こんにちは~。編集長 中村です。
ついに発売されました、話題のNikon最新ミラーレスカメラ・Z 8!
デモ機をお借りしてみっちり使い込ませていただきましたが……多機能すぎてまじですごい……。
すべての機能を使えたわけではありませんが、いろいろと作例は撮ってきましたので使用感等をご報告させていただきます~。
【兄弟機・Z 9と仕様を比較】
【驚異的な動体撮影能力はZ 9と同等!】
【飛行機認識AFのテストで千里川土手へ】
【SDカードでの連写限界をテスト】
【ハイスピードフレームキャプチャ+使用時の注意点】
【それでも小型・軽量は正義!】
【風景写真・星景写真にも対応可能】
【チャレンジに踏み出せるカメラ】
【兄弟機・Z 9と仕様を比較】
まずは兄弟機であるZ 9と比較しつつ、仕様等を確認して参りましょう。
一部、前回までの記事のおさらいを含む内容ではございますがお付き合いください。
すでに何度かご説明したとおり、Z 9の撮影機能はそのままに縦位置グリップを省略し、約30%ものサイズダウンを実現してるのが今回のZ 8になります。
並べてみるとZ 8のコンパクトさが一目瞭然ですね。
Z 9が重さ約1340gなのに対し、Z 8は約910gとかなりの軽量化にも成功しています。
後から見た感じ。
上から見た感じ。
縦位置グリップがなくなり、ファンクションボタンの数も減りましたが、基本的なボタンレイアウトなどはZ 9とZ 8で共通しています。
ですが、Z 9には設けられていた左手側のドライブダイヤルがZ 8では廃止されています。
これはけっこう思い切った変更点ですね。
Z 9のサブ機としての運用を考えている方は、使用感の違いに若干戸惑うかもしれません。
とはいえわたくし個人としては、Z 9をお借りして使ったとき、とっさにドライブ変更ができなくて若干焦ったりしましたので……。
ドライブダイヤルなしのZ 8のほうが使いやすく感じました。
端子まわりもZ 9からけっこう変わっています。
Z 9は有線LAN端子が1つ・USB Type-C端子が1つでしたが……。
一方、Z 8は有線LAN端子が廃止され、USB Type-C端子計2口(USB通信専用端子とUSB充給電専用端子がそれぞれ1つずつ)が設けられています。
有線LAN通信は、市販のUSB Type-C端子のUSB-LAN変換アダプターをUSB通信専用端子に接続することで対応可能とのこと。
あくまで要望ですが、SSDへの動画直接記録とかできるようになったら、充電しながら外部記録ができるようになるのでこの2口仕様がめちゃくちゃ活きるような気がします。
バッテリーはZ 7IIなどと同じくEN-EL15cを用います。
EN-EL18dを使うZ 9に比べるとどうしても稼働時間は短くなりますが、交換バッテリー自体が小さいため予備を持ち歩いても負担になりにくいのは良いところ。
記録メディアはXQD・CFexpressカード(Type B)とSDカードのスロットがそれぞれ1つずつ。
Z 9はXQD・CFexpressカード(Type B)のデュアルスロットです。
デュアルスロットが必須の方からすると片方がSDカードになったのはちょっと痛い仕様変更ですが……。
いちおう、SDカードでの連写記録限界もテストしてみましたので、この点は後ほど解説いたします!
【驚異的な動体撮影能力はZ 9と同等!】
Z 8 & NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S+Z TELECONVERTER TC-2.0x
さて、それでは作例をお見せしつつ、Z 9譲りの凄まじい動体撮影能力を持つZ 8の魅力を解説していきたいと思います!
まず、完全ブラックアウトフリーのReal-Live ViewfinderはZ 9に引き続き搭載しています。
こちらのReal-Live Viewfinder、像喪失なしで常に被写体の動きをEVFで捉え続けることができますので、動体撮影時の快適さがハンパじゃないです……!
「類似画像を表示することで体感的にブラックアウトが無いようにしている」のではないので、動く被写体を追いながら高速連写してもEVFに表示される映像は一切乱れません。
Z 8 & NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S+Z TELECONVERTER TC-2.0x
イメージセンサーの有効画素数は4571万画素とかなり高画素。トリミング耐性が極めて高いです。
上の画像はもともと横位置で撮影したものです。トリミングして縦位置に変更し、サイズ調整しました。
それでもまだ1400万画素ぐらい残っていたのですごい……(Web用にサイズをさらに落として掲載しています)
Z 8 & NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S+Z TELECONVERTER TC-2.0x
これだけの高画素機でありながら、Z 7II比で約12倍の高速読み出しが可能な積層型CMOSセンサーによってローリングシャッター歪みは強力に抑えられています。
個人的に「ローリングシャッター検査場」と呼んでいる京都 四条大橋付近で建物を入れながらトンビを撮ってみました。
画像回転とトリミングだけはかけていますがそれ以外は未補正です。露出がちょっと暗いのは許して……。
動き回る鳥を追いかけてカメラを振りながら、まっすぐな建物をフレームに入れてしまうとびろ~んと歪んでしまうことが高画素機ではままあるのですが……。
4571万画素でこれだけ歪まず写っているのはほんとにすごいです!
Nikonが自信を持ってメカシャッターレスに踏み切っただけのことはありますね~。
Z 8 & NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S+Z TELECONVERTER TC-2.0x
また、最大で秒間120コマもの超高速連写が可能なハイスピードフレームキャプチャ+もZ 9から引き継がれています。
フルサイズミラーレスカメラではZ 9で初めて搭載された、シャッター全押しから最大1秒間まで遡って記録する「プリキャプチャ」機能も、もちろん使用可能。
上の写真は、秒間60コマの記録が可能なハイスピードフレームキャプチャ+ C60とプリキャプチャ機能を合わせて撮影したもの。
サギが水の中にクチバシを突っ込んだ瞬間にシャッター全押ししましたが……。
プリキャプチャ機能を使わなければ、このように「魚を捕まえた瞬間」を撮るのは難しかったでしょう。
【飛行機認識AFのテストで千里川土手へ】
Z 8 & NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S+Z TELECONVERTER TC-2.0x
Z 9からさまざまな機能を受け継いだZ 8ですが、一方でZ 8から新しく搭載された機能もあります。
「美肌効果」やHEIF形式への対応などいろいろありますが、今回は被写体認識AF[飛行機]用モードにフォーカスしてご紹介してまいります!
すでにZ 9でも飛行機は被写体認識対象になっていましたが、新たに飛行機の被写体認識に特化した専用モードが設けられたかたちになります。
Z 8 & NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S+Z TELECONVERTER TC-2.0x
というわけで、こちらの被写体認識の精度を確かめるべく、飛行機撮影スポットの定番・千里川土手へ行ってテストしてきました!
こちらの千里川土手ですが、伊丹空港ランウェイのすぐ真裏に位置しており、伊丹空港に着陸する旅客機がすぐ真上を通ります。
Z 8 & NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S+Z TELECONVERTER TC-2.0x
また、滑走路に向かう飛行機や離陸する飛行機などを撮りやすいため、1か所から様々な写真を撮れるのが良いです。
ここでいろいろと撮影した写真をお見せしつつ、飛行機認識AFの速度・精度について使用感をお伝えしてまいります~。
さて、しばらく待っていたら着陸前の飛行機が飛んできました。
かなり遠い段階から被写体認識AFが飛行機の姿を捉えてくれて安心感がすごい。来るぞ……!!
Z 8 & NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S+Z TELECONVERTER TC-2.0x
バッチリ真正面から撮れました!!
近距離でもしっかりとAFが追尾してくれて、カメラ任せで楽々撮れてしまったので若干拍子抜けするほどでしたね~。
飛行機認識AF、かなりいい感じです!
Z 8 & NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S+Z TELECONVERTER TC-2.0x
もちろん、正面以外のいろいろな角度からでも被写体認識が効きます。真後ろもOK。
Z 8 & NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S+Z TELECONVERTER TC-2.0x
真横もいける!
Z 8 & NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S+Z TELECONVERTER TC-2.0x
斜めも問題なし!!
Z 8 & NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S+Z TELECONVERTER TC-2.0x
真下もヨシ!!!
どのアングルからでも問題なく使えそうです。
Z 8 & NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
アップでの写真だけでは単調なので、広角を使って風景と一緒に写しこんでみました。
なんか合成写真感がすごいですが合成じゃないです。
ハイスピードフレームキャプチャ+のC30で連写して、飛行機がほどよい位置に来ている1枚をセレクトしました。わずかにトリミングして位置を整えています。
普通に撮ろうと思ったらなかなかタイミングがシビアなこういう写真でも、AF性能の高さと連写性能のゴリ押しで簡単に撮れてしまうのが恐ろしい……。
こちらの飛行機モード、今後Z 9にもファームアップで入ってくるのを期待したいですね!
【SDカードでの連写限界をテスト】
さて、前述の通り、Z 8で使用できる記録メディアはXQD・CFexpressカード(Type B)とSDカード1枚ずつです。
CFexpressカード(Type B)のデュアルスロットで2枚同時記録ができるZ 9に比べてバックアップ体制が弱いという点に難を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回、SDカードでの書き込み速度も簡単にテストしてみました。使用したのは、Angelbird AV PRO SD MK2 V60 512GBになります。
安定した動画記録のために書き込み「最大速度」よりも「持続速度」を重視したカードですので、他のカードでテストしたらもうちょっと違う結果になるかもしれませんが。
こちらのSDカード、デジカメWatchさんでも紹介されていますので、詳細を知りたい方は以下の記事を参考にどうぞ。
RAW+JPEG FINEで記録できる最高速度の約20コマ/秒で撮影していきます。
ちなみに圧縮方式にはあまり頭が回らず、「高効率」「高効率★」「ロスレス圧縮」の3種類のうち中間の「高効率★」に設定したまま撮影したのですが……。
2~3秒で書き込みが追い付かなくなって途切れ途切れにしかシャッターが切れなくなってしまいました。まぁ当然といえば当然なのですが。
RAW+JPEG同時記録でなおかつ最高スピードでの撮影をしようと思った場合、CFexpressカード(Type B)でないとやはり難しいですね。
ちなみに、ハイスピードフレームキャプチャ+はJPEGでしか記録できませんので、SDカードでも特に止まることなく連続撮影できましたのでご参考までに。
【ハイスピードフレームキャプチャ+使用時の注意点】
Z 8 & NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S+Z TELECONVERTER TC-2.0x
なお、非常に便利なハイスピードフレームキャプチャ+ですが、30fps・60fps・120fpsの動画を1コマずつ静止画で切り出しているものです。
なので、やっていることとしては「動画を撮っている」のと事実上変わりません。
そのため、だいぶバッテリーを喰いますし、日差しの強い屋外で長時間使用していたりするとボディ内温度が上がりすぎてカメラがストップしてしまう可能性も。
Z 9は大型バッテリーのEN-EL18dを使用するうえ、ボディが大型なので発熱効率が良いので多少なんとかなりますが……。
Z 8で考えなしにずっと使っていると、稼働時間が制限される可能性がありますのでご注意ください。
また、繰り返しですが、ハイスピードフレームキャプチャ+はJPEGでの記録のみ対応でRAW記録は不可ですので、その点もあらかじめ留意しておいていただければと。
【それでも小型・軽量は正義!】
Z 8 & NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
という具合に、小型・軽量化のために省かれた部分もありますが……。
ボディが小さくなってハンドリングが良くなり、重さも400gほど軽くなったのはシンプルに良いことです。
フィールドへ持ち出しやすくなったのは間違いありません。
Z 8 & NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S+Z TELECONVERTER TC-2.0x
この前にZ 9をお借りしたとき、首から下げてもカバンに収納してもずっしりと重くて、
「このカメラを持って歩くのはとてもしんどいな……」と正直なところ思ったのですが……。
Z 8は体感的にもかなり「軽くなった」と感じますし、これでしたら野鳥撮影などで持ち歩くのも十分いけると思います!!
Z 8 & NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S+Z TELECONVERTER TC-2.0x
被写体認識AFが優秀なほか、一眼レフのころから好評だった3D-トラッキングも使用可能。
粘り強く被写体を追いかけてくれますので、動体撮影能力は本当に文句無し!
このカメラ持ってたらマジで野鳥撮影が捗ります。すごい。
【風景写真・星景写真にも対応可能】
Z 8 & NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
こちらの Z 8、4571万画素ですので風景写真で細かいディティールを表現するのにも向いています。
野鳥・飛行機・鉄道などの動体撮影はおのずと野外で行うことが多いですので、シナジーがありますね。
Z 8 & NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
何気なく撮った四条大橋の景色ですが、Zシリーズの爽やかでスカッとした画作りを感じる。非常に良い。
今回はあまり遠出できませんでしたが、機会があればもっと本格的な作例を撮りたかったところです……。
なお、Z 9にも入っていた暗所撮影サポート機能がZ 8にもバッチリ搭載されています!
・暗所でボタンが見やすくなるボタンイルミネーション
・撮影画面が明るく見やすくなりピントを合わせやすくなるスターライトビュー
・明るさを抑えた赤色で表示することでメニューや被写体を見やすくする赤色画面表示
なので、星景写真にも適したカメラになっております。
Z 8 & NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
拙くて大変恐縮なのですが、ちょっと星空を撮ってみたりしました。
30秒シャッターを開けてたら流石に星がちょっと流れてしまいました。赤道儀が必要だったやつ。
とはいえ、「チャレンジすることが大事」と自分い言い聞かせてブログに載せていきます。
そしてかなり画面端の北斗七星(たぶん)だけ切り取ったのに収差あんまり出てなくてニッコールレンズの優秀さを感じる。
【チャレンジに踏み出せるカメラ】
こちらのZ 8、あまりにも「いろいろなことができる」カメラ過ぎて、機能を逐一紹介をしていると一生ブログが終わらないので……。
いったん今回はこれくらいでまとめに入ろうと思います。
いろいろな呼び方ができるかと思うのですが、わたくしはこのZ 8を「チャレンジングなカメラ」と表現したいと思います。
Z 9から様々な機能を受け継ぎつつも、小型・軽量化によっていろいろな場所に持っていきやすくなったZ 8。
動体撮影然り、星景写真然り、「今まで撮ったこともないし、撮ろうと考えたことすらない被写体」を撮ろうと思った時に、カメラがしっかりと「チャレンジ」を支えてくれる心強さがあります。
また、モニターレコーダーなどを使わずとも、カメラとレンズさえあればボディ内でさまざまな動画フォーマットが録画できます。
動画撮影・編集に「チャレンジ」しようと思ったら、これほど心強いカメラはなかなかないでしょう。
そもそもZ 9自体がメカシャッターレスやボディ内RAW動画収録可能など「チャレンジング」なカメラだったわけですが……。
Z 9の兄弟機を開発するにあたって、「機能面は一切削らずに小型軽量化する」という方針にしたのも極めて「チャレンジング」な判断だったと言えるでしょう。
短期間ではありましたが実機を触ってみて、Nikonの決断は正しかったのではないかと感じます。
決して「安い」とは言い難い価格ですので買うのにはなかなか勇気がいりますが……「チャレンジ」に見合うだけのものをもたらしてくれるカメラなのは間違いありません。
もちろん、ナニワグループオンラインでもお取り扱いしています!
ちなみに、Z 9のデモ機をお借りして過去にいろいろ撮ってみていますが、マジでAF性能すごいです。良かったらブログをご覧ください。
Nikonのフラッグシップミラーレス「Z 9」が凄すぎた【素人でも航空祭が撮れる!】
ハイスピードフレームキャプチャ+のC30・C60・C120の使い分けについては以下のブログにて詳しく解説しております。
ファームウェアVer.3.00になったZ 9を使ってみた【静止画も動画もパワーアップ!】
JPEGでしか撮れないけど、ハイスピードフレームキャプチャ+は本当に助かる機能です。プリキャプチャ機能と合せると撮れる写真のレパートリーが圧倒的に増える。
そして70-200にテレコン付けといたら野鳥でも何でも撮れるのが便利すぎる……。24-120も優秀で普段使いに困らないし、とりあえずこの2本あったら大抵完結しそう。
このまえZ 9とセットで使わせていただいた望遠単焦点・NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR Sもギリギリ一般人でも買える価格帯なのにコンパクト&高画質で最高でしたね。
わたくしも野鳥を撮るカメラを新しく買おうと思ったらこのZ 8一択だなと思うのですが、いかんせんお金が無いんよ……。資金に余裕が出るまでお預けですね。
それでは最後までお読みいただきましてありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう~!!
【おまけ】
「Z 8で使うFマウントの銘玉」みたいなのがやりたくて、Nikonさんにいろいろレンズを貸してもらいました。
上の写真はAF-S NIKKOR 58mm f/1.4Gです。
FTZでFマウントレンズを付けると根本がすぼまった感じになってかわいい。
そもそもZ 8の機能を使い切ることすらできなかったので、企画は頓挫したのですが……。断片的な作例だけ載せておきます。
AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G、銘玉と言われるだけあってほんと良い写りをしますね……。
合焦部はキリっとシャープで、ボケ味もきれい。
AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED、いかにも「ガラスの塊」といった趣。
手持ちで5分抱えてるだけで手が疲れてくる。
だけど写りはめちゃくちゃいいですねぇ……。しっとりなだらかなボケが最高すぎる……。
いろいろレンズお借りしたはいいけどあんまり使えなかったの残念です。
FTZでも被写体認識AFききますので、皆さまレンズ資産を存分に活かしてあげてください~!!