こんにちは~。編集長 中村です。
デジタルカメラのみならずスマートフォンのカメラも高画素化が進む今日この頃ですね。
しかし、イメージセンサーの画素数に関しましては「多ければ多いほうが良い」「大は小を兼ねる」という単純な話ではないということをご存じでしょうか?
そこで今回は、画素数が多いことのメリット・デメリットについて簡単に解説していきたいと思います!
機材選びの参考にしていただければと幸いです~。
【そもそも「画素数」とは?】
【画素数が多いとどういうメリットがある?】
【高画素機のデメリット① データが重い】
【高画素機のデメリット② 手ブレに弱い】
【高画素機のデメリット③ 高感度ノイズが出やすい】
【そもそも撮り方によっては違いが出ない場合も】
【特性を理解して高画素機を使おう!】
【そもそも「画素数」とは?】
それではまず。「画素数」という言葉から解説してまいりたいと思います。
デジタルカメラのイメージセンサーは、光を電気信号に変換してくれるフォトダイオードを中心としたユニット「画素」が規則正しくびっしりと並んでできています。
イメージセンサーがいくつの「画素」で構成されているかを「総画素数」という言葉で呼びますね。
とはいえ、イメージセンサーの全面を画像記録に用いるわけではありません。
実際に撮影・記録に用いる画素の部分の数は限られており、これを有効画素数と呼びます。
「画素数」という言葉で一般的に呼ばれるのは、こちらの有効画素数のことです。
【画素数が多いとどういうメリットがある?】
それではまず、「画素数」が多いことのメリットから解説して参りましょう。
上の画像は、有効画素数 4571万画素のNikon Z 8で撮影した画像です。
Web掲載用にリサイズしていますが、元画像は8256ピクセル×5504ピクセルとなっています。
最近のデジタルカメラはだいたい約2600万画素くらいの機種が多いですので、だいぶ「高画素」の部類になりますね。
先ほども説明した通り、デジタルカメラのイメージセンサーは「画素」をびっしり敷き詰めて作られています。
この「画素」が多いほどピクセル数が多く、情報量の多い画像を得ることができます。
こちらの画像は、先ほどの8256ピクセル×5504ピクセルの中心付近だけ切り取ったもの。
サイズは2515ピクセル×1677ピクセルの約420万画素。
元画像の1/10ほどのサイズになっていますが、それでもここまでシャープで鮮明に写っているので驚きです。
このように、大きく切り取っても画像が荒れたりぼやけたりしないのがメリットの1つです。
また、画像を構成する画素が多いぶん、画像内の細かくて小さい被写体もきめ細かに写すことができます。
上の写真は、約4020万画素のX-Tran CMOS 5 HRを搭載したFUJIFILMのX-T5で撮影したもの。
前世代のX-Trans CMOS 4(約2610万画素)を搭載したX-S10と簡単に撮り比べしてみましたが、川辺の草など細かい部分のディティールがよりくっきり写るようになっています。
風景写真などを撮る場合は、高画素機の恩恵を実感しやすいシーンになりますね。
また、画素数が多いと、かすかな陰影も繊細に描写することができますので、明暗のトーンを重視した写真を撮りたい場合も画素数は重要な要素になります。
【高画素機のデメリット① データが重い】
一方で、画素数が多いことによって生じるデメリットもあります。
まず、画像1枚当たりのファイル容量が大きくなってしまうところ。
高画素機だとJPEGが1枚で16MBとかはザラ、RAW同時記録だと1カットで計50MBとかは当たり前みたいな世界になってきます。
20~30カットで計1GBを超えてしまいますので、8GBの小さいSDカードではあっという間に容量が足りなくなってしまいますね。
データ量が多いほど、バックアップも含めたデータの保存にかなりコストがかかってしまうことも考えると、なかなか頭の痛い問題です。
また、そもそも画像1枚が「重い」ことで、スペックの低いPCでは撮影した画像を見ることすら苦労することになります。
記録画像のサイズに合わせた画像の再生・保存環境が必要になるという点は注意しておきましょう。
また、大きいサイズで撮影した画像をWeb掲載用にすごく小さいサイズにしたりすると、色や明るさのグラデーションが「割れて」ギザギザになってしまうことがあります。
動画でいうところの「バンディングノイズ」と同じような現象ですね。特に空を写すときは要注意です。
こうなると一気に見栄えが悪くなりますので、小さいサイズで使う前提でしたらあらかじめ撮影時にJPEG記録サイズを小さく設定しておくなどの工夫をお忘れなく。
【高画素機のデメリット② 手ブレに弱い】
画素数の多いカメラは被写体の微小な部分も忠実に写しとってくれるのが強みですが、撮影条件次第ではその強みが活きない場合もあります。
上の写真は有効画素数4571万画素のNikon Z 9に望遠レンズNIKKOR Z 400mm f/4.5 VR Sをつけて1/6秒のスローシャッターを切ったもの。
きちんと三脚などでカメラを固定して撮ればなんら問題はないのですが、手持ちで無理やり撮っているのでかすかに手ブレしてしまっています。
Web掲載用に小さいサイズの画像を載せているのでパッと見はそこまで気にならないと思いますが、トリミングして使用するのは難しいクオリティです。
最近のミラーレスカメラは手ブレ補正機能が非常に優秀で、400mmの望遠レンズで1/6秒のスローシャッターを切ってここまでブレていないのはそれはそれですごいのですが……。
ちょっと手ブレしてしまうだけで高画素機のメリットは失われてしまいますので、必要に応じて三脚を使用するなどのひと手間を惜しまないことが重要です。
【高画素機のデメリット③ 高感度ノイズが出やすい】
一般的に「高画素と高感度は両立しない」と言われています。
イメージセンサーを構成する画素が多ければ多いほど1つの画素が受ける光の量が少なくなり、そのぶん感度が低くなってしまうからです。
こちらの写真は約1210万画素のZV-E1で撮影したもの。ISO6400での撮影です。
高感度機のα7S IIIをベースにしているカメラですので、画素数を抑えて1画素あたりの受光面積を広くとっています。
そのため、ISOを上げてもノイズが出づらいのが特長。
夕暮れのグラデーションや右上の雲の部分など、通常のカメラであればもっとノイズが出てしまいそうなシビアなシーンでもきれいに写してくれています。
とはいえ、最近のカメラはイメージセンサーや画像エンジンの進化によって画素数が多くてもノイズが少ない写真が撮れるカメラが増えてきています。
例えば前述のX-T5に搭載されているX-Tran CMOS 5 HRは、ノイズを従来と同程度に抑えながらも画素数を約1.5倍に増加させることに成功しました。
上の写真はX-T5でISO6400に設定して撮影した画像ですが、こういうシーンであればそこまでノイズも目立たず実用範囲内だと感じました。
とはいえ、先ほど述べたように手ブレの問題もありますので、高画素機は総じて暗いところでの撮影にあまり向きませんのでご注意ください。
【そもそも撮り方によっては違いが出ない場合も】
また、これは高画素機の「デメリット」というわけではないのですが……。
画素数の多いカメラを使っても、画面内に細かい被写体があまりないシーンで写真を撮ると、画素数の少ないカメラとあまり描写が変わらない点もご注意ください。
約3300万画素のα7 IV と約1210万画素のZV-E1で撮り比べをしてみました。
↑α7 IV + SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art
↑ZV-E1 + SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art
2枚とも絞りF1.4・シャッタースピード1/400秒・ISO 100・ホワイトバランス 太陽光で揃えて撮影しています。
どちらもWeb掲載用にサイズを小さくしていますが、「画質」にほとんど違いを感じない方のほうが多いのではないでしょうか?
「アップで大写し」みたいな撮り方だと画素数の違いによる描写の差は出づらいですので、逆に画素数が少ないオールドデジカメなどで写真を撮る時の参考にもしていただければと。
【特性を理解して高画素機を使おう!】
いろいろと書き連ねてきましたが……。
とはいえ、きちんと適したシーンで高画素機を使って撮影した写真の繊細で迫力ある描写はやはり魅力的です。
やはり重要なのは、「どういう被写体を撮りたいか」「撮った写真をどのように使うか」を明確化することでしょう。
「なんか分からんけどとりあえず数字が大きければいいんじゃろ?」というような雑な認識で画素数の高いカメラを購入しても、あまり得をしないということだけお忘れなく。
最後に弊社ブログで参考になりそうなやつをいくつか貼っておきますので、ご興味あられる方はご参考にどうぞ。
商品レビュー:高画素機!だけではない。SONY第4世代「α7RⅣ」
→約6100万画素のα7R IVの製品レビュー。データ量とノイズの問題について詳しく検証・説明してくれています。
Nikonのフラッグシップミラーレス「Z 9」が凄すぎた【素人でも航空祭が撮れる!】
→高画素機のメリットとデメリット、どちらも痛感しました。改めて見返しても空のトーン割れがあまりにもひどい。
RF50/1.8 STM 使用レビュー【お手頃で取り回しもいい単焦点】
→Canonの高画素機・EOS R5で撮影した写真を掲載しています。RF50/1.8 STMは比較的お手頃価格のレンズですが、しっかり絞ればR5で使っても十分な解像感が得られますね。
それでは今回も長くなりましたが最後までお読みいただきましてありがとうございました!
また次回のブログでお会いしましょう~。