カメラのナニワ京都店 阿部です。
店頭在庫の商品で気になるものがあったので少しテスト撮影をしてみました。せっかくなので私物のレンズといろいろ比較してみたいと思います。
今回出場する選手はともに一眼レフ用のレンズ
ツァイス Planar T* 50mm F1.4 ZF
ライカ Summilux-R 50mm F1.4(3CAM)
の50mmF1.4対決でございます。
かつて大論争を引き起こしたという、この対決を令和に行うのはいささか危険な行為であります。
もっとも対決といっても作られた時代が大きく違うレンズですし、個体差もあるし、あまり神経質にならずに楽しんでいただきたいです。
さて、今回は両レンズともにマウントアダプター経由でLUMIX S5IIに装着します。
この二本のレンズを比べたいと思ったのは、「どちらもLUMIX S5IIによく似合う…」と感じたのがきっかけでもあります。
Planar T* 50mm F1.4 ZF
今回比較に用いたのは、その「プラナー」の名を冠してコシナが2006年に発売したPlanar T* 50mm F1.4 ZFです。
フィルム時代から受け継がれる伝統的なスタイルの外観と描写を備えたClassicシリーズのうちの一本。ニコンFマウント用。
電子接点つきの「ZF.2」が現行品で販売しております。
金属の重みが感じられますが、カメラと合わせたサイズ感は抜群に良いです。
緑のコーティングもかっこいい。
LUMIXのイメージカラーが赤だから、レンズの赤文字が非常にマッチしております。
Summilux-R 50mm f1.4
こちらはレンジファインダーではなくライカ一眼レフのRシリーズ用に供給されたSummilux-R 50mm f1.4です。
「3カム」は1976年のライカR3の発売とともに登場した規格。
1998年にはフード組み込み型のズミルックスが発売されていますので、この個体はその間ぐらいに製造された個体でしょう。
パナソニックとライカは現在協業関係というのもあってか違和感が少なく、違うマウントのレンズをつけているという感じがあまりしないのが素晴らしい。
こちらもしっかり重いですが良いサイズ感です。
プラナーは直線的なデザインで「寡黙な職人」といった印象でしたが、ズミルックスとの組み合わせはどちらかというと曲線的で、来るもの拒まず、ピースフルな印象であります。(私の勝手な感想です。)
作例比較
設定は絞り優先オート、ISO100、フォトスタイル:スタンダード。
まずはオートホワイトバランスで撮影しております。
F1.4
F4
両レンズともに(変形)ガウスタイプだからか、非常によく似た素直な写りですね。(コントラストに差があるのは太陽の位置が変わってしまったせいです)
開放撮影時の上品な周辺減光や、ほん~の少し玉ボケがざわつく傾向があるのもそっくり。
では前ボケの様子はどうでしょう。
F1.4
F4
正直ここまで似ると思っていなかったのでびっくりしています。
F1.4では若干Summiluxの方がシャープなような?
つづいては逆光耐性をチェック。
F1.4
F4
元々評判の高いカールツァイスのT*(ティー・スター )コーティング。
このPlanar T* 50mm F1.4 ZFは2006年に発売されていますので、コーティング技術も2000年代の水準になっています。
逆光でもフレア・ゴーストがかなり抑えられており、コントラストや発色が極端に低下していませんね。
つづいて玉ボケの様子をチェック。
F1.4
F1.4
F4にすると違いがはっきりとでました。
絞り羽の違いで、Planarは円形に近くなりますが、Summiluxは六角形型の玉ボケになります。
さて、ここまでオートホワイトバランスで撮影していましたが、色味が2本で違うことがありましたので、
ホワイトバランスの数値だけRAWで揃えてどのぐらい色が違うのか比べてみました。
F1.4
F4
このカットではややマゼンダ傾向のPlanarに対し、Summiluxは明らかにグリーンに寄っています。
これはフィルムとデジタル両方で使うことを想定したPlanar T* 50mm F1.4 ZFに対し、Summilux-R 50mm f1.4はフィルム時代真っただ中で作られたからではないかと思います。
また、Summiluxのほうは経年劣化の影響もあるでしょう。
絵作りは似ている二本ですが、こう見比べるとPlanarは正確な色使いで、Summiluxはどこか味わい深い色に感じます。
F1.4
F4
近接撮影のチェック。ちなみに最短撮影距離はPlanarは0.45m、Summiluxは0.5mとややPlanarの方が寄れますので、Summiluxの最短に合わせております。
こちらもF1.4でのピント面はSummiluxの方がシャープな気がしますが、この撮影距離だとわずかなピントのズレで変わってしまいますので、あまり参考にはできません。
クセの傾向はやはり似ています。
こちらでもホワイトバランス数値を合わせると色味に違いが現れました。
どちらのレンズも造りの良さ、描写の美しさがしっかりと味わえる上質なレンズです。
最新レンズが快適な新幹線だとすると、この二本はちょっと贅沢な寝台列車というか、どこか特別な気分にさせてくれます。
PlanarとSummilux、似てるけどどこか違う だけどおなじ匂い(by Mr.Children)
そんな関係性に思えました。
カメラのナニワ京都店 阿部