こんにちは~。編集長 中村です。
本日ご紹介してまいりますはこちら。
XF30mmF2.8 R LM WR Macroでございます!
X-T5と同じ2022年11月25日に発売された最新レンズですが、ぼちぼち中古品も入荷しはじめましたので今更ながら使用感をレビューしてまいります~。
【コンパクトかつ使いやすいマクロレンズ】
【類似スペックのレンズと比較】
【長居植物園でテスト撮影】
【ネモフィラ畑を撮ってみた!】
【マクロ撮影にもチャレンジしてみました】
【様々な用途に対応できる便利な1本】
【コンパクトかつ使いやすいマクロレンズ】
こちらのXF30mmF2.8 R LM WR Macroですが、長さ69.5mm・重さ195gと小さくて軽いことにまず驚きます。
リニアモーター搭載・インナーフォーカスの等倍マクロレンズがこれだけコンパクトなのはなかなかすごい……。
焦点距離も30㎜(換算約45㎜)と標準レンズに近い画角で、人間の視野に近い範囲が切り取れるので使い勝手も良いですね。
最短撮影距離0.1m・最大撮影倍率1倍(等倍)ですので、「寄って撮れなくて困る」ようなこともありません。
普段使いのレンズとしてボディに付けっぱなしにしておいても困らない1本でしょう。
【類似スペックのレンズと比較】
こちらのXF30mmF2.8 R LM WR Macroですが、いろいろなシーンに対応しやすい万能レンズといった感じのスペックになっています。
そこで、他のXマウント単焦点レンズと比較しながら、その魅力を深掘りしてお伝えしてまいりたいと思います!
まず、焦点距離が似ていて開放F値も同じのパンケーキレンズ・XF27mmF2.8 R WRと比較してみましょう。
XF27mmF2.8 R WRは長さ23mm・重さ84gと圧倒的なコンパクトさで人気の1本。
しかし、最短撮影距離34cm・最大撮影倍率0.1倍と近接撮影はそこまで得意ではありません。
「寄って撮る」ことが多い方は、多少サイズアップしますがXF30mmF2.8 R LM WR Macroのほうが便利なシーンが多いでしょう。
また、XF30mmF2.8 R LM WR MacroはLM(リニアモーター)による高速かつ静粛なAFが可能で、ブリージングも抑えられた設計になっています。
動画も撮りたい方には、XF30mmF2.8 R LM WR Macroのほうをおすすめしたいところ。続いて大口径標準レンズ・XF33mmF1.4 R LM WRと並べてみました。
右が今回ご紹介するXF30mmF2.8 R LM WR Macro、左が比較対象のXF33mmF1.4 R LM WRです。
大口径標準レンズであるXF33mmF1.4 R LM WRは長さ73.5mm・重さ360gとやや大きめ。重さはXF30mmF2.8 R LM WR Macroの2倍近くあります。
また、最大撮影倍率0.1倍・最短撮影距離30cmと近接撮影能力はそこまで高くありません。
その代わり、開放F値がXF30mmF2.8 R LM WR Macroよりも2段明るいF1.4となっています。
絞りを開けてシャッタースピードを稼ぎたい時やボケを活かした撮影がしたい時はこちらのXF33mmF1.4 R LM WRのほうに軍配が上がりますが……。
XF30mmF2.8 R LM WR Macroは「寄って撮る」ことで背景をぼかすこともできますので、撮り方を工夫することでカバーできるシーンもあるでしょう。
続いて同じくマクロレンズカテゴリーのXF60mmF2.4 R Macroとも比較です。
とはいえ、マクロ撮影において焦点距離の違いは被写体との距離の違いに直結しますので、一概な優劣をつけることができませんが……。
いちおう簡単にまとめてみます。
サイズ的にはほぼ変わらず、長さ63.6mm・重さ215gとXF60mmF2.4 R Macroもだいぶコンパクトですね。
スペック面でいえば、XF60mmF2.4 R Macroは最大撮影倍率0.5倍のハーフマクロレンズであるのに対し、XF30mmF2.8 R LM WR Macroは最大撮影倍率1倍の等倍マクロレンズです。
また、XF30mmF2.8 R LM WR Macroはインナーフォーカス方式を採用して近接撮影時にもレンズ全長が変わらないのがメリット。
一方でXF60mmF2.4 R Macroは全群繰り出し方式のため、近接撮影時には先っぽが伸びるタイプのレンズになります。
Xマウントのマクロレンズとしては、他にXF80mmF2.8 R LM OIS WR Macroがありますね。
こちらのレンズもXF30mmF2.8 R LM WR Macro同様に等倍マクロレンズで、インナーフォーカス式になっています。
とはいえ、焦点距離で見ると、XF80mmF2.8 R LM OIS WR MacroとXF60mmF2.4 R Macroは中望遠マクロ、XF30mmF2.8 R LM WR Macroは標準マクロという違いがあります。
焦点距離が比較的長く、中望遠相当のXF80mmF2.8 R LM OIS WR MacroとXF60mmF2.4 R Macroはそのぶん被写体と距離が離れていても大きく写しやすいという特性があります。
一方、XF30mmF2.8 R LM WR Macroはとにかく近寄って大きく写すのに向いたスペックになっていると言えるでしょう。
どういう被写体を撮りたいのか・どこまで被写体に近づいてOKなのか・どれだけ背景をボカしたいのか etc.でどのレンズが最適なのかは変わってきますね。
ここから作例をお見せしつつ、具体的な活用例などを解説してまいりたいと思います!
【長居植物園でテスト撮影】
というわけで、実際に撮ってみた作例をお見せしてまいります。
ちょうど5月でいろいろな花が咲いている季節ですので、長居公園へと行ってきました!
使用したボディはX-S10、フィルムシミュレーションはスタンダードなPROVIAです。
日差しが強烈だったのでPLフィルターを使用していますが、それ以外はいつも通りレタッチなしのjpg撮って出しの写真をお見せしていきます。
絞り:F2.8 SS:1/6000 ISO:800
まずは開放F2.8での写りを見ていきましょう。
F2.8と開放F値は控えめですが、ボケている感じはしっかり出ていますね。
絞り:F2.8 SS:1/9000 ISO:800
もっとしっかり寄って撮影してみました。花びらの質感もカリッと描写されていてかなりいい感じです!
絞り:F2.8 SS:1/8000 ISO:800
続いて逆光耐性テスト。太陽をど真ん中に入れて撮影してみました。
さすがに意地悪な条件なので真ん中あたりにちょっとゴーストが出ていますが、この程度でしたら十分良好な耐逆光性能ですね。
絞り:F2.8 SS:1/3500 ISO:800
絞り開放で遠景を撮影するとごくごくわずかに周辺部が滲みますね。
とはいえ、大きな画面で拡大して見なければ分からない程度ですので、あまり気にする必要ないかなと個人的には思います。
【ネモフィラ畑を撮ってみた!】
絞り:F2.8 SS:1/3200 ISO:800
さて、長居公園を今回訪れたのは、5月らしくネモフィラを撮りたいという腹積もりでありました。
見頃のピークは過ぎてはいましたが、まだまだ十分咲いていましたよ~!
絞り:F2.8 SS:1/4700 ISO:800
個人的に、中望遠マクロだとこういう群生しているタイプの花はちょっと切り取りにくいなという印象があり。
試してみたら、予想していたよりもネモフィラの撮影にこのXF30mmF2.8 R LM WR Macroが適していたなと。
絞り:F2.8 SS:1/6000 ISO:800
開放F2.8でボケを活かした切り取り方も可能です。
フジノンレンズではこういう細かい被写体の多い背景ではざわつきが発生しがちですが、こちらのXF30mmF2.8 R LM WR Macroもその傾向が少しありますね。
絞り:F5.6 SS:1/1100 ISO:800
2段絞ればボケのざわつきはなくなります。おそらく1段絞るだけでもだいぶすっきりするかと。
気になる方は、適宜絞ってお使いください。
絞り:F2.8 SS:1/2000 ISO:800
とはいえ、細かい欠点がないわけではないものの、全体的に描写性能は高い水準です。
開放F2.8からだいぶ安定した描写で、画角も広すぎず狭すぎずで使いやすい。
絞り:F5.6 SS:1/1000 ISO:800
そして寄れる。これが本当に便利。
焦点距離30mmで被写界深度が深めになりますので、2段絞ったF5.6でしべから花びらまでしっかりピントが合ってくれますね。
「ボケ過ぎないマクロ撮影」には持ってこいのレンズです!
絞り:F2.8 SS:1/3200 ISO:800
ローアングル気味で撮影してみました。
背丈の低い草花は、普段「見下ろす」ような形で接することが多いですね。こういうものをローアングルで撮影すると新鮮な見え方になってくれます。
絞り:F2.8 SS:1/3500 ISO:800
画角が適度に広いうえにレンズが軽くてコンパクトですので、片手持ちのローアングル撮影でもぜんぜん疲れません。
本当に使いやすいレンズです~!!
【マクロ撮影にもチャレンジしてみました】
絞り:F8 SS:1/300 ISO:800
さて、「いかにもマクロレンズで撮りました」感のある写真も撮っておこうと思いまして、ツツジのしべを撮ってみました。
かなり近寄って接写しましたが、シャープで切れ味の良い写りでマクロレンズとしての性能も確かですね!
絞り:F5.6 SS:1/2700 ISO:800
なんか分からん野草。アザミっぽいけどどうでしょうか?
小さい画面だとなかなか伝わりづらいですが、葉や微細な毛の質感まできれいに写しとってくれています。
レンズの繰り出し量の多い近接撮影では、リニアモーターによる速くて静かなAFを特に実感しますね~。
絞り:F11 SS:1/120 ISO:800
とはいえ、画角が広いぶん被写体に近づきすぎるとパースがついて遠近感が誇張されてしまうことも。
被写体のかたちを歪めずに撮影したい場合、中望遠マクロを使用したほうが無難でしょう。
事務所で撮ったおかき。海苔の質感がすごい。
絞り:F8 SS:1/80 ISO:800
また、あまり被写体に近づきすぎてしまうとカメラや撮影者が光を遮って被写体に影がかかってしまうことも。
この写真はLEDライトで真上から照らして影を消していますが、光源の向きなどによってはマクロ撮影がうまくできないこともあるのでご注意を!
【様々な用途に対応できる便利な1本】
というわけで、取り回しが良く近接撮影も得意なレンズですのでかなり「自由」な撮影を可能にするレンズになります!
何一つ制約がないわけではありませんが、いろいろなシーンに対応しやすいためかなり便利です。
軽くて小さいうえに、換算約45mmと使いやすい画角のためスナップ撮影などにも使いやすい。
LMによる高速かつ静かなAFで、とっさにシャッターを切っても対応できます。
ブリージングもほぼなく、動画撮影でも活躍するでしょう。
最短撮影距離0.1mの等倍マクロレンズですので近接撮影もお手の物。
道端で見かけた草花などを気軽に撮影できます。
当然ながらテーブルフォトでも使いやすいです!
そしてX-S10と組み合わせたときのスタイリングがとても良い。正直欲しい。
気軽にカメラを持ち歩いて屋外でいろいろ撮りたい方からするとこの組み合わせはかなりいいと思いますよ~!
という感じで魅力的なレンズです。ナニワグループオンラインにて新品・中古お取り扱いしておりますのでぜひともお求めください~!!
それでは今回も最後までお読みいただきましてありがとうございました!
また次回のブログでお会いしましょう~!!
【おまけ】
余談ですが、日差しが強い季節にこういう色鮮やかな花を撮る時は、FUJIFILMのカラークローム・エフェクトのありがたさをひしひしと感じます。
普通に撮ったら赤色が色飽和しまくってめちゃくちゃ汚くなるところですが……。
かなり色のトーンが残るので「レタッチめんどいから撮って出しがいい派」からすると本当に助かる機能です。
さらに余談ですが、この花を「闇落ちエビフライ」って名前つけた人、ネーミングセンスが天才的すぎる。
正式名称の「フレンチラベンダー」もいいけどね。