こんにちは!名古屋栄店の加藤です。
先日ジャンク品の中から発見された期限切れフィルムの撮影レポートを兼ねて、あいち航空ミュージアムへ撮影に行ってきました。
【期限切れフィルムについて】
フィルムは写真感光板などとも言いますが、通常フィルムと呼ばれるものはセルロイドなどの透明物質に感光剤を塗ったものです。
回りくどく何を言っているのかというと、この感光剤は経年劣化するので使用期限を過ぎると劣化します。
要は生ものと同じです。
とはいえ30年前のカメラに入っていたフィルムを現像したら写っていたなんて話しも聞きますので、現像できないという事はないはず。
なので目下の興味は果たしてどんな色が出てくるのかという点に尽きます。
現像した結果、普通に綺麗に撮れているのでちょっと感動しています。使用カメラとレンズの事も紹介していきますのでお付き合い願えたらと思います。
ちなみに以下のブログでも解説していますが、期限切れフィルムの現像にはリスクがあるので、お店で現像する際は事前に相談をお願いいたします。
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【使用機材】
使用フィルムはコダックのカラーネガ「GOLD100」24枚撮り。
使用期限は10年前(2013年3月)に切れています。
カメラはフジカST605Ⅱ。
スクリューマウントの比較的小型のモデルですが、金属部品を多用しているので意外と重量感があります。ファインダーは盛大に汚れていますがピントの山は充分解ります。
M42マウント採用でロシアレンズや東独レンズなどいろいろ使えます。
実際わたしも手持ちのフレクトゴン20mm/2.8を画角を変えずに写真を撮りたい(手持ちのX-T5はAPS-Cのため焦点距離が1.5倍になってしまう)ためとフジのフィルムカメラが欲しかったので買ったカメラです。
このカメラ、シャッター速度の上限が1/700までしか無いので、明るすぎる環境だと少し使いにくい傾向にあります。
しかしフィルムのラティチュードは高いのでさほど問題にならないと思いますし、実際使用するのも速くても1/500秒位までです。
個人的にはシャッターは1/125秒固定で絞りで露光の調整をする方が好みでもあります。
測光素子はSPDでそれまで主流だったCDsに比べると格段に反応が良かった……らしいです。
測光の基本は開放測光でフジの純正レンズを使えば開放測光で撮影が出来ます。純正外だと絞り込み測光で使用可能でその為の絞り込みボタンが付いています。
使用レンズは前述のフレクトゴン20mm/2.8、旧東ドイツのカールツァイスイェナが製造したレンズでM42マウントです。こちらも1978年製であります。
ツァイスレンズが1本欲しいなァと思っていた5年ほど前にネットショップで手に入れた製品です。
ボケ味が柔らかく自分好みの写真を量産してくれます。
ただフジフイルム純正では無い為、ST605Ⅱでは開放測光が使えません。
その為ボディのマウント横にある絞り込みボタンを押しながら測光して撮影しています。
小型のボディなのでレンズが大きくてフロントヘビーに見えますが、ボディの重量もそこそこあるので持った感じは気にならないレベルです。
ちなみにX-T5での画角の問題は中一光学 Lens TurboⅡ M42-FXを手に入れた事で解決しています。
これはレデューサーレンズの類でAPS-C機での使用でも画角が1.5倍にならず、20mmのレンズが20mmのまま使用出来るという大変ありがたい代物です(HPで確認すると1.5倍になった画角が0.726倍になるので実際には約22mmでした)
なにが良いかというと画質にほぼ影響がないというのが一番のメリット。
各社マウントで発売されているのでお手持ちのカメラのマウントに合うものがあれば一考の余地があります。
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【あいち航空ミュージアムへ】
では、いざ撮影へまいります。
撮影場所は「あいち航空ミュージアム」
名古屋空港と隣接した「航空機産業の情報発信」、「航空機産業をベースとした産業観光の強化」「次代の航空機産業を担う人材育成の推進」を目的とした、航空機をテーマとしたミュージアムです。
国産初の旅客機「YS-11」や実物大の「零式艦上戦闘機52型」の模型があり、航空機ファンなら十分楽しめます。
お子様向けの体験プログラムも充実しているので親子連れでも楽しめます。
屋上から名古屋空港が一望でき、頻繁に離発着する飛行機やヘリコプターが見られます。
また、自衛隊小牧基地も隣接しているので自衛隊機の離発着も一緒に見られます。
今回持って行ったレンズは広角なので飛んでいる航空機をアップで撮るのは難しいですが、レンズ次第ではアップでの撮影も可能です(手振れとの戦いにもなりますが笑)
あたしは飛んでる機体の撮影はX-T5でしました。デジタルテレコンが使えるのでXF70-300があれば大体対応できます
2倍テレコンも持って行きましたがさすがに必要無かったです。
ミュージアム内の撮影には最近つけっ放しのXF8mm、超広角で近接性能も高いのでこういったバックスペースが取れない場所だと便利です。
あとは取り合えず必ず持って行くXF35F1.4Rでも撮影しているので一緒に画像を紹介できたらと思います。
航空ミュージアムはエアポートウォークと2階で連絡しています。
少し退色しているように感じますが、思ったより綺麗に発色しています。もっと黄色っぽく写るかと思っていたのですがちょっと拍子抜けしました。
連絡通路を抜けると入り口の手前にライトフライヤーのトリックアートがありますが、すでに館内展示に心が飛んでいるあたしは気もそぞろにカウンターへ足を進めます。
チケット購入の際に直近の体験プログラムを案内してくれました。
あたしはフライトシミュレーターを体験してきましたが、周りは小学生だらけだったので些か気恥ずかしい思いをしています(シミュレーター自体は大変面白かった)
いい角度で見ると立体的に見えます。この写真はダメな角度です笑。
入場しますとまず「ダ・ヴィンチのヘリコプター」の模型が出迎えてくれます。動力が人力なのを除けば航空力学的には飛行可能らしいです。
これも記憶色からすると若干色がうすいです。コダックにしてはあっさりとした印象に感じます。
T5で撮影すると少し濃い目の色で出て、こちらの方が記憶色に近いです。ちなみにフィルムシミュレーションはPROVIAです。
並びの小ケースには名機100選といって日本航空史に残る飛行機の精密模型が置いてあります。
撮影はしてみましたが、ファインダーで見ていたよりも映り込みが激しいです。
色味は記憶よりも黄色が強めで、これは自然光も影響しているのかなと思います。100機もあるとフィルムが足らなくなるのでここはデジタルで撮りました。
階段を下りていくと「MU-2」が出迎えてくれます。
これは三菱が開発した多目的小型ビジネス機です。双発のプロペラ機で席数は最大14席、「MU」は三菱ユーティリティーの略。
レンズが広角なので中々パースの効いた写真が撮れます。意外と白がきれいに発色していて嬉しい限り。
色味が薄いのもフィルムの加減よりはレンズの特性なのかしらんと思いつつ。筆を進めていきます。
次にこのミュージアム内で最大の展示物「YS-11」が鎮座しています。
戦後日本初のメーカーとして設立された日本航空機製造が開発した機体で中型の旅客機にです。
全幅は32mとありますから、フライングフォートレス(空飛ぶ要塞)と云われた「B-17」とほぼ同じ機体サイズになります。
カメラもレンズも昭和の物なので、写りもどことなく昭和の香りがします。
ノスタルジックな色合いが良いですね。上段からの撮影だと広角レンズなのもあってミニチュアみたいに見えますがかなり大きな機体です。
その隣には実物大の「零式艦上戦闘機52型」が展示してあります。
若干色がくすんでいますが、実際にはもう少し色味が濃いです。
この辺りは館内でも暗めの場所だったのでシャッター速度をギリギリまで落としています。どこから撮っても何かが映り込むので一番好きな角度から撮っています。
コクピット周辺、コクピット内に露出を合わせているので機体そのものは白っぽくなっています。
座面は素材むき出しでクッション代わりに落下傘の布をたたんで敷いていたそうです。
ちなみに正面からはこんな感じ。
デジタルで撮るとキリっとしますね。
このカリカリ感につかれたときはオールドレンズで遊ぶのもお薦めです。手振れ補正のないMFレンズで不自由を楽しむのもありではないでしょうか。
零戦の後ろには「名市工フライヤー」が展示してあります。
名古屋市中川区の市立工業高校飛行機同好会の生徒らによって製作された飛行機で、2017年に高校生として初めて飛行に成功した機体だそうです。
実はうっかりこの機体をST605Ⅱで撮影し忘れていましたのでここはX-T5の写真で代用します。
名市工フライヤーから少し進みますと目玉展示の「T-4ブルーインパルス」が展示されてます。
T-4とは中等練習機でプロペラ機で初等訓練を終えた隊員が次に乗る機体です。
運動性は抜群でアクロバット飛行にも多用されます。
青色の発色なんかは個人的には全く問題ないですね。とても10年放置されていたフィルムとは思えません。
小さな機体ですが20mmくらいの画角だと全体を写しきれないです。
ブルーインパルスの鼻先には三菱が制作した「MH2000」が展示されています。
日本で初めて国産技術のみで製作されたヘリコプターで「MH」は三菱ヘリコプターの略です。
展示機はJAXAで実験用に使われた機体で2000~2013年の間、様々な任務に使われたそうです。
MH2000と重なるように「MU-300」が展示されています。
三菱重工業と三菱アメリカ・インダストリー社が製造した機体でのちにアメリカビーチ・エアクラフト社が販売権を買収して「ビーチジェット400」の名前で販売されました。
見た通り長いノーズが特徴です。このレンズだとどう頑張っても全体が写せなかったので前から撮影しています。
ボランティアによる機体内への乗り込み、機体解説なんかも受けられます。
伊アグスタ社と英ウェストランド社が共同開発した大型ヘリコプター。「EH101」がMU-300の左隣に展示されています。国内最大級のヘリらしいです。
大きすぎて横から機体を撮影しようとファインダーを覗いてもイマイチ絵にならなかったので真正面から撮ってます。
開放絞りで撮っているのでふんわりとした写りになっています。
国内最大級のヘリの隣には国内最小級のヘリ「ロビンソンR22 Beta」が鎮座しています。
展示機はドアが無いですが、機体名で検索するとドア付きの機体が出てくるのでそういうう使用なのかもしれないです。
この辺りで機体展示は終わりまして後はエンジンや小物の類の展示になります。
撮影枚数に限りがあるのでフィルムで撮影したのは零戦隊員の遺品のみですが、大型のジェットエンジンの展示なんかもあって楽しめる展示です。
最後に館内から撮影した名古屋空港の写真です。
無限遠で撮影しているのでどちらかというと雲にピントが合っている感じです。子供のころ父親のカメラで撮っていた写真もこんな雰囲気だったような気がします。
【おわりに】
今回は10年放置されたフィルムで撮影してみたのですが、予想外に綺麗に撮れていて喜んでいるところです。
コダックの割には黄色みが少なかったように感じていますが、この辺りが経年劣化の部分かもしれません。
こんど新品のコダックフィルムで撮影して比べてみるのもいいかもしれないです。
なお、繰り返しにはなりますが、期限切れフィルムを現像する際にはお店の方に一度相談することをおすすめします。
期限が切れたフィルムを思い切って使ってみるのも面白いですが、お店側に迷惑をかけない範囲で楽しんでいただければと。