タカチホカメラ府内店の安藤です。
皆さん、鬼海弘雄 ( Hiroo Kikai ) さんをご存じですか?
私はよく Google などで写真家を検索したり、動画を見ることがよくあります。
その時、YouTube再生リストから偶然に『 2B チャンネル』( カメラマン・写真家の渡辺さとるさんのチャンネル ) で鬼海弘雄さん写真集『PERSONA』の解説動画に出会い、彼の作品を知ることができました。
『 ペルソナ 』に掲載されているのは、鬼海弘雄さんが1973年から浅草で出会った様々な人々で、彼が声をかけ撮影された一部がまとめられた写真集です。
初版の『ペルソナ』は手することが出来きませんでしたが、2019年に発売された『PERSONA 最終章 』は手にすることが出来ました。
(鬼海弘雄さんは多数の写真集やエッセイを出版しております。詳細含めオフィシャルサイトを見つけました。覗いてみてください。)
詳細はこちら → https://hiroh-kikai.jimdofree.com/
紹介する本はA4変型判で、初版(ペルソナ)より小さめですが、一人1ページを使用しているため、各ポートレートをじっくりと鑑賞でき、まるで写真展で観覧しているかの様な感覚で楽しむことができます。
また、写真に立体感が出るようにプリント製法にもこだわっているようです。
鬼海弘雄さんは浅草寺の赤色の山門をバックに肖像写真撮影を行うスタイルを徹底していました。
浅草をベースに30年以上に渡って撮り続けてきた愛用のカメラが HASSELBALD 500C又は500C/M の2台で、どちらも使用していたようです。(初期の頃は赤色背景ではない作品を撮影したようですが。)
このハッセルブラッド 500シリーズは、1950年代に500Cモデルに始まり、1990年代まで長期に渡り生産された中判フィルムカメラです。
現在はフィルム(フィルムバック)の代わりデジタル画像センサー(デジタルバック)と進化して、500シリーズのフィルムカメラにデジタルバックを装着することで、従来と同様の操作感でデジタル撮影が可能となっています。
この記事ではフィルムカメラを使用し撮影を行い進めていきたいと思います。
さて、今回使用する「中判フィルムカメラ ( Medium fomat Film Camera ) 」「HASSELBLAD 503CXi 」はモデル 500CX の改良版。
ボディ底には傷がつきにくくするため、ゴム製のクッションが付けられています。外観に大きな変更はみられます。
次に本来は鬼海弘雄さんが愛用されていたPlanar 80mmを使用する方がストーリーに合った選択ですが、今回使用した『 Distagon CF 50mm f4 』 レンズは対角線角度 は77度で、35ミリ換算で27ミリ相当になり、広すぎずちょうどよい広角で使いやすいです。
またフローティングレンズエレメント(FLE)機構により、近接撮影でもシャープな描写が得られると言われています。
(呼び名が違いますがフローティング機構について詳しく書かれているサイトをリンクしておきます。気になる方はリンク先を除いてみてください。)
リンク先→http://nijikarasu.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-211e.html
【ポートレート作例】
話がそれましたが、ここから本題に進んでいきます。
今回の目的は鬼海弘雄さんが撮影スタイルとしてきた赤色の背景を参考にし、異なる背景の撮影において写真にどのような違いが現れるのかを確認することです。
このため、実際に街中を歩いている人々に声をかけ撮影を行ってきました(掲載もご許可いただいています)
撮影は適正露出で行いその後、フォトショップを使用して私のイメージに合うように手を加えております。
(本ブログは私の主観の元で文書を作成しております。個々の捉え方があると思いますが先ずは私の感想から読み進んでいただけると幸いです。)
No.1:ファーストショットは建設現場で使用されている壁を背景にして撮影を行いました。
壁の繋ぎ目が気になりますが、背景に不要な物が映り込まず、シンプルで被写体が主役となっています。肖像写真らしい一枚が撮れたと思います。
No.2:被写体を少し斜めに立たせた撮影により、被写体と背景の壁のバランスが良くなり全体的にまとまった写真に仕上がったと思います。
彼の格好もラフなストリートファッションで、意外に壁とマッチしているのではないのかと思います。
No.3:この写真はビルの壁にタイルが美しく貼られた場所での撮影です。写真を見ると被写体を通り過ぎて壁の白い線や無数のタイルへ目線が向かい、最後に被写体といった感じに視線が向かっていきます。
これは被写体よりも明るく、協調性があるので被写体よりも先に目線が向かってしまうのではないのかなと考えられます。
No.4:被写体に焦点を合わせ、被写体よりも明るい「弁天横丁」が目に入り白い線、無数のタイル、被写体といった感じ目線が向かっていきます。
このように背景や人物よりも目立つ物や余計な物があると被写体に目がいかずポートレートには向いていなのかなと感じました。
しかし、この写真はピクセルアートようにも見えて面白く、被写体に目をやると彼の自然で笑顔が素敵だなと思いました。
No.5:窓ガラスを背景にしたこの写真では、窓ガラスに映り込んだ風景と被写体の肌の色と調和しています。
透明感のあるガラスが創り出す独特な雰囲気が、被写体の雰囲気と見事にマッチしています。
特に、映り込んだ風景が写真全体に深みを与え、心地よい調和が感じられます。
No.6:この写真ではカメラから目線を外して撮影をすることで、窓ガラスに映り込んだ空を見上げているかのような現象的な印象がうまれました。
被写体がクラシックで洗練されたファッションを身にまとい、モダンな壁と対照的な雰囲気が交錯しています。まるで絵画の風景を描きだしているようにも思えます。
No.7:この写真は、被写体になった方からのリクエストで大友宗麟の銅像の下で撮影しました。
被写体が身に着けるアウトドアなファッションが、大理石の前で違和感なく調和しています。
大理石と服の色が混ざり合うことなく、被写体を際立って見えるようにも思えます。
No.8:前の写真と比較して、被写体をわずかに斜めに配置することで、被写体と写真全体のバランスが改善されています。
No.7では深く帽子を被っているため顔がシャドーに覆われ、顔がみづらかった問題もありました。
しかし、No.8では顔の角度が変わり、光の入射角度が変更されたことで、顔がより鮮明に映り、見やすさが向上し良い写真になりました。
No.9:この写真では、No.1とNo.2と同様、工事現場に使用されている壁を背景に撮影を行いました。
この日は晴天で強い光が被写体の顔に影がかかり、顔の半分が見えにくい状態になりました。
また、背景は白い壁も濃いグレーに映りました。ポートレートを撮影する場合、被写体の顔や身につけているものが鮮明に映り出すことが望ましいと考えました。
N0.10:次の写真では、被写体の顔を照らす光を意識して撮影を行いました。この調光により、影に隠れていた顔が浮き彫りになり、まるで映画の一場面のようなシリアスな印象の写真に仕上がりました。
これまでの写真を通して感じたことは、ポートレイトを撮影する際には、背景は被写体をより調和することが望ましいと考えました。
また被写体が身に付けている衣装やアクセサリーにも細心の注意が必要であり、被写体を照らす適切な光にも留意する必要があると感じました。
【おわりに】
皆さんいかがでしたでしょうか?
このブログでは写真家の鬼海弘雄さんに焦点を当て、彼の写真集『PERSONA』に触発され、異なる背景でポートレート写真を撮影してその結果を検証しました。
背景の選択でポートレート写真に影響や、光の使い方の重要性など、興味深い実験でした。
最後に、今回の写真撮影から得た気づきや感想をシェアさてせていただきました。
ポートレート写真の撮影は背景や照明など細かい要素があり、それらを考慮することでより魅力的な写真が生まれることがわかりました。
みなさんもぜひ、異なる背景は条件で写真撮影を試してみて、新しい発見やアイディアを見つけてみてください。写真の楽しさが広がることでしょう。