメーカー各社様よりデモ機をお借りして新製品レビューを書くことが多く、「ちゃんと写るレンズ」を使う機会が多くなっておりまして……。
モヤっとした写真を撮る機会が減ってしまっており、少々フラストレーションが溜まり気味。
そんな中、Canon様よりとあるレンズをお借りしました。
多くのユーザーに支持された一眼レフ用マクロレンズ・EF100mm F2.8L マクロ IS USMを彷彿とさせるスペックのレンズですね。
もちろんRFマウント用のレンズとして新規光学設計されており、画面全域で諸収差の少ない高画質の写りを実現しています。
ですが! それだけではありません!!
こちらのレンズ、Canon製品ではじめて「SAコントロールリング」を搭載している製品となります。
このSAコントロールリング、球面収差を変化させることによってソフトフォーカス効果を発生させつつボケの質感を変えられるというシロモノ。
今回は、普通のマクロ撮影もバッチリこなしつつ、ちょっと変わった写真も撮れてしまうこちらのレンズの魅力をお伝えしていきたいと思います~。
【スペックまとめ】
まずは簡単にスペック解説です。
EF100mm F2.8Lマクロ IS USMと比較した表がこちら。
RF100mm F2.8 L MACRO IS USM | EF100mm F2.8Lマクロ IS USM | |
レンズ構成 | 13群17枚 | 12群15枚 |
絞り羽根枚数 | 9枚 | 9枚 |
最小絞り | 32 | 32 |
最短撮影距離 | 0.26m | 0.3m |
最大撮影倍率 | 1.4倍 | 1倍 |
フィルター径 | 67mm | 67mm |
最大径×長さ | 約φ81.5mm×148mm | φ77.7mm×123mm |
質量 | 約685g | 約625g |
新規設計の光学系を採用しており、13群17枚とレンズの枚数が増えています。
それに伴い、質量(大きさ)や重量(重さ)は少し増えていますね。
一方で最短撮影距離が短くなり、撮影倍率も1.4倍と等倍以上の撮影が可能に!
また、スペック表外ですが、EF100mm F2.8Lマクロ IS USMの手ブレ補正は約4.0段分です。
一方でRF100mm F2.8 L MACRO IS USMは、ボディー内手ブレ補正機構を搭載していないEOS Rに装着した場合、約5.0段の手ブレ補正効果があるとのこと。
EOS R5に装着した場合、ボディー内の手ブレ補正機構と協調制御によって約8.0段の極めて強力な手ブレ補正効果を発揮します。
【まずはマクロレンズとしての性能をチェック】
ぼちぼち梅が咲き始めていますので、今回はこちらの梅の花をメインの被写体にしていきたいと思います。
使用したボディはEOS R6です。
とりあえず絞り開放で1枚。
しべの一本一本まですごい解像している……!!
一眼レフ用のEF100mm F2.8Lマクロ IS USMもかなり評価の高いレンズでしたが、こちらのRF100mm F2.8 L MACRO IS USMもかなりレベルの高い描写性能を備えていますね。
梅の花を後ろ側から撮影。
がくの質感もしっかりと描写されており、文句のつけようがない素晴らしい写りです。
あまりきちんとテストできませんでしたが、最大撮影倍率1.4倍で等倍マクロレンズ以上の接写ができるのも頼もしいですね。
開放でよく写るのだから、絞って写らないわけがありません。雫や葉の質感、地面の砂の一粒一粒まで細かく写しとってくれています。
もっと絞ってパンフォーカスにすれば良かったなとちょっと反省。
念のため絞り開放・無限遠でも撮影。遠景でもまったく写りが甘い感じがしません。
「マクロレンズ」というとフォーカス繰り出し量が多くブレも生じやすいところから、三脚に据えてじっくり撮影するためのものというイメージの方が多いかもしれません。
しかし、こちらのRF100mm F2.8 L MACRO IS USMは、ナノUSMによる超高速AFと強力な手ブレ補正によって非常に取り回しのいい1本となっています。
咄嗟に撮ったハト。AF合焦があまりにも早いので本当に驚きました……。
全長が長めなのであまりコンパクトとは言い難いですが、見た目のわりに軽いのでいろいろなシーンで使いやすいレンズなのかなと思います。
ボケを活かしてポートレートを撮るのにもいいかもしれませんね!
マクロ性能を活かして手元やまつ毛などを切り取れば、画のバリエーションが増えますのでいいのではないかと。
【「SAコントロールリング」とは?】
冒頭でも述べた、噂の「SAコントロールリング」がこちらでございます。
どういう機構なのでしょうか? まずは公式の説明を見てみましょう。
引用:Canon RF100mm F2.8 L MACRO IS USM 概要
「ユーザーの好みに合わせた自由なボケ描写」とはいかに……?
とりあえず、デフォルトでは真ん中にセットされているこのリングを「+」や「-」に動かすとボケの感じが変わるようです。
とりあえず使ってみないことには分からんのでまずとりあえず撮ってみましょう。
ピント面はシャープでキリっと写っており、ボケも滑らかで美しいですね。
それでは、SAコントロールリングを+端・-端にセットして撮影した写真を順番にお見せしていきましょう。
だいぶ描写が変わりました……!!
2枚ともピントを右上付近の梅の花にあわせていますが、最初の1枚と比べてふわ~っとした写りになっています。
あえて前ボケ・後ボケ両方発生する位置で撮影しましたが、2枚とも前後のボケ感が変わっているのをお分かりいただけますでしょうか?
+端で撮った写真は、後ボケがざわっとして前ボケが滑らかになっています。
-端で撮った写真は、前ボケがざわっとして後ボケが滑らかになっていますね。
別のカットで3枚撮り比べたものをお見せいたします。
ちなみに、SAコントロールリングを+や-に動かすと若干の画角変動があります。
+側では少し画角が狭くなり、-側では少し画角が広くなります。
中のレンズを動かすことで収差をコントロールしているのでしょうね~。
ちなみに、ソフトフォーカス効果は1段絞ると+側-側ともになくなってしまいます。
ソフトフォーカス効果を活かしたい場合、絞り開放付近での撮影が前提となりますのでその点ご承知おきください!
【実写作例】
さて、それではこのSAコントロールリングを操作していろいろと作例を撮ってみました。
残念ながらEXIFにSAコントロールリングの数値は記録されませんので、「+と-のどちらにセットしたか」だけ記載させていただきます。
まずは+側にセットして1枚。後ボケの存在感を強調しつつ、右下あたりの前ボケを柔らかくしました。
ふんわりソフトな写りが梅のかわいらしさを引き立ててくれています!
梅のつぼみが意外と玉ボケになって目立つので、-側にセットして後ボケをごっそり整理してみました。
+側で木漏れ日を撮ってみたのですが……。オールドレンズもびっくりの飛び散りっぷり!!
使い方次第ではかなり面白い画が撮れそうですね~。
+側では玉ボケに輪郭がついてバブルボケ感がかなり出ます。
こういう存在感のあるボケを好まれる方は、積極的に使っていくといいのではないでしょうか!
一方、穏やかなボケ味のままソフトフォーカス効果を活かしたい方は、-側にセットして柔らかい後ボケで撮影するのが良いかと。
しかし、前ボケで配置するものに気をつけないときっちりざわつきが目立ってしまいます。
ケースバイケースで使い分けていきましょう。
【まとめ】
絞り開放から甘さのないキリっとした写りを発揮し、小さな被写体でもきっちり写しとることができます。
お好みに応じて、キリっとした写真もふんわりした写真も自由自在に撮り分けることができる、1本で2度美味しいレンズですね!!
ご興味あられる方はナニワグループ各店およびオンラインショップよりお求めいただけますのでどうぞご検討ください~!
ついでですが、参考までに「収差をコントロールできる」レンズは他社製品でもいくつかあります。
製品レビューリンクを貼っておきますのでどうぞご覧ください。
ソフトフォーカス道は奥が深い……。
また、記事中でなんの解説もなしに使ったバブルボケという単語に関して、気になる方はこちらの記事もご覧いただければと。
それでは今回も最後までお読みいただきましてありがとうございました!
また次回のブログでお会いいたしましょう~。