※本記事は、株式会社CURBON様の『ENCOUNTER MAGAZINE』に寄稿したコラム原文に一部加筆を施したものになります。
はじめまして。わたくし、ナニワグループBLOGS『新世界』 編集長の中村と申します。
弊社は、「カメラのナニワ」「レモン社」「タカチホカメラ」を東京・大阪・名古屋・京都・神戸・福岡などに展開し、新品・中古の写真機材を取り扱うカメラ専門店です。
CURBONさまとはタイアップ写真教室の開催や、CURBON+会員様限定クーポンの発行など、いろいろとご一緒させていただいてきました。
このたび、『ENCOUNTER MAGAZINE』へのコラム掲載のお申し出をいただきまして、こうして筆を執らせていただいた次第でございます。
今回は、カメラ専門店スタッフとして、1万円台の手頃な価格で入手できるオールドレンズ3本をご紹介いたします。
【そもそも「オールドレンズ」とは?】
【①Nikon Ai 50mm F1.4(Fマウント)】
【②Canon New FD 50mm F1.4(FDマウント)】
【③Pentax Super-Takumar 50/1.4(M42マウント)】
【プリセットで編集してフィルム風に仕上げるのもアリ】
【オールドレンズに興味ある方はぜひナニワグループ店舗へ】
【そもそも「オールドレンズ」とは?】
まず、「オールドレンズ」という言葉はあくまで俗称です。
明確な定義がある言葉ではないので、ざっくり「フィルムカメラ用に供給されたマニュアルフォーカスレンズのこと」ぐらいの認識でいていただければと。
当時としては最高水準の性能で極めて高価だったレンズも、今となってはかなりお手頃な価格で入手・使用できるのがメリット。
また、いま最新の高性能レンズと比べて「滲み」のある写真が撮れたり、ボケ方がちょっと特徴的だったりと、ユニークな写りを楽しみやすいのも魅力です。
とはいえ、種類も多く、値段もピンキリのオールドレンズのなかから「どれを買えばいいのか分からない……」という方も多くいらっしゃることでしょう。
そこで、今回は「国産メーカーの標準レンズ 50mm F1.4」だけに絞って3本ご紹介していこうと思います。
【①Nikon Ai 50mm F1.4(Fマウント)】
とりわけ中古市場でも流通量が多く、入手しやすいレンズです。
Nikonの50mm F1.4だと「オートニッコール」「ニューニッコール」「Ai」「Ai-S」などのバリエーションがありますが、「Ai」「Ai-S」のものを選んでおけば無難でしょう。
安いものは10,000円程度、かなり状態のいいものでも18,000円くらいでお店に並んでいるのが嬉しいところですね(2023年7月現在の相場)
わたくしがはじめて自分のお金で購入したオールドレンズでもあり、個人的な思い入れも強い1本になります。
FUJIFILM X-T20 & Nikon Ai 50mm F1.4 ※JPEG無加工
こちらのレンズ、剃刀で削いだようなシャープさと程よい柔らかさが同居する写りで、非常に「よく写る」のも特徴です。
特に開放から1~2段絞った際に、このシャープさと柔らかさのバランスの良さを実感しやすいですね。
FUJIFILM X-S10 & Nikon Ai 50mm F1.4 ※JPEG無加工
絞り開放F1.4では画面全体にふんわりとした滲みが発生します。
ソフトフィルターを使っての撮影や、画像編集でブラーエフェクトをかけたのとはまた違う、柔らかい写りがなんとも魅力的です。
SONY ZV-E1 & Nikon Ai 50mm F1.4 ※JPEG無加工
こちらはF5.6での撮影。絞り込めば高い解像力をフルに発揮してくれます。
絞りの値を変えることで描写が大きく変わり、1本のレンズで様々な写真のテイストを楽しむことができるのが楽しいですね。
オールドレンズにはこのような「絞り値によって写り方が変わる」ものが多いです。
「このレンズはいったいいくつの顔を見せてくれるんだろう?」というワクワク感を味わえるのが醍醐味のひとつと言えます。
【②Canon New FD 50mm F1.4(FDマウント)】
続いてご紹介するのは、CanonのNew FD 50mm F1.4です。Canonのデジタル一眼レフで採用されているEFマウントよりも前の規格のレンズになりますね。
「FD」と「New FD」がありますが、「New FD」のほうがコーティングが良くなって逆光耐性が上がっているとのことで、今回は使いやすそうなこちらをチョイスしました。
経年劣化によりクモリが発生している個体がやや多くはありますが、そこそこの状態のものでも20,000円は超えないことが多いです。
SONY ZV-E1 & Canon New FD 50mm F1.4 ※JPEG無加工
国産メーカー二大巨頭・Canonが送り出した大口径標準レンズだけあって、こちらもかなり優秀なレンズです。
発色の良さ、オールドレンズにしては良好なコントラスト・諧調再現が特長的で、当時多くのスタジオカメラマンがCanonのカメラを支持したのも頷けます。SONY ZV-E1 & Canon New FD 50mm F1.4 ※JPEG無加工
絞り開放で撮影。さずがに開放ではわずかに合焦部が滲みますが、描写はそこまで絞り値に左右されず安定しています。
今どきのレンズの謳い文句に「絞り開放からシャープな写り」というフレーズがありますが、そういう傾向の「走り」にあたるのがFDレンズだったようです。SONY ZV-E1 & Canon New FD 50mm F1.4 ※JPEG無加工
F5.6で撮影してみました。ハイライト・シャドウ部が過剰に白飛びしたり黒潰れしたりすることなく「これって本当にオールドレンズで撮ったのか……?」と撮った自分でも驚いたほどです。
全体的に描写のクセが非常に少なく、それでいてオールドレンズらしい適度な柔らかさを楽しめるレンズですね。
一方でちょっと注意が必要なのは、マウントアダプターが少し独特な点。
FDレンズはボディ側で絞りをコントロールする前提の造りになっているため、絞り環を動かしただけでは絞りを操作できません。
一般的に普及しているK&F CONCEPTのアダプターであれば、「LOCK←→OPEN」と書いてあるリングを「LOCK」にセットすれば絞り環が有効化されます。
使用時にはお気をつけください。
【③Pentax Super-Takumar 50/1.4(M42マウント)】
「スーパータクマー」といえば、今となってはオールドレンズの代名詞のような存在。
特に55mm F1.8のほうが有名ですが、今回はあえて50mm F1.4のほうをご紹介いたします。
SONY ZV-E1 & Pentax Super-Takumar 50mm F1.4 ※JPEG無加工
まず、55mm F1.8も50mm F1.4も、ほぼ例外なくガラスの経年劣化で黄変してしまっているものが大半です。
常時黄色いフィルターを装着しているのと同じような状態なり、カラーバランスが著しく黄色に偏るため、かつてはジャンクかごに捨て値で転がっていたそうです。
ちなみに、勤務歴の長いスタッフに確認してみましたが、当時は本当に500円とかで売られていたそうです。
しかし、マウントアダプターの普及により、デジタルカメラに装着・使用してみる方が増えてくると、「実はよく写る」レンズとして一躍人気を集めるようになりました。
そんな「下剋上レンズ」がこのスーパータクマーなのです。
実際に使ってみると、確かに写真がかなり黄色寄りの写りになりますが、これはこれで雰囲気があってよいのではないでしょうか?
FUJIFILM X-S10 & Pentax Super-Takumar 50/1.4 ※JPEG無加工
また、タクマーといえば逆光で出る派手な虹色のゴーストが人気ですが、こちらの50mm F1.4でも同じように楽しむことができます。
なお、ミラーレスカメラで太陽を直接フレーム内に入れて撮影すると、「虫眼鏡で光を集めて紙を燃やす」のと同じ要領でイメージセンサーが「焼ける」ことがあります。
分かりやすく「エモい」写真が撮れますが、リスクはありますのでご注意ください。
SONY ZV-E1 & Pentax Super-Takumar 50mm F1.4 ※JPEG無加工
絞り開放F1.4で撮影すると、画面周辺部が強烈にぼやけて不思議な写りになります。
今回ご紹介したレンズのなかではこのタクマーがいちばんクセが強い1本ですね。とはいえ、F5.6ぐらいまで絞れば画面全体がシャープに引き締まります。
これも「使いこなし」が重要でしょう。
FUJIFILM X-S10 & Pentax Super-Takumar 50mm F1.4 ※JPEG無加工
M42マウントのレンズはヘリコイドチューブ内蔵マウントアダプターを入手しやすいため、花のクローズアップ撮影などにも向いています。
オールドレンズらしい滲みやボケを活かしやすく、わたくしはこのようにAPS-C機に付けて約75mm相当にして花をよく撮りますが、手軽にちょっと変わった写真が撮れるのでぜひともお試しいただければと。
【プリセットで編集してフィルム風に仕上げるのもアリ】
オールドレンズで撮った写真はそのままでも独特の味わいがありますが、Lightroomなどの編集ソフトで色や明るさなどを調整していくとまた違ったテイストを楽しめます。
上の写真は、FUJIFILM X-S10 & Pentax Super-Takumar50mm F1.4で撮影した写真を、CURBON original プリセット「Film like Collection」を適用して編集したものになります。
オールドレンズで撮った写真は、フィルム風プリセットやフィルターとも馴染みが良く、手軽にノスタルジックな雰囲気な写真を楽しめるのが良いですね。
こちらはSONY ZV-E1 & Nikon Ai 50mm F1.4で撮影したものに同じくプリセットを当てて編集しました。
こちらのCURBON original プリセット、もともと気になっていて今回の機会に購入して使用してみましたが、クセが少なくかなり使いやすいです。
シャドウが少し強めに落ちてコントラストが付く感じが「フィルムっぽさ」をうまく再現できていますね。特に「Cool Film」のほうがけっこう気に入っています。
フィルム風プリセットは有料のもの・無料のものがいろいろと出回っており、わたくしもいくつか購入してみた経験があるのですが、「やりすぎ」なものも多かったり……。
その点、少し弱めの味付けで編集の自由度が高いので、けっこう重宝しています。
ぜひお試しください。
https://www.curbon.jp/collections/lightroom-preset/products/originalpreset1
【オールドレンズに興味ある方はぜひナニワグループ店舗へ】
さて、拙い写真と文章でしたが、オールドレンズの魅力が伝わりましたでしょうか?
ちなみに、CURBON+の写真教室会員であれば、弊社で使える会員様限定のクーポンもございます。
https://www.curbon.jp/pages/curbonplus-coupon-top#04top
今回ご紹介した機材に限らず、お気軽にご用立ていただけますと幸いでございます。
また、ナニワグループ各店では、カメラボディをお持ちいただきましたら店頭でいろいろなレンズをお試しいただくことも可能です。
ご相談だけでも大歓迎ですので、いつでもお気軽にお越しくださいませ。
さらに、弊社ブログ『ナニワグループBLOGS 新世界』では、オールドレンズ・フィルムカメラのコンテンツも頻繁に発信していますのでぜひともご覧ください!
https://www.cameranonaniwa.co.jp/blogs/
【『新世界』版 あとがき】
「外部サイトへのコラム寄稿」というはじめての試みでひじょ~~に緊張しました。
最近は新製品レビューばかりでしたので、ひさびさにオールドレンズ成分を摂取できたのはありがたい限りです。
定期的に寄稿させていただく予定ですが、不評で打ち切りとかにならないように頑張って続けていきたいと思います……。